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  • あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
  • ゼロと魔砲使い-19

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロと魔砲使い-19

最終更新:2024年09月23日 19:56

anozero

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 ワルドが借りた船の名前は「マリー・ガラント号」といった。
 この地ではよくある貨客船だが、一見みすぼらしげな見た目に反して、一等船室と称されている部屋はルイズでも満足できる快適さと豪華さを兼ね備えていた。
 「船を借り切ろうなんて考える客は、たいてい貴族か大商人ですからね。乗り合いじゃない船には、こういう部屋も必要なんですよ」
 言われてみれば確かにその通りだったので、ルイズ達も納得した。
 「ただすみませんね。さすがにこちらも貴族の方がこんなに大勢で来るとは思っていませんでしたから」
 一等船室は四人程度で満員になってしまう。当然控えの間というか、世話人の部屋もあるので泊まるスペースには事欠かないが、どうしても格が桁違いに落ちる。
 貴族のプライドは高いだけに、こういう点でよくもめるのということを船長は熟知していた。
 もっともその心配は杞憂であった。男二人、ギーシュとワルドが「さすがに同室はまずい」と引いたので一等船室はルイズ、キュルケ、タバサ、ロングビルの四人が使い、ギーシュとワルド、及びなのはは控えの間になった。

 出港して少し落ち着いた頃、サロンに集っていた一同に対して、ワルドが言葉を投げかけてきた。
 「そういえば彼らは君の友人かい? 出来れば紹介してもらいたいな」
 「あ、そういえばろくに挨拶もしていませんでしたね」
 ルイズもそのことに思い至った。ある意味仲がよくなりすぎたがための問題だろう。
 「ではまず私から……」
 口火を切ったのはキュルケだった。
 「私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。二つ名は“微熱”。キュルケと呼んでくれていいわよ、すてきなお方」
 「ツェルプストーというと、確か」
 「そ、ルイズのお隣さんよ。ただ、ご存じかどうかは知らないけど、ツェルプストーとヴァリエールは色事に関してトラブルが多いから、この場では控えておきますわ。この場では」
 最後の「この場では」をわざわざルイズを見ながら言うキュルケ。ルイズが爆発し掛かるが、何とか自分を押さえ込んだようだった。
 「あ・ん・た・ね~」
 「はいはい後々。まだ紹介が終わっていませんわ」
 次に一歩進み出たのはタバサだった。
 「タバサ」
 そう一言言っただけで引き下がる。
 さすがにワルドも二の句を継げられなかった。
 「あ……いや、よろしく」
 そういうのが精一杯だ。
 何となく気まずい雰囲気になり掛かったが、そこにすかさず次が出た。
 「あ、ぼ、僕はギーシュ。ギーシュ・ド・グラモンです。はじめまして」
 「グラモン? というと君は元帥の」
 「はい、四男になります」
 「いつも元帥にはお世話になっている。よろしくな」
 「こ、こちらこそ! グリフォン隊の若き隊長であるあなたと話が出来て光栄です!」
 「はっはっはっ、そう緊張しなくてもいいよ。ルイズの友達であるようだね。よろしく頼むよ」
 嫉妬の影すら見せぬ余裕ぶりであった。いつものギーシュなら反発するところであろうが、目の前の人物があこがれに近いエリートであるというおかげてそれは相殺されていた。
 次いでミス・ロングビルが挨拶をする。
 「わたくしはロングビルと申します。元貴族でしたが、今は家名を失い、学院で秘書をしているただの平民でございます。此度は元アルビオン出身ということで、案内役を申しつかりました」
 「それはそれは。よろしくお願いします」
 元貴族、ということを考慮したのか、やや素っ気なしに返答するワルド。この場合、相手を持ち上げるとかえって失礼になる。
 「ルイズ、どうやらたくさん友達が出来たようだね」
 「え、あの」
 なのはの紹介がまだなのに、まるで全員の紹介が終わったかのような態度を取るワルド。
 思わず混乱したルイズだったが、彼女をそっと押さえるようにキュルケが前に出た。
 「ええ、いろいろありましたけど、今は仲良くやってるわ。ご心配なく」
 その背後でタバサがギーシュに耳打ちをしていた。ギーシュはそれを聞くとちょっと驚いたようになり、その後唇を食いしばるようにしてワルドに向かった。
 「し、失礼します!」
 「ん? どうかしたのかい?」
 「はい、今回、こんな貴重な機会を得たので、至りませんが一手御指南いただきたく!」
 それを聞いてワルドの顔もほころんだ。
 「ははは、男だね。いいだろう。甲板でいいかな?」
 「はい!」
 二人は連れだって上甲板へと上がっていった。

