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ゼロと雪姫-2 - (2007/08/22 (水) 22:54:23) のソース
アナ・メダイユはウルグスクをおさめるメダイユ侯の末娘。八歳で、好奇心旺盛。地元ではおてんば姫として知られている。 しかし、時には知的な一面を見せ、その言葉の前には大人はひれ伏し、家名に恥じぬ、指導者の才を持っていた。 とある理由でエクソダス請負人ゲイン・ビジョウと出会う。これがきっかけで〈哀れな人質〉という名目で、〈ヤーパンの天井〉に参加。東の国ヤーパンを目指しエクソダスしていた。 ところが、異世界ハルケギニアの少女、ルイズに呼び出され、彼女の生活は一転する事になる。 ~ルイズとアナ~ サモン・サーヴァンの翌朝、アナは大きな目をパチリと開ける。体を起こし、両目を小さな手で擦り、辺りを見回す。 「ここはどこ?」 覚めきっていない、ぼんやりとした頭でアナは人の気配を感じて、横を顔を向ける。そこにはピンク色の長い髪に、制服を来た少女ルイズが椅子に座っていた。ルイズはほっとした顔になると、椅子から立ち上がりアナに抱きついた。 「良かった~!一晩立っても起きないから心配してたのよ~!」 アナはポカンとした表情になる。記憶を手繰らせると、この人は確か契約と言って、いきなりキスした人。 確か名前はルイズ。そしてキスした後、体が急に熱くなり、そこから記憶が無い・・・・・・。 「あの~、ルイズ・・・・、でいいよね。ここは何処ですか?」 おそるおそるアナはルイズに尋ねる。ルイズは抱きつくのを止めると、アナと顔を向き合わせた。 「ここは私の部屋。私はあなたの主よ。」 「主?」 「そうよ。あなたは私の使い魔。」 使い魔と言われてもアナはちんぷんかんぷんだった。ヤーパンの天井とは違う、雪もない見知らぬ地に出たと思いきや、初対面の人間の部屋に居るのだ。 まるで自分の家庭教師リュボフが聞かせてくれたお伽噺のような。 確かそれはバイストン・ウェル物語と言ったかな?それに登場する主人公と同じ心情であった。 一方のルイズはと言うと、この使い魔アナに対しては、妹のように見ていた。ルイズには二人の姉が居たが、下には弟や妹は居なかった。 こんな可愛らしい幼女が使い魔になったのだ。正直、ときめいていた。自分が姉になったという感があった。 アナの看病している時は、幸せだった。スースーと静かに寝息を立てながら寝ていたのだ。人生でこんなに可愛らしい寝息を今まで聞いたことがあるか!? こんなに可愛らしい寝顔を見たことがあったか? ルイズに新しいなにかが目覚めつつあった。 「お腹空いたでしょ?一緒に朝御飯を食べに行きましょう?」 ルイズはアナの手を引っ張る。すると、アナははっとした顔になってまた、キョロキョロと顔を回した。 「リンク!リンス!リンナ」 3ぴきの名前を大きな言うと、ベッドの下から3ぴき揃って顔を出す。どうやら一緒に連れてこられたようだった。 3ぴきは揃ってアナに飛び付いて、それぞれ頭の上、両肩に飛び付きじゃれあう。アナに笑顔が笑顔がこぼれる。 「ああもう!お前たちくすぐったい!」 目の前に居るのは ・幼女+小動物+妹=歩く萌え属性 妄想は偉大だ。ルイズは顔を赤めて、頬を緩める。自分って以外と勝ち組かも?そんな事も思い始めた。 (ああ、この子やることがいちいち可愛いすぎるわ。あそこ舐めたいな~。ペロペロしたいな~。)「あんた何しているのよ」 突然の声にルイズが振り向くと、そこには赤い髪に褐色の肌。 それに大きな胸を持った少女が色気を振り撒きながら立っていた。 「ちょ、ちょっとキュルケ!なんで勝手に入ってくるのよ!」 「おはよう。ルイズ。ノックしたけど出てこないから勝手に入っちゃった」 キュルケはそう言って舌をだしながら言うと、ルイズの前に居る幼女に目が入る。 「あらあら、人間の女の子呼んじゃったって本当みたいね?」 「ど、どうだっていいでしょ!私はこれで気に入っているんだから!それよりあんたこそどうなのよ!」 「あら、私はこんな感じよ。フレイムー」 キュルケがおーほっほっほと高笑いすると、横から大きな真っ赤なトカゲが顔を出す。 「ああ!大きなトカゲ!尻尾に火がついている!」 その迫力に驚いたアナが思わず声を出す。 ルイズは前髪を弄りながら、ツーンとした表情になって返した。 