ゼロの双竜-02 - (2007/08/31 (金) 00:51:56) の編集履歴(バックアップ)
私は夢を見ていた。
夢の中の私は立派なスクウェアクラスのメイジになっており、立派な杖を構えて私の使い魔であるチョウリュウジンの肩に悠然と立っていた。
ついでにプロポーションもキュルケを軽く追い抜くほどに成長していて、まさに今の私の願望が反映された姿だった。
そして、私を乗せて佇むチョウリュジンの足下では、数多くの貴族や平民たちが私たちを見上げて口々に褒め称えている。
夢の中の私は立派なスクウェアクラスのメイジになっており、立派な杖を構えて私の使い魔であるチョウリュウジンの肩に悠然と立っていた。
ついでにプロポーションもキュルケを軽く追い抜くほどに成長していて、まさに今の私の願望が反映された姿だった。
そして、私を乗せて佇むチョウリュジンの足下では、数多くの貴族や平民たちが私たちを見上げて口々に褒め称えている。
夕日をバックに大地に立つ私たちの姿は、まさしく伝説の『勇者』のようだった。
『マスター』
だが、夢は覚めてしまうものである。
『マスター。起床時間です、マスター』
夢の中の空間に響いてくる使い魔の声を聞き、私は目を覚ました。
ゆっくりと体を起こすと、寝ぼけてよく見えない目に使い魔の姿がぼんやりと映った。
ゆっくりと体を起こすと、寝ぼけてよく見えない目に使い魔の姿がぼんやりと映った。
「………ふぇ?」
あれ、なんか昨日よりもちょっと小さくなってるような………気のせい?
もう少しよく見てみよう。
もう少しよく見てみよう。
「………じー………」
「マスター?」
「マスター?」
やっぱり何か変だわ……何が変って、とりあえず全体的に青い。私のチョウリュウジンは赤と青だったはず。
「………じぃ~………」
「いかがなさいました、マスター?」
「………じぃぃ~ッ………」
「いかがなさいました、マスター?」
「………じぃぃ~ッ………」
しばらく見続けていると、私の視界にとんでもないものが映った。
「おーい、氷竜!」
「戻ったか、炎竜。それで、どうだった?」
「……へ?」
「戻ったか、炎竜。それで、どうだった?」
「……へ?」
それは赤いゴーレムだった。目の前のチョウリュウジン(?)と同じ背格好の赤いゴーレムは、親しげにこちらに近づいてくる。
「おう。SPパック、コルベール先生が預かってくれるってよぉ!後で取りに来るって言ってたぜ!」
「ミスタ・コルベールが?わかった。こちらも、今し方マスターが目覚めたところだ」
「……ッ……!?」
「ミスタ・コルベールが?わかった。こちらも、今し方マスターが目覚めたところだ」
「……ッ……!?」
次第に目が慣れ、ようやく私は目の前の存在をはっきりと見ることができた。
「わ………わきゃぁぁぁぁぁぁああああああああああッ!!?」
「マスター何をぐわぁッ!?」
「氷竜ーッ!?」
「マスター何をぐわぁッ!?」
「氷竜ーッ!?」
咄嗟にチョウリュウジン(?)の顔を爆破しつつ慌てて部屋の隅まで飛び退く。
「何をするのですか、マスター!」
窓からは顔面に少し煤をかぶったチョウリュウジン(?)がこちらをのぞき込んでいる。
動転していた私は、ありのまま、今起こったことを叫んでいた。
動転していた私は、ありのまま、今起こったことを叫んでいた。
「チョウリュウジンが、分裂した!!!」
「「……………は?」」
「「……………は?」」
な… 何を言ってるのか わかr
ゼロの双竜
第二話 聖なる左腕
第二話 聖なる左腕
「………そういうことは、先に言ってほしかったわ」
赤いゴーレムのエンリュウと青いゴーレムのヒョウリュウが言うには、チョウリュウジンは彼らが合体した姿だという。じゃあどちらが話していたのかと聞いたら、合体中は人格が統一されていると説明された。なるほど。
その上、目の前で変形したのにも驚かされた。変形した後の姿は、ヒョウリュウたちが言うには………くれーんしゃと、はしごしゃ。見たことも聞いたこともないものだったから何だかわからなかったけど、ようは鉄の馬車みたい。
その上、目の前で変形したのにも驚かされた。変形した後の姿は、ヒョウリュウたちが言うには………くれーんしゃと、はしごしゃ。見たことも聞いたこともないものだったから何だかわからなかったけど、ようは鉄の馬車みたい。
