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  • あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • ベルセルク・ゼロ-11-2

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ベルセルク・ゼロ-11-2

最終更新:2008年03月17日 15:41

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  • ベルセルク・ゼロ


 シルフィードが飛び立つ。
 ゴーレムは行かせてなるかと言う様にその腕をシルフィードに向かって伸ばした。
 キュルケは思わず目を瞑った。
「だめ!! 掴まる!!」
「きゅいきゅい!!」
 自身に迫るゴーレムの腕に、シルフィードは悲鳴を上げた。
 ガッツがゴーレムの足に向けて左手をかざす。
 そして左手の義手から伸びている紐を右手で掴み、引いた。
 ガコン―――と音をたて、義手の手首が折れ、大砲がその砲口を覗かせる。

 ド ゴ ン ッ ! ! ! ! 

 ガッツの左手が火を噴いた。
 噴き出した爆炎がゴーレムの足首を一瞬で吹き飛ばす。
 バランスを崩したゴーレムの手はシルフィードの翼を掠め、空を切った。
 ゴーレムの手を逃れたシルフィードはぐんぐんと加速し、すぐに見えなくなった。
 それを確認すると、ガッツは左手に火薬を仕込み、手首を戻す。
 吹き飛ばされたゴーレムの足が新たな砂を取り込み、徐々に修復されていく。
 ガッツは学院で足を斬り飛ばしたはずのゴーレムがすぐに立ち上がっていたからくりを理解した。
 このゴーレムを破壊するには、修復不能なほど全壊させる必要があるようだ。
「おい、いつまでそうしてるつもりだ」
 ガッツの後ろでルイズは地面にペタンと座り込んでいる。
 その顔は伏せられており、ガッツの方からその表情を確認することは出来ない。
 ルイズは返事をしなかった。
 ガッツは舌打ちした。
「おい」
 苛立ちを抑えながらもう一度声をかける。
「……もん」
 今度は返りがあった。しかし声が小さすぎて聞き取れない。
「どうせ『ゼロ』だもん!!!!」
 ルイズは涙で濡れた顔を上げた。
「どうせなんにもできないもん!! なにかしたってみんなの足をひっぱるだけだもん!!」
 最初は怒っているように眉を吊り上げていたルイズだったが、声を上げるにつれてその顔はふにゃりと崩れていく。
「もう…わかったもん……私はどんなにがんばったって……ううん、私はがんばればがんばるほど周りにめいわくをばらまくの」
 両袖で拭っても拭っても涙が溢れてくる。
「ガッツにも…迷惑ばっかりかけて……ご主人様らしくしようってがんばっても空回りばっかりで……
今回だって、人質になったりして……私、フーケに捕まりそうになった時……誰かに助けてもらうことしか頭に無かった……!」
 ルイズは再び顔を伏せ、声を限りに叫んだ。
「私には、貴族の資格なんてない!!!!」


 シン―――………
 森に静寂が満ちる。
 ザワザワと、ゴーレムの足に砂が集まる耳障りな音だけが聞こえている。
「何をごちゃごちゃ言ってんのか知らねえが―――」
 ガッツはルイズの襟を掴むと無理やり引き上げてルイズを立たせた。
 ぽかんとするルイズの目を強く強く睨みつける。
「泣き言なら後にしろ。今はお前の力がいる」
 掴んでいた襟を放す。ルイズはよろめいた。
「え……?」
 信じがたいガッツの言葉に、ルイズは目を丸くした。
 ガッツはゴーレムの方に向き直る。
 呆けた様にルイズはその背中を見つめていた。
 再びゴーレムが拳を叩きつけてくる。
 ぐいん、とルイズの体が後方に引っ張られた。
「きゃっ!」
 ガッツがルイズの後ろ襟を掴んで後方へ飛びすさる。
 一瞬前まで自分たちが居たところにゴーレムの拳が叩きつけられた。
「ごほっ、ごほっ……!!」
 突然襟を引っ張られたルイズはたまらず膝をつき、喉を押さえて咳き込んだ。
 目の前にあるガッツの足に気付いて見上げると、すぐ傍にガッツが悠然と立っていた。
「杖を構えろ、ルイズ」
「で…でも……」
「腹ァ括れ。こいつは―――俺とお前でやるんだ」
 どくん―――!!
 ルイズの心臓が大きく跳ねた。

 私と、ガッツで―――――?

