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  • ウルトラ5番目の使い魔、第三部-37

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ウルトラ5番目の使い魔、第三部-37

最終更新:2016年03月16日 20:31

匿名ユーザー

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  • ウルトラ5番目の使い魔


 第37話
 強襲キングザウルス! 東方号緊急発進せよ!

 海凄人 パラダイ星人
 古代怪獣 キングザウルス三世 登場!


 燃え上がる炎、立ち昇る黒煙……それは戦いの熱、戦いの華。それらが作り出す戦場という景色の中で、ふたりの男が対峙していた。
「失礼だが、君はいったいどこのどなたなのかな? 命を狙われる心当たりがないわけではないが、君とは今日が初対面だと思うのだが」
「あいにくだけども、余計なことをしゃべらないのが暗殺者のたしなみでね。それよりも、ミスタ・コルベールだっけ? あんたなかなかの使い手みたいだねえ。退屈な仕事かと思ったけど、これは楽しめそうだ」
 炎のゆらめきを頭頂部に反射させてきらめいているコルベールを前に、伊達な衣装をまとった少年ドゥドゥーがレイピア型の杖を握って不敵に笑っている。
 港の一角の倉庫が燃えて、逃げ惑う人々の悲鳴と、消火に当たろうとする人々の掛け声が錯綜してカオスとなっている。コルベールは、これは話してわかってくれる相手ではないなと思いつつも、この場所で戦ったら大切な伊-430潜水艦や、なにより無関係な人たちが危ないと身を翻した。
「あっ! こら、逃げるのか」
「悪いけど、無駄な争いは嫌いでね。君の扱いは衛士隊にまかせるよ。それに、子供相手に大人気ない」
 もちろんこれはドゥドゥーを挑発するための嘘である。コルベールの見立てからして、ドゥドゥーの実力はかなり高く、おそらく衛士隊では束になってもかなわない。また、単に逃げようとした場合には慣れた暗殺者であるなら周りの人間を人質に利用しようとしてくることがあるので、あえて相手を怒らせるように言ったのだ。
 案の定、ドゥドゥーは子ども扱いされたことに怒ってコルベールを追ってきた。
「逃がさないよ! ロマリアくんだりからこんなところまで歩かされてきて、やっと見つけた獲物なんだ。君はぼくに付き合う義務があるんだよっ!」
「追ってきたか、っと! 思った以上に速いな、こっちも本気で逃げなくては危なそうだ。が、腕はいいがまだまだ思慮が浅いな……しかしロマリアか、そんなところの誰が私を? おっと、考えるのは後だ。彼をあの場所までおびき出さないと」
 工場街の建物のすきまを縫って、コルベールとドゥドゥーが跳ね回るように飛んでいく。コルベールは障害物の多いところを選び、ドゥドゥーの足を鈍らせようとするものの、ドゥドゥーは樹上で遊ぶリスのように身軽に飛び回って距離を開かせさせはしなかった。
「フフフ、逃がさないよ。ぼくはしつこいんだ」
 やはり並の腕前ではないとコルベールは逃げながら思った。自由に飛び回る魔法の強さはもちろん、高すぎず低すぎず飛翔力を調整するセンス、なにより魔法頼りではなく本人も建物の壁から壁へと飛び回って平気な足腰を持っていることから、自己の鍛錬にも余念がないのだろう。
 やはり、逃げたのは正解だった。あれほどの動きができるメイジと人のいる街中で戦っていたら大変なことになっていただろう。
 が、彼を差し向けてきたのは本当に何者なのだろうか? 傭兵メイジとしても、彼の実力からしたら料金が安かろうはずはない。それなりの資産を持っていて、自分を狙わせるような相手? だめだ、まだ絞り込むには情報が足りない。
 コルベールはやみくもに逃げているように見せかけながら、ドゥドゥーをある方向へと誘導していった。
「やはり振り切るのは無理そうだね。だが、それならそれでいい。この先なら、いくら暴れてもいいからね」
 彼が誰の回し者であるかは、そこでじっくり聞かせてもらうことにしよう。荒事は嫌いだが、今の自分がここを離れるわけにはいかないのだ。彼には悪いけれど、命を狙いに来たというのであれば、こちらも相応の態度で相手させてもらうだけである。


