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  • 気さくな王女-9

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

気さくな王女-9

最終更新:2007年10月07日 20:08

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 日常が変化した。
 わたしの有能さを恐れた父の命によって閑職にまわされ、生来持っていた力を発揮する場に恵まれず、不遇をかこち、退屈に殺されそうだった日常が大きく変わった。

 鬼畜道とはある意味帝王学に通じている。
 ある一事のため、全てを知り、全てを学ぶことが必要とされている。
 ただしその「全て」とは、帝王学が指す「全て」と比べてもはるかに広く大きい。
 下賎なもの、胡乱なものとして帝王学が切り捨てた全てを拾い上げ、帝王学そのものを包括する美学、哲学として鬼畜道は存在していた。
 日々を無為に過ごしてきたわたしにとって、それがどれだけ魅力的に見えたことか。
 何よりも上達――こういう言い方でいいのかしら?――の速さが気に入った。学べば学んだだけそれが身につくって、これほど楽しいことだったのね。人形娘の次くらいに嫌いだったはずの勉強が全く苦にならないもの。
 魔法の才能はすこぅしだけ足りなかったかもしれないけど、補って余りある鬼畜の才能を持っていたってことね。
 うんうん、常日頃からわたしってばけっこう鬼畜なんじゃないかな~って思ってたのよ。天才美少女鬼畜王女。ちょっとくどいけど、とてもいい響きじゃない。気に入ったわ。

 鬼畜の道は修行の道。
 下の器がどうこういう下らない噂をでっちあげ、主君の影口をたたいて喜ぶような連中にかかずらっている暇はないの。
 鬼畜の道を極めんがために覚えなければならないことは多岐に渡り、学習に費やす時間は際限なく増えていき、わたしは忙殺間近の青息吐息でなんとか死なずに生きていた。満足感と幸福感を感じつつ、ね。
 何を出されても黙って食べる。ゴミを漁らないだけマシだと考えなければいけない。
 多少の汚れや匂いは気にしない。鬼畜者なら便壷の中に潜むことだってある。ちょっとやそっとで小娘のように騒がない。
 尾行、聞き耳、偽装、探索、忍び足、気配消し。王女には必要なかった技術を習得するため、召使の後をつけたり、部屋に忍び込んだりを欠かさない。
 洗濯、裁縫、調理、これらも同時に学ぶ。全ての召使を馘首した後でも生きていけるようにならなければならない。

 魔法の練習だって真剣に取り組む。能無し教師達のせいで上達が遅いからやる気がなくなっていたんだけれど、今は違う。
 アンロック、サイレンス、心を操る魔法、惚れ薬や媚薬の精製、その他その他。鬼畜道に役立つ魔法は多い。
 教習本を読んでいるだけなのに、なぜかすらすらと……すらすらは言い過ぎかもしれない。
 以前よりはよく内容が理解できた。うん。そのおかげでドットの中ではかなり上位の実力になったんじゃないかな、と思わなくもない。たぶん。

 そして鬼畜道見極めの書を読む。読んで読んで読み倒す。どれだけ読んでも新たな発見がある素晴らしい書物。これ書いた人はきっと天才ね。
 さらに、幽霊からホールケーキ三つで釣り上げた伊頭家伝来五感鋭利向上の書。例のごとく幽霊に翻訳をさせ、とにかく読んだ。
 これを毎日読むようになってから、あらゆる五感が冴えに冴えるのよね。
 悪口は聞き逃さず、ターゲットのネタは見逃さず、毒でも盛られればすぐに気づき、肌に触れるだけで相手の状態を把握し、匂いで生理の周期さえ感じ取る。ううん、我ながらすごい。
 いざという時に必要な体力を身につけることも忘れてはいけないわ。
 走り込みや乗馬、体操といった基本的なものは言うに及ばず、わたしには何よりやらなければならないことがあった。
 それは、自転車を乗りこなすこと。
 幽霊曰く、自転車には生きている人間でも乗れるとのこと。子供や年寄りでも問題なく搭乗できるらしい。
 サドルという鞍に跨り、若干の前傾姿勢でハンドルという持ち手を握り、ペダルという足踏み板を踏んで車輪を動かし前へ進む。
「幽霊の乗り物がその程度なわけないわよね。空を飛んだりくらいはするんでしょう?」
「うーん……特別な時には飛ぶんだけど。でも、あんまり飛ばない方がいいと思うよ」
 妙に言葉を濁していたけど、基本的には地面を走るものらしい。速いことは速いんだろうからそれでいいけど。

