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モンモンとトトス - (2007/08/08 (水) 12:31:27) のソース
モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシは困っていた。 何故か? 今しがた召喚した彼女の使い魔(予定)が目の前で壮絶なまでにのた打ち回っているからだ。 ひれの付いた尾が地面を叩くと地響きが起こり、振り上げた頭が塔に当たるとその壁を砕く。 びったんびったんびったんびったん 「流石私の使い魔、生きがいいわね」 「この状況でその発言はどうかと思うわ」 明後日の方を見てそんな事を言うモンモランシーに級友のキュルケが突っ込む、それでも巨大な(30メイルほどはありそうな)魚の様な使い魔はビチビチのたうっていた、砂埃が舞い立ち美しい翠色の鱗もその輝きを失いつつある。 本来ならば陸上であってもある程度の活動が可能なこの魚のような竜、ガノトトスがかくも苦しみのたうっているのは、深い水深に居たところをいきなり陸上に呼び出され肺兼用の浮き袋が急激に膨れ上がったせいだ。 その辺の魚ならば『暴れることも出来ず、程なくご臨終』で終わるのだが、曲がりなりにも魚竜である彼の生命力は容易い死を許さなかった。 しぶといのも考え物である。 「ちょっと大人しくなって来たんじゃない?」 「そりゃ魚を水から上げればいずれは大人しくなるでしょうよ」 「でもこれ、変な魚よね? 脚とか生えてるし」 「…そういう魚なのよ、きっと」 ぴたん…、ぴたん…、 激しくのたうっていた巨体も勢いを失いつつあった 「んじゃ、そろそろ『コントラクト・サーヴァント』といきますか」 「貴方…、こうなるのを待ってたわね」 「おほほほほ、この程度は頭を働かせないとね」 鼻歌交じりのスキップで頭の方に近づいてゆく 「うぇ」 歯茎と白目を剥き、舌を出してデロンとへたっているその顔は人食い鮫を数倍イカツクしたようなシロモノだ、さらに 「さ、魚臭ッ!」 「ま、魚だし」 太陽に暖められて猛烈に生臭くなっていた 「ほらほら、ブちゅっとやったんさい」 「貴方の使い魔なんだから、貴方がやりなさいよ!」 「あ、ほらでもさあ」 「何よ?」 「このままほっといて死んじゃったら、召喚のやり直しにならないかしら?」 「死体は貴方で片付けなさいよね」 「えーっ、貴方のお得意の火の魔法で…」 「いやよ!」 この後コントラクト・サーヴァントをすませ使い魔となったガノトトスが噴水に向かって必死でのたくり進み、水に漬かったまま丸まって動かなくなってしまうのは余談である。