 ルイズは自分の体に熱がともるのを感じた。
 短い付き合いだが、わかる。
 ガッツはこんな時に慰めを言うような男じゃない。
 ガッツは本気で今、私の力を必要としている。

 ぐしっ―――

 最後に袖で涙を拭う。もう、涙は止まっていた。
 ルイズは杖を手に立ち上がる。
「う、うん……! やってみる……!!」
 ガッツはにやりと笑った。
「その意気だ。今は精神力とやらを溜めていろ。俺が合図したら何でもいい、とにかくあいつにぶちかませ」
「うっ……わ、わかったわ!!」
 ルイズは緊張で肩を強張らせながらも力強く頷いた。
 ガッツはドラゴンころしを肩に担ぎゴーレムに向かって歩み始めた。
 一歩―――二歩。
 三歩歩いたところでルイズにちらりと目を向ける。
「とどめはお前だ―――任せたぜ、『ご主人様』よ」
 ルイズの返事を待たず、ガッツはゴーレムに向かって駆け出した。


 木々の影が高速で後ろに流れていく。
 フーケはその自慢の健脚で森を駆け抜けていた。
 そこらの柔な貴族のお嬢ちゃんに追いつかれるような鍛え方はしていない。
 フーケはしかし、沸き起こる悔しさに歯噛みした。
「ちっ……! こうなっちまった以上学院に戻るわけにはいかないねぇ……!」
 学院にミス・ロングビルとして何食わぬ顔で戻るには目撃者―――つまり、あそこにいた全員を始末しなければならない。
 だがフーケは宝物庫を襲撃した時に、ガッツの実力を垣間見ている。
 そこにたかが学院の生徒とはいえメイジが三人も加わっているのだ。
 ルイズという人質を失って『全員抹殺』という条件をクリアーするにはあまりにもハードルが高い。
 故にフーケは人質という絶対的なアドバンテージを失った瞬間逃亡することを選択した。
 ふと、妙な気配を感じて空を見上げる。
 高速で流れていく木の枝の隙間から、青い影がこちらに迫ってきているのが見えた。
 その背中には燃える様に赤い髪の女と、空を写したような蒼い髪の少女の姿がある。
(あれは…!? ちっ…こんなに早くゴーレムを潜り抜けてきたってのかい!?)
 それにしてもおかしい。風竜は正確にこちらの姿を捉えているかのように真っ直ぐ向かってきている。
 あちらからは木々の陰になってこっちの姿は見えないはずなのだが―――
 フーケの脳裏に得意げな栗頭の妖精が浮かんだ。
(そうか…あのチビか……!!)
 フーケは口を歪め、舌を鳴らした。
 いくらフーケの速度が常人離れしているとはいえ、空を飛ぶ風竜に勝るわけがない。
 すでにシルフィードはフーケの前方に回り込み、そのまま森に向かって突っ込んできた。
 高速で地面に向かっていたシルフィードは激突の寸前、その翼を大きくはためかせた。
 巻き起こる風に木々が音を立てて揺れる。
 体勢を整えたシルフィードはゆっくりと着地した。
「そこまでよ、フーケ」
 シルフィードの背中から、キュルケは勝ち誇った声で宣言した。
 フーケはギリ――と強く奥歯を噛みしめた。
 だが、シルフィードの背中にいるキュルケとタバサの姿を確認して、怪訝な表情を浮かべる。
「あんたたちだけかい? ヴァリエールの小娘とその使い魔の姿が見えないようだけど……」
「ダーリンとルイズは今あなたご自慢のゴーレムを叩き潰しているところよ」
 フーケの目が点になる。
 そして腹を抱えて笑い出した。
「あっはっはっは!!!! 笑わしてくれるじゃないか!! 魔法学院のひよっこ二人でこの私の、土くれのフーケの相手をするって!? こいつはけっさくだね!! あはははは!!!!」
 タバサとキュルケがシルフィードの背中から軽やかに降りる。
 タバサがシルフィードに何事か耳打ちすると、シルフィードは一声鳴いて上空へと飛び上がっていった。
 タバサが、その身の丈ほどもある杖を手にフーケの前に立ちはだかる。
「あなたはあれほどの大きさのゴーレムを、学院を襲った時と先程と、今日だけで既に二回にわたって錬成している。もうあなたにはあまり精神力は残されていないはず」
 キュルケも杖を抜いた。胸の谷間にパックをしまったまま、タバサの横に並び立つ。
 タバサは目に強い光をたたえてフーケを見据えた。
「私たち二人で今のあなたを捕らえることは―――容易」

 フーケの顔から笑みが消える。
 その顔が、冷たい怒りに染まっていく。
 フーケの手には、既に杖が握られていた。
「大言壮語もそこまでいくと笑えないねぇ……」
 フーケが呪文の詠唱に入る。いや、違う。
 フーケの呪文はすでに完成していた。
 フーケの杖から魔力が迸る。
 そのあまりに速い呪文の発動に、キュルケとタバサの対応が遅れた。
 フーケの唱えたその呪文は、ほとんど詠唱を必要としない、『土』系統魔法の基礎の基礎。
 『土くれ』のフーケにとっては児戯にも等しいドット・スペル。
 『錬金』だ。