 これだけスケジュールが押している中、人形娘をいじめる時間を作らなければならないのがつらいところよ。
 憂き身を嘆きながらも、わたしは完璧な作戦を立てた。
 まず、人形娘を吸血鬼退治に向かわせる。
 次に、わたしはこっそりと宮殿を抜け出、人形娘の後を追って吸血鬼の村へ向かう。
 誰が吸血鬼なのか分からずにべそをかく人形娘。騎士さまも大したことがないと文句を言う村人。
 そんな中颯爽と登場し、鬼畜者特有の勘働きで吸血鬼を言い当て、成長した魔法で吸血鬼を攻撃、さらに幽霊をけしかけ、人形娘と使い魔の風竜にも適当に手伝わせ、見事吸血鬼を退治する。
 村人達はやんやの喝采で英雄をたたえ、人形娘は手柄をとられた悔しさにのた打ち回る。
 非の打ち所が無い完璧な作戦ね。

 人形娘を吸血鬼退治に向かわせる段階は軽々とクリアし、次なる段階へ移るべく、人払いした中庭で自転車に跨った。
 ペダルを踏んだのに、バランスを崩してライラックの茂みに倒れこんだ。
 幽霊の助言を受け、ある程度の助走をつけたところで地面から足を離して再び倒れた。
 さらにもう一度倒れ、自転車にエア・ハンマーを唱えるため詠唱を始めたところで幽霊が腕にすがりついてきた。
「待ってお姉ちゃん! もう少し練習すれば乗れるようになるから!」
「うるさい黙れ! 乗るたび転ぶってどういう設計してんのよこのクソ車!」
「お姉ちゃん鬼畜モンなんでしょ! 鬼畜モンは耐え忍ぶ人なんでしょ!?」
 それを言われると弱いのよ。
「それにさ、もう少しだから。普通の人ならたっくさん練習しなきゃ乗れないけど、お姉ちゃんなら少しの練習で乗れるようになるよ」
「むぅ……」
 この後もわたしが杖を握るたびに幽霊が必死で止めるという流れが何度か続き、結局自転車に乗れるようになったのはそれから三日経ってからだった。
 三日間、他の学習と並行して進めていたんだから、かなり早くはあったんだと思う。「ふつーの人なら五年はかかるのにお姉ちゃんすごい!」って幽霊も言ってたし。
 時間的には、人形娘が吸血鬼を退治したという報告を受けたのとほぼ同時……意味無いじゃないの。

 でもわたしは挫けなかった。これしきでへこたれていては鬼畜者を名乗れない。賢いわたしはすぐ次の作戦を考えた。
 人形娘に「引きこもった貴族の子弟を学校に通わせる」という本来なら騎士がやるべきではない仕事を申し付ける。
 対人交渉能力が最低の人形娘がうまくやれるわけもなく、話はこじれるばかりでどうにもならない。
 そこで颯爽とわたし登場! 引きこもりの馬鹿ガキに追い込みをかけ、無理やり学校に追い立てる。
 感謝する両親、わたしの活躍に歯噛みする人形娘、意気揚々と自転車に乗って引き上げるわたし。

