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  • 虚無の紳士録-1

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

虚無の紳士録-1

最終更新:2009年08月25日 04:31

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  • 虚無の紳士録




  『 誰 だ っ て 殺 し た い 奴 は い る 』


私の眼の前で憎い仇であるあの男が斃れている。全身を氷の矢で貫かれ、流れ出た血が石造りの床に溜まり血の海となっていた。
あの男だけではない。その娘、即ち私の従姉である少女も斃れている。あの男の愛人も、あの男に与した家臣や貴族も斃れている。

みんな私が殺したのだ。

殺したのはあの男の血を引く者、与した者だけではない。 私の味方だと称する者たちも、この復讐を妨げんとした者は殺した。
みんなみんな殺して殺して、殺しつくした。ただこの復讐を成し遂げるために。後のことなど考えず、邪魔する者は皆殺しにした。

ああ、そうだ。あの人も殺したのだった。 母も、私の愛しい母も殺してしまった。


  『 誰 だ っ て 殺 し た い 奴 は い る 』


そう、そうだった。私はこの手で母も殺したのだ。あの心が壊れてしまった母を。
この復讐を成し遂げる過程あるいはその後で、人質である母が敵方に利用されるか始末されるかは明白だった。
あの母を一人取り残してはいけない。そしてなにより、この絶対的な復讐の足枷にしてはいけない。だから殺した。
敵の手に掛けられるぐらいなら自分で殺す。人形を私と思いこんでいた母を殺したとき、私は魔法を用いなかった。
文字通り自分の手でその首を絞めあげ、殺した。 母の頸骨が砕け折れた生々しい感触がまだ手に残っている。
生命(いのち)がこの手の中で消えていった、おぞましい感触が残っている。

復讐が完遂された今になって疑問が生じてきた。あの狂母は人形を娘の私だと思いこみ、ひたすら大事にしていた。
たとえ狂っていたとしても、そこには私という存在、自分の子供に対する母の深い愛情を感じ取ることができる。
だが、母が愛していた私は何だったのだろうか。

王家の血を引き、優秀なメイジである父の血を継ぐ者としての私だったのか。
それとも己の血と肉と、魂と愛を分け与えて生まれた娘である私だったのか。

今となっては永久に解らないし、解りたいとも思わない。それにそんなことなど、もはやどうでもいいことだ。
それよりケジメをつけなくてはならない。この復讐劇に相応しい、最後の締め括りを執り行わなくてはならない。


  『 誰 だ っ て 殺 し た い 奴 は い る 』


私は自身の長大な杖の先端を、己の華奢な胸へと突き立てる。
薄皮一枚隔てたその向こうには肉と骨、そして憎悪に染まったドス黒い血と、それを汲み上げる心臓が詰まっている。
本来は人体を貫くほど鋭くない杖先を、私は力強く突き入れる。皮が破れ、血が流れた。肉が引き裂け、骨が砕けた。
そしてついに心臓へと達する。ほんの少し弾力ある抵抗を感じた後、私は躊躇することなく杖先をそれに突き込んだ。

血が、噴きあがる。

私はその場に多くある屍たちと同様、床へとその身を投げ出し倒れ込む。そのせいでより深く杖が突き刺さった。
いまだしぶとく鼓動し続ける心臓に合わせて、胸の傷穴と杖の隙間から赤黒い血が間欠泉のように噴き出す。
胸からだけではない。どうやら杖は気管や食道も傷つけたらしく、喉奥からあふれ出てくる血流に私は溺れた。

私の使い魔が何か叫んでいる。ああ、うるさい。 ここまで復讐に付き合ってくれたことは有り難いが、少々姦しい。
死ぬときは静かな方がいい。安らかに黄泉の世界へと逝きたいものだ。身体を襲う痛みで“安らか”とは程遠いが。
だがその痛みと苦しみも己の血が大量に、急速に失われてからは消えた。それとともに私の生命もまた消えてゆく。