 その一方で、ドゥドゥーとコルベールの最初の激突で起きた爆発を聞きつけて、非常事態を悟ったベアトリスたちも行動を起こしていた。
「これはただ事じゃないわね。あなたたちは家に戻っていなさい! エーコ、ビーコ、シーコ、行くわよ!」
 ベアトリスは水妖精騎士団の少女たちを残すと、エーコたちを連れて走り出していた。
 金髪のツインテールをなびかせて走るベアトリス。後ろからエーコたちの、「危険です、お待ちください」という声が追ってくるけれども足は止めない。すべてにおいて未熟である自分にとって、トラブルは自分を磨く研磨砂、逃げるわけにはいかないのだ。
 が、走るベアトリスの頭上を黒い影が飛び越えた。ジャネットは魔法で飛んでベアトリスの前まで出ると、彼女たちを見下ろしながら言った。
「せっかくのスポンサーにもしものことがあったら困るのよね。先に行って様子を見てきてあげる。どうせあなたたち、精神力も尽きてるんでしょ。じゃあね」
 そう言ってジャネットは返事を待たずに飛び出したが、もちろんこれは方便である。彼女にとって、せっかく来たまたとないもうけ話をふいにされたらたまったものではない。ここは是が非でも、アホな兄を止めてもみ消さなくては二百万エキューがパァになる。
「まったく、いつものように迷っててくれればいいのに。どうしてこういうときだけ仕事が早いのかしら! ミスタ・コルベールとやらがどれほどのメイジかは知らないけど、ドゥドゥーお兄様にかなうとはとても思えない……ほんと、妹っていやね!」
 ドゥドゥーのいる場所は、空気を伝わってくる戦いの衝撃でだいたい見当がつく。どうやら高速で移動しながら戦っていることからすると、逃げる相手を追っているか、相手を始末して追手から逃げているかのどちらかだろう。もちろん前者であってくれればありがたいのは言うまでもない。
 ジャネットは手遅れにならないうちにと急ぐ。だが彼女はドゥドゥーを探すのを優先するあまり、ほかの気配に注意を向けることを忘れてしまっていた。
 街の空気が少しずつ強く震え、地面を伝わって地響きのような足音が伝わってくる。それは普通の人間にはまだ感じられないほどかすかなものであったが、街に住む風のメイジや土のメイジはその違和感に気づき始めていた。
”何かが、来る”
 そして、街へ近づいてくるその何者かこそが、この街に真の災厄をもたらす元凶であった。

「かっ、怪獣だぁーっ」

 郊外の街道上に悲鳴がこだまし、街へと向かって青い巨大な怪獣が進撃している。
 小山のような胴体を巨木のようにがっしりとした四本の足が支え、大蛇のように長大な尻尾が大地を叩く。
 胴体の前からはさらに長く太い首が伸び、古代恐竜を髣髴とさせる頭には前に突き出た鋭い二本の角が生えている。大きく裂けた口から鈴の音のような鳴き声をとどろかせ、それを聞くすべての人間を威圧した。

 古代怪獣キングザウルス三世。GUYSのドキュメントMATに記録があり、地底を棲み家とし、一度はウルトラマンジャックを完敗にまで追い込んだ強力無比な大怪獣だ。
 全長百五メートル、体重二万七千トン。体の長さは全怪獣の中でもトップクラスで、見渡すような巨体を震わせて前進する姿は、まるで動く要塞のようだ。

 郊外の地底から突如として出現したキングザウルス三世は、そのまま一直線に街を目指して進んでいた。その太い足が振り下ろされるたびに草地にクレーターがうがたれ、振り回された尻尾が放置されていた台車を数十メートルにわたってふっ飛ばし、鳴き声が響き渡るたびに逃げ惑う人々から悲鳴があがる。
 だが、怪獣の出現を察して、街を警護する竜騎士隊がおっとり刀で駆けつけてきた。
「怪獣はあれか。ぬうぅぅ、なんてでかいやつだ……あんなのが街に入ったら大変なことになる。全騎、聞いているな? 本隊が重装備を持って出てくるまで、少しでも怪獣を足止めするんだ。かかれっ!」
 竜騎士隊の隊長は、以前に街を襲ったユニタングとの戦いの経験から、怪獣や超獣の恐ろしさをよく理解していた。
 生き物の常識を超えた生物、それが怪獣。人知を超えたパワーや超能力の数々を持ち、ただ一匹で軽々とひとつの街をこの世から消し去ってしまう。
 が、トリステイン軍人に敵を前にしておじけずくことは許されない。相手がなんであろうと、自分たちの杖はトリステインの旗と同じなのだ。軍人になった以上は、自分の旗を命に代えても守るという義務を果たさねばならない。
 とにかく、時間を稼ぐことだ。そうすれば、重装備を抱えたほかの部隊や、港に駐留する艦隊が出撃してきてくれるだろう。
「全騎、急降下!」
 隊長の命令一過、竜騎士隊は翼を翻して逆落としに入った。
 いくぞ怪獣、我らトリステイン王軍の力を見せてやる!
 だが、キングザウルス三世は広い視野で竜騎士たちの動きを掴んでいた。黒目がぎょろりと上を向き、長い首が戦車の砲身のように上を向く。
 来る! 本能的に危険を察知した隊長が部隊に散開を命じた瞬間、キングザウルス三世の口が大きく開き、赤色の放射能光線が発射された。


 キングザウルス三世の出現で危機迫る街。その脅威は時間と共に警報へと変わって、一般人にも伝えられた。
『緊急警報! 緊急警報! 街郊外に怪獣が出現。怪獣は東ゲート方向より、街へと向かって進行中です。全作業員はただちに作業を中断し、落ち着いて北ゲートもしくは南ゲートへと避難してください。決して、東ゲート付近には近寄らないでください。繰り返します、怪獣が出現……』
 もしものために用意された、風の魔法で増幅されたアナウンスが街全体に響き渡り、それまで平凡な日常を送っていた人々は一瞬にして修羅の巷へと放り出された。
 怪獣が来る! バキシム以来、怪獣の出現が絶えて久しかったこの街にさっと緊張が駆け巡る。だが、トリスタニアと同様に万一に備えて避難訓練が繰り返されて、慣れていた人々は身の回りのものを持ち、慌てて外へと飛び出して、北か南の近いほうの門へと駆け出した。
 むろん、街中に響き渡る警報はベアトリスたちの耳にも入っている。
「怪獣ですって! んもう、こんなときにっ」
「姫殿下、危険です。やってきている怪獣がなにかはわかりませんが、ここはいったんご避難なさってください」
「だめよ、事態も把握できてないうちに責任者が逃げ出してどうするの。このまま港に向かうわよ、まずはミスタ・コルベールの安否を確認するわ」
「そちらは街の西岸です。逃げ道がなくなりますよ!」
「忘れたの? 陸に逃げられなくても、港にはあれがいることを」
「ああっ!」
 エーコたちは合点した。そしてさらに足を速めて急ぐ、港はもうすぐだった。