「そんなにうまくいくのかなー?」
「ふん、いらない心配よ。わたしがやるのに上手くいかないわけがない」
「だってさ、お姉ちゃんって王女さまでしょ。勝手に宮殿抜け出せないんじゃないの?」
「服や装飾品は侍女の部屋からいくつか徴収しておいたから大丈夫。身代わりも……ちょっと見てなさい」
 サイドボードの上から人形を一つとってテーブルに置く。その上に左の小指をかざし、右手で人形娘の剃毛用に買ったナイフを持った。
「なにするの?」
「こうするのよ」
 チョコッと一閃、ナイフで小指の先を傷つけ、人形に向かって血を一滴たらす。
 わたしの貴い血を吸った人形は瞬く間に大きくなる。
 形が複雑に変化し、体を形作る曲線が丸みを帯びて柔らかになり、淡かった色合いが濃くなっていき、もう一人のわたしになってテーブルの上から降り立った。
「すっごーい!」
「これはね、古代のマジックアイテムで”スキルニル“という魔法人形よ。姿形だけでなく、血を吸った者の能力も複写する」
 スキルニルにより生み出されたもう一人のわたしは寸分たがわずに……って妙に目つきが悪いわね。
「ねえ、この人形、目つき悪くない?」
「まんまだと思うけど」
「そう? わたしってもっと優しい顔立ちじゃない?」
「そっくりだよ。ボク、どっちが本物のお姉ちゃんかわからないもん」
 ……何か色々と複雑だけど、そっくりなら問題ないわね。
「それじゃスキルニル、留守を頼むわよ。王女らしい振る舞いを心がけるようにね」
「ふん。王族の中の王族であるこのわたしに向かって今更もいいとこね。もっと気のきいたことが言えないの?」
「な、な、なんですって!?」
「お姉ちゃん落ち着いて! お人形さん相手に怒っちゃダメだよ!」
「く……くううう!」
 こ、こいつ。目つきだけじゃなく性格まで悪い。人形ごときが主であるわたしに向かってなんて口のきき方よ。
 馬鹿にしたようにこっちを見る目からも憎憎しさがにじみ出てる。
「ねえ、やっぱりわたしに似てないと思うんだけど」
「もんのすっごく似てると思うよ」
 こいつ置いて留守にしてる間にわたしの評判が悪くなったりしないでしょうね。
 もしそうなったら幽霊いじめて憂さを晴らしてやる。

 良かれ悪しかれ身代わりさえ立ててしまえば抜け出すことは難しくない。
 怠惰と驕慢が蔓延るヴェルサルテイル宮殿には隙も多く、一流の鬼畜者であるわたしや、忍ぶことが存在そのものである幽霊にとっては赤子の手をひねるよりも容易い。
 自転車は幽霊に運ばせ、木箱をかぶって移動したり、堀の中を潜ったり、門番が交代する機会を見計らったりで、あっさりと街に出た。
 侵入に比べて脱出を警戒していないとはいえ、さすがにたるみすぎよね。帰ってきたら宮殿で働いてる人間を集めて説教の一つもしてやらなくちゃ。

 わたしの美貌を目にした平民どもが、
「ああ、あれはイザベラ様!」
「本当だ! なぜ王女さまがこんな所に!」
「目が潰れてしまいそうにお美しい! なんてありがたいお姿だ!」
「王女陛下ばんざーい! ガリア王国ばんざーい!」
 なんてことにならないよう、フードを目深にかぶって身分を隠す。
 自転車は……多少目立つけど大丈夫でしょ。わたしがこれを召喚したことは、宮殿の中でも一部の人間しか知らないはず。
「ちょっと幽霊」
「なあに?」
「今のわたしって王女に見える?」
「ううん。ぜんっぜん見えない。だってヒンカクもツツシミも感じないんだもん」
「あらそう。それなら通りに出てもよさそうね」
 ふふ、内面を押し隠せるだなんて、わたしの変装術もなかなかのものね。

 よしっ、ここまでは完璧。第二段階で早々につまづいた前回とは違うわよ。
 わたしは大通りを前に自転車にまたがろうとした。が、幽霊に腰を抱えられて止められた。
「何をする」
「お姉ちゃん、自転車は無理だよ! 人にぶつかっちゃうよ」
「ぶつかりそうになれば向こうが避ける」
「危ないよ! それに、そんなことしたら目立っちゃうよ。宮殿の人に見つかっちゃうかも」
「ちっ……じゃあどうしろっていうのよ」
「押していけばいいんじゃないかな」
 風を切り、人波を割って大通りを疾駆するはずが、幽霊が余計なことを言うせいでつまらない道行になった。
 そりゃ目立たない方がいいでしょうけどね、だったらもう少しまともな対案を用意しなさいっていうのよまったく。ぶつぶつ……。

