ゼロガー - (2007/08/06 (月) 21:59:07) の最新版との変更点
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ゼロガー (吉永さん家のガーゴイルからガーゴイル)
#openclose(show=ゼロガーその1){視界一杯に広がる青空
(ここは何処だ?)
それは自分に何が起きたのか確かめるため冷静に記憶を遡る
(我はいつものように双葉のコークスクリュードロップキックを受けて吹っ飛んだ
その時光り輝く鏡のような物が現れて…)
そこまで思い出したところでよく通る少女の声に注意を向ける
頭髪の淋しい中年男性に向かって「何かの間違い」とか「やり直させて」とか言っているピンクの髪の少女
「取り込み中失礼する、少々尋ねたいことがあるのだが…」
「な、何よアンタ!?!」
跳び上がって驚いたあと露骨に警戒の表情を浮かべる少女
まあ無理もあるまい
さっきまで草原に転がっていた石像がいきなり自分の傍に瞬間移動したうえ口をきいたのだ
「人にものを尋ねるときは自分から」と言いたいところだがここは相手の警戒を解くのが先だと判断する
「我の名はガーゴイル、吉永家の門番なり」
}
#openclose(show=ゼロガーその2){
「二度あることは三度あると言いますが…」
「本当にお主までやって来るとはな」
「ルルル」
なんやかんやでほぼ原作通りの展開を省略し(ry
皆が寝静まった夜の宿舎の屋上でガーゴイルは「仲間達」と情報の交換をしていた
一番最初にキュルケに召喚されたのがケルプ
二番手がギーシュに召喚されたオシリス
デュラハンはタバサに召喚され
最後がガーゴイルという訳である
「それにしても我々四人(?)が揃って異世界に召喚されるとはどんな偶然が作用したのか…」
「理由なら色々考えられるぞ、原作が同じ出版社から出てるとかアニメの脚本家が同じとか」
「ルルル、メタナ発言禁止」
「さしあたって今後の行動の方針だが…」
「それは今更ですな」
彼ら錬金術によって生み出された人工生命の使命は等しく「人の幸せを守ること」である
異世界であろうと使い魔の身であろうとやる事が変わる訳ではない
元の世界に返る方法が見つかるまではこちらの世界で出来ることをやろう
そう決意する四人(?)であった
}
#openclose(show=ゼロガーその3){
「何だ何だ!?」
「ギーシュが“自分の使い魔”と決闘だってよ!!」
もうすっかりお馴染みとなった恒例のイベント
今回ギーシュの相手を務めるのはギーシュ自身が召喚したオシリスである
事の起こりは昼休み
自室で明らかに複数の女性向けとわかる香水を用意していたギーシュを見て「二股イクナイ」
と諭すオシリスに「主人に説教するとは何事か!?!」とギーシュが逆切れ
オシリスも売られた喧嘩を断るような性格ではなく気が付いたらヴェストリの広場でギーシュと対峙していた
自分の使い魔と決闘したところで勝っても負けても恥をかくのはギーシュなのだが
興奮したギーシュは生意気な使い魔を力で屈服させることしか頭に無い
(自分は阿呆な主人に当るのが宿命(さだめ)なのだろうか?)
“るーるるー”と竹本泉調で心の中で涙するオシリスに向かってすっかりヤラレメカ(?)
が定着したワルキューレが迫る
さっさと片付けようと青銅のゴーレムに向かって伸ばされた触手を
ザシュッ!!
ワルキューレの剣が断ち切った
}
#openclose(show=ゼロガーその4){
「いやいやあっさり片付くかと思いましたが…」
「なかなかやるではないか」
「ルルル」
ガーゴイル、ケルプ、デュラハンその他大勢が見物する中
ギーシュとオシリスの対決は白熱した一進一退を繰り返す見応えのあるものになっていた
オシリスが繰り出す触手の連撃をワルキューレの剣が受け流し、撥ね退け、切り落とす
だが斬られた端から瞬時に再生する触手に阻まれオシリスに近づくことが出来ない
真剣な顔で杖を構えゴーレムのコントロールに集中するギーシュの姿を見て好戦的な笑みを浮かべるオシリス
自分の主人が只の阿呆ではなくそれなりの実力の持ち主であることが判ったのはオシリスにとっても嬉しい誤算であった
魔力の有無は持って生まれた資質だが効率よく使いこなすために必要なのはあくまで本人の修練である
そして軍人の家系に生まれ肉体的にも精神的にもタフな家庭環境で育ったギーシュはアレな性格は別にして
ことゴーレムの操縦にかけてはすでに達人級の腕前に達していた
休み無く攻め立てる二本の触手を巧みに捌きながらじりじりと距離を詰めるワルキューレを突き放そうと束ねた触手で大振りの一撃を繰り出すオシリス
ワルキューレは破城槌に等しい一撃を跳躍して躱すと同時に剣を奔らせる
ガッ!!