 そして、人々が望まぬ騒乱に巻き込まれようとしているとき、望み望まれぬ戦いもまた始まろうとしていた。
 人の気配のない閉鎖された工場。その薄暗い中に立ち、コルベールとドゥドゥーは互いに杖を抜き放っていた。
「ふふ、鬼ごっこもそろそろ終わりみたいだね。もう逃げ場はないよ、観念してもらおうかな?」
「確かにね、ここまで追い詰められるとはまいったね。なあ君、外も騒がしくなってきたようだし今日はお開きにしないかね? お土産にお茶菓子くらいは出すよ」
「おもしろいおじさんだね、自分の立場をわかってるはずなのにその余裕。やけっぱちかな? いやいや、ボクの勘が君は腹になにかを隠してるって言ってるよ。ケチケチしないでやる気を出してくれたまえ」
 コルベールがなだめようとしても、ドゥドゥーは人をなめた態度で挑発を続けてきた。
 じりじりと両者の間合いが詰められていく。ドゥドゥーのレイピア型の杖を扱う仕草には隙がなく、コルベールもじっと杖を構えて動かない。
 が、コルベールはドゥドゥーの千分の一も殺気を発してはいない。
「なあ君、私は無益な争いは嫌いなんだ。けんかも弱いし、なにより私はまだ未婚なんだ。せめてあとニ、三年経ってから来てくれないかな?」
「あっはっはっ! 本当におもしろいおじさんだね。まあ未婚なところは同情してあげるさ、おじさんってそういう遊びにも疎そうだもんねぇ。でもダメだね、何年も先じゃなくて、今殺ることに価値があるみたいだからさ。代わりに、お弔いにはロマリアで一番きれいなシスターに祈ってもらえるようお願いしておくよ。なんなら大聖堂のシスターを総動員ってのもいいかもね」
 コルベールは表情を変えないようにしながらも、ドゥドゥーの言葉を吟味していた。
 『今殺らないと』『大聖堂』、なるほど、少しずつ背後が見えてきた。人間は無意識のうちに言葉の中に見聞きしたことを含めてしまうものだ。
 どうやら、彼に暗殺を依頼した相手の動機は自分への恨みなどの類ではなさそうだ。今現在自分がいなくなって支障をきたすものといえば東方号がらみしかない。しかし、恐らくはロマリアでもかなり高い立場にいる人間が依頼主であろうと推測するが、ロマリアが暗殺者を送ってまで東方号の稼動を妨害する理由がわからない。
 だが、理由がなんであろうとも親切に首を差し出してやるつもりはない。
「本当に、私は痛いことは嫌いなのだよ。お金がいるならば、私の財産を持っていってもいいから命ばかりは勘弁してくれないかね」
「あっははは、これはずいぶん苦しい命乞いだね。だったら今ここに二十万エキューを用意してみたまえ。なにより、今ぼくは機嫌が悪くてね。暴れたくてしょうがないのさ……なにせこの街ときたら、やたら道が複雑で……」

 それは数時間前のこと……

「おーい、ジャネット! ジャネットぉっ! まずい、完全にはぐれた……そして」
 迷った……と、ドゥドゥーはどこともしれない路地の中で途方に暮れていた。マイペースで自由人のジャネットは街の雑踏にまぎれてどこかに行ってしまい、ぽつんと残されてしまったドゥドゥーは、認めたくないが迷子というほかはない。
 しかし、遠足に来た子供ではないのだから自分でなんとかしなくてはいけない。
「しょうがない、ターゲットのいそうなところを人に聞いてみるしかないか。なんでぼくがこんな目に……えーと、すみませーん!」
「はい? なんですかみょん」