「ちょうどいいわ。今日は虚無の曜日だし」
「虚無の曜日?」
「そ。虚無の曜日だから授業はないの。街に行く用事を思い出したから、連れて行ってちょうだい」
「虚無の曜日?」
「そ。虚無の曜日だから授業はないの。街に行く用事を思い出したから、連れて行ってちょうだい」
馬を借りていく予定だったけど、馬車になれるんだからこっちに乗っていった方がいいわ。どうせ召還した使い魔も連れて行くつもりだったし、一石二鳥ってやつね。
「了解しました、マスター」
「けど、マスター。僕と氷竜のどちらに乗って行くんだ?」
「そうね……」
「けど、マスター。僕と氷竜のどちらに乗って行くんだ?」
「そうね……」
二人はすぐに了承してくれた。だけど彼らは二人、私は一人。どちらに乗っていくか、という問題があった。
どちらを選ぶか悩んでいると、脳裏にカクカク動く何だかよくわからない人型が浮かんだ。
どちらを選ぶか悩んでいると、脳裏にカクカク動く何だかよくわからない人型が浮かんだ。
『せっかくだから、俺はこの赤の扉を選ぶぜ!』
「せっかくだから、私はこの赤い方を選ぶわ!」
「せっかくだから、私はこの赤い方を選ぶわ!」
思わず叫んでしまった。何だったんだろう今の電波。
ぶんぶんと左右に頭を振って、頭の中でグルングルン腕を回してる変な人型を追い出そうとする。
ぶんぶんと左右に頭を振って、頭の中でグルングルン腕を回してる変な人型を追い出そうとする。
『上から来るぞ!気をつけろ!』
うるさい何も来てない。
「えっと、どうしたマスター?」
「何でもないわ。ほら、早く乗せなさいよエンリュウ。それと昨日言い忘れてたけど、私のことはマスターじゃなくてルイズで良いわ」
「「了解!」」
「何でもないわ。ほら、早く乗せなさいよエンリュウ。それと昨日言い忘れてたけど、私のことはマスターじゃなくてルイズで良いわ」
「「了解!」」
そういって誤魔化しながらエンリュウに走り寄ると、エンリュウの装甲の一部が開いて中に椅子があるのが見えた。これが座席なのだろうか。
私が乗り込んだのと同時に入り口が閉じ、周りのガラスに外の景色が映し出されてゆく。
私が乗り込んだのと同時に入り口が閉じ、周りのガラスに外の景色が映し出されてゆく。
「うわぁ……これ、どうなってるの?」
『これはモニターって言って、僕が見ているものが映し出されるんだ』
「へー…………確か魔法じゃないのよね、これ………」
『これはモニターって言って、僕が見ているものが映し出されるんだ』
「へー…………確か魔法じゃないのよね、これ………」
正直信じられないけど……でも仮に魔法だとしても何の系統か全くわからない。それに、どういう用途に使うのか全くわからない装置がたくさんある。
私が悩んでいると、エンリュウの言う『もにたー』というものに映っている景色が流れ始めた。二人が発進したらしい。
私が悩んでいると、エンリュウの言う『もにたー』というものに映っている景色が流れ始めた。二人が発進したらしい。
『さあ、出発するぜ!』
『ではルイズ、道案内をお願いします』
「わかったわ。とりあえず正門を出てちょうだい」
『ではルイズ、道案内をお願いします』
「わかったわ。とりあえず正門を出てちょうだい」
ともかく、そんな具合に私たちは街へ向けて出発した。
『ファイャ!』
まだいたのか。
「(そう言えば、二人はここに来る前どんな生活してたのかしら……)」
揺れ動く車体の中、ふと彼らの存在について疑問を持った。彼らは、ここに来る前はいったい何をしていたのか。そして、何のために作られたのか。
私は彼らに聞こうとした。
私は彼らに聞こうとした。
『ルイズ、街に着いたぜ』
「え……あ、そうね」
「え……あ、そうね」
でも、その前に町に着いてしまった。仕方ないから、帰りの道中で聞くことにする。
エンリュウの中から外に出ると、私のおなかが小さく鳴った。
その時、私はようやく自分が朝食を取り忘れたことに気づいたのだった。
エンリュウの中から外に出ると、私のおなかが小さく鳴った。
その時、私はようやく自分が朝食を取り忘れたことに気づいたのだった。
トリステイン王国が王都、トリスタニア。