咄嗟に上体を反らせたオシリスを掠めた剣先は胸元を覆っていた装甲を剥がし
Fカップはあろうかというオシリスの生乳が大勢のギャラリーの前に“ブルン”と晒される
}
#openclose(show=ゼロガーその5){
その瞬間広場は水を打ったような静けさに包まれた
人々は片言も発する事無く
両手で胸を隠して蹲り
目に涙を浮かべてプルプルと震えるオシリスを凝視している
「ぶっ…ぶっ……」
「いかん!」
「無礼者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
オシリスがキレた
オシリスの周囲の地面が地雷が爆発したかのように弾け
鎌首をもたげた触手の群れが全方位に向かって光線を乱射する
「ぶるぅぅぅぅああああああああああっ!!」
最大出力で障壁を張り巡らしギャラリーへの被害を防ぐガーゴイル
上空に舞い上がったケルプとデュラハンがオシリスに向かって光弾を放つ
轟音とともにオシリスの上半身が吹っ飛んだ
「落ち着きましたか?」
「ふう、妾としたことがつい我を忘れてしもうた…」
ビデオの早送りのようにあっという間に生え変わったオシリスの上半身が
何事もなかったかのように言う
無限の再生能力を持つオシリスにとっては大樹の葉の一枚が落ちたほどのことでもない
「ところでギーシュはどうなったのじゃ?」
「あの状態のまま放置しておけば速やかに窒息死するであろう」
自らの鼻血で作った血溜りにうつ伏せに倒れていた
}
#openclose(show=ゼロガーその6){
「知らない天井だ…」
「何を言うておる、お主の部屋じゃろうが」
ギーシュは自分の部屋のベッドの上で意識を取り戻した
「ずっとついててくれたのか?」
「一応お主の使い魔じゃからな」
露骨にイヤそうな顔をするオシリス
「済まなかった」
上体を起こしたギーシュは頭を下げた
「今度の事で僕は自分の未熟さを思い知ったよ」
普段のおちゃらけた態度を払拭したギーシュはオシリスでさえ思わず見惚れるほどいい男だった
「僕は一から自分を鍛えなおすことにしたよ、是非君にも協力してもらいたい」
ベッドから降り立ち強い意志の力を感じさせる瞳でオシリスを見つめるギーシュ
「う、うむ。わ、妾に出来ることなら…」
オシリスはめがっさ動揺している
「自分の使い魔の胸を直視したくらいで鼻血を噴いているようでは『全ての女性を幸福にする』
という僕の理想には届かない」
「おい…」
「まずは身近な弱点を克服することから始めよう」
「ちょっと待て!」
ギーシュは大真面目な表情でオシリスの両肩に手を置いた
「さあ、君のその胸でおもいきり“パフパフ”を…」
「この痴れ者があーっ!!!」
怒りの触手がギーシュを締め上げる
砲丸投げの要領で振り回し充分に遠心力が乗ったところで窓に向かって投擲
ガラスの破片を振り撒いて空中に飛び出したギーシュは曲射弾道を描いて校舎を飛び越え
学院裏手の土手に頭から着弾する
飛距離:97.34メイル
室伏広治もびっくりだ
}
#openclose(show=ゼロガーその7){
「次に『あの作品のキャラがルイズに召喚されました』スレにおけるフーケの死亡率が非常に高いことから木村亜希子ファンクラブは
スレ主に対して『フーケ保護条例』の制定を求める意見書を…」
時々ナゾな電波を拾うモバイルフォンのニュース放送を止めたオシリスは黙々とトレーニングを続けるギーシュを見て目を細めた
「なかなか頑張っているではないか」
「阿呆は阿呆なりに期するものがあるのであろうよ」
いつの間にか隣りに現れたガーゴイルにまんざらでもなさそうに答える
実際その日は虚無の曜日だというのに陽が昇る前に起床したギーシュは「魔術の鍛錬は精神力の鍛錬、精神を鍛えるには肉体を鍛えるのが一番」
とどこぞのサイコダイバーのようなセリフを吐いて石を詰めたザックを背負ってロードワークをこなし今は腕立て伏せと腹筋とスクワットを
短い休憩を挟みながら何セットも繰り返している
「むっ」突然緊迫した声を出すガーゴイル
「どうしたのじゃ?」
「どうやらルイズが目覚めるようだ、我が控えておらぬとまた機嫌を損ねる」
「お主がおらぬほうが色々な意味で平和だと思うが?」
ガーゴイルの正論ではあるがいちいちルイズのコンプレックスを逆撫でする「助言」にブチ切れたルイズが
ところかまわず失敗魔法を炸裂させる一連の流れはすでに日常のひとコマになりつつある
ガーゴイルがアドバイスを控えれば大半の被害は回避可能なのだが超合金の意志を持つ門番型自動石像がそんな「弱い考え」をよしとするはずもなく
「だが断る」と言い捨ててルイズのもとへと転移する
「難儀な奴よのう」
そう呟いたオシリスが別な意味で難儀な性格の自分の主人に目を移すとなにやらギーシュは中国拳法とモダンバレエを
ミックスしドイツ表現主義で味付けしたような奇怪な動きで全身をクネクネさせている
セクシーコマンドー?
アバンギャルドな演舞を続けるギーシュを一人残して森に分け入るオシリス
学院を見下ろす丘のうえにやって来ると周囲に人気が無いことを確認しやおらギーシュの動きを真似てリズムをとり始める
「む、これはなかなか…」けっこう楽しいらしく次第にヒートアップしていくオシリス
緑の髪が宙を舞い釣鐘型に張り出した見事なバストがたっぷんたっぷんと(ry
「誰じゃ!」ダンスに熱中していたオシリスが背後で急速に高まった魔力の気配に気付いたときには遅かった
フラッシュライトに似た青白い閃光が収まったあとには氷の彫像と化したオシリスが朝日を浴びて宝石のように輝いていた
}
#openclose(show=ゼロガーその8){
「そういえばギーシュは何処行ったのかしら?」
その日は学園祭の初日でありスペシャルゲストのアンリエッタ王女を迎えるため生徒職員一同が正装で校庭に集まっている
「おそらくはまだオシリスを捜しているのだろう」
「オシリスってあのいけ好かない植物女?」
雑草のくせに何よあの胸はと険のある表情でブツブツと呟くルイズ、大変分かりやすい
「で、そのオシリスが遂にギーシュに愛想尽かして出ていったって訳?」
「いや、それは無いな。あ奴は口では色々言っているが内心ではギーシュを仕えるに値する人物と認めている」
「じゃあ何でいなくなったのよ?」
「不明だ、我やケルプ、デュラハンらも時間の許す限り探索を続けているのだが…」
「ふーん、それにしてもあのギーシュが王女様にお目にかかる機会をふいにして使い魔探しを優先させるなんてねぇ」
「ルイズは我が消えたらどうする?」
「当然、アンタみたいに口の減らない犬っころはお払い箱よ!」
「うむ、了解した。感謝する」
「はあ?何言ってんのよ?」
「ケルプに聞いたのだがツンデレの本心は常に言葉とは真逆のところにあるそうだ、つまりルイズの本心は…」
「うるさい!うるさい!!うるさい!!!」
杖を振り上げ呪文を詠唱しようとするルイズの口に赤土が張り付いた
「ミス・ヴァリエール、王女様のお出ましですよ」
おお、ミス・シュヴルーズがルイズに一矢を報いた
全校生徒と教職員が整列して待ち構える正門の彼方から
パパラパーパララ!
高らかに鳴り響くトランペット
「む…」
ズンズンダン!ズンズンズダンダン!