「『土くれ』のフーケをお舐めでないよ!!!! 小便くさいガキ共がッ!!!!」

 タバサとキュルケの周りの大地が一瞬で泥沼へと変わり果てる。
 突然水面に放り出されたも同然の二人はなんら抵抗することも出来ず泥の海へ沈んだ。
 フーケの瞳が冷たく光る。
 フーケは一切の容赦も慈悲も無く、次の呪文の詠唱を開始した。
「そして再び泥をもとの大地に戻す!! 土に抱かれて溺れ死ねッ!!!!」
 フーケの杖が輝くその刹那。
 今度は―――タバサの方が速かった。
 泥沼と化した大地の中心が渦を巻く。
 竜巻だ。
 突然巻き起こった竜巻が泥を吹き飛ばしていく。
 巻き上げられた泥が雨のように降り注いだ。
 泥が巻き上げられ、ぽっかりと空いた穴から赤い影が飛び出してくる。
「やだわ、髪も洋服も汚れちゃった」
 『レビテーション』で穴を脱出したキュルケは、着地してすぐさま次の呪文を唱えるとフーケに向かって杖を指した。
「ファイアーボール!!」
 杖の先からバスケットボールほどの大きさの火球が迸る。
 高速で迫り来る火球をフーケは右に転がり込んでかわした。
 火球はそのまま一本の木に着弾すると、爆発的に燃え上がってその木を焼き尽くした。
 フーケは信じられないものを見るようにその様を呆然と見つめている。
(この威力……! ドットクラスの生徒に出せるものじゃない……!!)
 タバサが穴から顔を出した。
(さっきの竜巻はこいつか…!? あれだけの泥を一瞬で巻き上げるなんて、こいつら一体……!!)
 フーケはようやく理解した。目の前の二人はただの未熟な生徒などではない。
 自分を狩りうる、立派な狩猟者だ。
「舐めてたのはどうやら私の方だったみたいだね……もう一度私に名乗ってみな。土くれのフーケが覚えておいてやるよ」

 キュルケが泥に濡れてなお美しいその髪をかきあげた。
 タバサは鋭い光をその瞳にたたえ、杖を構える。

「『微熱』のキュルケよ」

「『雪風』のタバサ」

 風が吹く。生い茂った木の枝が揺れた。
 風は細かい砂を巻き上げ、三人の足元を翳らせる。
 フーケとタバサ。フーケとキュルケ。
 そのちょうど中間で、ひらりひらりと木の葉が揺れる。
 舞い落ちるその葉が地面に着いた瞬間―――三人の杖から同時に魔力が迸った。


 ゴーレムの巨大な拳が天から降り注ぐ。
 ガッツは右に飛び、それをかわす。
 地面に拳が激突する。大地が揺れる。砕かれた土砂が噴き上がる。
 その土煙ごと切り裂いて、ガッツのドラゴンころしがゴーレムの腕を吹き飛ばす。
 しかしゴーレムの腕は余りに巨大。腕を両断するには至らない。
 ゴーレムは次々に拳を落としてくる。
 いつしかガッツは防戦一方の戦いを強いられていた。
(こうもでかくて『鈍い』んじゃあ、手足の端っこをどれだけ斬ってやっても意味がねえ!!)
 ルイズはそんなガッツの様子をハラハラしながら見守っていた。
 ガッツがあんなに頑張っているのに、自分は何もしなくていいのだろうか。
 そう思い、杖を構え呪文を詠唱しようとして―――ルイズは歯を食いしばった。
 先程のガッツの言葉が頭の中で反芻される。

 ―――任せたぜ

 ガッツは私を信用してくれた。信用して『任せる』と言ってくれたのだ。
 ならば私もガッツのことを信じるべきだ。
 ガッツは私に力を溜めていろ、と言った。
 ガッツには何か考えがあるのだ。
 ルイズは動き出そうとする体を必死で押さえ、ガッツの戦いを見守っていた。
 ゴーレムが拳を叩きつける。
 ガッツがかわし、そのたびにゴーレムの腕を斬り付ける。
 何度もそんなやり取りを繰り返しているうちに、ルイズは気がついた。
 何度も叩きつけられるゴーレムの拳、その度に舞い上がる土砂によって、いつしか厚い土煙がガッツの周りを覆っていた。
(ガッツ…あんな土煙の中にいて、ゴーレムのことちゃんと見えてるの……!?)
 ガッツの視界はルイズが思っているよりも最悪だった。
 厚い土煙の壁に阻まれて、ほんの十数メートル先にいるはずのゴーレムの姿が確認できない。
 右を見ても左を見ても、上を見上げたって、見えるのはもうもうと舞う土煙のみ。
 ガッツは上方の土煙を睨みつけ、ゴーレムの一撃に備える。