消えてゆく、何もかも。 音も光も、何もかもが消えていく。 冷たい、暗黒の中に消えていってしまう。


  「誰だって、殺したい奴はいるわ」


暗闇の底へと意識が沈んでいく中、最後に思い浮かべたのは父でも母でも、死んでしまった友人でもなく、
氷に覆われ凍てついた私の心を暴いたその言葉と、それを言い放ったあの『ゼロのルイズ』の顔だった。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 トリステイン魔法学院で春に行われる使い魔の召喚。 それに成功することが生徒たちの進級条件である。
始祖の代より続くその神聖な儀式でこの私、タバサことシャルロット・エレーヌ・オルレアンは風韻竜の幼生を召喚した。
絶滅したされる高い魔力と知性を持つそれを召喚できたのは、私のメイジとしてのレベルの高さを表しているのだろう。
自惚れているようだが、己の力量が確かなものであると認識できる目安にはなる………そして、復讐のための力にも。

私は無用な騒ぎが起こるのを防ぐため、周りにはその使い魔を韻竜ではなく、ただの風竜であるとした。
儀式は粛々と執り行われていき、同級生も次々と自らの属性とレベルに見合った使い魔を召喚していく。
私が唯一、わずかであるものの心を許せる友人であり、名目上自分と同じ外国からの留学生であるゲルマニア貴族、
ツェルプストー家のキュルケは火竜山脈のサラマンダーを召喚した。 火のトライアングルである彼女らしい使い魔だ。

そして最後にトリステインの名門貴族、ヴァリエール家のルイズが召喚の儀式に当たった。 その二つ名は『ゼロ』。
優れたメイジを多く輩出している、王家にも連なる家の出身であるにも関わらず、彼女は魔法を一切使えなかった。
いや、使えないわけではない。ただ、ルーンだろうがコモンだろうが呪文を唱えると爆発が生じ、失敗してしまうのだ。
故に『ゼロのルイズ』。メイジとしては不名誉極まりない呼称だ。家柄の良さに対する嫉妬もあり、彼女そう呼んで揶揄し、
侮り馬鹿にする生徒は少なくない。 ヴァリエールのルイズは入学してから一年間、ずっとその嘲りを一身に浴びてきた。

私は彼女を哀れに思うが、救いの手を差し伸べるほど親しくもないし、むしろ私がそんな事をするのは傲慢といえる。
ヴァリエール家とは代々不仲のツェルプストー家であるキュルケも、ルイズをよく『ゼロ』と呼んでからかうことが多い。
だが、それは心底彼女を自分の下位に置いているのではなく、一種の親しみを込めているのだと私には感じ取れた。

もっとも、それがヴァリエールに伝わっているとは、とても考えられないが。

人は誰しも自身が思っている以上に他人を傷つけている。何気ない言葉でも、心を深く切りつけ抉ることは多い。
そして同時に人は自身が認識しているよりもずっと他人に恨まれ、憎悪の念を向けられていることに気付かない。
私はヴァリエールではないので彼女の哀しみも憎しみも解らない。だが蓄積されたそれは、いつか爆発するものだ。

ほんのちょっと、“何か”に後押しされるだけで。

…………ともかく、ヴァリエールも他の生徒に倣い召喚の儀式を行った。 が、予想通りに失敗続きであった。

「五つの力を司るペンタゴンッ、我の運命に従いし“使い魔”を召還せよ!」

何度目になるか分らない、サモン・サーヴァントの呪文を叫ぶように唱えるヴァリエール。しかし引き起こされるのは爆発。
衝撃で立ち上る土煙。それに咳きこみ、悪態を吐く同級生たち。今日幾度も繰り返された光景が、再び目の前に広がる。