周囲を圧するスネアドラムの重低音
「まさか……」
脂汗を流すガーゴイルの視線の先に光り輝く黄金のキャデラックのオープンカーが姿を現す
後部座席には金色のスーツを着たリーゼントに囲まれ引き攣った笑顔を浮かべたアンリエッタ王女がいた
}
#openclose(show=ゼロガーその9){
学園祭は盛況のうちに二日目を迎えていた
ガーゴイルとケルプの光線芸合戦がエスカレートして殺人光線の撃ち合いになったり
模擬店のメイド喫茶で売り上げNo.1に輝いたタバサに大差をつけられて二位に甘んじたキュルケが「このロリコンどもめ!」
とブチ切れたりしたがおおむね世界は平和だった
ある一箇所を除いて
学院の敷地内でもあまり人気の無い裏庭の一角にある桜の古木
その下で告白したカップルは必ず結ばれるという所謂【伝説の桜の木】の下でミス・ロングヴィルはマリコルヌに言い寄られていた
(勘弁してよ…)
テンパった表情で生まれる前から好きでしたなどと喚き続けているマリコルヌを見ていると思わずシャイニングウイザード
をブチ込みたくなってくる
意志の力を総動員して営業スマイルを浮かべるとロングヴィルは内心の怒りを押し殺し可能な限り穏やかな声で語りかけた
「気持ちは嬉しいけどマルコメ君…」
「マルコメ言うなーっ!」
ジャンプ一番セミの脱皮のごとく空中で脱衣しハート柄のブリーフ一丁でミス・ロングヴィルに踊りかかるマルコメ
「ぬう、あれはまさしく伝説の奥義“ルパンダイヴ”!」
「知っておるのか雷d(ry
「ラアラアラアッ!キャオッ!!」
榎調査隊を襲う山岳民族のような奇声をあげて飛び込んでくるマルコメを流水の足捌きで躱しつつひょいと両手を添える
運動エネルギーのベクトルを操作され風車のように回転して頭から大地に叩きつけられるマルコメ
強過ぎるぞ達人っ!!
「ちょっとやり過ぎたかしら…」
地面に大の字に横たわりピクリともしないマルコメを抱きかかえるロングヴィル
突然地面が盛り上がり大蛇のようにうねる桜の根が二人を空中へ跳ね上げる
咄嗟にフライの呪文を唱えて距離を取ったロングヴィルが見守るなか伝説の桜の木はビキビキと異音を発しながら恐るべき速度で成長していく
校舎一つを丸ごと覆いつくせるサイズに枝を伸ばした満開の桜の花の中から全身を桜色に染めた巨大オシリスがむくりと身を起こした
}
#openclose(show=ゼロガーその10){
「こりゃまた随分とグレイトなイベントだな、でもチェリーボーイにゃちょいと刺激が強すぎるぜ」
校舎よりもなお高くそびえ立つ巨大オシリスを見てちょっぴり頬を染めながら言い放つゴールデンボーイズのリーダー
意図的なものなのかそれとも偶然か腰から下が桜の木と融合したオシリスは胸元から下腹部にかけてを覆う樹皮状の
生体装甲が欠落した状態-つまり【全裸】-だった
腰を抜かしたりハアハアしたり黒ミサを始めたりと色々カオスなギャラリーを尻目に美しい裸身を晒したオシリスが
谷間に大の大人を楽々挟めるんじゃないかという超乳を揺らし蛸が陸上を移動するように地面から引き抜いた根を
のたくらせて前進を開始すると巨大オシリスの前に整列し拳を打ち振って「おっぱい!おっぱい!」を連呼していた
一団が巨根(笑)に薙ぎ払われて宙を舞う
最前列にオールド・オスマンがいたようだがきっと気のせいだ
「ここは僕の出番だな…」
阿鼻叫喚の大混乱の中ひとりの男が立ち上がる
その名はギーシュ
「ふんっ!」
マントに服に靴まで脱ぎ捨てブーメランパンツ一丁になったギーシュは一斉に注がれるイタい視線をものともせずに
ボディービルダーのごとくマッスル・ポーズを決めていく
そして充分に気を練り魔力を高めたギーシュは鍵となる呪文を叫ぶ
「あるてぃめっと・むーっ!」
叫ぶ
「むーーっ!!」
叫ぶ
「むーーーっ!!!」
ドキュラキュラキュラキュバババババババッ!!
一瞬にして青銅に変えられたギーシュの足元の地面が渦を巻き天に向かって伸びてゆく
巨大オシリスに匹敵するサイズのそれは次第に形を整えていきパンツ一丁のマッチョ(略してパンチョ)な戦士の姿を取る
古代ギリシャ風の兜を被り右手に剣を持ったその姿はまさしくコロムビア映画「アルゴ探検隊の大冒険」(1963)に
登場した青銅の巨人タロス
}
#openclose(show=ゼロガーその11){
「オシリィィィィィィスッ!何て嬉しい…いや、破廉恥な格好をしているんだ!
これはもう月に代わってお仕置きだな!」
全裸の巨大植物美女と対峙するパンチョな青銅の巨人
相当にカオスな状況下自信満々のギーシュはタロスを前進させようとして…
「むう、何も見えん…」
ズコーッ!!とコケる一同
説明しよう!ギーシュが錬金したタロスは術者が内部から操る方式なのだが
お馬鹿なギーシュは覗き穴を作り忘れていたのだ(ナレーション:富山敬)
棒立ちのタロスにオシリスの触手が伸びる
触手がタロスの左足の踵に付いていた栓を抜くとピンク色の液体が流れ出し
全身がひび割れてあっさり崩壊するタロス
「弱点も映画と同じですか…」
週末は「ジャックと悪魔の国」や「原始怪獣ドラゴドン」といった懐かしの
B級モンスター映画のDVD鑑賞が隠れた趣味のミスタ・コルベールだった
「しょうがないわねー…」
真打ち登場
ミス・ロングヴィルのゴーレムが巨大オシリスの前に立ちはだかる
ちなみにミス・ロングヴィルが某キ■キ■踊りのコスチューム姿なのは只のサービスだ
「我らも行くぞ」
「心得ました」
ガーゴイルとケルプも牽制の光線を放つが
巨大化して防御力もUPしたオシリスには効果が薄い
オシリスもビオランテのように牙の並んだ口のある根の先端からピンク色の光線を放ち
四つ巴の戦いは尚も混迷の度合いを深めていく
そして学院中の目が怪獣大決戦に集まっている間に
「な…んで……?」
信じられないといった表情でデュラハンに担がれたルイズと
自分の鳩尾にめり込んだ杖を交互に見るキュルケ
床に転がったキュルケが意識を失う前に見たものは全てを拒絶したタバサの背中だった
}
#openclose(show=ゼロガーその12){
トリステイン王国領空内奥深くに密かに侵入したガリア王国空中戦艦アドミラル・グラーフ・シュペーはCAP
(戦闘空中哨戒)のための竜騎士を四方に飛ばしつつ発達した積乱雲の中に身を潜めていた
「来ました!十時の方向、本艦と同高度です」
見張りの指し示した方角に望遠鏡を向け、雲の切れ間に二人の少女を乗せた自動人形を認めた
ラングスドルフ艦長は英国の名優ピーター・カッシングによく似た風貌に微笑みを浮かべ副官のレンツ中佐に声をかけた
「流石は北花壇騎士、時間厳守だな」
それはひどく温かみに欠けた、今まさにスイッチを押そうとする死刑執行官が電気椅子に座らせた囚人に向ける類の笑みだった