 二人の姿が消えたのを確認すると、キュルケはルイズを解放した。
 「ちょっとキュルケ、なによ一体。なのはのこと紹介できなかったじゃない」
 「あ、やっぱりそう思ってたんだ」
 納得する様子を見せるキュルケだが、ルイズは納得しない。
 「どういうこと?」
 「簡単よ。ワルド様は、たぶんなのはのことを、あなた付きの侍女か何かだと思ってるのよ」
 「あ」
 いわれてルイズも納得した。侍女だと思っていたのなら、紹介なんかしたらかえって面食らう羽目になる。よほどのことがない限り、メイド達は『いないもの』とするのが貴族のたしなみだ。
 もっともルイズにしてみれば、なのははその『よほどのこと』にあたる。だがそれをいう前にキュルケはルイズにいった。
 「気持ちは判るけれど、しばらくは誤解させておきなさいな。手札は多い方が有利よ」
 「なんの手札よ!」
 もっともルイズにも判っていたようで、顔は真っ赤だ。
 当のなのはは、そんな二人を見て笑っていた。
 もっとも、キュルケの気遣いは、ほんの数時間しか持たなかった。主に外的な要因で。







 チャーター便ということもあって、マリー・ガラント号は他の船に先んじて出航していた。
 そのため、周囲には他の船の姿はない。
 が、それが裏目に出たようだった。
 順調かと思われていた航海が、にわかに慌ただしくなってきた。
 初めにそれに気がついたのは、タバサだった。
 「変」
 読んでいた本から目を外し、一言そうつぶやく。これはきわめて珍しいことだった。
 それが珍しいことを知っているキュルケが尋ねる。
 「どうしたの、タバサ」
 「上が騒がしい。何かあった」
 「何かしらね……」
 つぶやきつつ窓から外を見ると、視界に何かが写った。
 「船かしら」
 「こっちに近づいてくる船? 空賊でも出たの?」
 何気なくつぶやいたルイズだったが、答えは思わぬものだった。
 「それ、あたりかも知れない」
 ふと気がつくと、いつの間にか彼女は杖を握っていた。
 「上の音を拾ってみたら、そんなことが聞こえてる」
 「まじ?」
 思わず冷や汗を流すルイズだった。それをごまかすようにいう。
 「とにかく上に行ってみましょ。ワルド様達もいるだろうし」



 艦橋は慌ただしくなっていた。
 「なんてこった! こんなときに空賊とは……」
 「貴族のお客さん、多いっスからね」
 船長のぼやきに船員がツッコむ。
 「恥を忍んで手伝ってもらったとしても、さすがになあ」
 こちらは装甲もしていない民間船、相手は間違いなく武装船である。まともに立ち合ったら勝ち目はない。
 客の貴族が腕利きだとしても、そもそも空中戦においては船の性能がものをいう。こちらが相手を墜とせても相手に墜とされたら負けである。そういう意味において、この船は守りが薄すぎた。
 「何事かね?」
 そこに甲板で一汗かいていたワルドとギーシュが飛び込んでくる。不審船を見とがめて事情を聞きに来たのだ。
 「空賊でさあ」
 答える船長の声には元気がない。
 「先ほど確認しましたけど、ありゃれっきとした武装船だ。お客さん方の腕前を借りたとしても、砲撃でこっちが墜とされるのが先でしょうね」
 「それはまずいな……私は風のスクウェアだから戦うことはやぶさかではないが、それではこの船が守りきれないか……」
 「砲弾は防げませんか」
 問い掛けるギーシュに、ワルドは答える。
 「ああ。空気の壁を作る魔法でも、重い砲弾に対してはほとんど無力だ。私のグリフォンと、あと確かタバサという子の使い魔が竜だったから攻めることは不可能ではないが、相手の砲撃が一発でも当たったら、こちらの負けになる」
 「厳しいですね……僕の練金じゃ、船を装甲するなんて無理だし」
 そこに転がるように女性陣が飛び込んできた。
 「空賊が出たんですって!」
 先陣を切ったのはルイズだ。
 「おや、ずいぶん耳が早いね。実のところ、その通りだよ」
 こういう間にも、不審船はどんどん近づいてくる。こちらを目標にしているのは明らかだ。
 「蹴散らすことは出来ませんの?」
 そう上目遣いで問い掛けるルイズに、ワルドは心底残念そうな顔でいった。
 「僕と、後補助一人……そちらの、風竜を使い魔にしているお嬢さんの力があれば攻められないことはない。ただ、守りが足りない。敵の砲撃を一発でも受けたらこちらの船は航行不能になる。そうなったらこちらの負けだ」
 その時、艦橋に絶叫と緊張が走った。
 「敵、撃ちました!」
 まだ小さく見える船から、小さく煙のようなものが上がった。
 少しの間を置いて、船の上方を何かか飛んでいった。巻き起こる風で船が揺れる。
 「わっ」「きゃっ」「うおっ」
 慣れていないキュルケ達が体勢を立て直すのに必死になる。
 「ちっ、上かよ……いい砲積んでやがんな」
 船長がぼやくようにいう。
 「お客さん、申し訳ないが、降伏することになります。なに、身の安全は相手も守るはずです。そうじゃないと身代金も取れませんからね」
 「そんな……?」
 憤るルイズの肩を、誰かが叩いていた。振り返ると、それはなのはだった。
 「どうしたの、なのは」
 「今の砲撃、かなり揺れましたよね……ちょっと確認してください」
 言われたことを、船長に確認すべくルイズは言った。
 「あの、船長……今の砲弾って、ひょっとして丸いですか?」
 一瞬あっけにとられる船長。それでも貴族の質問である。
 「てか、普通砲弾は丸いもんですが……丸くない砲弾なんてあるんですか?」
 それを聞いたなのははルイズに言った。
 「大丈夫です。なら、守れます」
 「いいの?」
 「万一があったら困りますから」
 それを聞いたルイズは決断した。