「やっぱり無理なんだよ、ルイズには!」
「とっととヤメちまえっ!」
「もう一回、1年生からやり直すのがお似合いよ!」

浴びせかけられる侮蔑の言葉の数々。それに対し、ヴァリエールは発言者を睨みつけて叫んだ。

「うるさい うるさい! 召喚が終わったアンタたちは黙ってなさいよ!!」

そう言って彼女は再び杖を構え呪文を唱えようとするが、それをコルベール教諭が制す。

「ミス・ヴァリエール。今日はもうそれくらいにして、明日また取り組んだらいかがです?」

ミスタ・コルベールは優しく諭すが、ヴァリエールは「まだやめません!」と首を横に振るう。
その頑固な態度に対して、また悪辣な罵詈雑言が上がる。

「おい『ゼロのルイズ』ッ! いっそのこと、そこらにいる野良犬でも捕まえたらどうだ!」
「『ゼロ』には使い魔があろうがなかろうが同じでしょ!」
「いい加減にしろよ『ゼロ』っ! お前に付き合わされるコッチの身にもなってみろ!」
「そうだそうだ、『ゼロのルイズ』め!」

その瞬間、ヴァリエールの表情が変わった。 さあっと青ざめた面相になる。しかし、あの顔は恐怖によるものではない。
あれは激しい憤怒の貌だ。人は真に怒り狂ったとき、炎のように赤く熱くはならない。氷のように透明で冷たくなるものだ。

だが、彼女は噴き出そうになる“それ”を抑え込み、極めて平静な顔でコルベール教諭に答えた。

「コルベール先生、もう一度だけやらせてください…………」

ヴァリエールが自制したのは悲しみによる涙でもなければ、怒りによる罵倒でもない。
彼女は人前では決して泣き顔を見せない。そして自身に投げかけられるような、酷い嘲りの言葉も他人に発したりしない。
それは唯一彼女に残された、『貴族』の誇りと矜持かもしれない。しかし発散されることのない負の念は澱のように溜まる。
『ゼロのルイズ』が抱え込んできて、たった今吐き出さんとして抑えたのはきっと単なる怒りに留まらない、もっとドス黒い…………



「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ。神聖で美しく、そして強力な使い魔よ………」

ヴァリエールがサモン・サーヴァントの呪文を唱え始めるが、それは本来のものとは違っていた。
召喚はコモン・マジックとはいえ、あれで効くのか疑問だ。周りの同級生も首をかしげている。

「なんだ? あの呪文」
「ヘンなの!」
「でも、まるでお祈りみたい……」

祈り? そうだ。確かにすがりつくような、切なる祈願の言葉。たとえデタラメであっても、彼女の必死さが伝わってくる言霊だ。
しぼり出すような声での、思いと願いを込めた呪文はなおも続く。それを詠唱する真摯な姿を嗤うことなど、誰にもできない。


――――――――ああ、このときヴァリエールの想いに応えたのが、その通りに“神聖で美しい”使い魔であったならば。


「私は心より求め、訴えるわ………我が導きに応えなさい!」

詠唱が終わったのか杖を振るうヴァリエール。またも起きる爆発と土煙。だがそれが晴れると、そこに彼女の使い魔はいた。


「本……?」


そう、それは本だった。 古めかしいダークブラウンの革張り表紙で、施された装飾は遠目にも美しく映える、重厚な書物。

だが、ただの本である。幻獣や亜人ではない。生き物ですらない。
使い魔の定義は様々だろうが、少なくとも『自らの意思を持ち、主人の意のままに従い動くもの』というのが一般だと思う。
なるほど確かに主人に服従し、逆らいはしないだろう。ただの器物なのだから。自分から動きはしないし、自己意識も無い。
疑似意思を持つガーゴイルならば該当するかもしれないが、あれは人形ではない。『動物』の形を模してすらいないのだ。
あるいは、あの本はインテリジェンス系アイテムなのかもしれない。インテリジェンス・ブックなど聞いたことがないけれど。

いずれにせよ、何らかの魔法がかけられたマジックアイテムの可能性はある。
ヴァリエールは本を拾い上げ、開いてみている。 だがページを捲るにつれ、その顔は怪訝そうな表情となっていった。
ミスタ・コルベールもそばに行き、彼女と一緒になって本を覗き込む。すると彼は「これは……!」と、驚愕の声をあげた。