その入り口の前で、炎竜から降りたルイズに少し困った事態が降りかかった。
その入り口の前で、炎竜から降りたルイズに少し困った事態が降りかかった。
「私はこれから買い物に行ってくるけど……」
ルイズはビークルモード状態で停車している二人と街の入り口を交互に見比べて、ため息をつく。
「どう考えてもあなた達は入れないわね………一人で行ってくるわね」
「申し訳ありません、ルイズ」
「大きさはどうにもならないな……すまない」
「申し訳ありません、ルイズ」
「大きさはどうにもならないな……すまない」
そう、でかいのだ。
彼らのサイズが巨大すぎて街に入れないのである。
彼らのサイズが巨大すぎて街に入れないのである。
「大丈夫よ。じゃ、待っててね『くぅぅぅぅ』まずは食事ね………」
空腹を訴える腹を押さえつつ、ルイズは一人で街へ入っていった。
ルイズが町に入ってしばらくした頃、並んで主人の帰りを待ちながら、氷竜と炎竜は談話していた。
「しかし、ちょっと楽しみにしてたんだがなぁ、街」
王都トリスタニアの道の幅は最も広いとされるブルドンネ街で5メイル、彼らの幅もこの世界の単位に換算して5メイル。
幅がぎりぎりな上に長さに至っては18・5メイルにもなる車体が二台も突入したら平和な町並みが間違いなく阿鼻叫喚の巷と化してしまう。
変形してロボットモードとなれば足幅は半分の2・5メイルになるが、だからといって休日故に多くの人で賑わう街中を全長20・5メイルの巨人が歩き回ったりなどしようものならもう地獄絵図になってしまうだろう。
幅がぎりぎりな上に長さに至っては18・5メイルにもなる車体が二台も突入したら平和な町並みが間違いなく阿鼻叫喚の巷と化してしまう。
変形してロボットモードとなれば足幅は半分の2・5メイルになるが、だからといって休日故に多くの人で賑わう街中を全長20・5メイルの巨人が歩き回ったりなどしようものならもう地獄絵図になってしまうだろう。
「だが、入れないものは仕方ないだろう。そう腐るな炎竜………む?誰か来たか」
氷竜がそう言うと同時に、二人は会話を中断した。無用な騒ぎを引き起こさないためである。
と、街の入り口から息を切らしつつ剣を背負った一人の男が走り出てきた。男は周りを見渡すと、停車している氷竜たちの後ろに回った。
男の手にはなぜかルイズの財布が握られている。
なにやらざまあみろ貴族めなどと呟いているので、二人は男を『スリ』だと断定した。
日頃、頻繁に意見の食い違う彼らだが、こういう局面で見事に意見が一致するのもまた、彼らの特徴なのである。
そして、スリだと断定したこの男に対しこれから起こす行動も、彼らはまるで申し合わせたかのように全く同じ考えなのであった
と、街の入り口から息を切らしつつ剣を背負った一人の男が走り出てきた。男は周りを見渡すと、停車している氷竜たちの後ろに回った。
男の手にはなぜかルイズの財布が握られている。
なにやらざまあみろ貴族めなどと呟いているので、二人は男を『スリ』だと断定した。
日頃、頻繁に意見の食い違う彼らだが、こういう局面で見事に意見が一致するのもまた、彼らの特徴なのである。
そして、スリだと断定したこの男に対しこれから起こす行動も、彼らはまるで申し合わせたかのように全く同じ考えなのであった
「「システムチェンジッ!!」」
氷竜と炎竜の巨体が浮かび上がり変形を開始。
車体から腕や足が展開され、三十秒もかからないうちに人型への変形が完了した。
車体から腕や足が展開され、三十秒もかからないうちに人型への変形が完了した。
「氷竜!」
「炎竜!」
「炎竜!」
「う、うわぁぁぁぁぁッ!?」
突如現れた二体の巨人を前に、男は咄嗟に剣を抜くが取り落としてしまう。
恐れおののく男に対して、氷竜はあくまで優しくゆっくり、しかしはっきりと、死刑宣告のような凄みをこめた声で宣言した。
恐れおののく男に対して、氷竜はあくまで優しくゆっくり、しかしはっきりと、死刑宣告のような凄みをこめた声で宣言した。
「それはわたくしたちの主の持ち物だ。返して欲しい」
「あ、あわ、あわわわ…………」
「あ、あわ、あわわわ…………」
わたわたと後ずさる男に向けて二人は一歩詰め寄る。
尋常ではない体格差があるため、近づくだけで男にとっては相当な恐怖となるのだ。