 ガッツの左側の土煙が割れた。

 ゴーレムの一撃は今までのような打ち下ろすものではなく――――ここにきて、腕全体を使って地面を舐めるように放たれた。
 突如左側から猛然と迫るゴーレムの拳。
 その余りにも巨大な質量がガッツの体を叩いた。
 ゴーレムは容赦なくその拳を最後まで振り切る。
 ルイズの位置からはゴーレムの腕に吹き飛ばされるガッツの姿がはっきりと見えていた。
「いや……」
 ルイズは首を振った。
「いやぁッ!!!! ガッツーーーーーーー!!!!!!」
 悲鳴を上げてゴーレムの拳の先、吹き飛んで宙を舞っているはずのガッツの姿を追う。
 だが、ガッツの姿は見当たらない。
 ルイズは目を見開いた。
 ゴーレムの腕。肩の上まで振り切られた拳の先。
 そこにドラゴンころしを食い込ませて、ガッツがしがみ付いていた。
 ガッツはそのままゴーレムの腕に乗り移ると食い込んだドラゴンころしを力尽くで引き抜いた。
 その勢いのままゴーレムの腕を駆け下りる。
 ゴーレムの右肩、首の付け根辺りまでたどり着くと左手をゴーレムの、人間で言えば鎖骨あたりに当たる部分に向ける。
(まさか……)
 ルイズは固まっていた。
 驚きで、もう声も出なかった。
(ゴーレムの体に取り付くために、わざと攻撃を受けたの!?)

 ガッツが左手の紐を引く。

 ド ゴ ン ッ ! ! ! !

 爆音が轟く。爆炎が噴き出す。放たれる熱と衝撃がゴーレムの体に穴を穿っていく。
 だが足りない。ゴーレムの完全破壊には至らない。
 ガッツはゴーレムの体に穿たれた穴、未だ炎が残るそこに突っ込んだ。
 剣先を頭上に。己自身を弾丸に代えて。

「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 貫く。黒い弾丸がゴーレムの体内を蹂躙していく。
 ガッツの体がゴーレムを突き抜けた。
ガッツはゴーレムの左腰から飛び出し、中空にその体を投げたままルイズを見る。

「今だッ!!!! ありったけぶちかませ!!!!」

 反射的にルイズはファイアーボールの呪文を唱え、杖を振った。
 当然、杖の先から火球が飛び出すことは無く、魔力はゴーレムの体に直接爆発を引き起こす。
「ありったけ……! ありったけ……!!」
 ルイズは無我夢中で杖を振り続ける。
 途中からは呪文の詠唱も怪しくなっていた。
 でも、それでいい。何も問題はない。
 だって、私の魔法は何を唱えたって失敗しかしない。爆発しか起こらないんだから。
 でも今はそれでいい。
 とにかく、あのゴーレムが倒れてくれれば何でもいい。

「倒れろぉ~~~~!!!!!」

 ありったけの感情を込めて杖を振った。
 今までで一番大きな爆発が起こる。

 ピシィ―――!

 ゴーレムの体の表面にヒビが入った。
 ガッツが通り抜けた軌跡をなぞる様に、ゴーレムの体に亀裂が走っていく。
 やがて―――ずずず、と音を立ててゴーレムの体が『ずれ』始めた。
 完全に下半身と分かたれた上半身が、まるで袈裟懸けに斬られたかのように滑り落ちていく。
 右肩から左腰へ切り取られた半身は、大地に落ちると崩れてその姿を失った。
 一度にそこまで破壊されては残る下半身も巨人の姿を保つことは出来ない。
残りの半身もどさりと崩れ落ち、後には大量の砂山が残った。
「やった……」
 目の前の光景に、ルイズは頭が麻痺したように感じていた。
 嬉しすぎて脳がついていかないのか、それとも目の前の光景を信じることが出来ないのか。
 おそらくはそのどちらもなのだろう。
「そうだ…ガッツ……!」
 我に返り、落下したガッツを探す。
 ゴーレムの一撃をまともに受けて、なおかつゴーレムの腰ほどの高さから落下したのだ。
 無事でいるだろうか―――?
 不安に駆られて早足になる。いや、もうルイズは駆け出していた。

 ガッツが落下したあたりで、辺りを見回す。
 ガチャリ―――という音に振り返ると、ガッツが木の陰からその姿を現した。
「上々じゃねえか」
 砂の山になったゴーレムの残骸を見て、ガッツは素直に感心した。
 ガッツの姿は中々に凄まじかった。
 額は割れ、大砲発射とほぼ同時にゴーレムに突っ込んだのがまずかったのだろう、見える部分至る所が焼け爛れていた。
 この分だと甲冑に包まれた部分もどうなっているかわかったものではない。
 ルイズの目にみるみるうちに涙がたまっていく。

「 バ カ ッ ! ! ! ! ! 」

 ルイズは大きく口を開き、腹の底から心を込めて込めて込めまくってそう言い放った。
 そのあまりのボリュームにガッツは思わず耳を押さえる。
 ルイズはガッツの甲冑をぽかぽかと殴り始めた。
「バカッ! バカバカバカッ!! なんであんな無茶するの!! ご主人様を…こんなに……こんなに心配させて……」
 次第に声は小さくなり、最後のほうは嗚咽が混じり始めた。
「使い魔…失格なんだから……」
 ルイズは甲冑に頭を押し付けて泣き出してしまった。
 さて、どーしたもんかとガッツは頬をかく。
 ルイズの肩を掴み、押し放すとこう言った。
「あー…悪かったな、以後気をつける」
 それだけ言い捨ててゴーレムの残骸のほうへ歩いていく。
 ルイズは涙を拭いながらその背中を見つめた。

