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  • ウルトラ5番目の使い魔、第三部-35

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ウルトラ5番目の使い魔、第三部-35

最終更新:2016年01月01日 15:45

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 第35話
 死闘! 神よ、乙女たちのために泣け

 海凄人 パラダイ星人
 古代怪獣 キングザウルス三世 登場!


 空中装甲騎士団と水妖精騎士団。互いのプライドを賭けた戦いが今、始まろうとしていた。
 空中装甲騎士団は、百戦錬磨の重装騎士四一名。
 対する水妖精騎士団は、エーコたち姉妹九人とこの街の貴族の少女たち十三人、それにティラとティアを足して二十四人のほとんどが素人集団。
 普通に考えれば、どちらが勝つかなどは戦う前から子供でもわかる。だが、戦力の多寡だけで勝負が決まるなら誰も戦ったりはしない。
 人間は勝敗以前に、戦わねばならないことがあるから戦う。男も女も関係なく、譲れない意地というものはある。
 たとえ殺し屋が近くに潜んでいたとしても、そんなことは知らない。たとえ世界の危機だとしても、そんなことは関係ない。
 宣戦の布告はとうに済んだ。
 よろしい、ならば戦争だ!

「うおぉぉぉぉぉっ!」
「いやあぁぁぁぁーっ!」

 獣の吼えるような声とともに、戦いの幕は切って落とされた。空中装甲騎士団は威勢をつけるために、水妖精騎士団は恐怖に打ち勝つように叫び、それぞれ得意とする魔法を放つ。
『ファイヤー・ボール!』
『エア・ハンマー』
『氷の矢!』
 炎、風、氷が左右から乱れ飛んで相手を襲う。メイジとメイジの戦いは、一撃一撃が致命傷に繋がる威力を持つだけに、小細工よりも単純な力勝負に向いて派手だ。つまりは先手必勝、集団戦ではこれが特に顕著となる。
 しかし、今回の互いの第一撃はどちらも有効打にはならなかった。
 空中装甲騎士団は、自分たちに向けられた魔法をすべて立ったままで受け止めた。火も、風の刃も氷のつぶても鋼鉄の鎧にはじかれて空しく落ちていく。彼らは重い鎧をまとっているために素早くかわすといった芸当はできない代わりに、その鎧は魔法で強化された特別製であり、ドットクラスの魔法程度では打ち抜くことはできなかったのだ。
 一方、水妖精騎士団に向けられた魔法は、彼女たちの前に張り出した風の壁によって方向を狂わされて、すべてあらぬ方向に飛び去るか外れて埃を舞い上げるかに終わった。
「さっすが姉さんたち!」
 シーコが感激で歓声をあげた。今の風の壁はキュメイラとディアンナの仕業だ。この二人は攻撃に参加せずに、最初から防御に徹するつもりで待っていた。空中装甲騎士団が「女子供に本気を出せるか」と、まだ舐めていたのもあるが、ラインメイジ二人分で作られた風の防壁はそう簡単には突破されはしない。
 互いの初太刀はそれぞれかわされ、相手にはいささかのダメージもない。
 この状況に対して、空中装甲騎士団のとる手段は簡単だ。単に、キュメイラとディアンナの張る風の防壁を突破できるくらいに強力な魔法を打ち込めばそれでいい。それで、水妖精騎士団の隊列はズタズタになって勝負は早くも決まるであろう。
 しかし、そうはさせじと猫のように飛び出した娘たちがいた。
「なにっ!?」
「ウェンディ・アイシクルは唱えさせないよ」
 一瞬で距離を詰め、空中装甲騎士団の足元に現れたのはユウリとティーナだった。兜で視界が限られていて、特に足元が見えにくくなっていた空中装甲騎士団はふたりに反応するのが遅れ、その一瞬のうちにふたりの放った魔法が炸裂する。
『ライトニング!』
『エア・ハンマーだよ!』
 至近距離からの電撃魔法と圧縮空気の弾丸の炸裂が男たちをしびれさせ、数人まとめてドミノ倒しに吹っ飛ばした。手が届くほどに近づけば魔法耐性の鎧だからとて受けきれず、鎧の隙間から見下ろす空中装甲騎士団員の目に、不敵に笑うユウリとティーナの顔が映った。
「この、餓鬼め!」
「トロいお前らが悪いんだろ、ウスノロ」
「ウィヒヒ、そうら、よそ見してていいのかな?」
 空中装甲騎士団が激昂して、足元のふたりに気をとられたその隙に、次の攻撃は迫っていた。
 下から来たなら次は上から、男たちが下に注意を向けた一瞬に、跳躍して頭上から襲い掛かるエメラルドの矢。
「「えいやーっ!」」
 ティラとティア、ふたりのダブルキックが空中装甲騎士団員の顔面に直撃し、だるまのように周りの団員を巻き込みながら転がした。
 そのままふたりは空中で一回転し、重さを持たない羽根のように地面に降り立つ。ふたりの緑碧玉のような髪が舞い、ふたりの身につけているグリーンのスリットスカートのドレスが優雅にたなびいた。
 目を丸くする空中装甲騎士団。当然だ、完全武装のメイジの騎士に、素手で真っ向から挑んでくる人間など非常識にもほどがある。
 それは水妖精騎士団の面々にしても同様で、エーコやシーコたちもティラとティアがまさかこんな無謀な行動に出るとは思っていなかったので、止めることもできずに飛び出していくのを見守っていたのだが、結果はこのとおりあっさりと騎士ひとりを昏倒させてしまった。
 しかし、虚を突かれた空中装甲騎士団は、目の前で余裕げにたたずむふたりの少女をそのままにしてはおかなかった。相手が丸腰の少女であるにも関わらず、杖を向けて魔法を放とうとする。が、そのスペルを唱えきるよりも速く、ティラとティアは空中装甲騎士団の隊列に飛び込んでいった。
「な、速いっ!?」
 ティラとティアの瞬発力は空中装甲騎士団や水妖精騎士団の想像をはるかに上回っていた。瞬く間に間合いがなくなり、ひとりの騎士に足払いをかけて転ばせる。さらに隣にいた騎士のマントを左右から掴むと、ふたり同時に思いっきり引っ張って引き倒してしまった。