 ちょっと気後れしそうなくらい人通りは多い。
 老若男女種々雑多な人間が道を行く。自転車に目をやる人間はちらほらいるけど、わたしの正体に気がつく人間は今のところいない。
 やっぱり素晴らしいわ、わたしの変装術。
「いろんなお店があるんだね。あれは何かな?」
「ただの露天商よ。薬に野菜、果物、雑貨。ふん、珍しくもない」
 通り過ぎながら横目で見る。
 珍しい果物があるわね。色は毒々しいけど、味はどうだろう。
「かわいい首飾りだねー」
「こんな安ぴか物がいいの? お前も安くできてるわね」
 やたらピカピカ光ってるけど魔法かかってるのかしら。ちょっと指でつついてみよう。……おお、もっと光った。
 このチープさは平民の扮装をする上で役に立ちそうね。二つ購入。
「おいしそうなお菓子だなー」
「宮殿でたらふくケーキを食べていたくせに。平民の菓子ごときが何だっていうのよ」
 一つ買って食べてみる。どろどろして白くて……ちょっと酸味がきいてる。
 これは新しい味ね。悪くないわ。あと三つほど買っておきましょ。
「お姉ちゃんばっかりずるいよ。ボクにも買ってよー」
「面倒くさいガキね。お前はわたしの残りを食べていなさい」
 おお、マジックアイテムを売ってたりもするのね。あ、あっちでは銀細工が売ってる。わたしに似合いの物はっと。
「お姉ちゃん、あっちで歌っている人がいるよ。見に行こうよ」
「お前もよくよくの田舎者ね。何をはしゃいでいるんだか」
 吟遊詩人ってやつ? 顔はけっこう悪くない。いや、むしろいい。あ、今こっち見た。わたしのこと見てた。
「うわぁ、すごいや。火を吹いてるおじさんがいるよ!」
「くだらない。炎が見たければわたしが魔法で出してあげるわよ」
 ううむ。炎とダンスの組み合わせが、ここまで魅せるものだったとは。
 普段はサーカスで働いたりしてるのね、きっと。ああ、サーカスも見てみたかった。今やってないかな。
 そうだ、歌劇も見たかった。城下で上演している一座をチェックしてから出てくるべきだったわね。
「お祭りなのかな?」
「いつもこんなものでしょ」
 『いつも』は知らないけど、とりあえず知ってるように言っておく。
「ボクね、お買い物ってはじめてなんだ」
「ふうん。さびしい人生ね」
 わたしだって初めてなんだけど、買い物慣れした顔で受け流す。

 おお、あっちにも面白そうな物がある。
 ああ、こっちにも興味深げな品がある。
 右往左往、右往左往。財布を抜かれないよう気をつけて、籠に荷物を詰めた自転車を押して一帯を見て回る。
「きれいなお花ー!」
「ふん」
「かわいいお人形ー!」
「そう?」
「あっ! 裸の女の人!」
「えっ!?」
 指差した先を見たけど、そこでは人ごみが流れるだけだった。もちろん全員服を着ている。
「テキトーなこと言ってるんじゃないよ。裸の女がいるわけないだろ」
「だってホントにいたもん。すごく速く動いてたから、他の人も気づかなかったんだよ」
「ああなるほど。お前のお仲間か。そりゃ誰も気がつかないわけだね」
「だからー、ボクは幽霊なんかじゃないってば。ホントにいたんだよ。路地の方にさーっと走ってたんだよ」
「はいはい」
「ホントだってば。髪の毛が青くてさ、美人でさ、おっぱいが大きくてさ。お姉ちゃんの方じぃーっと見てたんだよ」
 また気色の悪いことを。