 間違いない。
 短い付き合いだけど、わかる。

 ―――こいつ絶対反省してねえ。

 ルイズはちょうど足元にあった小石をガッツに向かって蹴飛ばした。


 氷の槍が土を砕く。炎がフーケのマントを掠めていく。
 タバサの『氷の槍(アイス・ジャベリン)』を立ち上げた土の壁で防ぎ、キュルケのファイアーボールを間一髪でかわしてから、フーケは一気にキュルケに向かって駆け出した。
 キュルケは慌てて次の呪文の詠唱に入るが間に合わない。
 フーケの手にはいつのまにかナイフが握りこまれている。
 そのままキュルケの喉を切り裂こうとフーケが腕を振るおうとしたその時、タバサの杖がフーケの足を払った。
 ナイフはキュルケの肩を浅く切り裂くに留まった。
「ちぃッ!!」
 フーケはキュルケの傍を転がって、崩れた体勢を立て直す。
 そして二人に目を向けて、驚愕した。
 『雪風』のタバサはすでに新たな呪文の詠唱を終えている。
(足を払いに来たときにはすでに詠唱を始めていたのか!!)
 フーケは杖を振るい、目の前に土の壁を立ち上げた。
 先程のアイス・ジャベリンくらいのものならばこれで十分防ぐことは出来る。
「そう防ぐことは十分予測できた。同じ手を二度繰り返すのは、愚策」
 タバサの杖が振るわれる。
 唱えられた魔法は風のドット・スペル、『エア・ハンマー』。
 風の塊がフーケの立ち上げた土壁を吹き飛ばした。
 そしてその土はそのままフーケの目を眩ませる煙幕となる。
 吹き飛んだ土がフーケの目に飛び込んだ。
「くぁ…しまっ……!!」
 咄嗟にフーケは目を瞑る。
 ス―――
 阿吽の呼吸で既にフーケの後ろに回りこんでいたキュルケがその顔に杖をつきつけた。
「チェックメイトね。杖を捨てなさい、フーケ」
 フーケは杖を捨てると、降参だというように両手を上げた。
「まったく…私も運がないねえ。まさかたかだが魔法学院の一生徒がこれほどの腕を持ってるなんてね。これなら学院の教師に追われたほうがよっぽど良かったよ」
「あたしとその子は特別なのよ。タバサ、フーケの腕を縛って」
 タバサはコクリと頷くと杖を下ろし、縄を持ってフーケに歩み寄った。
 フーケは上げていた両手を下ろした。
「フーケ、妙な真似はやめなさい」
「わかってるよ。大体、杖の無いメイジはただの人さ。魔法を唱えることなんて出来ない」
 フーケの目がギラリと―――獰猛な肉食獣のように輝いた。
「だから―――!!」
 フーケの手がキュルケの右手、フーケに突きつけていた、杖を持つ右手を掴んだ。
「あんたの杖を使わせてもらうよッ!!!!」
 キュルケの持つ杖が輝く。
 フーケに歩み寄ろうとしていたタバサの体が吹き飛んだ。
「タバサッ!!!!」
「お友達の心配してる場合かい!?」
 地面に膝をつけたまま腰を回転させてキュルケの方を振り返る。
 その勢いのままキュルケの肝臓を拳で打ち抜く―――はずだった。
「やほー」
 突然目の前にどアップで映された栗の姿にフーケの動きが止まった。
 フーケは見た。パックがキュルケの胸元からするりと出てきたのを。
 フーケの顔が怒りで紅潮する。
「どこに潜んでいるのかと思ったら……!! この変態妖精…!!」
「な!? 失敬な!! オレが入れてって頼んだんじゃないぞ!!」
「やかましい!! あんたが逃げるのに一番邪魔なんだよ!! 潰れな!!」
 フーケはキュルケに向かわせていた拳をパックに向けて振るう。
 しかしパックは木の葉のようにひらりとその拳をかわした。
 木の枝まで飛び上がると、悠然とフーケを見下ろす。
「エルフ次元流を極めたこの儂に拳を当てることができるとお思いか?」
 どこから用意したのか、着物に着替え、髭をもじゃりと生やしたパックはほっほっほと勝ち誇る。
「こ、このガキ……!!」
 怒りのあまりフーケの額に血管が浮き出てピクピクと震えた。
「いつまで握ってるのよ!! 離しなさい!!」
 フーケに手首を握られたまま、キュルケは魔法を発動させる。
 迸る熱を感じたフーケは即座にキュルケの手を離すと自らの杖を拾い、バク転してキュルケから距離をとった。
 タバサが口元を拭いながら立ち上がった。
「迂闊」
 タバサの手はしっかりと杖を握りこんでいた。
 その目は油断無くフーケを睨みつけている。
(チッ……今ので仕留められなかったのは痛いねえ……)
 フーケは冷静に二人の姿を観察する。
 微熱のキュルケ。雪風のタバサ。
 まだまだ二人は余力を残しているように感じられる。
(対してこっちはもうほとんど精神力はカラ……そうするとここは……『逃げ』の一手だね!!)
 フーケは踵を返すと二人に背を向け、駆け出した。
「逃がさないわよオバサン!!」
「誰がオバサンだこらぁ!!!!」
 フーケは振り返って思いっきり怒鳴る。
 だが、さすがに土くれのフーケ。グングンとその姿が遠ざかっていく。
 タバサが指笛を鳴らす。上空で待機していたシルフィードがすぐに降りてきた。
「パックも乗って!!」
「あいよ!」
 キュルケが服の胸元を大きく開く。
 あらわになる谷間にパックは飛び込んだ。
 シルフィードが二人を背に乗せ、飛び立つ。
「あれ?」
 パックが素っ頓狂な声を上げた。
「どうしたの?」
「おかしいよ、あの人。小屋のほうに戻ってる」
「どういうことかしら?」
「おそらくは、あのゴーレムを使うつもりだと思われる」
 タバサが指差すそこには、未だあの巨大なゴーレムが聳え立っていた。
「多分、フーケの精神力はさっきのやり取りで底をついた。彼女にはもうあのゴーレムを使うしか手が無い。苦肉の策」
 タバサの指摘は実際当たっていた。
 フーケは木々の隙間から垣間見える、己の作り出した巨大なゴーレムの下へ一直線に走っていた。
(あのチビと風竜がいる以上逃げ切ることは不可能…! ゴーレムであいつら全員を叩き潰す…勝率は良くて三割程度……この土くれのフーケがこんな博打に出ないといけないとはね…!!)
 シルフィードの上でタバサは口を開いた。
「何もフーケとゴーレムの合流を待つ必要は無い。今叩くべき」
「ちょっと待って…! あれ!!」
 パックがゴーレムのほうを指差した。
 キュルケとタバサはその小さな指が差す先を見る。
 ゴーレムの肩口から爆炎が噴き出していた。
 それから、何度も何度もゴーレムの体が爆発する。