「うわぁぁっ!?」
 転倒させられた騎士は鎧の重さが仇になってすぐには起きられない。元々空中装甲騎士団の鎧はドラゴンに騎乗して戦うことを想定しており、地上で着て戦うようにはできていないのだ。
 転ばされてもがく騎士の背中を踏みつけて、ティラとティアはにこりと友達にあいさつをするようににこりと笑う。
「「いらっしゃい?」」
「この、小娘たち!」
「よ、よせっ、味方に当たる!」
 激昂して魔法を放とうとした騎士は、同士討ちを恐れた仲間に止められて慌てて呪文を止めた。だが、その隙をついてふたりは跳んでいた。
 ティラとティア、ふたりは鏡合わせのように同時に跳ねて、ひとりの騎士の顔面にふたり同時に膝蹴りを食らわせた。鎧の隙間から鼻先を叩き潰され、鼻血を出しながらまたひとり騎士が倒れる。
 さらに、ふたりは倒れ掛かった騎士を踏み台にして、断崖を駆け上がる鹿のように再度跳ねていた。騎士たちの頭上でティラとティアのグリーンの髪とドレスが舞い、まるで宙空で人魚が跳ねているかのような美しさに、騎士たちは一瞬それに見ほれてしまったほどだ。そして空を背にして一回転し、風にたなびいたスリットスカートからしなやかな脚が伸びて空を斬る。
「あ、白、し……」
 その光景をラッキーにも正面から見れた騎士は、鼻血を出そうとしたところで強制的に意識をカットされた。落下しながら放たれたティラとティアの蹴りが彼の頭の左右から同時に炸裂し、脳に許容限界を超える衝撃が加えられてしまったのだ。もっとも、痛みをほとんど感じずに沈められたという点で彼は同僚たちより幸運ではあった。思い切り頭を叩かれたショックで、気を失う直前に見た光景を忘れてしまったことが少々不運ではあっただろうが。
「あいにくね」
「わたしたちは」
「「自分の安売りはしてないのよ」」
 倒れた騎士を踏み台にして、騎士たちを見下ろしながらティラとティアは歌うように告げた。騎士たちは、丸腰であるにも関わらずあっというまに五人もの騎士を倒してしまったふたりの少女の気迫に圧倒されて手が出せない。
 そして、誰より驚いていたのはエーコたちである。
「あ、あの子たちが、あんなに強かったなんて」
 最初は、無茶なことはやめて逃げてと叫ぼうとしたが、ティラとティアの身のこなしはエーコたちの想像を軽く超えていた。あの俊敏さ、あの跳躍力は銃士隊の隊員たちのそれに匹敵するか、もしくは上回っているだろう。姉妹ゆえに完璧に息が合っていることも含めて、プロの戦闘集団であるはずの空中装甲騎士団が完全に手玉にとられている。
 魔法の使えない平民だと思っていた。人懐っこいばかりの田舎者だと思っていた。学者の卵で、つかみどころがないけれど明るく元気なだけのただの娘だと思っていた。しかしそれは一面だけしか見ていなかった。ティラとティア、あのふたりは強い。格闘技の心得があるのかどうかはわからないが、あの身のこなしは常人のものではない。いや、人間離れしているとさえ言ってもいいと感じた。
「人間離れ……まさか」
 ビーコはふと、自分たちにも覚えのある”あること”を思い出した。まさか、もしかしたら、そんな……
 しかし、戦いは不安に浸る余裕さえも与えてはくれなかった。いくらティラとティアが活躍しても、空中装甲騎士団はまだ三十人以上もいる集団だ。これ以上、たかが平民に舐められては沽券に関わると、同士討ちの危険もかまわずに一斉にふたりに襲い掛かってきた。危ない! いくらふたりが俊敏でも、四方八方から魔法を撃たれたら逃げ場がない。
 が、頭に血が上った彼らは自分たちの隊列に潜り込んでいるのがティラとティアだけではないことを忘れていた。
「バカにつける薬は」
「ないってね、ヒヒッ」
 至近距離から放たれる魔法のつぶてと飛び交う悲鳴。ユウリとティーナの魔法攻撃が炸裂し、鎧で守りきれない箇所を切り裂き、叩き付けた。その隙に、ティラとティアは安全圏に跳んで逃れ、四人は視線を交し合った。
「ありがとうございます。さっすがお姉さま方!」
「ククッ、お前たちはなんとなくあたしたちと似た匂いを感じたんでね。なにかやらかしてくれると思ったけど、おもしろい、おもしろいじゃん!」
「いいねえ、楽しいのは大好きだよ。あんたたち気にいったよ、さあ、もっと遊ぼうよ!」
「もう、ティアに合わせるとすぐ荒事になるんだから。まあいいわ、エーコさまたちに仇なそうとする無頼者にはきついおしおきが必要ですものね」
 おとなしそうに見えたティラもその気になればけっこう過激らしい。そういえばさっきもえげつない台詞をノリノリでしゃべっていたが、こういうタイプが実は一番怖いかもしれない。
 四人の娘に隊列をめちゃくちゃにされて、空中装甲騎士団はすでに統率のとれた動きは不可能になっていた。しかもそこへ、ディアンナに指示された水妖精騎士団が魔法攻撃を撃ち込んで混乱を助長した。いくら堅固な鎧をまとっていたとて、受けるつもりでいるのといないのとでは耐えられる強さがまるで違う。またも数人が倒されて、ついに空中装甲騎士団の戦闘可能人数は水妖精騎士団よりも少し多い程度まで下がった。
 だが、彼らもこのままおめおめと苦杯を飲むつもりはなかった。相手が少女たちだからと手加減していたのもここまでだと、指揮官らしき男が叫んだ。
「総員、隊列を解いて個々に戦え! 空中装甲騎士団前進、我らの敵に地を舐めさせよ!」
 その命令で、混乱していた空中装甲騎士団に秩序が戻った。彼らはそれまでの、無理に隊列を維持しようしていたのをやめてバラバラになって攻め入ってきた。杖を構え、鎧を鳴らしながら水妖精騎士団へと迫ってくる。彼らの兜のすきまから覗く目の鋭さに、少女たちはついに空中装甲騎士団が本気を出してきたことを悟った。
「男たちの中にも少しはできるのがいたようね。水妖精騎士団前へ! 迎え撃つわよ」
「はいっ!」
 少女たちもときの声をあげて前進する。ユウリやティラたちの活躍が、戦いにはまったくの素人の彼女たちにも勇気を与えていた。