尋常ではない体格差があるため、近づくだけで男にとっては相当な恐怖となるのだ。
「ひぃぃッ!!」
「命までは取らない」
「だが、その財布は返してもらうッ!」
「命までは取らない」
「だが、その財布は返してもらうッ!」
二人がもう一歩詰め寄ると、男は慌てて財布を捨て逃げていく。
投げ出された財布を炎竜が拾い上げた、そのとき
投げ出された財布を炎竜が拾い上げた、そのとき
「おでれーた!」
二人の後ろから声が聞こえた。
声に反応して二人は振り返ったが、そこには誰もいない。
ただ、男の落とした剣が転がっているだけだった。
声に反応して二人は振り返ったが、そこには誰もいない。
ただ、男の落とした剣が転がっているだけだった。
「炎竜、わたくしはこちらの方向から、人の声がしたと思ったのだが」
「僕も聞いた。確かに聞いたんだが……誰もいないぜ、氷竜」
「おいぃ!ここだよ!お前さんたちの足下!!」
「「何ッ!?」」
「僕も聞いた。確かに聞いたんだが……誰もいないぜ、氷竜」
「おいぃ!ここだよ!お前さんたちの足下!!」
「「何ッ!?」」
二人は目を疑った。なんと、彼らの足下に落ちている錆び付いた剣が柄の部分を口のようにカタカタと動かして喋っているのだ。
喋る物、すなわち生きた無機物。彼らはそれに該当する危険な存在を一つしか知っていた。
喋る物、すなわち生きた無機物。彼らはそれに該当する危険な存在を一つしか知っていた。
「まさか、ゾンダーかッ!?」
「は?」
「いや、会話能力がある以上、ゾンダーではなくゾンダリアンと見た方が良い!」
「え?いや、ちょっ……なっ何をするだァー!」
「は?」
「いや、会話能力がある以上、ゾンダーではなくゾンダリアンと見た方が良い!」
「え?いや、ちょっ……なっ何をするだァー!」
逃がさないとばかりに剣を踏みつける炎竜。
突如としてそんな仕打ちを受けた喋る剣の喚き声を華麗にスルーしつつ、氷竜は剣に最大レベルのスキャニングをかけ全力で解析する。
だが、その結果は予想していた生機融合体などではなく、ただの物質であるというものだった。
突如としてそんな仕打ちを受けた喋る剣の喚き声を華麗にスルーしつつ、氷竜は剣に最大レベルのスキャニングをかけ全力で解析する。
だが、その結果は予想していた生機融合体などではなく、ただの物質であるというものだった。
「炎竜……どうやら違うらしい。どういう原理で話しているのかはわからないが、材質的にはただの剣だ」
「喋る剣……か。魔法なんて物があるんだから、これくらいは普通なのかもしれねぇな」
「やいコラてめぇらァ!いきなり踏みつけるたァひでェじゃねぇか!!」
「喋る剣……か。魔法なんて物があるんだから、これくらいは普通なのかもしれねぇな」
「やいコラてめぇらァ!いきなり踏みつけるたァひでェじゃねぇか!!」
炎竜は踏みつけていた足をどけ、剣をつまんで拾い上げると、炎竜の左手に刻まれた使い魔のルーンが光を放ちはじめた。
すると、喚いていた剣がいきなりおとなしくなった。
すると、喚いていた剣がいきなりおとなしくなった。
「………おでれーた。てめ、『使い手』か」
「使い手?」
「そう、『使い手』だ!おめ、俺を持ってけ!損はさせねーぜ!俺はデルフリンガー。長ぇならデルフって呼んでくれや!」
「使い手?」
「そう、『使い手』だ!おめ、俺を持ってけ!損はさせねーぜ!俺はデルフリンガー。長ぇならデルフって呼んでくれや!」
デルフと名乗った剣は態度を一変させ、自身を連れて行けと言い出した。
だが、『使い手』とは何かや、ルーンが発光した理由を訪ねても『忘れた』『わからない』とのことであった。
6000年もの昔から存在しており、時間がたつうちにいろいろなことを忘れてしまっているらしい。
この世に飽き飽きして武器屋で腐っていたところ、先ほどのスリ男に買われてしまいやるせなくなって完全に口を閉ざしていたという。
だが、『使い手』とは何かや、ルーンが発光した理由を訪ねても『忘れた』『わからない』とのことであった。
6000年もの昔から存在しており、時間がたつうちにいろいろなことを忘れてしまっているらしい。
この世に飽き飽きして武器屋で腐っていたところ、先ほどのスリ男に買われてしまいやるせなくなって完全に口を閉ざしていたという。