 ドウン―――………

 ゴーレムの体を打つ爆音を、遠くで聞いた。
 一縷の望みをかけて走るフーケの目の前で、その自慢のゴーレムは崩れ落ちていく。
「嘘…だろ……?」
 フーケはその足を止めた。
 あそこにはヴァリエールの小娘とその使い魔しかいなかったはずだ。
 魔法を使えないメイジと、剣を振ることしか能がない傭兵。
 そんな二人に、どうしてゴーレムが破壊されているのか。
 何がなんだかわからなかった。
 フーケの背後にシルフィードが降り立つ。
 今度は抵抗する気力も起きなかった。
 後ろを振り返ることもせず両手を上げる。
 その顔には呆れを含んだ微笑が浮かんでいた。
(まいったよ…まったく……)
 心の底からのハンズ・アップ。
 土くれのフーケがお縄についた瞬間だった。


 青空の下を馬車が走っている。
 本来荷物を運搬するために用いられるその馬車には屋根がついていない。
 その乗車スペースには、キュルケとタバサが並んで座り、その向かいにルイズ、その三人の間に杖を取り上げられ、縄でぐるぐるに縛られたフーケが横たわっていた。
 御者を務めているのはガッツである。
「ルイズ、ダーリンの足を引っ張らなかったでしょうね?」
「ふん、何言ってるのよ。あのゴーレムはちゃんと私とガッツの二人でやっつけたんだから!」
 キュルケのからかいにルイズは胸を張って答えた。
 ルイズはいつもの調子を取り戻しているように見える。
 満足そうにキュルケは頷くと、フーケから取り返した覇王の卵をしげしげと見つめた。
「しかしまあ…見れば見るほど奇妙なマジック・アイテムね。ねぇ、タバサ?」
「近づけないで」
 タバサは覇王の卵から出来るだけ離れようと身を縮こまらせている。
 本を開いてはいるが、果たしてその内容が頭に入っているかは怪しかった。
(そんなに気持ち悪いのかしら?)
 そんなことを思いながら、キュルケは御者を務めているガッツの背中に声をかけた。
「ねえ、ダーリンは何でこれのことを知ってたの?」
 ガッツは振り向かない。
 ただ、低い声でこう言った。
「ソレを俺に見せるな。胸糞が悪くなる」
 そうまで言われてはこれ以上突っ込めない。
 過去に何か嫌なことがあったのだろうか?
 キュルケは首をかしげた。
「ひとつだけ教えておくれよ」
 荷台に寝そべったまま、フーケは首をガッツの方に向けた。
「あの時あんたが言ってた覇王の卵の使い方は出鱈目なんだろ? あんた、本当に覇王の卵の使い方は知らないのかい?」
「今更そんなの聞いてどうするのよ」
 ルイズは呆れたように言った。
「気になるじゃないか。これから長い牢獄生活が始まるんだ。慰みに知っておきたいんだよ」
 そこまで言ってフーケはガッツの返答を待つ。
 キュルケもルイズも黙って耳を傾けていた。なんだかんだ言ってこの二人も気になるのだ。
 ガッツはあくまでこちらを振り向かず、言った。
「あんた、恋人はいんのか?」
「嫌味かい? そんなもんいたらこんな家業に足突っ込んじゃいないよ」
 フーケははん、と鼻を鳴らした。
「家族は?」
 フーケの動きが止まった。
 その目が少し優しげに見える。
 家族を思い出しているのだろうか。ルイズはそう思った。
「それが…どうしたんだい?」
 しばらく沈黙が続く。
 馬車に乗る全員がガッツの言葉を待っていた。
 ガッツはゆっくりと口を開く。
「そいつらの命を神様に捧げるのさ。そうすりゃその卵はアンタに力をお授けになる」
 全員が息を呑んだ。
 皮肉げに笑っているが―――ガッツのその声にはどこか、激しい怒りと憎しみが含まれているように感じられた。