 砲撃で船が揺れた……つまりそれは、砲弾が乱流を巻き起こしていると言うことである。
 つまり砲弾が流線型をしている確率は低い。それならば初速も遅く、威力も低い。
 それがなのはの計算であった。



 「船長。降伏は無しよ。徹底抗戦するわ」
 ルイズは船長達の前で宣言する。
 「な、勘弁してくださいよ!」
 「ルイズ!」
 船長だけでなく、ワルドも止めに入る。だが、ルイズは言い切った。
 「安心して。私の使い魔は……最強よ」
 それに応えるように、艦橋に桃色の光が満ちた。







 「変ですね……降伏旗が上がりません」
 「そうか。逃げ切るつもりかな。なら砲撃後に移乗白兵戦だな。あの船はたしか民間の貨客船だったはずだな」
 「はい。おそらくはマリー・ガラント号かと」
 「だとしたら、これは相当大物を抱えていると見た」
 襲撃側のこの見立ては正しかった。かの船は大物を山ほど積んでいた。
 唯一の誤算は……敵の護衛にあまりにも非常識な相手が乗っていたことであろう。



 観測手は、相手の甲板に、奇妙なものを見た。
 白を基調とした、奇抜な格好の女性らしき姿。その手には、随分と長大な杖。
 彼は傍らの伝声管に向かって叫んだ。
 「目標の甲板上にメイジの女性らしき姿が見えます」
 それを聞いた空賊の船長はつぶやく。
 「魔法で何とかするつもりか? とにかく、撃て」
 空賊船の砲が、一斉に火を噴いた。大半は外れたが、そのうちの二発は命中コースを取っていた。



 一方、受ける立場のマリー・ガラント号では。
 「ルイズ、彼女は……」
 謎の光と共に姿を変えた侍女に、ワルドは驚愕しつつもルイズに聞いた。見れば彼女の友人達は誰一人として驚いた様子はない。ということは彼女たちは知っていたのだろう。
 そしてルイズは、驚嘆するようなことをさらりと言った。
 「彼女はあたしの使い魔よ。名前はなのは。まあ見てなさい。あの空賊達もかわいそうに。自分が誰に喧嘩を売ったのか、思い知るといいわ」
 そしてなのはが甲板に立った直後、相手の船が砲撃を開始した。
 「船長! 二発来ます!」
 こちらの観測手からの連絡が届き、艦橋内の空気が緊迫する。
 「総員備え……なあああっ!」
 備えろ、と言いかけた船長のかけ声は、後半が別物に取って代わられていた。
 「なん、だと……!」
 ワルドも声も出ない。
 つい、と滑るように虚空に躍り出たなのは。そのまま宙に浮く彼女は、一転して目にもとまらぬ速度で動いた。
 かざす手からは光の陣が展開される。彼女はそのまま砲弾に突撃していき……



 光の盾で砲弾を難なくそらしてしまった。



 一発目をそらすと、そのまま即座に位置を変え、二発目も同じように光の盾をかざす。斜めに向けられた盾は、直撃した砲弾にひるむことなく、その進路をするりとねじ曲げていた。
 それを見ると同時に、ルイズが口を開く。
 「三発までなら何とかなるって。出来たら援護がほしいっていってる」
 それを聞くと同時に、タバサが動いた。
 「実戦練習」
 「任せたわ。さすがにここじゃ私は足手まといだし」
 キュルケの言葉に送られて、タバサは駆け出していく。
 数分の後、シルフィードに乗ったタバサが、相手の船に向かって飛んでいった。その間にもう一度砲撃があったが、命中コースに乗っていったのは一発だけ。なのはが同じようにしてあっさりと進路をねじ曲げると、そのまま彼女も敵船に向かって突撃していった。
 その速度は風竜に匹敵していた。