左肩にタバサを乗せ、右腕に意識を失ったルイズを抱えた首無し騎士が接近すると空中戦艦の艦首と艦尾に配された
12インチ連装砲塔と船首楼と船尾楼のスポンソンから突き出した4インチ単装砲、そして露天甲板に設置された
対空用の2ポンド多連装砲が一斉に砲口を向けてくる
「そのまま行って…」
およそ感情というものを感じさせないタバサの声に促され、信号台から手旗信号を送る水平の誘導で後部デッキに着艦する
デュラハン
「ここで待ってて…」
「ルル、一人デ大丈夫カ?」
タバサの命令に応じたデュラハンの声に周りの水兵達が驚きの表情を見せる
魔法科学の発達したハルケギニアでも自律行動可能なゴーレムは充分に規格外の存在なのだ
「彼は問題ない…」
言外にデュラハンに余計な手出しはするなという含みを持たせたタバサは続いてルイズを運ぶ水兵に向かって
「丁重に扱って…」と声をかける
艦尾区画の個室に運び込まれたルイズは薬でも使われたのか昏々と眠り続けている
ベッドに仰向けに横たわったルイズの豊かに盛り上がった胸-一寸待っていただきたい、我々は知っている。
ルイズの胸が限りなく平坦に近いことを-がモゾモゾと動き出し、ブラウスの襟から鉢植えサイズのオシリスが顔を出した
}
#openclose(show=ゼロガーその13){
「では、任務の成功を祝して乾杯」
ワインを注いだグラスを右手に掲げニヤリと笑うヘルシング教授、もといラングスドルフ艦長
アドミラル・グラーフ・シュペーの艦長室でラングスドルフ艦長とタバサは差し向かいで
テーブルについていた
ちなみに艦長はタバサのように発育不良で無愛想な美少女がストライクゾーンど真ん中だった
(ナレーション:シャーク子安)
「貴官にはすみやかにトリステイン魔法学院に戻り引き続きわが方の工作員として活動してもらう」
頭の中で早速タバサを裸にし始めながら慇懃に命令を伝えるペド
「それは無理…」
タバサの返答を聞いた艦長は底冷えのする笑みを浮かべたまま片方の眉を吊り上げてみせた
「無理、とは?」
服を貫通して素肌を舐めるような変態の視線を完璧に無視して氷のような声が答える
「ルイズを攫うところを見られた…」
大仰に両手を広げ天を仰ぐモフ・ターキン、もといラングスドルフ艦長
「ほう、目撃者を生かしておいたのですか!このような不始末を本国に報告しない訳には
まいりませんなあ」
そのうえ好みの美少女を精神的にいたぶるのが大好きだった(ナレーション:シャーk(ry
ラングスドルフの言葉に唇を噛み締めるタバサ
そんなタバサの表情を見てサディスティックな快感に浸るロリコン
だがラングスドルフの至福の時間は伝令の叫びによって中断された
「艦長、至急ブリッジへ!」
発令所にあがったラングスドルフ艦長は目を疑った
アドミラル・グラーフ・シュペーの鼻先を抑える形で右舷斜め前方から接近してくる
トリステイン王国軽巡洋艦エイジャックスとエクゼター
そしてもう一隻
アルビオン王国軽巡洋艦カンバーランドが退路を断つかのようにシュペー号の艦尾方向に
回り込もうとしている
「待ち伏せです、地表ぎりぎりに滞空してこちらの探知を逃れ一気に上昇してきました」
報告する副長も緊張の色を隠せない
「どういうこと…」
タバサの問いに混乱のあまり意味不明な内容を口走る艦長
「こ、これは孔明の罠だ!」
}
ゼロガー (吉永さん家のガーゴイルからガーゴイル)
[[ゼロガー1-15]]
[[ゼロガー16-26]]
#openclose(show=ゼロガーその27){
「敢えて言おう!イザベラお姉様は人として軸がブレているのだわ!!」
「やかましい」
シルフィード(人間体)の美しい顔面にイザベラの跳び回し蹴りが決まる
「大体お前は何をしている?」
姿の見えない使い魔を探してみれば他の使い魔連中にイザベラお姉さまをよろしくなんて
言いながらキャンデー配ったりしている
「もちろん使い魔として本当は友達が欲しくてたまらないのについツンな態度を取ってし
まうシャイなお姉様のフォローを……」
「ヤ・メ・ロ」
イザベラの正中線四連蹴り炸裂
こ う か は ば つ ぐ ん だ
「お遊戯的なコトなら外でやってくんない?」
ウチは寄席じゃないんだよねーとアンニュイなポーズでのたまうのはミス・ロングヴィル
こと土くれのフーケ改めマチルダ・オブ・サウスゴータ
全然関係ないけど創元推理文庫の「マチルダ-ボクシング・カンガルーの冒険-」はお勧
めです
「厄介をかける」
生真面目に謝罪するガーゴイル
タバサママンに加えオデコときゅいきゅいまで抱え込んだルイズ様御一行は山の彼方の空
遠く幸い人の住むというサウスゴータの森のマチ姉さんの隠れ家に転がり込んでいたのだ
った
「ここなら人目に付かないしもし見つかってもボンバーの毒電波で“しおしおのぱー”だ
しね」
冗談めかした物言いのキュルケに対しかーなーりマジに怒るマチ姉さん
「人の義妹(いもうと)を勝手に某エロゲのヒロインにするんじゃないよ、あとボンバー
言うな」
ファーストコンタクトでおっぱいエルフの胸を見たタバサが「ボンバー…」と呟いて以来
ティファニアはルイズ達の間でボンバーと呼ばれていた
ちなみに「イノキボンバイエ」はもともとアリの曲だったんスよ
「大体居候のクセに遠慮なさ過ぎなんだよお前ら、便所コオロギの方がまだ慎みってモン
があるねえ」
えらい言われようである
「フン!ガリアの王女であるこのイザベラ様が“居てやってる”んだ、本来なら這い蹲っ
て靴を舐めなきゃいけないトコだけどあたしゃ心が広いから勘弁してやるよ!」
傲慢かまさずして何が王女か
「別に頼んで居てもらってるワケじゃないんだよ……」
抑えた口調だが今にも獣化しそうな勢いでコメカミをビキビキさせているおマチさん
そこに復活したシルフィード(人間体)が縋り付く
「許してなのね!此処を追い出されたら行くトコないのだわ!イザベラお姉様は新しい世
界の目覚めたお父様と絶賛仲違い中なのね!」
「何だ親子ゲンカか」
「てかオヤジに見放されたんじゃね?」
「うん、きっとそうだ」
「イザベラだしな」
「デコだし」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!」
涙目になって両手グルグル駄々っ子パンチを繰り出すオデコ
ぷすうっ
どこからともなく飛来した真紅の薔薇がイザベラの額に突き刺さる
「何者だ!」
一斉に窓の外に向けられた視線の先にはグリフォンに跨った全身白尽くめの男
「降臨、満を辞して……」
白いマントに白装束
ターバンとマスクで顔を隠し目元には純白の羽根仮面
ハイ皆さんご一緒に
怪しさ大爆発だ――――――――――――――――――ツ!!