 そうしてあっちこっちを散々さまよって……
「やっとのことで、港のほうで色々研究してるハゲがいると聞き出したときはうれしかったなあ。この恨み、なにがなんでも君を抹殺して晴らさせてもらうよ!」
「は、はぁ……」
 ずいぶんと苦労性な少年だなあと、コルベールは思ったが、どうやらドゥドゥーは本気で我慢の限界らしい。
 これ以上、話を引き伸ばすのは無理か……コルベールは腹を決めた。
 廃倉庫の中に、ドゥドゥーの殺気と共に魔力が高ぶっていく。コルベールは、その流れをじっと見定めていたが、ある一点に達した時点で素早く身を翻した。
『ライトニング・クラウド!』
 上級の電撃魔法がドゥドゥーの杖からほとばしってコルベールに襲い掛かる。だが、魔法の完成の一瞬前に飛びのいていたおかげで、電撃の枝は打ち捨てられていたさびまみれのドラム缶を黒焦げにしただけに終わった。
「すごいね! ライトニング・クラウドを避けるなんて、そんじょそこらのメイジにできることじゃないよ」
「喜んでいるところを悪いが、周りに気をつけたほうがいいよ」
 コルベールが言うのと同時に、廃倉庫のガラクタや物陰からいっせいに何十発ものロケット弾が飛び出してきて、白煙を噴きながらドゥドゥーに襲い掛かった。
「!?」
 四方八方、逃れる隙間のない全方位からのロケット弾攻撃はドゥドゥーに迎撃する暇も与えずに全弾命中して派手な火柱をあげた。
 爆発の風圧で揺れる廃倉庫。コルベールは積み上げられたコンテナの上から煙に包まれた、ドゥドゥーのいたあたりを見下ろしながらつぶやいた。
「こんなこともあろうかとと思って用意しておいた、魔法の発動に反応して発射されるマジックミサイルさ。死ぬほどの威力はないが、人の命を狙ってきたんだ。少しくらい痛いのは勘弁してもらおうか」
 だが、コルベールのすまなそうなつぶやきをさえぎるように、爆発の白煙は内側から一気に吹き飛ばされた。
「なめるなあっ!」
「んっ、なんと!」
「たいした仕掛けだねえ、一瞬ほんとに死ぬかと思ったよ。でも、この程度じゃぼくはやられない。残念だったね」
「あれをしのぎきったのか。どうやらまだまだ私は君の実力を見誤っていたようだね。これは少し考え方を変えるべきか」
 コルベールは、ぐっと杖を握った手に力を込めながらつぶやいた。
 今のマジックミサイルはオモチャではない。弾頭の火薬こそ減らしてあるものの、まともに使えばドラゴンすら吹っ飛ばす威力を秘めている代物なのだ。それをドゥドゥーは爆煙のせいでどうやったかはわからないものの、完全に無傷で耐え切ってしまった。
 しかし、不思議なことにコルベールの表情には悲壮感とは別ににこやかな笑みが覗いている。
「へえ、やっぱり君も戦いが楽しいんだ。そりゃそうだよね、世の中で闘争ほど心踊るものはないものさ」
「いやいや、そうではないよ。私はこれでも教師だからね、前途有望な若者を見るとついついうれしくなってしまってね。惜しいものだ、それほどの腕を傭兵などで腐らせておくのは」
「そうでもないさ、傭兵稼業をしてると強い奴と戦う機会も巡ってきやすいんでね。もちろんハズレも多いけど、君には大当たりの匂いがプンプンするよ。さあて、本気を出すのが嫌なら出させるまでってね! 絶対逃がさないからね」
「仕掛けを恐れずに突っ込んでくるか。いいねえ、若いというものは……でも、私の自慢の発明もまだまだあるんだよ。私に本気を出させたかったら、がんばってくれたまえ」
 コルベールに襲い掛かるドゥドゥーと、彼を次の仕掛けに誘導しようとするコルベール。ドゥドゥーが参るのが先か、コルベールの発明品が尽きるのが先か、戦いは廃倉庫の空気をさらに埃まみれにしながら激しさを増していく。