「すまねぇ。でもよ、俺ぁ前にもそのルーンの持ち主に使われてたような気がするんだよなァ……くそ、やっぱうまく思い出せねぇや」
「そうか……。しっかし、このルーン……なんか妙な感覚だな」
「どうした、炎竜?」
「いや、ルーンが光ってから、どういう訳か僕の体の稼働効率が上昇しているんだ」
「そうか……。しっかし、このルーン……なんか妙な感覚だな」
「どうした、炎竜?」
「いや、ルーンが光ってから、どういう訳か僕の体の稼働効率が上昇しているんだ」
炎竜が自身の左手を見ながら言う。彼の左手の甲に刻まれたルーンは、先ほどから光を放ち続けていた。
「マスターは使い魔のルーンには何らかの効果が付属する場合がある、と言っていた。おそらくは我々のルーンの効果なのだろう。そうだな……例えば『武器を持ったら身体能力が向上する』というような」
そう言いつつ氷竜は自身の愛銃『フリージングガン』を取り出す。すると、氷竜に刻まれたルーンも、炎竜のそれと同じように輝き、氷竜の予想が正しい物であると証明した。
「…………驚いた。正直かなり曖昧3セン……いや、適当に言っただけだったのだが」
「当たり………てことか」
「おーい!頼むから俺を連れてってくれよ!」
「あーもうわかったよデルフ!そこまで言うならルイズ……えっと、主に掛け合ってみるよ!」
「おっしゃぁあ!さすが相棒たち、話がわかるぜぇ!」
「まあ、生きている以上勇者として置いていくわけにもいかない………相棒?」
「相棒……とは?」
「……なんだろ。なんか知らねぇが、でも相棒は相棒なんだ」
「なんだそりゃ……」
「まぁ、そのうちいろいろ思い出して役に立つから、持っててくれや!」
「当たり………てことか」
「おーい!頼むから俺を連れてってくれよ!」
「あーもうわかったよデルフ!そこまで言うならルイズ……えっと、主に掛け合ってみるよ!」
「おっしゃぁあ!さすが相棒たち、話がわかるぜぇ!」
「まあ、生きている以上勇者として置いていくわけにもいかない………相棒?」
「相棒……とは?」
「……なんだろ。なんか知らねぇが、でも相棒は相棒なんだ」
「なんだそりゃ……」
「まぁ、そのうちいろいろ思い出して役に立つから、持っててくれや!」
二人と一振りが何とも微妙な会話をしていると、肩を落としたルイズがとぼとぼと帰ってきた。
「お帰りなさい、ルイズ」
「おお、お帰り、ルイズ!」
「ただいま……。うぅ……私のおこずかいが…」
「おっと、ルイズ!これを」
「へ?……はっ、え!?ななな何でこれ私の財布、ど、どうしてエンリュウが!?」
「おお、お帰り、ルイズ!」
「ただいま……。うぅ……私のおこずかいが…」
「おっと、ルイズ!これを」
「へ?……はっ、え!?ななな何でこれ私の財布、ど、どうしてエンリュウが!?」
スリから財布を取り戻したことや、デルフのことなどを話す。デルフを持って行くことに対してちょっと難色を示したが、財布を取り返してくれたからそのくらいの願いは聞いてくれるようだ。
買い物自体は出来ていたルイズがもう帰ると言うので、とりあえずその辺にあった頑丈そうなロープでデルフを炎竜のミラーシールドにくくりつけてビークルモードに変形。
ルイズが氷竜のコクピットに入ると、二人は魔法学園に向けて発進した。
買い物自体は出来ていたルイズがもう帰ると言うので、とりあえずその辺にあった頑丈そうなロープでデルフを炎竜のミラーシールドにくくりつけてビークルモードに変形。
ルイズが氷竜のコクピットに入ると、二人は魔法学園に向けて発進した。
「ねぇ、ヒョウリュウ、エンリュウ。あなたたちは、私に召還される前、いったい何処で何をしていたの?」
馬車なんかよりもずっと早い速度で学園へ走るヒョウリュウの中でガタゴトと揺られながら、私は彼らに質問した。
魔法がなく、月が一つしかない世界。
魔法ではない、ハルケギニアではあり得ない技術で作られたその身体。
彼らは何のために作られたのか、その世界で何をしていたのか。
魔法がなく、月が一つしかない世界。
魔法ではない、ハルケギニアではあり得ない技術で作られたその身体。
彼らは何のために作られたのか、その世界で何をしていたのか。
『何処で何を……ですか』
『そうだなぁ……ルイズには、ちょっと信じられないかもしれないが…』