「それってサラマンダー?良かったわね。あんた火属性のメイジだし」 「そうでしょ!この子ったら凄く可愛いのよ!微熱の私に相応しいと思わない!?」 可愛さならこっちの方が上だろう! ルイズはふんっと小さな胸を張る。そうしているとアナがベッドから降りてフレイムに近づいていく。 「この子可愛いわね。フレイムっていうの?」 アナがフレイムをルーンが刻まれた右手で撫でると、フレイムがキュルキュルと鳴きながら喜んだような素振りを見せる。 キュルケはアナの顔を見て尋ねた。 「あら、あなたのお名前は?」 「アナよ。アナ・メダイユ。」 「アナちゃん。ゼロのルイズの使い魔になるなんてあなたも不便ね。」 「うるさい!さっさとここから出ていきなさいよ!」 ルイズが怒鳴るとキュルケは一言、失礼と言って部屋を去っていった。 「いいもん。私にはアナがいるんだから。さあ食堂に行きましょうアナ。」 ルイズはそう言ってアナの手を握って部屋を後にした。 それはそうとアナはここはヤーパンの天井では無いことに理解しつつあった。 途中、宙に浮く生徒や見慣れない動物、例えばバグベアーの様な生き物を目にしたからである。 アルウィーズの食堂は長い机が並んでいる。ルイズ自分の席に座ると、隣の席にアナを座らせた。 「おい、ゼロのルイズ。そこは僕の席だぞ。使い魔を座らせるなんてどういうことだ」 本来アナの席に座るはずのマリコルヌが抗議の声をあげる。 「あら、自分の椅子が無かったら自分で持ってくればいいじゃない。かぜっぴきのマリコルヌ」 ゼロと呼ばれたのが腹が立つのかルイズが強気な声で言う。 「僕は風上だ!それに貴族が平民なんかに席を譲れるか!おい使い魔、そこをどけ!」 するとアナは机からひょいっと降りる。 「どうもあなたの席とは知らずに座っていました。すみませた。」 アナはマリコルヌに小さな頭をペコリと下げる。マリコルヌは満足そうな顔をして椅子に座るのを、ルイズは不快な顔で見ていた。 「全く!さすがゼロのルイズが呼んだ使い魔だ!礼儀知らずで困るよ!」 マリコルヌが回りの生徒に聞こえるように言うのでルイズは青筋を立てる。非常に不快だ。 「見ろよあのちっこい使い魔!ゼロのルイズは召喚できないからって、その辺歩いていた幼女を誘拐して来たんだぜ。」 ルイズは長いブロンドを揺らして立ち上がり、澄んだ声で怒鳴った。 「ゼロで何が悪いのよ!私はメイジよ!それに、きちんと召喚できたからこの子を連れてきたのよ!」 「嘘を付くな!魔法も満足に出来なきゃメイジじゃないだろ!ゼロのルイズのくせに!生意気言うな!」 その様子を見てゲラゲラと周りの生徒が笑う。ルイズはプルプル震えながら黙り込んだ。 「マリコルヌ!ここに座りなさい!」 マリコルヌばビクッと震えて横を向く。そして、目の前に居たのは細い眉を尖らせたアナであった。 「な、なんだこの使い魔?」 「座りなさい!!」 あまりの気迫にオドオドするマリコルヌは思わず床に座りアナと向き合った。 ピシッ! 乾いた音が食堂に響く。これは、マリコルヌはアナに頬を叩かれた事によって起きた音だ。 「多くの人がいる場所で女性一人を罵倒するなんて、軟弱者!それでも男ですか!!」 ルイズと回りの生徒は唖然とした表情でその様子を見ていた。一方のマリコルヌは最初から最後まで圧倒されて、涙目を浮かべた。 「へ、平民の癖に貴族に手を出すなんて・・・」 「貴族を名乗るならば、他人を尊重すべきです!貴族は人によって上に立てるのです! あなたも男なら、それ位心に刻んで置きなさい!」 辺りがシーンと静まり返る。アナの回りには高貴で気高いオーラが漂っていた。 「う、うっうっうわ~~~ん!」 マリコルヌは泣きながらその場を走り去って行く。彼の近くにいた生徒達は、それを生暖かい視線で見送った。 「ねぇ、アナ?あなた何歳なの」 「八歳よ」 ルイズの問いかけにアナは凛と答える。ルイズは指を折ってその差を求めるとぎょっとした表情になった。 まさかアナが、小さなアナがあそこまで大人だったとは思えなかった。 こんなに可愛いのに、あそこまで言えるなんて思いもしなかった。 「アナ。美味しい?」 「とっても美味しいわ!ねえお前たち!」 リンクス達が尻尾を天井に向かって掲げる。 はにかんだ子供の顔のアナはとても可愛かった。 私のアナ♪これからもよろしくね。 ルイズは鼻血を垂らしていた。