 しかし、水妖精騎士団がまがりなりにも有利に戦えたのもここまでだった。
 互いに魔法を唱え合い、再び幾多の炎や水や風や土の弾丸が交差する。空中装甲騎士団はそれらをすべて鎧と魔法で受けきったが、水妖精騎士団のほうはそうはいかなかったのだ。
「きゃああっ!」
「う、あっっ、痛い、痛いよおっ」
「カレン、ユミナ! 大丈夫、しっかりして!」
 数人が魔法を受けて倒されてしまった。最初に魔法攻撃を受けたときは空中装甲騎士団はきちんと陣形を組んで一斉攻撃をしてきたので、キュメイラとディアンナの魔法でそらすことができたが、今度は個々人がバラバラに魔法を撃って来た為にすべてを防ぎきることができずに取りこぼしが出てしまったのだ。
 しかも、これが実戦を積んで鍛えた騎士であれば少しくらいの負傷には耐えて戦い続けられただろうが、完全な素人である彼女たちは傷の痛みに耐えられなかった。
 すぐにキュメイラが駆け寄って水魔法で治療をする。だが少女たちは初めて味わう実戦の痛みに怯えて暴れ、言い聞かせてもなかなか治療が進まない。
 そこへ、空中装甲騎士団の指揮官がすごみの利いた声で告げてきた。
「よくも調子に乗ってくれたな小娘たち。子供の遊びと手加減していたが、もう容赦はしないぞ。お前たちに、戦場の恐怖というものをたっぷり味わわせてくれる。覚悟するがいい!」
 明白な宣戦布告であった。空中装甲騎士団はすべて、水妖精騎士団を打ちのめすつもりで杖を握り締めている。これがギーシュなどであれば、女性に手を上げるとは男の風上にもおけないなどとと言うだろうがそうではない。実戦において、女性の傭兵や騎士などが少数にせよ存在することは常識だ。それらと対峙したときに、いちいち手を抜いて戦っている余裕などはなく、もたもたしていたら自分が殺されてしまう戦場においては愚行というほかはない。
 これが、本物の戦争を生き抜いてきた人間の空気。その威圧感に、新米の少女たちは怯えて、半べそになってすでに戦意を失ってしまっている。
 エーコたちも、相手が本気を出していなかったからこそ戦えたことを思い知って冷や汗を流した。まずい、このまま真っ向から戦えば、勝機は万に一つもない。
 ところが、このまま戦わずして水妖精騎士団が瓦解するかと思われたとき、悠然と声をあげた者がいた。
「だからどうしたの? 鎧ダルマさんたち」
「し、シーコ?」
 突然、目を伏せて重々しくつぶやいたのはシーコだった。その挑発げな声色に、ビーコははっとしてシーコを見た。いけない、今この男たちを刺激しちゃ危険だわ、と。
 しかしビーコの懸念は斜め上の方向で裏切られた。シーコは顔を上げて、まるで狂信者のように殺意をみなぎらせた目で叫んだのだ。
「我らはベアトリス姫殿下の代理人。我らの使命は、姫様に仇なす愚者を、その肉の最後の一片まで根絶やしにすること。有象無象の区別なく、わたしの杖は許しはしないわ!」
「あ、この子また何か変なのに影響されてるわ」
 盛大にたんかを切ったシーコに、ビーコは「だめだこりゃ」とつぶやいた。シーコは姉妹の中で一番好奇心旺盛だけれども、なにかと流行とか本とかに影響されやすい。これはたぶん、さっき読んでいた召喚されし書物の影響だろう。その証拠に、ティラとティアが「よく言ってくれました!」とばかりに後ろで黄色い声をあげている。ついでにユウリとティーナも笑いながら手を上げている。あなたたちこの短期間で仲良くなりすぎでしょ! と、エーコやビーコは思うのであった。
 空中装甲騎士団はシーコの啖呵を負け惜しみと思って高笑いしている。だが、シーコのこの無謀に思えた一言が姉妹の闘志に火をつけた。
「そうね、地獄を味わってきたのは軍人さんたちだけじゃないものね」
「一度は悪魔に魂を売った鬼子の手管、お行儀のいいつもりの兵隊さんたちにお見せしましょう」
 イーリヤ、セトラもあらためて杖をとって身構える。復讐鬼として生きていたあの頃に比べたら、このぐらいのことなどピンチのうちにも入らない。
 エーコとビーコも、まったく今日はついてないわねとぼやきつつも攻撃呪文のスペルを唱えだす。どのみち逃げるつもりも降参するつもりも最初からない、形成不利なんて考えるまでもなくわかっていたこと、困難を乗り越えていくことができなければ騎士団を名乗ることなど永遠に不可能だ。
 道がないなら切り開く、戦意は完全に蘇った。
「あああああああーっ!」
 少女とは思えない絶叫を放って、魔法がふたつの騎士団のあいだを交差する。
 が、今回の激突は一方的な結果に終わった。
「ううっ、い、痛ぁっ」
「しっかりしなさい、ビーコ、シーコ!」
 完全武装と無防備、その差はやはり大きかった。空中装甲騎士団は今回もほぼ無傷なのに対して、エーコたちはいずれも傷を負っている。
 ビーコの額からつうと血が流れてえりを赤く染めた。エーコの左手が服ごと凍りつき、凍傷になる前に無理矢理引きちぎった。
 セトラ、ディアンナたちもそれぞれ衣服や髪を傷つけている。さきほどまで元気だったユウリ、ティーナらやティラ、ティアも今度は全部は避けきれずに傷を負っている。
「ははっ、あーあ、この服はお給金を溜めてやっと買ったのに、ひどいなあ」
「今さら後悔しても遅いぞ。我々を愚弄した罪は、もはや万死に値する。子供の騎士ごっこが調子に乗ったむくいだ。もう謝っても許さんぞ!」
 激昂して放たれた魔法弾がティーナを襲い、かばったユウリごと吹き飛ばす。ふたりは広場に積んであった資材に突っ込んで、崩れてきた材木などに全身を強打された。
「「このっ! おふたりをよくもっ!」」
 ティアとティラが怒って飛び掛るも、今度はふたりの動きも相手に読まれていた。身軽さを活かして、相手の死角から攻撃をかけようとしたふたりの前へと魔法弾が打ち込まれ、避けようとしたところへさらに別の攻撃が加えられては避けようがない。
 ティアは左手に火傷を負い、ティラは腹を空気の塊に強打されて胃液を吐いた。