 だが、コルベールがドゥドゥーの相手に手一杯になっているうちにも、街には巨大な脅威が迫っていた。
 大地に激震が轟き、建物が崩れ落ちる轟音と、路地裏にまで響き渡る鳴き声が傲慢な野良猫も怯えて逃げさせる。
 防衛隊の必死の防衛線を突破して、ついにキングザウルス三世が街へと侵入してきたのだ。
「怪獣が来るぞ! 早く、早く逃げるんだ!」
 逃げ遅れている人に向かって、街の守備部隊の必死の叫びが飛ぶ。人々の悲鳴と怒号が響き、さらにそれを上回る高さの怪獣の鳴き声が空気を震わせ、恐怖と混乱をあおっていく。
 倒壊した建物から上がる炎。立ち昇る煙の柱が何十にも昇り、人間がその知恵を絞り、少なからぬ時間と努力を重ねて築き上げてきた街が価値を持たない瓦礫の山へと化していく。
 その中でただひとつ、我が物顔で吼え猛り、その身に触れるすべてのものを容赦なく破壊していくものこそ、怪獣キングザウルス三世。
 角が軽く触れただけで石造りの建物が崩され、尻尾が振るわれるたびに街路樹も街灯も紙切れのように宙に舞い上げられていく。
 まるで形を持った台風であるかのように、キングザウルス三世の進撃は止まらない。
 むろん、人間たちも手をこまねいているだけではない。防衛用にと用意されていた大砲が馬に引かれて駆けつけ、砲手たちが砲口から火薬と砲弾を詰めて狙いを定める。
「でかい的だ、外した奴は一週間メシ抜きになると思え。よーし、撃てーっ!」
 鋳鉄製の黒々とした砲身から炎と煙と共に球形弾丸が放たれて、キングザウルス三世の巨体に突き刺さる。
「やった!」
 だが、砲弾はキングザウルス三世の皮膚を貫くことなくはじき返されて空しく落ちていった。
 なんて硬い皮膚をしてやがるんだ! 砲手たちはじだんだを踏んだ。奴の皮膚はマットアローのミサイル攻撃にもまったく動じなかったほど強固であり、キングザウルス三世は砲撃されたこと自体に気づいていない様子で、野砲小隊に一瞥もくれずに前進を続けている。
 強固な石の建物も、キングザウルス三世の前進を妨げる障害にはまったくなっていないようであった。その様子や、野砲隊の攻撃が無駄に終わったことを空から見て、竜騎士隊の隊長は歯噛みをするしかできなかった。
「くそっ、なんて奴なんだ!」
 自分たちの足止めもほぼ効果なく、怪獣はたいして歩みを緩めることなく街へ入ってしまった。可能ならば、重装備の部隊が駆けつけてくるまで郊外で釘付けにして、街の外で決着をつけたいと思っていたのは虫が良すぎたと思うにしても、あの怪獣のタフネスとパワーは以前に街を襲った超獣に少しも引けを取るものではなく見えた。
 竜騎士隊は半数が撃墜されて、もはや戦闘ができる力は残していない。彼らにできることは怪獣を空から見張り、その動向をいち早く通報することだけであった。
 けれども、人間たちもこのままやられっぱなしではない。隊長の待望していた援軍が、ついに街の空と地上に現れてきたのだ。
「こちらトリステイン王立空軍、第六艦隊。全艦、対大型幻獣戦闘用意!」
「こちらトリステイン王立陸軍、第三十砲亀兵連隊所属重砲隊、弾込め急げ」
 空中からは艦列を組んだ飛行戦列艦が砲を下に向け、地上では道路を削りながら運ばれてきた大口径砲が仰角をつける。
 待たせたな怪獣め。ずいぶん急いで来られたから、少しばかり歓迎レセプションの準備が遅れたが、ここがパーティ会場だ。我々のもてなし、存分に受けてくれたまえ。
 キングザウルス三世も、新たに現れた敵の存在に気がつき、長い首を空に向けて威嚇の声をあげる。その迫力には、訓練を積んだ新兵も、歴戦の老兵も揃って息を呑まされた。
 どうやら、我々の挑戦を彼も受けてたってくれるらしい。しかし、もてなされるのは逆に自分たちかもしれないという予感が、将兵たちの心によぎった。
 あの怪獣は強い、間違いなく。雄たけびには微塵の恐怖の気もなく、空を睨む目はかけらも震えていない。年月を積んで成熟しきったドラゴンと同じく、人間を邪魔とは見ても脅威とは見ていない、そんな目だ。
「なめられているな。まあ当然か……だが、我らトリステイン軍に敵前逃亡などはありえん。女王陛下、我らに力をくだされ。全艦、砲撃開始!」
 戦列艦の砲が一斉に火を噴き、同時に地上の重砲部隊も火蓋を切った。
 轟く火薬の爆裂音、空気を裂く衝撃波、そして音速を超えて殺到する砲弾の乱舞。
 キングザウルス三世は一瞬のうちに炎と煙に包まれた。炸裂する砲弾が無数の破片を撒き散らし、キングザウルス三世の砕いた建物の破片がさらに微塵の粉塵にまで砕かれて舞い散る。
「どうだ、最大級の火龍でさえ吹き飛ぶ威力だぞ!」
「気を抜くな! 奴らは、我々の常識を超えた生き物だということを忘れたか。次弾装填急げ、次は奴の反撃が来るぞ!」
 その瞬間、灰色の粉塵の中から赤い光線が放たれて一隻の戦列艦に突き刺さった。爆発が起こり、船体の文字通り右半分を消し飛ばされた艦は大きく傾いて落ちていく。
 やはり、こんなもので絶命するような奴ではなかったか。粉塵の中から再びキングザウルス三世の巨体が現れて、大地を踏みしめ、尻尾を揺らして前進を始める。
 強い……今の砲撃は、怪獣を相手にすることを想定して火薬を倍加した特製弾だったのに、まるで効果が見えないとは。