 後はもはや勝負にすらならなかった。
 距離を詰めたところでなのはからの砲撃。彼らが見たこともない光の魔法が、一撃でマストの上半分を消し飛ばした。
 そこに向かってくる竜に乗った少女。
 タバサは、なのはの魔法に唖然となっている空賊達に猛然と襲いかかっていった。
 「うわあっ!」
 まずはトルネードで露払い。このままシルフィードの上から魔法を放っているだけでもいけそうな気はしたが、それでは『訓練』にならない。
 ある意味ひどく傲慢なことを考えながら、タバサは飛んだ。
 (シルフィード、後詰めをお願い)
 (了解なのね、お姉様。きゅい)
 バックをシルフィードに任せたタバサは、改めて甲板に目を向ける。
 その時に気がついた。マルチタスクの持つ、もう一つのすばらしい……あるいは恐ろしい点に。
 メイジは使い魔と感覚を共有できる。普通は自前の感覚の代わりに使い魔の感覚を借りる形になる。
 だが、マルチタスクを習得していると、自分の感覚と、使い魔の感覚を、混同せずに並列して認識することが可能だった。
 これは大きい。大きすぎる。今のタバサには、自分の背中を前と同時に見ることが可能だった。
 さらに、視点が複数になったためか、敵との間合いが錯覚に惑わされることなく、今まで以上の精度で認識できる。
 これだけでも充分なのに、その相棒は韻竜である。自前の思考で判断が出来るのだ。加えて二人の間には念話という即時的な連絡手段がある。完璧な連携が可能だった。
 その結果……甲板に出ていた賊達は一連の攻撃でことごとく倒された。
 死者はなく、怪我も軽微。だが、こちらの攻撃を背後からのものすら見切り、一発たりとも外れを出さない上、さらに飛翔しながら魔法を撃ち、死角は竜がふさいでいる。その完璧な戦いぶりは、彼らの士気を根こそぎ奪いとった。
 そしてその隙を突き、とどめとばかりに襲い来る白いメイジの光の攻撃。光の玉が、こちらの砲塔を一撃で破壊していく。
 すべての砲が破壊されると同時に、竜騎士の少女を従えた彼女の声が響き渡った。
 「これ以上の抵抗は無意味です。降伏してください」
 彼らに出来たのは、手を上げることだけだった。



 今二隻の船が空中で接舷していた。普通この光景を見たら、空賊に民間船が襲撃されていると思うだろう。
 だが、実態はその真逆であった。
 空賊達は、ひとまとめにして縄で縛られ、甲板に転がっていた。
 もっとも、縄を解いたとしても、抵抗しようという気概のある賊はいなかっただろう。
 それほどまでに、その戦力差は圧倒的だった。
 もっとも……
 「で、とりあえず捕まえたけど、どうします?」
 最高の立役者は、実に間抜けな質問をしていた。
 「そうよねえ。突き出そうにもあれだし、殺すには忍びないし……」
 ルイズもなのはも、実際彼らの処分には困っていた。
 「ワルド様、どうしましょう」
 相談されたワルドも困惑気味だ。彼にしても先ほどの光景がまだ消化し切れていなかったりする。
 何となく硬直したこの場を打ち破ったのは、意外な人物だった。
 「あら……あんたまさか」
 ロングビルが、空賊達の中で一番偉そうな人物の元に近づいていった。
 その人物も何か心当たりがあったらしい。
 「君は……まさか」
 彼女はそれには答えず、彼の頭と髭に手を掛けた。そしてそれをそのまま力ずくで引っ張る。
 と、それらはあっさりとはがれ落ち、現れたのはまだ若い、金髪の精悍な若者だった。
 それを確認すると、ロングビルは普段とは違うはすっぱな口調で言った。
 「なんでこんなところで空賊なんかやってんのさ、ウェールズ殿下?」
 「そういう君は……マチルダかい?」
 沈黙が落ちた。
 そして。



 「「「えええええええええええっ!」」」



 悲鳴の大合唱が、マリー・ガラント号の甲板に響き渡った。







 空賊達は一転して賓客になっていた。といっても人数が多すぎる上、空賊船……王党派所属軍艦「イーグル号」は、満身創痍でまともに航行できなかったため、一人をのぞいて全員が曳航作業中だ。
 その一人……アルビオン王国皇太子、ウェールズ殿下は気まずそうに頭を下げていた。
 「まさか襲撃した船にトリステインからの使者が乗っていたとはね。これは失礼した」
 「いえ、お気になさらずに。むしろ僥倖かも知れませんわ」
 そう如才なく答えるルイズ。そしてルイズはアンリエッタからのメッセージを彼に手渡す。
 中を見たウェールズは、少し眉をしかめた後、丁寧に書簡をたたみ、懐に収めると言った。
 「用件は了解した。ただ、そのためには一度ニューカッスルに戻る必要がある」
 「そうですか。だとするとこのままイーグル号を曳航してニューカッスルに行かないといけませんね」
 「航路については任せてくれ。貴族派に見つからずに帰れるルートは確保されている」
 とりあえず話はまとまった。