「ふん、平民がでしゃばるからだ。いくら速かろうと、あれだけ見せられれば我らには充分だ。風と共に駆ける竜騎士の視力をあなどるではないわ」
 ティラを助け起こしているティアを見下ろしながら、空中装甲騎士団員が冷徹に言い捨てた。
 やはり、強い。さっきの攻撃でティアとティラの動きの癖は完全に読まれていた。これでは今後、いくら奇襲を仕掛けようとしても成功はしまい。
 だが、空中装甲騎士団はこれでおさめるつもりなどはさらさらなく、さらに魔法をぶつけてきた。避ける以外にたいした防御手段のない姉妹とティア、ティラに次々魔法が当たり、たちまちのうちに彼女たちはボロボロにされていく。
 セトラ、ディアンナ、キュメイラが血を流して荒い息をついている。ユウリとティーナはそれぞれ片腕が折れたらしく、だらりと片腕を垂らしながらもう一方の腕でかろうじて杖を持っていた。エーコ、ビーコ、シーコにしても大なり小なり傷を受けている。水魔法での治療も焼け石に水でしかない。
 どころか、事態は悪化の一途を辿った。エーコたちのダメージは増える一方なのに対して、空中装甲騎士団の負傷者たちは水魔法で治療を受けて戦線に復帰して復讐戦を挑んできた。いつの間にか、空中装甲騎士団はほとんど開戦時の戦力を回復してしまっている。
 勝負はほぼついたようなもの。空中装甲騎士団の指揮官は、ひざをついて倒れかけているエーコたちを見下ろしながら笑った。
「これまでだな、痛いか? 苦しいか? だがそれは罰だ、身の程を知るがいい。ふっはっははは!」
 まるでなぶり殺しだった。空中装甲騎士団は、一時の小細工で倒されることはないというふうに高い地力を見せ付けて、大きな壁として水妖精騎士団の前に立ちふさがっている。
 しかし、エーコたちの誰も倒れることはない。何度打ちのめされようとも、そのたびにひざを突きながらでも立ち上がってくる。
「つぅ……シーコ、大丈夫?」
「なんの、このくらいの痛み、あのときの痛みに比べたらなんてことないって」
 シーコはそう言って、あのときのことを思い出すように、今ではもう影もなくなってはいる腹の傷跡に手を当てた。
 戦いはまだこれから。しかし、勝機はこのままでは万に一つもない。それでも立ち上がろうとする彼女たちに、空中装甲騎士団はしだいにじれて、怒鳴りつけてきた。
「もういい加減にしろお前たち! 勝ち目などないのがわからんか。命まで奪うつもりはないが、これ以上長引くと取り返しがつかんことになるぞ、あきらめろ!」
 もう勝敗は決まったも同然、なのになぜ立ち向かってくる。純粋な軍人である彼らには、彼女たちの折れなさの理由がわからなかった。
 それに、エーコたちのやられ様を見続けていた水妖精騎士団の少女たちも、ついに耐え切れずに叫んだ。
「も、もうやめてください先輩方、それ以上戦ったら死んじゃいます! もういいじゃないですか。降参しましょう。謝ったら許してくれるって言ってるじゃないですか」
「そうです! しょせんわたしたちなんかに騎士団なんて無理だったんです。男の人に勝つなんて無理です。せめて逃げましょう!」
 少女たちは戦いの恐怖に怯えきっていた。無理もない、経験のない人間が血しぶきの飛び散る様を見れば誰でも足がすくむ。
 だが、エーコたちはフッと笑うと楽しげに言った。
「勝ち目がない? あきらめる?」
「降参? 謝る?」
「無理? 逃げるですって? 冗談じゃないわね」
 三人ともすでにズタボロだ。しかし三人の目はまったく死んでいない。
「勝ち目がないからって何だっていうの? 一生、勝ち目のある戦いだけしていけると思うの?」
「あきらめてどうなるっていうの? 価値のない明日につないでなんになるっていうの?」
「無理っていうのはね、わたしたちがあきらめるということを言うのよ。それにね、わたしたち……ふふふ、ふっふふふ……」
 低い笑い声が漏れた。そして。
「楽しいのよ、こんなときなのにわたしたちとっても楽しい!」
「ええ、わたしたちは戦ってる。姫様のために、自分たちのために、みんなでいっしょに!」
「これが楽しくなくてなんだっていうの? あっはっははは!」
 高笑いが響き、少女たちは唖然とし、空中装甲騎士団はあっけにとられた。
 狂したのか? いや、エーコたちは正気だ。正気で、弱いほうが強いほうを笑い、道理に強理を持って貫こうとしている。
 さらに、エーコは千切れたツインテールを揺らしながら少女たちに告げた。
「あなたたちはどうするの? ここで頭を下げて一生負け犬の屈辱を背負って生きるか、それともわたしたちに続いて下品な男たちを泣かすか、好きなほうを選びなさい」
 それだけ告げると、エーコたちは答えを待たずに杖を握り締めて前へ出た。
 ユウリにセトラ、姉妹たちも皆それに続く。そして、その光景を見て、ティアとティラはうれしそうに笑うのだった。
「かっこいいなあ、やっぱ人間ってすごいよ、すげえよ、素晴らしいよ」
「やはり、あの方々についてきたのは間違いではなかったわね。さあ行きましょう、わたしたちが受けた恩を返すのはこれからです」
 薄汚れた緑色の髪をかきあげてティアとティラも構えをとる。
 戦いはこれからだ。
 杖を握り締めているだけがやっとのありさまでありながらも、なおも向かってこようとする少女たちの姿は、歴戦の空中装甲騎士団の背中にも冷たい汗を流させる。彼らはエーコたちが辿ってきた道のけわしさと、そこで得てきたものの重さを知らない。
 たった十人足らずの少女たちが、プロの軍人を気圧している。その光景に、水妖精騎士団の少女たちは、うまく言葉に表すことはできないものの、なぜか胸がぐっと締め付けられるものを感じ始めていた。
「わたしたちは、水妖精騎士団……」
 遊びでつけられたはずだった名前が、汚してはならない軍旗のように思えてくる。
 戦いは野蛮なもの……だけど、戦わないと守れないものもある。