「お、恐ろしい奴だ。司令官、このままでは」
「うろたえるな、こうなることは最初から想定のうちだったろうが。だが、この世に生きている限り、殺せない生き物などいない。全艦、今度は照準を絞り込んで、奴の頭を集中攻撃しろ。下の部隊にも連絡、急げ!」
 司令官は、あのベロクロン戦からの戦いを生き残り、その経験を買われて司令官に任命された猛者だ。怪獣の恐ろしさは身に染みて知っている。
 だが、怪獣や超獣とて不死身ではない。人間の力でも、工夫し、弱点を突けば必ず倒すことが出来る。
 命令が伝達され、艦隊の砲口がキングザウルス三世の頭部へ向けて照準を定め、続いて地上の重砲部隊も砲門を動かす。
 トリステインの冶金技術では、まだ命中精度の優れた大砲は作れない。しかし、空と陸を合わせて百門以上の大砲が一斉発射すれば、そのうちの何割かは確実に当たる。さらにその中の一発が、目にでも当たってくれたら御の字だ。
 キングザウルス三世の放射能光線が当たり、また一隻の戦列艦が艦首を吹き飛ばされた。だが、せめて落ちる前に一矢をと、砲手たちは傾く床の上で必死に砲弾を詰め、狙いを定める。
「見上げた敢闘精神だ。かの船の男たちの闘志を無駄にしてはならん。全砲、放てぇーっ!」
 今度こそはと、必勝の信念を乗せた砲弾が再び放たれた。砲手はいずれも劣らぬ鍛え上げられた腕利きばかり、殺到する砲弾の何割かは確実にキングザウルス三世の頭部を目掛けて直進した。
「やったか!」
 今の砲撃は確実に怪獣の頭を捉えたはずだ。これでダメージがないはずはない。後は、相手のダメージを広げて、撃破につなげていけばいい。
 爆発の煙があがる中で、司令官や将兵たちは確信した。確かに、頭部への攻撃は有効な手段であり、ウルトラブレスレットに耐えられるボディを持つとされる改造ベムスターも目だけは守ることはできずに苦しめられている。
 しかし。
「なっ! そんな馬鹿な」
 なんということか、怪獣には一筋の傷さえ刻まれてはいなかった。
 どういうことだ!? あの怪獣の硬さは顔面にまで及んでいるのか? いや、あれはなんだ!?
「光の、壁?」
 怪獣の周りを、まるでカーテンで覆うかのように発光する光の壁が囲んでいた。
 まさか、あの壁が!
 その推測は完全に当たっていた。弾込めが間に合わず、今になって放たれた砲弾のいくらかがその光の壁にはじき返されてしまったのだ。
 これこそが、キングザウルス三世の持つ数々の超能力の中でも特に恐ろしいと言われる、超強力なバリヤー能力である。その障壁はキングザウルス三世の三百六十度すべてに張り巡らされ、どの方向からの攻撃に対しても完全に対処できる。さらに、なによりも恐ろしいのが……
「うろたえるな! 撃ち続けろ、どんな障壁も撃たれ続ければ必ず破れるはずだ」
 司令官の叱咤で、兵士たちは勇気を奮い起こして大砲に次の弾を込めた。
 砲弾がバリヤーに炸裂し、派手な爆発があがる。けれども、これが魔法で作られた風や土の防壁であったならば、攻撃を続ければいずれは破壊できたであろうが、彼らは知らなかった。キングザウルス三世のバリヤーの持つ驚異的な強度を。
 群がる砲弾はバリヤーを食い破ろうと次々に炸裂する。が、バリヤーにはなんの変化もなく、キングザウルス三世は余裕で前進を再開し始めた。そう、キングザウルス三世のバリヤーの強度は怪獣界でも随一を誇り、かつての個体はウルトラマンジャックの必殺技であるスペシウム光線をはじめ、八つ裂き光輪、フォッグビーム、シネラマショットの連続攻撃を完全に防ぎきっているのだ。
 バリヤーで砲撃をしのぎきったキングザウルス三世は、おもむろに首を上げると放射能光線を吐き出した。赤色の光に打ち抜かれて、また一隻が落ちていく。
 なんて奴だ、だがこれ以上進めるわけにはいかん! 空中艦隊の苦戦を見て取って、地上の重砲部隊が狙いを怪獣の足元に定める。だが、怪獣は地上の部隊をじろりと睨みつけると、大きく裂けた口を開いて白色のガスを吐き掛けて来た。
「なんだこの煙は、うわぁ、目が痛い、喉が焼けるっ!」
 キングザウルス三世の吐いたのは、有毒なスモッグガスであった。ガスは瞬く間に一帯に広がり、地上にいた部隊は戦闘続行不可能に追いやられてしまった。
 司令官の乗った船も放射能光線で街中に撃ち落され、戦列艦は街の建物を押し潰しながら街中に不時着した。負傷者を運び出せ、火を消せと怒鳴る声が響き渡る中で、司令官は無念の歯噛みをすることしかできなかった。
「くそっ……またしても」
 人間の努力は怪獣の力には敵わないのか……我々は、無力だと、司令官は防衛線の崩壊を見守っていた。
 だが、世は万事が目的どおりに結果が出るとは限らない。彼らの奮闘は、まったく戦場から離れた場所に影響を与えていたのだ。
 邪魔者を粉砕し、我が物顔での前進へと返ったキングザウルス三世。その巨体の破壊力の前には、人間の作ったものはひとたまりもなく、自動車を軽く引き潰す重戦車が巨岩に押し潰されるように破壊の渦が広がっていく。
 轟音を上げて崩れ去っていくレンガ作りのアパルトメント、戯れに放たれた放射能光線で爆破される酒場、道路も水道ごと踏み抜かれて、水を噴水のように噴き出した。