 数時間の後、二隻の船は、ニューカッスル城のドックに入港していた。







 城はひどい有様であった。何とか城としての体裁は保っていたものの、もう一度攻撃されたら終わりであろう事は予想に難くない。
 「これは……」
 思わずなのはがそうつぶやいてしまって、ルイズにはたかれるなどという一幕もあったりした。
 唯一の救いは、それでもここにいる人達の顔にはやる気がみなぎっており、士気だけは高そうだということだろうか。
 「殿下」
 道すがらルイズは、そのことをウェールズに聞いてみた。返ってきた答えは、何ともリアクションに困るものだった。
 「もはや我々の間には、裏切り者も脱落者も出ないと判っているからね。そういう輩は、すでに全員脱出済みだ」
 要するにここにいるのは覚悟が完了してしまっている人間だけなのだ。そりゃ士気も高いはずだ、とルイズは納得した。
 納得はしたが、憤懣はたまる一方だった。
 「でもよかったよ、あそこで出会えて」
 唐突にそういうウェールズ。ルイズのみならず、同行していた一同も皆頭が『?』になる。
 「まともに入港して、それからこちらを目指していたら間に合わなかっただろうからね。おそらく明日から明後日くらいには、レコン・キスタがこちらに総攻撃を掛けてくるはずだ。推定兵力三万でね。こちらは五百でそれに当たらないといけないんだ」
 六十対一だ。どう考えてもこちらに勝ち目はない。
 「今夜は最後の壮行会。その後、非戦闘員を脱出させる予定だ。君たちもそれと共にここを去るといい。ああ、お嬢様方」
 「どうかなさいまして?」
 しなを作るキュルケに、ウェールズは軽く頭を下げる。
 「よろしければ今夜、勇者達を見送る花になっていただけませんか?」
 「いやですわ」
 キュルケは一刀のもとに切り捨てる。
 怒りとも悲しみともつかない表情を一瞬浮かべてしまったウェールズに対して、今度はルイズから見てもとっておきと思える笑みを浮かべて言う。
 「私の祝福は、死出の旅に出ようなどという甘ったれた男に送る分など全くありません事よ。私が愛を囁くのは、眼前にひしめく敵を見て、なに、一人六十人だと言い切れる者のみですわ」
 ぽかんとなったウェールズの顔は見物であった。ロングビルがとうとう耐えきれずに吹き出す。
 「アハハハハ、殿下、あなたの負けですわね。私もミス・キュルケに倣うとしますわ。そういう人達が相手ならば、あなたたちに祝福のキスくらいは送って差し上げますわ。過去の遺恨は別にして」
 完璧にしてやられたウェールズは、一行の中で唯一愚痴をこぼせそうな相手……ワルドに向かってぼやいた。
 「やれやれ、とんだ姫将軍達だ。彼女らなら、ひょっとして勝ってしまうかもね。三万相手に」
 「ですな」
 ワルドも頷いていた。