「ルイズ――――ツ!ムーンヒーリングエスカレーションよお――――――――つ!!」
キュルケが叫ぶ
「出来ないわよそんなの!つかワルド様は妖魔じゃない!!」
ルイズも叫ぶ
「そう、アレは変態……」
タバサのテンションは変わらない
一方変態(ワルド)は
「な、何を言っているのかね?君達にこの完璧な変装が見破れるハズが……」
もう何と言っていいやら
「努力は認めるが服装だけでなく乗物にも注意を払うべきであったな」
ガーゴイルが指摘する
確かに額に三日月形の刀傷、左目に日本刀の鍔の形をした眼帯を付け馬鹿長い楊枝を咥え
てニヒルな笑みを浮かべたグリフォンなどハルケギニア広しといえど二頭といまい
「まあソレはこっちに置いといて……」
などと言いつつ16インチテレビ大の箱を横にどけるパントマイムを披露するワルド
腕の運びといい重心の移動といいプロを唸らせる動きだ
「時間が無いので手短に、此処は危ない。今すぐ……」
ちゅどぉぉぉぉぉぉぉん!
突然の爆発で吹っ飛ぶワルド
潅木を押し倒し姿を現したのは「バンド・オブ・ブラザース」でシャーマン戦車を演じた
カナダ製のグリズリー巡航戦車だった
「原作にタイガー戦車が登場したのをいいことにやりたい放題ですな」
さらりとメタな台詞を吐くケルプ
「とにかくずらかるよ」
流石おマチさんは対応が早い
「ところでボンバーとオシリスは?」
「ふぅっ…うあっ…ひぃっ…」
暗い室内でオシリスの触手に絡め取られ上半身を露わにされたティファニアがやはり上半
身の装甲を脱ぎ捨てたオシリスに抱きしめられている
互いに向かい合い乳房を押し付けあう形で密着したオシリスが淫靡な動きで体を揺すり
たっぷりとしたボリュウムをもつ白と緑の四つの肉球がムニムニと音を立てて形を変える
度に甘い痺れが乳房だけでなく背筋から全身に広がり堪らず声を喘がせてしまう
『どうじゃ、これこそ貧乳では味わえぬ“正しい資質(ライトスタッフ)”を持つもののみ
が辿り着ける境地、この快感の前では人より胸が大きいという悩みなど取るに足らぬであ
ろう?』
「ひぁあ…こ、こんなの…初めて……」
切なさと気持ちよさで息を荒げ目覚めつつある新たな感覚への恐怖に歪むティファニアの
表情を楽しみながら妖艶に笑うオシリス
おっぱいエルフとおっぱい植物は迫り来る危機を綺麗さっぱりスルーして首相撲ならぬ
“胸相撲”に興じていた
}
#openclose(show=ゼロガーその28){
寄り添う二つの月の下
鬱蒼と茂る森の中を松明のように燃えるシャーマン戦車に照らされて影絵達が
死の舞踏を踊る
「むう、こやつ等戦い慣れている」
魔法学院でただの喋る石像、変り種のガーゴイルと侮りちょっかいを出してきた
貴族の子弟達を軽く一蹴してきたガーゴイルだったが
流石に内戦で鍛えられた職業軍人のメイジは一味も二味も違った
「こいつらSASだよ!」
地面を盛り上げて造った堡塁にタバサママンとイザベラとシルフィードを退避させ
錬金で作り出した鉛の散弾を跳ばしながらマチルダが叫ぶ
スペシャル・エア・サービス(空軍特務隊)
それは紳士の国アルビオンを影から支える不正規戦部隊
全裸にソックスのみで冬山サバイバルをこなし
味方の砲弾が降り注ぐなかバグパイプに合わせてシリーウォークで行軍する
さらに一秒間に十回レイプ発言など
常軌を逸した妄訓練によって鍛え上げられた彼らは同じ空軍兵士からさえ
(色々な意味で)「人間じゃない」と評される殺人マシンであり
卑怯上等闇討ち最高というそのダーティーな戦い振りはエルフさえ恐れおののくと
言われている
彼らはこれまでガーゴイル達が打倒してきたメイジ達とは違い
相手の目の前で仁王立ちし
杖を振りかざして朗々と呪文を唱えるような間抜けではなかった
足音を忍ばせ気配を殺し
魔法を放つ瞬間まで位置を掴ませない
そして一つの標的に対して常に複数でティームを組み
巧みな連携でガーゴイル達をバラバラに分断し各個撃破を狙っていた
「不味いぞこれは…」
ガーゴイルとて完全無欠ではない
周囲で展開される大規模な魔法戦は彼の感覚器官に干渉し
チャフを撒かれたレーダースクリーンのように無数のノイズを発生させている
すでにガーゴイルはパーティーの何人かの現在位置をロストしており
その中の一人はこういう時こそ真っ先に保護しなくてはならないティファニアだった
火の玉や氷の矢に加え光線やミサイルが飛び交う森の中で仲間とはぐれた
ティファニアはひたすら身を縮め隠れ場所を捜して彷徨っていた
「見つけたぞ害虫」
闇の中から煌く金髪とハッとするような美貌の青年が現れる
ウエールズ皇太子だった
「お従兄(にい)さま…?」
思わず呟いたティファニアへの返事は杖から生み出された空気の鉄拳だった
「黙れ悪魔め」
仰向けに倒れ激痛に巨大な胸を波打たせて喘ぐティファニアに注がれる視線は
果てしなく冷たい
「お前は邪悪な存在だ、異種族の混血というのはすべての害悪の根源であり
われわれの文明におけるすべての災厄は混じってはならないものが混じることによって
もたらされる。ゆえにお前の存在を許すわけにはいかないのだ」
ティファニアは足元の地面が波間に浮かぶ薄皮一枚となって漂い出すような
そんな非現実感に襲われていた
この英雄譚の絵本から抜け出してきた白馬の王子のような好青年は
何故こんな凛とした表情でこんな非情なことを平然と口に出来るのだろう
それはウエールズが自分は真に善良な人間であり
自分の行いは正義の執行であると心から信じているからだった
『手前勝手な理屈をほざくな若造』
ティファニアを庇うように地面が盛り上がり全身緑色の女性が現れる
「下がれ下郎、卑しき魔物の分際でこのウエールズ・テューダーの前に立ちはだかるなど
不敬であるぞ!」