 それらの暴虐の様子を、コルベールは倉庫の屋根に登って見渡していたのだが、怪獣が街の防衛部隊に進撃を邪魔されながらも一切進路を変えようとしない様子から、怪獣の目的地に当たりをつけた。
「あの方角は桟橋。狙いは東方号か……これはもう、こんなところで遊んでいる場合ではなくなったようだね」
 廃倉庫の高い屋根は『フライ』の魔法を使わなくても街を見渡すのに向いていた。街は今日までの平和な様相から戦場へと変わり、さらに戦火は広がり続けている。
 もう、自分に向けられた暗殺者の正体うんぬんについて探っている暇はないようだ。あの怪獣の進行速度からして、東方号の係留してある桟橋にたどり着くまでそう時間はない。コルベールは杖を握り、一気に飛ぶべく魔法の準備に入った。
「私が行くまで、持ちこたえていてくれよ諸君。今、行くからな」
「待て! ここまで来て逃げようって言うのか。そんなズルってあるかい!」
 屋根の下からドゥドゥーの恨めしそうな声が聞こえてくるが、コルベールは露にもかけずに冷たく言った。
「私も少々残念だが、大人は遊ぶよりも仕事が大事なのでね。このへんで失礼させてもらうよ」
「くそーっ! 卑怯だぞ、わけのわからない道具ばっかり使って」
「発明が私の唯一無二の趣味だから、すまないね。ただ、君もなかなかよくやったよ。私の自信作の踊るヘビくんも逆立ちするヘビくんも切り抜けてくるとは驚いた。でも、ホイホイするヘビくんには通用しなかったね」
「ずるいぞ、トリモチなんて! これがメイジのやることかい」
 今、ドゥドゥーは倉庫の中で、害虫用の罠にかかった黒光りするアレのごとく床にべっとりと貼り付けられてしまっていた。当然、身動きはまったくとれず、ドゥドゥーの悔しがる声ばかりがコルベールの耳に響いてくる。
 まったくどうしてこうなったかと言うと、コルベールの狡猾さにドゥドゥーがひっかかったからである。コルベールは、マジックミサイルなどの派手な罠を先制して用いて、用意してある罠はそういうものだという先入観をドゥドゥーに植え付けた。そのため、トリモチを張った床という単純極まりない罠にみすみすかかってしまったのであった。
「君が自分の体に硬化をかけて攻撃をしのげても、それではまったく意味がなかろう。それと、そのトリモチは特別製でね。錬金してはがすにも時間がかかるよう作ってある。まあ頑張りたまえ、若い頃の苦労は買ってでもするものだよ」
 それだけ言うと、コルベールは倉庫の屋根を蹴って、一直線に桟橋のほうへと飛んでいってしまった。
 あとに残されたのはドゥドゥーだけ。人のいなくなった廃倉庫は、すぐ近くで怪獣が暴れているというのに異様なほど静かで、ドゥドゥーはその静寂に、自分が負けたことを悟った。
 なんという無様か。屈辱が激しく胸を焼く。しかし全身を貼り付けにされた様ではじたばたすることもできず、むしろ暴れるほどトリモチに引っ付いてしまうので、ドゥドゥーは悔しげに錬金の呪文を唱え始めた。
「畜生、このぼくがこんな目に。覚えていろよ、あのコッパゲ!! 今度会った時こそ、必ず殺してやる! しかし、場所が場所でよかった……こんなとこ、ジャネットに見られたら、またなんて言われることか」
「残念だけど、もう見てるわよお兄様?」
「なっ!?」
 背後からした聞きなれた声に、ドゥドゥーがかろうじて動く目だけを動かして見ると、そこにはジャネットが倉庫のはり材に腰掛けてこちらを笑っていた。
「ジャネット、お前いつのまに」
「さぁ、いつからかしら? でも笑いをこらえるのに苦労したわ。お兄様ったら、もう傑作! う、生まれて今日まで、こ、こここ、こんなおかしいもの見たことないわ」
 そう言うとジャネットは堰が切れたように腹を抱えて大声で笑いに笑った。ドゥドゥーは兄として、悔しいやらみっともないやらで泣きたくなったけれども、残念ながら手も足も出ない。
「ジャネット、いつまでも笑ってないで助けてくれ。あのコッパゲ、人をさんざんコケにして、今度こそ確実に始末してやる」
「あら? それはダメよ。あのおじさんに死んでもらったら、とーっても困ることになったの。そうさせないようにと慌てて来たけど、お兄様がいつも以上のドジを踏んでくれたおかげで助かったわ」
「なんだって? お前、ロマリアからの依頼はどうするつもりだ。二十五万エキューを棒に振る気かい!」
 事情を知らないドゥドゥーは慌ててジャネットを問いただした。もちろん、ぜんぜん身動きとれない中で叫んでいるので滑稽極まりない。
 ジャネットは、ドゥドゥーが動けないのをいいことに、ひとしきりじらす様子を見せたが、やがて誇らしげに言った。
「私はね、ドゥドゥーお兄様が遊んでいるうちにも、お兄様たちのお役に立てるように色々働いてるの。ロマリアのはした金なんてもう必要ないわ。だからこの仕事は終わりよ」
「どういうことだい。ジャネット、もう少しわかるように説明したまえよ」
「うふふ、お兄様と違って、日ごろの行いがいいわたしは運もついているの。もうすっごい儲け話が舞い込んできたの、これを伝えたらジャック兄様もダミアン兄様もきっと喜んでくださるわ」
 ジャネットはもったいぶりながらも得意げにドゥドゥーに語ろうとした。しかしそのとき、ジャネットの後ろから。
「ほう、どういう話か聞かせてもらおうかジャネット?」
「えっ!」
「そ、その声は、ジャック兄さん!?」
 振り返ると、そこには筋骨隆々とした大男が、腕組みをしながら渋い顔でこちらを見下ろしていた。
 とたんに顔から血の気が引くドゥドゥーとジャネット。ジャックは、そんなふたりを見下ろしながら呆れたように言った。
「ドゥドゥー、ジャネット、このあいだの仕事が終わった後で、しばらくは自由にしていいとは言ったが、勝手に依頼を受けていいとは言っていないはずだがな。いなくなったお前たちを探すのに、ずいぶん骨を折らされたぞ」
「ご、ごめんよジャック兄さん。ぼ、ぼくたち、すごく割のいい仕事を見つけたもんだから、こっそり稼いで兄さんたちをびっくりさせたくて」
「それは殊勝な心がけだ。だがな、お前たちが勝手に動いている間に、もっと大事な仕事が舞い込んできたらどうするつもりだ。ただでさえ、俺たちの仕事はリスクが高いんだぞ。ダミアン兄さんが依頼主との交渉に毎回どれだけ苦労してると思ってるんだ」
「ごめんなさいジャック兄様。あっ、でもそのことですけど、リスクなしで大金を稼げる方法が見つかりましたの! ぜひ、聞いてくださいませ」
 ジャネットは駆け足で、この国一番の金持ちであるクルデンホルフが自分たちを破格の待遇で雇いたがっているという事をジャックに伝えた。
 ジャックはジャネットの説明を黙って聞いていたが、話が終わるとおもむろに口を開いた。
「なるほど、確かにすごい話だ。だが、そんな話を俺はまだしもダミアン兄さんに黙って進めていいと思ってるのか? 俺たちの仕事は信用第一なんだぞ」
「そ、それは悪いと思ってるわよ。でも、こんないい話は二度とないと思って……ね、ジャック兄さん、これだけのお金が稼げればダミアン兄様の夢に大きく近づくわ。だから、お願いだからダミアン兄さまには、あの、その」
「そ、そうだジャック兄さん。こんないい話はないとぼくも思うよ。だからダミアン兄さんには、ジャック兄さんから、その、穏便に、その」
 青ざめて震えながら、ドゥドゥーとジャネットはジャックに懇願した。どうやら、この二人はダミアンという兄のことが相当に怖いようだ。
 ジャックはふたりの様子にため息をついたが、やがて独り言のようにつぶやいた。
「だ、そうです。どうしますダミアン兄さん?」
「えっ!?」
 ジャックが視線を動かした先の暗がりから、小さな人影が歩み出してきた。
 年のころは十歳くらいの少年に見える。短い金髪を持ち、顔つきも端正と言っていいが、その表情には愛らしさのカケラも浮かんではいなかった。
「ダ、ダミアン兄さん……」
「ドゥドゥー、ジャネット、話は聞かせてもらったよ。まったく君たちときたら、いい年をしてもう少しおとなしくできないのかい? おまけに勝手に受けた仕事は完遂できないわ、ターゲットにあっさり懐柔されるわと、僕は兄として情けないよ」
 冷たい声で、ダミアンはドゥドゥーとジャネットに言った。
 ドゥドゥーとジャネットは、顔が青ざめるのを通り越して冷や汗で背筋をぐっしょりと濡らしている。
「あの、ダミアン兄さん、もしかして怒ってます?」
「さあ、どうだかね。ただ、少しばかり君たちにお説教したい気持ちなのは確かだね。ちょうど、ドゥドゥーは動けないようだし、ここには誰も来ないようだしね」
「ダ、ダミアン兄さま! わたしの話はお聞きになってましたよね。もうすっごい儲け話なんです。これ以上ないくらいの! だからせめて、わたしだけは勘弁してください」
「ジャネット! ずるいぞお前だけ」
「ヘマしたのはドゥドゥーお兄様だけよ。わたしは別に功績もあげてるんだからずるくないわ」
 ドゥドゥーとジャネットが言い争いを始めるのを、ダミアンは冷たく見守っていたが、やがてふたりを止めると静かにゆっくりと告げていった。
「ジャネット、わかった。君の話は僕としても検討させてもらおう。クルデンホルフといえばゲルマニアともつながりの深い大貴族、スポンサーとしては悪くない。ただし……それはそれ、これはこれだ」
 一気に自分たちの周りの空気が冷たくなったことを感じたドゥドゥーとジャネットは、「ああ、終わった」と、すべてをあきらめたように涙を流した。
 ジャックは、とばっちりを受けないようにコルベールがいた倉庫の屋根に登って街を見渡している。怪獣が埠頭につくまでには、あと数分くらいに感じられた。