 フーケが笑い出した。
「あっはははははは!! なんだいそりゃ!! てんで使い物にならないじゃないか!!」
 ひとしきり笑って、最後にぽつりと呟く。
「何が……幸せの宝箱だ」
 ルイズは己の膝をかき抱いた。
 ガッツの気持ちがなんとなく伝わってきて、いたたまれなくなる。

 私は―――何て無力なんだろう

 あの時は、力を欲した。無力な自分を心底嫌悪した。
 キュルケの手の中で紅く輝く覇王の卵を見つめる。

 でも―――もし力が手に入るとしても

 そのために、他の誰かを犠牲にしなければならないのだとしたら。

 そんな力は―――絶対に要らない

 ルイズは強く、そう思った。


 かくしてフーケはトリステインの王宮に引き渡され、投獄されることになる。
 無事覇王の卵を取り戻してきたことにオスマンは大層喜び、ルイズとキュルケにはシュヴァリエの勲章を、タバサには精霊勲章を授与することを確約した。
 ガッツには約束通り、装備一式に『偉大なる』オールド・オスマン全力の『固定化』を施した(とはいえ、ドラゴンころしはやはり『固定化』の干渉も受け付けなかった)。
 覇王の卵は今度こそ真実オスマンしか知らない場所に封印された。
 ルイズから、覇王の卵の件はオスマンがフーケに喋っていたことをガッツに密告(チク)られ、散々睨みをきかされたので今度は大丈夫であろう。
 ちなみに、ガッツは自分の世界に帰ることが出来たなら、その際に覇王の卵を寄こすようオスマンに持ちかけた。
 オスマンはハルケギニアから持ち去ってくれるなら問題はない、とこれを快諾している。
 そしてこの日の夜はおりよくフリッグの舞踏会。
 主役はもちろん、土くれのフーケを捕らえた三人であった。
 アルヴィーズの食堂の上の階、大きなホールとなっているそこで、フリッグの舞踏会は行われていた。
 タバサは無心で料理を平らげ、キュルケは相変わらず多くの男子生徒と談笑している。
 パックもまた、タバサと同じテーブルに取り付き、むしゃむしゃとりんごをほおばっていた。
 会場にはガッツと決闘を繰り広げたギーシュ・ド・グラモンの姿もある。
 彼は金髪の縦巻きロールの少女に踊りを申し込み、見事に玉砕していた。
 ルイズは―――会場の中をキョロキョロと見回していた。
 その身には煌びやかなパーティードレスを纏い、その可愛らしさが一段と際立っている。
 ルイズの可愛らしさは、そこに集まった少女たちの中でも抜きん出ていた。
 今夜になってルイズの魅力に気づき、ダンスを申し込んでくる男たちを、しかしルイズは全て断っていた。
 散々会場内を見回して、ルイズは肩を落とすとバルコニーに出た。
 後ろで行われているパーティーの喧騒が、急に遠くに感じられる。
 月明かりを受けて、魔法学院の庭園が静かに輝いていた。
 ため息をつきながらルイズはしばらく庭を眺めていたが―――何かを確認すると、すぐに会場内に駆け込んだ。