 全員を城内の部屋に割り振ると、ウェールズは改めてルイズを呼び出した。ルイズはなのはを伴って彼の元へ向かう。
 行き先は彼の私室であった。
 部屋に迎え入れられたルイズ達は、そこでウェールズから、手紙を渡された。
 「これがご要望のものだよ」
 ルイズはちらりと目を通し、それをしまった。
 「姫殿下の手紙、確かに預かりました」
 「これで任務達成だね、おめでとう」
 そういうウェールズに、ルイズはきっぱりという。
 「いえ、これを無事に持ち帰るまでが任務です。途中で賊に奪われました、では洒落になりません」
 それを見たウェールズは、何ともいえないいい微笑みを浮かべた。
 「うん、アンリエッタはいい友達を持ったみたいだね。よろしく頼むよ」
 どうやら先ほどの言葉は彼なりの試しであったらしい。
 「それはそうと、僕からもお礼をしたい。恥ずかしながら、万一この手紙が敵の手に渡った時のことを、僕はすっかり失念していたよ。誰にも知られていないというのは甘い考えだったね」
 「いいにくいですが、殿下が討たれた後、偶然人手に渡る可能性もあるかと」
 略奪は戦争の常である。
 「そうだね」
 ウェールズも頷いた。
 「で、何か希望はあるかい? といってもこういう身だ。たいしたことは出来ないけどね」
 ルイズは少し考え……問いに答えた。
 「一番ほしいものは、たぶんいただけないでしょうからいいです」
 「もらえないからいい? それは?」
 いぶかしるウェールズに、ルイズは言った。
 「一番は殿下の身柄です。おそらくですが、姫様の手紙には、殿下の亡命に関することが記されていたと思います」
 その瞬間、明らかにウェールズの顔がこわばった。
 つかの間、周囲を沈黙が支配する。
 「申し訳ない」
 その沈黙を破ったのは、ウェールズの謝罪だった。
 「判っていますわ。今の状況で、殿下が国を見捨てるわけがありません。背後に守るべきものを持つ殿下が」
 「すまないね。アンリエッタに……そうだ」
 ウェールズは身につけていた指輪を外し、ルイズに手渡す。
 その瞬間、ルイズがはめていた指輪との間に光の架け橋が架かる。
 「これは……」
 「そう、アルビオンに伝わる、風のルビーだ。君からアンリエッタに渡してくれたまえ。このままレコン・キスタに渡るよりずっといい」
 ルイズは一瞬困惑してなのはの方を見た。なのはは部屋に入った時から、ずっと表情を崩さない。そこに無言の励ましを感じたルイズは、ウェールズに向き直って言った。
 「判りました。『お預かりいたします』」
 『お預かりいたします』を強調したその言い方に、また一瞬ウェールズはぽかんとなる。そしてその意味が脳裏にしみこむにつれて、今度はそれが笑いに転じてしまった。
 「ハハハハハ、いや、レディの前で失礼。はは」
 こらえきれずに吹き出してしまったウェールズが落ち着くのに数分が必要だった。
 その時、なのはが動いた。ルイズの耳元に、囁くようにあることを告げる。
 ルイズもはっとなってそれに頷いた。
 そしてウェールズの発作が治まったところに、ルイズは聞いた。
 「ルビーを見て思い出しましたけど、テューダー王家には、このルビーと対になるような、あるいは同じくらい古いか由緒あるものが何か伝わっていませんか?」
 突然方向の変わった話題に、笑いの影響が残っているウェールズは一瞬とまどったが、すぐに質問に答えた。
 「風のルビーに匹敵するとなると……『始祖のオルゴール』しかないな」
 「始祖のオルゴール?」
 「ああ。始祖の御代から存在するという触れ込みのものだけど、これがどういう訳だか音が鳴らないんだ。調べてみたけど、何故音がしないのかは原因不明だよ。由来を秘密にして職人にも見せたけど、何故鳴らないのか不思議がってた」
 それを聞いてルイズとなのはは顔を見合わせてしまった。
 似ている。
 文字の書いていない『始祖の祈祷書』
 音の鳴らない『始祖のオルゴール』
 念話以前に、目と目で通じ合ってしまったルイズとなのは。ルイズは必死で鳴る心臓を押さえながら、ウェールズに言った。
 「殿下」
 「?……どうかしたのかい」
 奇妙なまでに声の重いルイズに、ウェールズはいぶかしく思いつつも聞いた。
 「お礼をしていただけるというのでしたならば……見せていただけますか? 始祖のオルゴールを」
 「ん、ああ、確かこの城に運び込まれているはずだからかまわないよ。ああ、場合によっては君に持って行ってもらうのもいいかもね。仮にも始祖の秘宝と伝えられているものを、レコン・キスタの手に渡すわけにはいかない」
 そういうとウェールズは机の脇のベルを鳴らし、侍従を呼ぶ。
 程なく現れた侍従に対して、彼は一言二言告げると、ルイズの方に向き直った。
 「物が物だけに、僕が直接取ってこないといけない。壮行会の開始前に、またここへ来てくれないか?」
 「判りました」
 ルイズは一礼すると、ウェールズの部屋から退室した。



 「よほどの馬鹿か、出来た方ですね」
 割り振られた自室に戻る途中、なのははそうつぶやいた。
 「そうね。あなたのことを、何一つ聞かなかった」
 ルイズにも判っていた。
 未知の魔法で戦艦を薙ぎ倒したなのは。その本人を目の当たりにして、ウェールズはなにも聞かなかった。
 最後の降伏勧告の時、彼は間違いなくその場にいたのだ。興味を持たないわけがない。
 なのに彼は、そのことに関して全く話題を出さなかった。猫の手でもほしい戦況にも関わらず。
 「仕方ないわね」
 部屋の前でルイズはつぶやいた。
 「私じゃボリュームが足りないけど、姫様の代わりは務めましょう。ね、なのは」
 「なんでしょうか」
 「あなたたちの魔法に、こうちょっと増量できるようなのない?」
 なのはは先ほどのウェールズのように、一瞬ぽかんと鳴った後、盛大に吹き出した。
 「こら、吹くことはないでしょ!」
 「す、すみません……無いことはないんですけど、私は使えないんです。変身魔法は、犯罪にも使えるものなので、管理が厳しいですから」
 「あることはあるんだ」
 「はい」
 なのはは十年来の友達が、地元に戻る時、そろそろ使わないとまずいかと言っていたのを思い出す。
 「ま、いいわ。その代わり……」
 「その代わり?」
 「あんたも出なさい! なんで素材はいいのにしゃれっ気がないのよ、あなたは!」
 どうも先日の舞踏会で味を占めたらしい。
 結局のところ、この事態になってもなお城にいるという、鋼鉄の忠誠心を持つメイド達によって、すっかり磨き上げられてしまうなのはであった。