 だが、エーコたちがどんなに気力をふりしぼっても、空中装甲騎士団の鎧には彼女たちの牙は通らず、彼らが手を緩めることはない。
 このまま戦いが長引けば、なにか悪いことが起こる。空中装甲騎士団は長年の勘からそう感じ出した。
「部隊長、これ以上長引いて騒ぎが衆目につくようなことになれば……」
「やむを得ぬな、我らの名に傷が付くことだけは避けねばならぬ。かくなるうえは手足をへし折ってやってもかまわん。身動きをとれないようにして病院に叩き込んで終わりだ!」
「はっ! そして、みじめな様になった小娘たちを目の当たりにすれば姫殿下もご自分の甘さに気づかれることでしょう。彼女たちには可哀想ですが、生贄になってもらいますか」
 じれた狼が我慢の限界を超えて、ついによだれを垂らして牙をむき出した。
 加減を抜いた凶悪な魔法のスペルが流れ、家一軒を吹き飛ばせるほどの魔力が溜まっていく。
 それでも、エーコたちには引く道はない。避ける力も防御するだけの力も残っていない彼女たちは、残った力のすべてを攻撃に向けようと呪文を唱える。たとえそれが、相手の攻撃の前に吹き飛ばされてしまうそよ風の吐息だったとしても。