傲岸不遜に言い放つ皇太子に無言で触手を向けるオシリスだったが
『小賢しいわ!』
振り返ると同時に背後に伸びた触手が死角から魔法を放とうとしていたメイジをなぎ倒す
森で戦う限りオシリスを奇襲することは出来ない
全ての木々や草花がオシリスの目となり耳となるのだ
だがその間にウエールズは右手の握りこぶしを突き出し呪文を唱え終えていた
人差し指に嵌った年代物の指輪が妖しく輝くとオシリスの全身から力が抜けていく
『貴様…何をした……?』
よろめきながらも皇太子に触手を向けるオシリス
「さすがは異界の魔物、この“アンドバリの指輪”の力をもってしても
完全に支配することはかなわぬか」
何故かウエールズの指に嵌っているアンドバリの指輪
それは死者に偽りの命を吹き込むことすら出来る強力なマジックアイテム
そして錬金術によって強化されているとはいえ植物をベースとしているオシリスは
無機物から生み出されたガーゴイルやケルプ、自動人形のデュラハンに比べ
生命操作系の魔法の影響を受けやすかった
『舐めるなあ!』
渾身の力を振り絞り光線を放とうとしたオシリスの体が爆発する
見通しの利かない夜の森で敵味方入り乱れて戦うなか闇雲に放たれたルイズの失敗魔法が
直撃したのだ
『う…ぁ……』
全身を焼け爛れさせ地に伏したオシリスと半狂乱になって泣き叫ぶティファニアを
拘束したウエールズと手下達は上空で待機していた風竜を呼び寄せ素早く撤収していった
ウエールズはサディストだがシリアルキラーではない
ただ彼なりに公正無私ではあるものの
規律を乱すもの、不正を働くもの、そして何より王家の名誉を汚すものには
一片の慈悲も持たなかった
七歳で使用人に鞭を振るうことを憶えてから十余年
あらゆる機会を捉えては鞭を振るい続けてきた彼はアルビオンでも三本の指に入る
鞭打ちの名手だった
彼は男を、女を、老人を、子供を、平民を、貴族を鞭打ってきた
手首の返しひとつ、指先の握りひとつで骨を砕くも肉を切り裂くも思うがまま
相手が人間だろうが亜人だろうが大した問題ではなかった
皇太子にとって拷問部屋は自分が修練を積んできた技術を披露するステージであり
相手がタフであるほど彼の独演会の時間が増えるというわけだ
「あの汚らわしいハーフエルフの娘は生かしておくわけにはいかないが
お前を始末してしまうのは色々と勿体無い」
鎖で天井から吊り下げられ無言で拷問者を睨みつけるオシリスに
粘液質な視線を浴びせながらウエールズは言った
体を覆う装甲を剥ぎ取られ艶めかしい裸身を晒すオシリスのつややかな緑の肌に
先刻の戦闘の傷跡は僅かな痕跡を残すのみとなっている
アンドバリの指輪の魔力によって攻撃手段を封じられたオシリスだったが
再生能力だけはかろうじて機能していた
「私の配下になる気はないか?」
返事はウエールズの顔に吐きかけられた唾だった
「そうか!」
皇太子が鞭を一振りすると銃撃のような轟音が室内に響く
先端の速度が音速を超えたことによる衝撃音を伴いオシリスのなめらかな腹に鞭が
打ち付けられた
一撃で皮膚が裂け虹色の体液が飛び散る
激しく身悶えしながらも固く口を結んで悲鳴を押し殺すオシリス
「ひどく痛むか、うん?もっとひどくなるぞ。これに立ち向かえる者はいない。
どんな屈強な兵士も最後は涙と小便を垂れ流して『ひと思いに殺してくれ』と頼む。
分かるか?誰もが私の鞭に屈服しないわけにはいかない。無駄な抵抗というものだ」
ウエールズは再び鞭を振り熟練の技でオシリスの豊かな胸の先端の敏感な部分を
二つ同時に打ち据える
オシリスはもう沈黙を守ってはいられなかった
【続く】
}
#openclose(show=ゼロガーその29){瓦礫の山と化したニューカッスル城のそこかしこから立ち上る白煙やら黒煙やらが
清々しい早朝のひとときを台無しにしていた
「どう?」
「駄目だ、どこにも見つからぬ」
ルイズの問いに憮然とした口調で答えるガーゴイル
「そっちは?」
「ルルル、イナイ」
「右に同じでございます」
三方に分かれての捜索を終え合流してきたデュラハンとケルプの答えもはかばかしくない
「きさまぁ!“僕の”オシリスをどこにやったあ!?!」
「もうやめて、うえーるずのらいふはぜろよ」
天井から全裸で吊るされた皇太子に喉輪をかましガクガクと揺さぶるギーシュを棒読み台詞で
タバサが止める
ティファニアとオシリスを奪還すべくニューカッスル城を奇襲し
美しい白亜の城を錬金パワーと虚無魔法のコンボ
さらに義妹を攫われた怒りでクラスチェンジしたマチルダのアルティメットゴーレム(赤くてツノ付き)
による疾風怒涛の攻撃で、一晩で廃墟にしてしまったルイズと愉快な仲間達が見つけたのは
拷問部屋で回転式逆さ磔にされたうえ
“この者変質者”と書かれたカードを菊門に挿入されたウエールズだった
「それにしても…」
地下牢に監禁されていたところを救出されたティファニアが心配そうな顔をする
「オシリスさん、一体どこにいってしまったんでしょう?」
ガリア王国グラン・トロワ
『や、止めぬか…無礼者……ンッ!』
ガリア王ジョゼフⅠ世以外ごく限られた者しか立ち入ることを許されない
所謂プライベートルームに携帯電話の声が流れる
「いい香りがするなお前は、それにこの手触り…」
一国の王の私室とは思えない殺風景な部屋の中で
ガリア王ジョゼフⅠ世は鉄製の首輪を嵌められ鎖で壁に繋がれたオシリスの体を弄んでいた
『いい加減にせぬと…は…ぁ……』
緑の髪に顔を埋めたジョゼフの唇がうなじを這う感触に堪らず艶っぽい声をあげてしまうオシリス
「アルビオンの虚無の担い手を入手し損ねたのは不手際だったが-」
虚ろな視線を虚空に漂わせながら部屋の隅で地縛霊のように佇んでいた和己は
ジョゼフの言葉に反応して僅かに身動ぎする