「ミス・ヴァリエール、これは凄いですよ! 記されている言語は判読できませんが、見てくださいその絵を!」
「はあ……」
「こんな緻密に人物を写実した絵は見たことがありません。素晴らしい技術だ! いったいどうやって……」
「あの、コルベール先生。これは何の本なのでしょうか。使い魔として役に立つものなのですか……?」
「ム……そうですね。何が記されている書物なのかは私にも解りませんが、とりあえずディテクト・マジックをしてみましょう」

ミスタ・コルベールは本に対し『探知』を行い、それに魔法がかかっているか調べてみる。

「ううん、ミス・ヴァリエール。少なくともこれに“系統魔法は”かけられていませんね」
「え……?」
「ですが、もしかしたら先住魔法が――――」

別の可能性もあげるミスタ・コルベール。しかし、もはやヴァリエールにその言葉は伝わっていなかった。
彼女は自分が召喚したそれが何の魔力もこもっていない、単なる古ぼけた書物だと知って目に見える程に落胆している。
ヴァリエールが召喚に成功したこと、そして現れたのが『本』であったことに驚き、飲まれていた同級生たちは我に返った。
そして何の役にも立たない使い魔を召喚したヴァリエールをいつも通りに煽り始める。それが『当然であること』のように。

「ただの汚らしい古本を召喚するなんて、『ゼロのルイズ』らしいな!」
「みすぼらしいソレ、『ゼロ』のあんたにはぴったりよ」
「おい! ひょっとしたら『ゼロ』の奴、あそこに初めからあの本を埋めといたんじゃないか?」
「そりゃ、ありえるな! なんたってアイツは『ゼロのルイズ』なんだから――――」

『ゼロ』、『ゼロ』、『ゼロ』、『ゼロ』! 『ゼロのルイズ』! ヴァリエールを貶める、言葉の刃が容赦なく彼女を切りつける。

彼らは自身の口舌をもって振るうそれが、如何にヴァリエールの精神を傷つけるか解っているのだろうか。
きっと解ってはいても、感じることができないのだろう。彼女の苦しみを。 だから平気であんなことを言える。
そして同じように彼女の怒りも感じ取れないのだ。自分たちがどれだけ恨まれているかを解っていないのだ。

「お黙りなさい、みなさん! さあ、ミス・ヴァリエール。この使い魔とはやく契約を結ぶのです」

ミスタ・コルベールも流石にまずいと思ったのだろう。少々声を荒げて注意すると、ヴァリエールに使い魔の契約を促す。
心を酷く打ちすえられた彼女は蔑みに反論することも召喚のやり直しを要求することもなく、ただ弱々しく頷いて従った。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

ヴァリエールの接吻を受けて、その本は正式に彼女の使い魔となった。
題名の記されていない背表紙にルーンが刻まれる。主人の想いに応えぬ本は、何も答えないかと思われたが…………


   ギッ、ギギィ……


巨大な門のように軋みをあげ、本が独りでに開く。使い魔はすでに主人の手を放れ、何らかの力で空中に浮かんでいた。
ごうごう、と暗い洞窟の奥より吹く風のような、断末魔の叫びか哀惜の慟哭のような………あるいは亡者の呻き声のような、
聞けば誰もが恐れを抱き、不安に駆られる奇妙な怪音と共に、ページの隙間から 『白い靄』が濁流のごとく溢れ出てくる。
白い靄はヴァリエールの頭を包み込んだかと思うと、急速に消失していったかのようにみえたが、それは間違いであった。
消えたのではない。入っていったのだ、ヴァリエールに。彼女の目、鼻、口、耳からその内部へと。彼女の深いところへと。

私はその光景に総毛立つ。 ただ言葉だけでこれを説明すれば、ある種滑稽にも感じられるかもしれない。
だがそう思うにはあまりにもおぞましい光景で、私はそのとき感じた怖気をいつまでも忘れられなかった。

「…………!! ヴァリエール! ミス・ヴァリエール! 大丈夫ですか!?」

たったいま起きたことに再び茫然自失となっていた周囲の中、いち早く我を取り戻したのはミスタ・コルベールだった。
ヴァリエールに呼びかけるが、白い靄のカタチをした“何か”に入り込まれた彼女は虚ろな顔のまま、何の反応もしない。