 だがまさにこのとき、彼女たちのいる広場に向かって、一対の足音が近づきつつあったのだ。
「ハァ、ハァ、ま、間に合って、間に合ってっ!」
 息を切らしながら、ベアトリスはフラつく足を叱咤して走っていた。
 ホテルを飛び出してからここまで、途中で何度か魔法で飛んでショートカットしてきたがもう限界だ。しかし間に合わねばという一心で、とにかくここまで急いできたのだ。
 空中装甲騎士団とやり合ってはエーコたちのお遊びなどひとたまりもない。なんとしてでも止めなくてはという思いで、必死にここまで走ってきて、ようやく騒動の音とともに件の広場が見えてきた。
 けれども、ベアトリスの眼に飛び込んできたのは、今まさに魔法を放とうとしている空中装甲騎士団とエーコたちの姿だった。
 いけない! ドットメイジのベアトリスにも、あんな魔法を受けたらエーコたちが無事ではすまないのはわかる。止めなくては! だが、どんなに走っても広場に駆け込むにはあと十数秒はかかる。大声を出して止めようにも、全力で走ってきたせいで喉が涸れて声が出ない。
「だめ、間に合わないっ」
 絶望がベアトリスの胸を包んだ。あとまばたきを数回もすれば、エーコたちは恐ろしい魔法によってズタズタにされてしまうだろう。
 わたしのせいだ、全部わたしの。エーコたちの危険な遊びを、怒鳴りつけてでもやめさせていればこんなことには。