『わたくしたちは、ここではない別の星の出身です』
「別の……星?」
『そうだなぁ……ルイズには、ちょっと信じられないかもしれないが…』
『わたくしたちは、ここではない別の星の出身です』
「別の……星?」
聞けば、彼らが生まれたのは『地球』という星にある日本という国で、メイジはいない、貴族もいない。さらに、月が一つしかない。魔法がないため、『科学』という技術が進歩している。彼らもその『科学』によって作られたという。
言葉だけだと正直理解できなかったかもしれないけど、ヒョウリュウがもにたーに図を写してくれているし、ハルケギニアの文字で名前や説明も表示してくれるからとてもわかりやすい。いや、それでも信じられない物ではあったけど。
言葉だけだと正直理解できなかったかもしれないけど、ヒョウリュウがもにたーに図を写してくれているし、ハルケギニアの文字で名前や説明も表示してくれるからとてもわかりやすい。いや、それでも信じられない物ではあったけど。
「何よこの街の広さ………ブルドンネ街なんて目じゃないじゃないの……」
『僕たちから見れば、さっきの街の狭さが信じられないくらいなんだがな……』
『僕たちから見れば、さっきの街の狭さが信じられないくらいなんだがな……』
もにたーの映像が切り替わり、見たこともない奇妙な街が写し出された。天を突く塔のような建物が無数に建ち並び、車輪の付いた箱が街を走り回っている。
『自動車』と呼ばれるこの箱はヒョウリュウたちと同じ馬を必要としない鉄の馬車で、なんと一家に一つはあるほど普及しているらしい。ここにいる人たち全員平民のはずよね。
それと、全くわからなかった『クレーン車』と『梯子車』についても理解できた。その機能は、両方とも『レビテーション』の代わりとなるためのものだった。
なるほど、魔法が無い世界だからこそ、重い物を運んだり、人が高いところに上るためには彼らの能力が必要とされたのか。
『自動車』と呼ばれるこの箱はヒョウリュウたちと同じ馬を必要としない鉄の馬車で、なんと一家に一つはあるほど普及しているらしい。ここにいる人たち全員平民のはずよね。
それと、全くわからなかった『クレーン車』と『梯子車』についても理解できた。その機能は、両方とも『レビテーション』の代わりとなるためのものだった。
なるほど、魔法が無い世界だからこそ、重い物を運んだり、人が高いところに上るためには彼らの能力が必要とされたのか。
「信じられない……」
もう何度同じことを呟いたかわからない。でも、そう呟かずにはいられないようなものを見たのだから仕方がない。
でもこの時、私はこれらの情報がまだ序の口にすぎなかったことなんて、知るよしもなかった。
でもこの時、私はこれらの情報がまだ序の口にすぎなかったことなんて、知るよしもなかった。
大勢の人を一度に運ぶ『電車』、空を飛ぶ鋼の鳥『飛行機』、果ては宇宙へと飛ぶ『スペースシャトル』など、もにたーに次々と写されてゆくビックリドッキリメカたちの説明を受け、もうただただ驚いているしかなかった私の前で、またもにたーが切り替わった。
また見たことがないものだった。どうやら場所は水の中で、上から下に向かって突き出ている塔のような建造物のようだ。今までに見た物とはちがう、何というか特殊な形をしてる。
また見たことがないものだった。どうやら場所は水の中で、上から下に向かって突き出ている塔のような建造物のようだ。今までに見た物とはちがう、何というか特殊な形をしてる。
「ヒョウリュウ、エンリュウ……これは?」
『わたくしたちの、勤務先です』
『そして、僕たちが生まれた場所さ』
『わたくしたちの、勤務先です』
『そして、僕たちが生まれた場所さ』
地球防衛勇者隊『ガッツィ・ジオイド・ガード』、通称『GGG』と呼ばれる組織が、彼らの生みの親だという。
私は驚愕した。だって、地球防衛勇者隊なんて組織に隊員として所属していると言うことは、二人は、つまり―――
私は驚愕した。だって、地球防衛勇者隊なんて組織に隊員として所属していると言うことは、二人は、つまり―――
「勇………者……!?」
絞り出したような私の言葉に、ただ『その通り』とだけ返した二人に対して、私はまた同じことを呟いてしまった。
「信じられない……」