「お前ね。鬼畜関係の本を読んだからって、そんないやらしい幻覚まで見るわけ?」
 路地の方を覗いてみる。誰もいない。ほら見たことか。
「おっかしいなあ。きっとそのまま走っていったんだよ」
「そうやって自分に都合よく解釈してなさい。わたしは現実を生きるから」
 少し奥まったところも見てみる。やはりいない。
 酒場の裏口らしき所が少しだけ他よりへこんでいて、そこの影から健康そうな尻が見えた。
 その奥にも何も無い。誰かがいたような形跡も無い。
 ……あれ?
「お姉ちゃん、あれって」
「静かに。下手に刺激するな」
 隠れるスペースが足りないせいか、艶かしい上下動で尻が蠢いている。
 幽霊を下がらせ、自転車を盾にしてすり足で近寄る。何者かは知らないが、これだけ繁華な中で全裸とは、かなり熟練した変態に違いない。
「ちょっとそこのお前」
「……」
「おい。聞こえてないのか」
「……」
「わたしを見ていたそうじゃないの」
「……」
 尻を動かすだけで無視を決め込んでいる。
「そっちがその気ならこっちにも考えがあるわよ。警吏呼んできてあげるから」
「……」
 ぬうう。これも無視か。今のわたしは警吏を呼ぶことができない、なんて裏事情まで知ってるわけじゃないでしょうね。

「ねぇねぇ。お話しようよ」
 わたしの言うことは聞きやしなかったくせに、幽霊が声をかけると動きが止まった。何よそれ、わたしを馬鹿にして。
「ねぇ。なんで裸なの? お洋服を着るのが嫌いなの?」
 幽霊の呼びかけに答えるようにして、少しずつ、裸の女が壁の影から姿をあらわした。
 胸は幽霊の言っていた通りに豊満。露出狂なんて生き物は、異性から相手にされない連中ばかりだと思っていたけど、顔の方も悪くない。
 そして何よりその髪の色。王家の人間でもないただの平民が、青い髪を持ち、ついでに下の毛も青い。
 犯罪を見咎められた罪悪感もなく、全裸で人前にいる羞恥の情も感じさせず、女は不思議な物を見る目を幽霊に向けていた。
 その目、どこかで見たような……わたしに向けていたこともあったような……ううむ……思い出せそうで思い出せない。
「あなたは誰なのね?」
 声に聞き覚えは無い。声質は二十代だけど発音が妙に子供っぽい。なんだかちぐはぐな感じ。
「ボクはお姉ちゃんのお友達だよ」
「そんなのデタラメにきまってるのね!」
「デタラメじゃないよー」
「あんなに性格悪いバカ従姉姫にお友達がいるわけないんだわ! きゅいきゅい!」
「性格悪くたってお友達は作れるもん」
 こいつら言わせておけば言いたい放題言ってくれる!
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「うるさいこの馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿……」
「ねえ、お姉ちゃん」
「バカバカバカバカバカバカバカバカ……」
「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿……」
「ねえねえ」
「馬鹿馬鹿馬鹿……何よ?」
「みんな見てるよ?」
 路地の奥でゴソゴソしているだけだから目につくことはなかろうとたかをくくっていたけど、意識せず声が高くなっていたらしい。
 通りの方からこちらを見ている目、目、目。不躾な視線に晒されてなお、裸女は何一つ隠そうとせずに胸を張っていた。
 こいつはあれね。要するに自慢したくて裸でうろついていたってわけね。ああやだやだ。これだから露出狂は。

 幸いにもわたし達より裸女の方が注目されている。衛視を呼ばれる前に逃げ出そう。
 わたしは自転車の頭を路地の奥に向け、サドルに跨り幽霊へ声をかけた。
「よし、逃げるわよ」
 幽霊はそれに応じ、後部座席に腰掛けた。わたしの腰を抱いて姿勢を安定させる。
「準備できたよ、お姉ちゃん」
 ペダルを踏み込み、全速力でその場を離れた。
 裸女もいくつか気になることを言っていたけど、あんな面倒くさい変質者に関わるくらいならさっさと逃げた方が……
「逃がさないの! さいのさいのさいーの! おねえさまの邪魔はさせないのね!」
 げっ……お、追いかけてくる!?


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