 だが、ベアトリスの目に惨劇は映らず、耳にエーコたちの悲鳴が聞こえることはなかった。
 強力な空気の弾丸が飛び込んできて炸裂し、猛烈な風圧でもって空中装甲騎士団を十数人まとめてふっ飛ばしたのである。

「見てられませんわ見てられませんわ見てられませんわ」

 轟音と、空中装甲騎士団の悲鳴が響く中で、広場につぶやくような少女の声が流れた。
 その場にいた全員の視線が声のした方向に注がれる。そして、資材の山の上から羽根が舞い降りるようにふわりと一人の少女が広場に降り立った。
”誰だ?”
 全員の思考がそこで固定された。少女の顔に見覚えがある者は一人もおらず、しかし少女は白いフリルのついた黒のドレスを優雅にひらめかせ、鋭い碧眼で場を見渡している。
 敵か、味方か? だが今の魔法は間違いなく空中装甲騎士団を狙ったものだ。ならばと、空中装甲騎士団のひとりが声を荒げた。
「貴様、何者だ? なぜ我々の邪魔をするか」
「別に。わたくしはただの通りすがりの者ですわ。ちょっと退屈しのぎに散歩してたんですけど、おもしろそうな香りがしたので見物してましたの。いいですわね、わたくしとしたことが久しぶりに胸を熱くしてしまいました。あなたたち、いいものを見せてくれてありがとうね」
 少女はそう言うと、エーコたちに向かって笑いかけた。エーコたちは唖然としながら、「あ、どうも」と言い返すことしかできない。
 が、それで空中装甲騎士団がおさまるわけはない。
「貴様、杖を持っているなら貴族であろうが、遊びで戦争にしゃしゃり出て、ただですむと思うなよ」
「あら、わたしは貴族ではありませんわ。まあ、どちらでも同じことですが、心配はご無用、これでも些少は腕に覚えがありますの。さて、楽しませてくれた礼といってはなんですけど、少女騎士隊の皆さん、助太刀させていただきますわ」
「えっ、ええええぇっ!?」
 エーコたちだけでなく、ティラやティアや少女たちも仰天した。
「いっ、いやそんな。どこの誰とも知れない、無関係な人を巻き込むわけには!」
「心配は無用と言いましたわよ。それに、関係ないというなら、同じ女として下品な殿方が高笑いして幕が下りるのは不快ですもの。観客としては少々強引にでも脚本の変更を願いますわ。むしろ感謝してほしいくらいです、わたしがタダで杖を振るうなんて、めったにないことですのよ」
 少女はにやりと笑い、エーコたちの下へ歩み寄ると杖を振って治癒の呪文を唱えた。すると、傷だらけだったエーコたちの体がみるみるうちに元通りになっていく。
「す、すごい。すごい強さの治癒魔法だわ! あ、あなた何者? 貴族でないってことは傭兵? いや、でも」
「ふふっ、そんなこと今はどうでもいいじゃないの。そんなことより、これであなたたちも戦えるでしょう? あなたたち、腕はまあまあだけど戦い方は素人ね。特別サービスで教えてあげるわ、勝ったもの勝ちの戦場の戦い方というものをね」
 少女はそう言うと、杖を真っ直ぐに空中装甲騎士団に向けた。それは宣戦布告の証、お前を倒すという意思表示だ。
 ここまで来たらもはや空中装甲騎士団も見逃しはしない。シーコは、不敵な笑みを崩さない少女に向かって確認するように問いかけた。
「あ、あなた、わたしたちの味方でいいのね」
「ええ、そう思ってくださいな。でも、あの数を片付けるのはちょっと面倒ね。お兄様はどっかに行っちゃったし、あなたたちも働いてもらうわよ」
「あ、当たり前よ! これは元々わたしたちの戦いだもの。あなたは、え、ええっと……」
「ジャネット、そう呼んでちょうだい。じゃあ、勝ちにいきましょうか!」
 ジャネットが杖を振り上げると、エーコたちも身構える。空中装甲騎士団も、ジャネットがただ者ではないことを見抜いて体制を立て直した。
 空中装甲騎士団vs水妖精騎士団。ジャネットという予想外の乱入者を加えて、戦いは最終局面を迎えようとしていた。
 その光景を、ベアトリスは呆然として見守っている。
「なに、なにがどうなっちゃってるの? これからどうなるのよ!」
 訳がわからない。しかし、この戦いを決して見逃してはならない、ベアトリスの中の何かが強くそう訴えかけていた。


 人の運命の糸は互いに絡み合い、人生と歴史という布を織り上げていく。その模様は複雑怪奇で、時にいびつで時に美しく、そして常に変化を続けて同じ形をとどめない。
 止まることなく運命の糸をつむぎ続ける時の女神の機織り機。この機織り機は、動き続けながら運命の糸を無限に取り込んで色彩を深めていく。
 そして、織り込まれる糸は時として、出来上がる布の柄を一気に変えてしまうこともある。その特別な糸は、すでに機織り機に取り込まれ、生地の裏側にまで編みこまれていた。


 それは、ロマリアから遠く離れたトリステインで、今を去ること二ヶ月ほど前に遡る。
 ハルケギニアの列強の中で、もっとも小さな”小国”トリステイン。だが ハルケギニアには、まだまだ未開の土地が数多くあり、トリステインもこの例外ではない。
 地球でいえばヨーロッパ地方と似た土地に、ガリア、ロマリア、ゲルマニア、トリステインの四国がひしめき、これに浮遊大陸であるアルビオンが存在して、およそ六千年の間この状態を堅持してきた。
 しかし、六千年という時間を持ってしても、人間はハルケギニアのすべてを知り尽くしているというわけではなかった。
 ブリミル暦六二四三年の今もってなお、ハルケギニアには人間を寄せ付けない山岳、密林地帯が残り、地図に空白を生んでいる。
 だがなぜ誰も未開の土地を切り開かないか? 探検しようとしないのか? それらの原因の多くは、人間が敵わない強さの亜人や幻獣の巣になっているというもので占められる。オーク、トロル、ドラゴン、ないし未知の食肉植物や毒虫などなど。それらに阻まれて、勇敢な冒険家や探検家が次々に未帰還になるうちに、ハルケギニアのあちこちには人間が足を踏み入れてはいけない暗黒地帯が残されたのだ。
 ただそれらの中にひとつ、凶暴な亜人も有毒な生物も棲んでいないのに、暗黒地帯として人が近寄らない地方がある。
 それはトリステイン北西部の小さな山間部。一見、これといった危険もないように見える岩山がつらなるこの地方には、奇妙な伝説があった。