 キングザウルス三世の姿はすでに東方号のブリッジからもはっきりと見え、ブリッジからその様子を睨みつけていたベアトリスは苦々しげに言った。
「やっぱり、あの怪獣の目的はこの船みたいね。出航準備、まだできないの! 早くしないとつぶされるわよ」
「は、はい! 出港準備、今できました。水蒸気機関、全力運転開始、東方号発進します!」
 船に集まっていた銃士隊と水精霊騎士隊の必死の働きで、東方号はじわじわと桟橋を離れて動き出した。
 対して、キングザウルス三世は足をさらに速めて迫ってくる。ベアトリスはエーコたちとともに、早く、早くと祈り続けた。

 一方で、コルベールも魔法でキングザウルス三世を追い越しながら東方号へあと一歩まで来ている。
「ようし、船が動き出した。皆、訓練どおりにうまくやってくれたようだな。怪獣め、東方号はなんとしてでもやらせんぞ。あの船には、世界の未来がかかっているんだ」

 果たして東方号はキングザウルス三世から逃げ切ることができるのか? 進撃はさらに早まり、破壊されゆく街は激しく燃えゆく。
 大火災、その炎と天高く上る煙は数十リーグ先からでも見えていた。
「おい、東の空を見てみろ。あの煙の量は、尋常ではないぞ」
「なに言ってるのよ、あれはどう見ても戦火じゃない。シルフィード、お願い。なにか、悪い予感がするわ」
「わかったわ、じゃあ飛ばすから、みんな早く乗ってなのね!」

 そして、桟橋から離れゆく東方号をじっと見つめる目がもう二組。
「エーコさまたちの船、動き出したね。けど、このままじゃとても逃げ切れない。やられちゃうよ」
「そうね。けど、あの船、ミミー星人が作ったあの船が本当の力を出せれば、もしかしたら」
「ティラ、わかっているのかい? それが、どういうことなのかをさ」
「もちろんよ、ティア。けど、それがわたしたちを友達と言ってくれた人たちにできる、たったひとつのことだと思わない?」
「わかってるよ、わたしたちは、いつでも、いつまでだっていっしょさ」
 握り合った手と手が熱く締まる。
 姉妹の決意、それが東方号の、そしてハルケギニアすべての運命をも、今まさに変えようとしていた。


 続く

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