 双月の下で、ガッツは剣を振っていた。
 ルイズからはパーティーに出席するよう命じられていたが、煌びやかに着飾った貴族たちが談笑するそんな会合に出席するのはごめんだった。
 それよりも、ゴーレムに受けたダメージを確認するように剣を振り続ける。
 顔を上げれば、えらく騒がしい部屋が見える。おそらくそこでパーティーは行われているのだろう。
 さく、と草を踏む音がした。
 音のしたほうに目を向けると、料理をのせた小皿を持ってルイズが立っていた。
「何してんだお前?」
「それはこっちのセリフよ! ちゃんとパーティーに出なさいって言ったでしょう!? まったく……はい、これ」
 ルイズは料理ののった小皿を差し出した。
 ガッツは剣を置くとそれを受け取り、料理を口に運ぶ。
「へえ…うめえなこりゃ。大したもんだ」
「当然よ。この魔法学院でも一年に一度出るか出ないかのご馳走だもの。ほ、本来なら使い魔にこんなの食べさせちゃだめなんだけど……今日は特別なんだからね!」
 ルイズは何故か顔を真っ赤にするとぷい、とそっぽを向いた。
 何なんだ、と思いながらもガッツは有難く料理を平らげる。
「わざわざありがとよ。うまかったぜ」
 ガッツは皿をルイズに返した。
 ルイズは皿を受け取ってもそこから動こうとしない。
「……どうした? パーティーの主役がこんなとこにいつまでも突っ立ってちゃまずいんじゃねえのか?」
「ガッツも一緒に戻りましょ。あんただって、今回の主役の一人なんだから」
「いいよ。俺はここで剣を振ってるほうが性にあってる」
 ルイズはバレッタで纏めた髪を指先でいじった。
 ガッツは放っておけばまたすぐに剣を振り始めそうな様子である。
 あ~もう、しょうがない。ルイズは腹を決めた。
 だって、思ってしまったのだ。
 鏡の前で、ドレスを身に着けたとき。
 髪を整え、化粧を施してもらっているときに。
 ガッツに見てもらいたい。
 今日は、どうしてもガッツと踊ってみたい―――と。
 ルイズはそっと手に持っていた皿を地面に置く。
 それからドレスの裾を恭しく両手で持ち上げると、膝を曲げてガッツに一礼した。
「わたくしと一緒に踊ってくださいませんこと。ジェントルマン」
 ルイズは頭を下げたままちらっとガッツの顔を見た。
 あ、おもしろい。ガッツが目をぱちくりさせてる。
「……へえ、そうしてると一端の貴族様じゃねえか、ルイズ」
 んん? 今のはひょっとすると褒めてくれたんだろうか?
 なんだか、馬鹿にされたような気がしないでもない。
 複雑な気持ちでルイズは顔を上げた。
 ガッツがその右手を差し出していた。
 ぼっ! と、途端に顔が熱くなる。
「言っとくが、俺は踊りなんてできねえぞ」
「あ、だ、だい、だいじょうぶ。わわわたしがリードするから!」
 わたわたとルイズはガッツの手をとった。
 おいおい本当に大丈夫かこいつは。
 ガッツは顔に呆れを浮かべながら―――ほんの少し、微笑んだ。
 月明かりの下で、遠くから聞こえる喧騒をバックミュージックに二人は踊る。
 二つの月の柔らかな光が、ルイズのドレスに散りばめられた宝石を輝かせていた。

「あのね、ガッツ」
 ルイズが今日、ガッツにどうしても会いたかったのはもうひとつ理由がある。
 絶対に言わなきゃならないことがあるのだ。
「今日は、何度も助けてくれてありがとう」
 この言葉を、どうしても言いたかった。
「頼りにならないご主人様だけど……これからもよろしくね」
 もちろん、ガッツが帰る方法はきちんと探すわよ。最後にルイズはそう付け加えて笑った。
 しばらく沈黙のまま、ぎこちない足運びのダンスが続く。
「貴族の資格がどうのこうの言っていたが―――」
 ガッツが口を開く。
 ルイズははっとして顔を上げる。
 ガッツと視線が絡み合う。
「お前が、お前でいることに何か資格がいるのか?」
 ルイズの足が止まる。ただ呆然とガッツの顔を見上げている。

 ルイズ・フランソワーズ(私)がルイズ・フランソワーズ(私)であるための資格―――?

 ガッツにはルイズの苦悩はわからない。身分にまったくこだわりを持たないからだ。
 故にガッツには、ルイズの劣等感(コンプレックス)を理解することは出来ない。
 だけど、だからこそ、ガッツは本心からこう思っている。
 ルイズはルイズらしくあればそれでいい、と。
 ルイズは思わず顔を伏せた。
 まったく、今日は泣いてばっかりだ。
 こぼれそうになる涙を堪えながら、ルイズは何だかおかしくって笑った。
 ぽろりとこぼれた涙が月光を受け、きらきらと宝石のように輝く。

 でも―――いいや。だってこれ、嬉し涙だもん。

 再びルイズの足がステップを踏む。
 それは、先程よりも軽やかに。
 ルイズは顔を上げて、微笑んだ。

「ありがとう」

 最後にもう一度、心からの感謝を。
 ルイズの心に涼やかな風が吹いた。

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