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!! 眼を覚ましなさい!!!」

肩を掴まれ揺さぶられ、絶叫に近いミスタ・コルベールの大音声で名前を呼ばれることにより、ヴァリエールはやっと
正気に戻ったようだったが、その顔は何の感情も見いだすことができない。まるでガーゴイルのような無表情である。

「……大丈夫です、ミスタ・コルベール」

静かに、だがはっきりとした声で答えるヴァリエール。言葉は礼儀正しいが、信じられないほどに冷たく感じる声だ。
食い入るように己の使い魔を見ており、視線はただひたすらそれのみに注がれ、傍らの教師には一切向けられない。

「本当に大丈夫ですか? 身体は何ともありませんか」
「ええ、何も問題ありません」
「そうですか? ………ルーンも無事刻まれたようですね。これでこの本は確かにあなたの使い魔となりました」
「はい」
「………それと、何か身体に少しでも異常を感じたら、私か保健室に相談しなさい」

“アレ”で、何ともない?  “アレ”を目の当たりにしながら、この問答だけで済ませる?
私はミスタ・コルベールの事勿れ主義に呆れそうになったが、考えてみれば今この場で出来る対応はそれぐらいだろう。
すべての召喚の儀式が終わったことで、彼は生徒たちに授業の終わりを告げる。同級生たちはみんな寮へと向かった。
使い魔が私室に入りそうな者はそれらを伴い、無理な者は学院のどこを住処にするべきか使い魔へと話しかけていた。
私の場合、部屋はもちろん備付けの小屋にも入りそうにない。今夜はとりあえずヴェストリの広場あたりで寝てもらおう。
キュルケのサラマンダーは虎ほどもあるが、部屋には入れるので一緒に寝泊まりするのだろうか。
賑やかな友人がどうするのか気になって、その姿を探す。すると彼女はヴァリエールの方へと向かっていくところだった。

思わず私は声をあげそうになる。あんなことがあった後に平然と近づこうとするなど、キュルケの神経を疑った。
散々ヴァリエールを侮罵していた連中もあの異様な光景を見て不気味に思い、何も言わずに去って行ったというのに。
キュルケはヴァリエールの目の前に立ち、彼女とその使い魔をしげしげと眺めた。そしておもむろに口を開き話しかける。

「ちゃんと召喚できて良かったじゃない、ルイズ」
「そうね」
「その使い魔、何なのかしら? ひょっとして古代のルーンで書かれた呪文集とか、魔道書だったりして」
「そうかもね」

どうやらキュルケなりに祝辞を述べ、かつヴァリエールの様子を窺おうと思ったようだ。
しかし彼女はすぐそばに仇敵のツェルプストーが立っているのにも関わらず、いまだに己の使い魔をじっと見つめていた。
自分がまるで眼中にないその態度と、あまりにそっけない返事にキュルケは流石にムッとしたようで、軽口を叩きはじめる。

「ま、『ゼロ』のあんたにしちゃあ頑張ったじゃない? でも私の使い魔に比べたらねえ………」

今日初めてキュルケがヴァリエールを『ゼロ』と呼んだ。それに対してやっと使い魔の表紙から眼を放す『ゼロのルイズ』。
だが、自分を卑しめた家がらみの仇敵とその使い魔を一瞥するだけで、相変わらず無表情のまますぐに視線を戻した。

「…………まあ、ただの古本でも使い魔を召喚できたんだから、あんたはもう『ゼロ』じゃないわね」

ひとしきり自分の使い魔を自慢した後、しっかりフォローをいれるキュルケ。彼女は配慮というものを忘れない。
思えば彼女はヴァリエールが先ほど同級生に誹謗中傷されていたとき、それらに混じって侮辱しはしなかった。
その行いから考えるに、やはり心の底では周りが思っているほどヴァリエールを悪しくは思っていないのだろう。
キュルケの言動はいつだって相手の心を深く抉り、酷く傷つけるものではない。
もっともそれは、いつも彼女の近くにいる親友の私だからこそ理解できるものだということを考慮すべきだが。