『その山に決して近寄ることなかれ。もし足を踏み入れたら、山の悪魔に取り付かれる。山が見えるところに住んでもいけない。悪魔は夜な夜なやってきて生気を吸っていき、最後には全身の力が奪い取られたあげくに血を吐いて死に至ることだろう』

 これだけならば、よくある田舎の迷信と笑い飛ばすこともできよう。しかし、この山の伝承を笑った者で無事で済んだものはいなかった。
 タブーを笑い、山の近くに家や村を作って移り住もうとした者は、いずれもしばらくして原因不明の病魔に犯された。症状は、全身がだるくなり、やがて体の毛が抜け落ちたり皮膚の色が変わったりしながら衰弱していき、そのまま死に至るというもので、まさに悪魔に生気を吸われたとでもしなければ説明できない恐ろしいものであった。
 今ではこの山は『悪魔の住む山』として、近づこうとする者は誰もいない。
 だがもしも地球の医者や科学者がこの話を聞けば、その山にはなにがあって、なにが原因で病が引き起こされたのか気づいたに違いない。山にあるものは悪魔などではなく、ある希少な鉱物であることに。
 それは使い方を誤れば世界を滅ぼす武器にもなる。しかし正しく使えば人間を星の海にも導くことの出来る素晴らしいエネルギーにもなり、科学特捜隊が宇宙ビートルに使用したハイドロジェネレート・サブロケットエンジンにも応用されている。
 ただ、まだ使用方法を知らないハルケギニアの人々にとっては悪魔と変わりなく、未来のために眠らせておくべき大切な資源であるべきだった。
 しかし、そっとしておけば何事も起こさないはずだった『悪魔の住む山』を、突如として激変が襲ったことによって、ハルケギニアの運命に少なからぬ影響がおよぼされることになる。


 ある日、『悪魔の住む山』を含む一帯を巨大な地震が襲った。
 マグニチュードは九を軽く超えて測定不能。岩山からは何十トンもあろうかという巨岩が軽石のように転がり落ちる激震に、周辺の森の木々は倒れ、動物たちは逃げ惑った。
 が、地震はこの激変のほんの前兆に過ぎなかったのだ。激震の中で、標高五百メイルの山が地面に沈み込むようにして低くなっていく。そして、猛烈な土煙が舞い上がって晴れた後には、山々が連なっていた景色は消えてなくなり、山は地底に大きく沈み込んだ盆地と化してしまっていたのだ。
 これはいかなる天変地異の仕業か? いや、これは人災である。この時期、まだ記憶に新しい火竜山脈の大陥没を覚えていることだろう。シャプレー星人の操るギラドラスによって、ハルケギニア全土の地下に埋蔵されている風石が奪い去られたために、支えを失った地殻が山岳部などの重いところから崩壊を始めた、この『悪魔の住む山』もその影響を受けたひとつだったのだ。
 『悪魔の住む山』は完全に崩落して、もはや跡形もない。しかし、地の底に沈んだ盆地となり、どんな生物も生き残ってはいないだろうと思われたその岩海がうごめきだし、信じられない事態が起こった。無数の岩石を弾き飛ばしながら、地中から二本の長い角を頭に生やした巨大な四足歩行の恐竜が姿を現したのである。そいつは鈴の音に似た甲高い鳴き声を放ちながら、太くたくましい足で大地を踏みつけて地上に全貌を現した。青い体の背中には一列のヒレが生え、長い首と長い尻尾を生やした胴体を合わせた全長はなんと百五メートルにも及ぶ。
 この怪獣の名はキングザウルス三世。かつてはウルトラマンジャックと戦い、一度はジャックを完敗に追い込んだ強力な大怪獣だ。
 だがなぜこの山にキングザウルス三世がいたのか? それがこれから始まる事件の原因にもつながっていく。
 地上に現れたキングザウルス三世は、ゆっくりと辺りをなにかを探るかのように見渡すと、やがてひとつの方向を定めて向きを変えた。そして強靭な首と足を使って地面を掘り返すと、あっというまにまた地底へと潜っていってしまったのである。
 その光景を見ていた者は誰もおらず、このことは人間たちにとっては忌まわしい魔の山が消えたという朗報だけに終わった。真相を知るのは、神のみである。


 そして、時間はその時計の針を現代に戻して、場所を次の物語の舞台へと移す。


 続く

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