ルイズ達がニューカッスル城に攻め寄せる数刻前、一足先に城内に忍び込んでいた和己は
ウエールズに鞭打たれあられもない悲鳴をあげてのたうつオシリスの姿を目にすると
何故か最優先目標であるティファニアではなくオシリスを連れ出していた
あるいはかつての御色町での記憶が、エルフの秘薬によって根こそぎ破壊された和己の心に
一瞬のフラッシュバックとして甦ったのかもしれない
「代わりになかなか楽しめる玩具を拾ってきたことは褒めてやってもいい」
そう言いつつジョゼフは背後からオシリスの胸に手を伸ばし
たわわに実った豊満な果実を掬い上げるように掴むと掌に収まらないボリュウムを持つ二つの膨らみを
タプタプと弾ませてたっぷりとした量感を楽しむ
『調子に乗るな下郎!』
足元から伸ばした触手をジョゼフに突きつけるオシリス
アンドバリの指輪による能力制限はジョゼフの手によって解かれている
柔軟性に富む代わり強度に欠けるオシリスの触手だが
体組織を組み替えることで竹槍程度の硬さを持たせることは可能だった
今のオシリスなら瞬き一つする間にジョゼフをバラバラに出来るだろう
「ガンダールヴ、こいつが俺に危害を加えようとしたらその駄剣で自分の首を刎ねろ」
オシリスの乳房を撫で回しプニプニと指を押し返す弾力としっとりとした肌触りを味わいながら
ジョゼフは命じる
「はい、ジョゼフ様…」
抑揚の無い声で答えるとともにデルブリンガーの刃を自らの頚動脈に押し当てる和己
『妾を甘く見るでない、吉永の子倅ごときどうなろうとかまわぬわ!』
さらに触手の数を増やすオシリス
先端を槍状に尖らせた触手の群れがジョゼフを囲む
「虚勢を張るのはよせ、お前の性質についてはシャルロットの報告書に書いてある。
『高飛車な言動とは裏腹にその心根は優しい』とな」
余裕の笑みを崩さないジョゼフが目で合図すると和己の右手に力がこもり
僅かに食い込んだデルブリンガーの刃が薄く血を滲ませる
「止めとけ亜人の娘っ子、このヒゲにブラフは通じねーって」
こんなことで使い手を失うなんて冗談じゃないとばかりにデルブリンガーが焦った声を出す
ちなみに錬金生物のオシリスもデルブリンガー的には亜人の範疇らしい
『クッ……』
怒りに顔を歪めながらも触手を引っ込めるオシリス
「やはりお前は優しいな、そして美しい。そのうえ…」
マスクメロンほどもあるオシリスの双球にあてがわれたジョゼフの両手にグッと力が込められる
「とても柔らかい」
意外に鍛えられた指先がオシリスの柔肉に食い込み
グニグニと乱暴に揉み込むと同時に千切り取るような激しさで上下左右に捏ね回す
『んくぅ…ぅン…ふぁあ!』
荒々しい中にも的確に感じる部分を攻めてくるジョゼフの指使いに
オシリスは声を抑えることが出来ない
切なげに眉を震わせ、しなやかなラインを描く柳腰を淫らにくねらせる
「クク、いい反応だ…」
ジョゼフは左手でマスクメロンほどもあるオシリスの双球を交互に揉みしだきながら
右手をオシリスの顔へと伸ばす
空手家のようなタコの出来た指がオシリスの頤を掴み、互いの息がかかるほどの距離で
視線を交錯させる一人と一輪(?)
『この…外道が!』
視線に物理的な力があればジョゼフの額を撃ち抜けるのではないかというくらいに
オシリスの眼光は鋭い
「そうだ、もっと憎め。生きながら死んでいるも同然の俺の心を揺さぶるに足るほどの
憎悪を俺に叩きつけて見せてくれ」
対するジョゼフの双眸は全ての光を吸い込む虚無の空洞だった
満たされない心の飢えを抱えた王は
ひたすら肉欲を貪ることで代償行為としているのか
それとも単なる逃避なのか
ジョゼフはオシリスの胸の谷間に顔を埋めると
乳房を責め続ける指の動きに合わせて柔軟に形を変える乳肉にむしゃぶりつき
執拗な胸への愛撫に反応してツンと勃起した鶯色の肉芽に歯を立てる
「おいおいおい野郎の次は亜人かよ、どこまでフリーダムなんだてめーは?」
心底呆れたといった調子のデルブリンガー
「フン、俺の心を震わせることが出来るなら地獄の魔物とだってまぐわってやるさ」
一瞥もくれずに言い返したジョゼフは冷たい板張りの床にオシリスを押し倒す
「さあ、お前がどこまで人間そっくりに出来ているか確かめてやろう」
ジョゼフの指がほっそりとしたオシリスのウエストをなぞり
さらに下へと下がっていく
「見るな和己…見るなぁ!」
普段の高飛車なポーズをかなぐり捨て哀願するように叫ぶオシリス
「目を逸らすなよガンダールヴ。そこで見ていろ、一部始終をな…」
【続く】
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}
#openclose(show=ゼロガーその30){
「いやー帰ってきたって気がするわねー」
久方ぶりに魔法学院の門を通るルイズ達
ルイズがガリアに誘拐されそうになったり
タバサの母親を連れ去ったり
アルビオンで城を落としたりと
思い返すとかなり無茶苦茶なことをしてきたものだが
どれも王家的に表ざたになるとマズイ話でもあり
結局よくある国家元首同士の秘密会談で手打ちが行われ何事もなかったかのように
ルイズ達の日常は戻って来た
マザリーニは28キロほど痩せたそうだが
もちろん例外はいる
「何を呑気なことを!オシリスはまだ行方知れずのままなんだぞ!」
ギーシュである
「こうしている間にも“僕のオシリス”がどんな目に合わされているか!?!」
目を血走らせ口から泡を飛ばすギーシュ
ギーシュの脳内では
叔父の秘蔵本から仕入れた知識を総動員したエロティカルな拷問シーンが
総天然色シネマスコープで上映されている
「落ち着くのだギーシュ、耳から何か汁が出ておるぞ」
見かねたガーゴイルが照射したリラックス光線を浴びてようやく落ち着きを取り戻す
出迎えのギトーに案内され学院長室に通された一同を待っていたのは