「それじゃあねルイズ」と、別れを告げその場から離れるキュルケ。すると今度は私の方に来て讃辞を述べる。
私が他の同級生と比較して、あきらかに一歩抜きんでた使い魔を召喚したと褒めてくれた。正直いって、嬉しい。
どんなに心が凍てついていようが親友は持つべきだ。その何気ない言葉は私の心に沁みわたり、暖めてくれる。
彼女がいなければ私はこの学園でいつまでも独りだったろう。縁者も知人もいない、故郷から遠く離れたここで。
ひょっとしたら、ヴァリエールの立場になっていたのは私かもしれないのだ。魔法の才能が有る無しは関係ない。
自分から他人へと進んで関わろうとしない私に、好き好んで親しくなろうという人間はいないだろう。
心はもう氷に覆われたつもりだが、それでも同年代の者がみな希望を持って集うこの学園は、あまりにも眩しい。
その雰囲気に押し潰されていたかもしれない私を助けてくれたのはキュルケだ。それだけは確かだと言える。

「じゃ、そろそろいきましょう、タバサ」

キュルケは自分の使い魔を連れて寮へと向かっていく。私も後を追おうとしたところ、やっと“それ”に気付いた。
何年もの『あの生活』で培われた感覚により察知したのは視線と気配。それも強烈な敵意を孕んだ毒々しいもの。
私はすぐさまその方向へと顔を向け、臨戦態勢になる。何者か。今までに恨みを買ったものか、ガリアの刺客か。


振り向いたそこにいたのは敵などではなく、一人でぽつんと広場に残っていたヴァリエールだった。


「ひっ」

それをみた瞬間、私は零れる悲鳴を抑えることができなかった。

ヴァリエールの顔が“歪んで”いる。
それが錯覚であると、あまりにも激しく強い感情を表しているためそうなったのだと気付いても、その衝撃は消えなかった。
ヴァリエールは目が縦に付いているかのように吊りあがり、砕けんばかりに食い縛った歯の隙間から血泡を吹いている。
額は血管が怒張して浮かび、頬は引きつっている。 そしてその眼差し。そこには凄まじい憎悪と怨恨が込められていた。

まるで骨相そのものが歪んでしまったかのような変“貌”。 人はこれほどまでに人を憎み、恨むことができるのか。

だが、その激しい憎しみを込めた視線は私に向いているのではなかった。怨念のすべてはキュルケへと放射されていた。
それがあまりにドス黒く強烈なため、私の感覚に引っかかったのだ。キュルケ自身はそれを感じることなく前を歩いている。

悲鳴で私の存在にヴァリエールが気付いた。
瞬時にその顔から負の念が払拭されるが、そこに浮かんだのは先ほどまでの無表情ではなく、笑顔。
見る者すべての心臓を鷲掴みにする『毒笑』というのがぴったりの、凶悪で邪悪な笑みがそこにあった。

そんな笑顔を向けられ凍り付いている私を尻目に、ヴァリエールは悠然と寮へと向かう。
今までの彼女からは考えられない堂々とした足取りと自信に満ちた態度で。初めて己の魔法が成功した証を手に持って。
成功の証。 あの使い魔。 あの本 ―――――――― あれは何なのだ? 契約のときに起きた、あの怪異は何なのだ?


まるで巨大な門のように軋みをあげ、独りでに開いたあの本。
そこから遠く響いてきた、亡者の呻き声のようなあの音。
そして溢れ出てきた、あの幽かな“もの”………


まさしくそれは 『地獄の門』 が開いたのだということに、私は気付けなかった。悔やんでも悔やみきれない……
もしそのとき気付いていれば。あの異常をもっと気にかけていれば。ヴァリエールの変化に気を付けていれば。
あんなにたくさんの死がまき散らされることも無かったのに。 かけがえのない親友を失うことも無かったのに。




  『 誰 だ っ て 殺 し た い 奴 は い る 』




 キュルケが殺されたのは、その晩だった。




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