 それは一種微妙な壮行会であった。
 ここに集う者達は、おそらく明日、もしくは明後日には全員命を落としている。だがそれをおびえるものはいない。明日を限りと、婦女子に暴行を働くような男もいない。
 それはまさしく、覚悟を完了してしまった馬鹿の集団であった。
 「見ていていっそすがすがしいけど、私は好きになれないわね」
 先ほどまで若い騎士達の間で大輪の花となっていたキュルケは、誘われつつも壁の花に徹しきっていたタバサに言った。
 タバサは無言のまま、目だけで返事をする。
 「吹っ切るって言うのは大事だけど、私はもっと醜くあがいてでも生きることに執着する殿方の方が好みよ。もっともそのために最後の誇りまで捨てるのは論外ですけどね」
 「矛盾」
 「さじ加減よ」
 タバサのツッコミをキュルケはいなす。そして横目で部屋の中央付近を見る。
 そこではギーシュとワルドが数少ない女性の誘いを受けていた。彼らは大半が今城に残っている者達の妻女である。つまりは旦那持ちだ。
 あしらわれておたおたしているギーシュと、見事に裁いているワルド。
 「あたしは今のギーシュは結構気に入ってるわよ。なのはとの決闘以来、間違いなくいい方に彼は変わったわ。まあ、モンモランシーに持っていかれたみたいだから手を出す気にはなれないけど」
 そういう親友を、ちょっと興味ありげに見上げるタバサ。
 「難しいのがあのワルドって言う男ね……あれはやっかいすぎて手を出す気になれないわ」
 「意外」
 タバサもヴァリエールとツェルプストーとの間柄は知っている。そしてキュルケの主義と性格も。相手の一番には手を出さないキュルケも、ヴァリエールだけは例外の筈だ。だとするとむしろ格好の獲物のような気がする。
 「底が見えないのよ。あの男は実力とハッタリがややこしく絡んでいるわ。その上深入りするとヤバそうな気配がしている。あれをモノにするには、こっちも覚悟を決める必要があるわ」
 「納得」
 「だけど……遅いわね」
 タバサもそういわれて気がついた。
 キュルケやタバサ、ミス・ロングビルは、ルイズの友人や案内人としてここに来ている。本来の立場にかかわらず、形式的には一番下になる。なのでわりと早いうちから入場し、明日の命のない騎士達の相手をして踊っていた。
 一方ルイズはトリステインの使者としての立場でここにいる。さらに身分は公爵。王族の傍流として、その身分はウェールズの次に高い。アンリエッタの友人という立場も考慮するなら、エスコート役は当然ウェールズ殿下本人である。
 ワルドが婚約者にもかかわらず先に入場しているのはそのためだ。
 現在この城にいて入場していないのは、ウェールズとルイズ、そして現王のジェームズ一世だけである。ちなみになのはは従者扱いなので別だ。
 宴は結構たけなわになっており、いい加減殿下が入場してこないとだれる境目である。
 だが、そこに現れたのは。



 ……城を揺るがす、砲撃の音であった。



 「うわあっ!」
 「敵襲!」
 「レコン・キスタの艦砲射撃です!」
 大混乱になる城内。明日には決戦と、そう心に決めていた勇者達の士気を根こそぎへし折るような夜襲であった。
 矢を番え、限界まで引き絞ったその瞬間に弦を切られたようなものである。
 兵士も、騎士も、将軍さえもが混乱してしまった。
 もしこの瞬間に敵兵がなだれ込んでいたら、命運が決していたのは間違いない。
 だが幸いにも、敵の陸兵は城から離れたところにいた。
 夜間砲撃は命中弾を出すのが難しい。外れ玉で仲間を撃ちでもしたら本末転倒である。
 そのため展開した戦艦で艦砲による飽和攻撃の後、包囲した陸戦部隊と周辺に展開する竜騎兵の監視によって一人とて逃さない体勢をレコン・キスタは取っていた。
 その中央、旗艦『レキシントン』。
 サー・ヘンリ・ボーウッドは、闇の中に上がる炎を、苦渋を感じつつ眺めていた。
 大艦隊による夜間奇襲などという離れ業は、彼と彼を信頼する士官達がいなければ不可能であっただろう。最初にこの作戦を提示された時は、彼は反対した。だが、
 『残りわずかとはいえ、彼らは全員死兵だ。その恐ろしさは、あなたたちの方がよく知っていると思いますが。ならば、彼らがその死をゆるめる一瞬を突くことです』
 総司令の意見に、彼は反論できなかった。そして今、その慧眼に敗北感を覚えていた。
 先ほどから一兵たりとも反抗の手が上がるのが見えない。完全なワンサイドゲームであった。
 もし、相手の士気が横溢している昼に戦ったら。勝利は間違いないだろうが、どれだけの損害が出たことか。
 それを考えると、危険だったこの作戦を肯定せざるを得ない彼であった。