「お早う諸君」
ジョセフとオシリスと和己だった
「オ、オシリス―――――ッ!無事だったのかー!!」
オシリスの胸に飛び込み深い谷間に顔を埋めるギーシュ
すかさず先端を高速回転させた触手がギーシュの顔面をえぐる
「ウギャ―――――ッ!キン肉マ――――――――――ンッ!!」
「か、和己!何故ここに!!」
ガーゴイルも驚きを隠せない
「紹介しよう、俺の使い魔ガンダールヴだ」
やたら爽やかなジョセフの台詞に驚愕する一同
「な、なんだって――――――――――!?!」(AA略)
「まずは君達に迷惑をかけたこと心からお詫びする」
深々と頭を下げるジョセフを見て驚愕のあまり放心状態になるタバサ以下ガリア関係者
どさくさ紛れにテキファニアの胸にタッチしようとしたオスマンにマチルダの手刀が打ち込まれる
錬金で全身の骨を鞭のようにしならせたマチルダの一撃がオスマンの鎖骨を砕く
回復の魔法で瞬時に復活するオスマン
地味にハイレベルな戦いであった
「なんか話に聞いてた無能王とは随分キャラが違うと思うんだけど…」
オシリスにそっと耳打ちするキュルケ
『妾を捕えたうえ避難所行きになるような行為に及ぼうとしたのでな、隙を見て即興で調合した
毒を注入したら何がどうなったのかすっかり“いいひと”になってしまっての』
オシリスの答えもいまいち自信なさげだった
「ち、注入ってどうやったんだろうね?」
「それはやはり粘膜どうしの接触で…」
わざとらしくヒソヒソ話をするギーシュとケルプを腐食光線が襲う
ぶすぶすと燻りながら沈黙する一人と一体を尻目にすっかりリラックスして自らの波乱に満ちた
人生を講談調で話しはじめるジョセフ
「-そんな訳でシャルルを失って以来すっかり人生に絶望してな、虚無に目覚めたのを機に
エルフと原理主義者を煽って最終戦争を起こそうと画策していたのだよ」
ネットカフェに放火するニート並みの発想だがこの男、実際に世界大戦を引き起こすだけの
智謀の持ち主(戦国シュミレーションゲームにおける知力100)だから始末に負えない
「君には酷いことしちゃったね、憶えてないけどごめん」
和己はジョセフに命じられるままタバサに剣を向けたことがあるとオシリスに教えられている
ビダーシャル謹製の解毒剤を差し出し頭を下げる和己を見て面白いくらいに動揺するタバサ
よく見ると微かに頬を赤く染めていたりする
「和己よ、ガリア王に操られていた時の事は何も記憶しておらんのか?」
ガーゴイルの問いに苦笑する和己
「なんだか良く分からないけど思い出さないほうがいいような気がするんだ」
「そりゃー毎晩アナルショップ状態だった記憶なんてない方が…」
うっかり口を滑らせたデルブリンガーを和己の背負った鞘から引き抜いたオシリスは
抜き身の刀身を右手で掴む
オシリスの腕が紫色の光を放ち、イヤな臭いのする煙をあげて黒ずんでいくデルブリンガー
「やめてとめてやめてとめてやめてとめてやめてとめてやめてとめてやm…」
「ああそのくらいで勘弁してやってくれ、これでもブリミル神話に係わる伝説の魔剣なんだ一応」
オシリスから「いやあ…身体がジクジクするう……」と呻くデルブリンガーを受け取ったジョセフは
一同に向き直る
「まあ色々あったがこれからは心を入れ替えて世界平和のために尽力させてもらうつもりだ」
輝くような笑顔だった
紛うことなき綺麗なジョセフを目の当たりにして目眩を覚え
和己に凭れ掛かるタバサ
イザベラは顔から床に突っ伏し
「有り得ない、ヴィンダールヴの丹下左膳以上に有り得ない…」
と呟いている
シルフィードはひたすら肉を食べている
「世界平和とはまた大仰ですな」
場を取り繕うようなオスマンの台詞に表情を引き締めるジョセフ
「言っておくがロマリアの坊主共は本気で聖戦を始める気だぞ、俺がシャルロットにルイズ嬢の
拉致を命じたのも連中より先に虚無の使い手を抑えて交渉のカードに使うためだ。それに教会に
送り込んだ密偵の報告ではすでに連中の手先がこの学園に潜り込んでいる」
「なにをおっしゃるウサギさん、この学院にそのような者がおるはずがない!」
断言するオスマン
「学院長が夜の街でスカウトしてきた身元が不確かな女性が少なくとも36人いますが」
すかさず突っ込むギトー
「犯るんだよ、秀吉を!」と言われた前田利家のようにダラダラ汗を流すオスマン
(死んだほうがいいのでは?)
その場にいた全員-オスマンを除く-の想いだった
と、そのとき
「真打登場ーっ!」
轟音とともに天井が吹っ飛び
半球形の頭部に刻まれたスリットからギラギラと輝くピンクの単眼(モノアイ)を覗かせた
全金属製の巨大ガーゴイルが現れる
その肩に乗っているのは
「たしか下働きの…」
「シエスタじゃな」
人目見てメイドの名前を言い当てるオスマン
“オスマンは学院内の胸の大きな女性の名前は全てチェックしている”
噂は事実だったのかとオスマンの好感度を更に下げるルイズだった
そんなことはおかまいなしにガーゴイルの肩でポーズを取るシエスタはノリノリであった
「ある時はメイドのシエスタ、そしてまたある時は法王庁のスパイ。しかしてその実態は…」
変装用のラバーマスクを脱ぎ捨てると理知的な美貌と額に刻まれたルーンが露わになる
「神の知恵、ミョズニトニルン!」
遂に姿を現した第三の使い魔
その素顔を見たガーゴイル以下の被召喚組は揃って驚きの叫びをあげた
「げえっ!高原イヨ!?!」
ジャーン ジャーン ジャーン
【続く】
ttp://roofcity.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/upload/src/up0081.jpg
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