 大混乱する城内で、冷静でいられたのはトリステイン組くらいであった。もちろんアルビオン側も無能ではない。だが残念なことに大黒柱が抜けていた。もしこの場にジェームズ陛下かウェールズ殿下がいたら、こうも無様な真似をさらすことは決してなかったはずだ。
 だが現実は厳しかった。
 「どうする?」
 「ルイズを探す。続きはそれから」
 キュルケとタバサの意志は瞬時に固まった。
 「無事かい!」
 「今の攻撃は砲撃のみだ! 撃たれている間はむしろ安全だ! これが止まったら、兵士がなだれ込んでくるぞ!」
 ギーシュとワルドも的確に状況を判断して合流する。
 「こっちよ!」
 ロングビルことマチルダが道案内をする。
 そして五人は素早く行動した。
 タバサは念話でシルフィードに身の安全の確保を優先するように指示。待機して、いつでも駆けつけられる体勢を取らせる。
 ギーシュとロングビルは崩れてくる壁や行く手をふさぐ瓦礫を、練金で固定したり粉砕したりする。
 ワルドは少しの間とどまって呪文を唱える。するとなんとその姿が五人に分身した。
 さすがに驚くキュルケ達。タバサだけが短く「遍在」と言った。
 「人手が足りない。かといって分散するのは愚だ。僕たちはルイズを探しつつも脱出路を見つけるべきだ」
 四人の分身が城内に散る。だがルイズも、ウェールズも、ジェームス一世も、そしてなのはも見つからなかった。
 「どういうこと?」
 さすがにおかしいと感じるキュルケ。まさか先に脱出したのでは……という考えが頭をよぎる。ルイズは仲間を見捨てることはしないが、ウェールズ達を優先する可能性はある。
 ただそれならば自分たちのやることが変わる。それならそれで情報が欲しかった。
 と、そのとき。
 「見つけた。屋上」
 タバサが言うと同時に窓の方に駆け寄る。
 それを見てキュルケは瞬時に事態を悟った。外にいたシルフィードが彼女たちを見つけたのだろう。
 「みんな、乗って!」
 先に飛び出したタバサに続くように、自分も窓から飛び出しつつキュルケは叫ぶ。
 そこには予想通り、すっかり慣れ親しんだ風竜が待機していた。
 最後にワルドが乗ったのを確認すると、タバサはシルフィードを一気に上昇させる。
 彼女がルイズ達の背後に降り立った時、そこに異様な気配を感じた。



 屋上でルイズは、一心不乱に呪文を唱えていた。
 それを守るように立つなのは。幸い砲弾の飛んでくる気配はないが、その身には一分の隙もない。
 それを見てワルドがつぶやく。
 「彼女……ルイズの使い魔だと聞いたけど」
 「どうしたの今更」
 ワルドの声に、その身に似合わない色……おびえのようなものを感じたキュルケが聞き返す。
 「今の彼女には、僕が遍在五人で襲いかかっても全く勝てる気がしない。彼女の魔法抜きでだ」
 「魔法抜きで?」
 「ああ、武人として見ても隙が全くない。今の彼女がいる限り、ルイズには傷一つつかないだろうね」
 その瞬間、轟音と共に風がうなった。その瞬間、なのはが杖を動かした。
 絞り込まれた光が一閃、闇の中に激しい閃光が生じた。
 それにもかかわらず、ルイズの詠唱は揺るぎもしない。
 「今のは!」
 少し驚いたように言うギーシュ。
 「どうやら……砲弾を迎撃したらしい」
 呆れたような口調になるワルド。
 そして、先ほどから無言だったロングビルが、ぽつりとつぶやいた。
 「あれは、まさか……」
 「どうかしたのですか? ミス・ロングビル」
 ギーシュが丁寧に尋ねる。
 「まさかとは思っていたけど、ひょっとしたかも」
 「?」
 首をひねるギーシュを無視して、ロングビルは言った。
 「この戦い、勝てるかもね。奇跡的に」
 その瞬間、奇跡は起きた。



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