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  • ウルトラ5番目の使い魔、第三部-77

あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ウルトラ5番目の使い魔、第三部-77

最終更新:2018年09月17日 22:06

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  • ウルトラ5番目の使い魔


 第77話
 170キロを捕まえろ!

 高速宇宙人 スラン星人 登場!


 謎の宇宙人の策略により、サーカスを楽しむ才人たち一行は、サーカスのテントごと巨大な円盤に乗せられて連れ去られようとしていた。
 サーカスに夢中になっている才人たちはまったく気づいておらず、このままでは知らないうちに二度と帰れない場所まで連れて行かれてしまうに違いない。
 果たして敵の目的とは? 才人たちは、かつてないこの危機を脱出できるのであろうか。

 円盤は上昇を続け、内部は変化がある前の状況をそのまま再現されているために誰も異変に気付くことができない。ご丁寧に、テントを通して入ってくる太陽光やテントが風で揺れる様さえ再現されていた。
 サーカスの公演時間はまだまだあり、観客の興奮は収まる様子を見せない。今も、空中ブランコの芸に大きな歓声があがっていた。
「おおおお! まるで妖精の羽ばたきみたいだ」
 空中ブランコの妙技に貴族からも歓声が飛ぶ。ハルケギニアでは貴族が魔法で飛べて当たり前であるから、彼らは魔法よりもすごく跳べるように技を磨いてきたのだ。
 空中回転からの飛び移り、複数人同時飛び。それを目にもとまらぬ速さで縦横無尽に繰り出す芸当は、まさに魔法以上に魔法のようなきらびやかな魅力を持って観客を魅了した。
 しかし悪いことに、サーカス団のそうした演技のすばらしさが逆に注意力と警戒心を薄れさせてしまっていた。
 テントを飲み込んだ円盤はさらに上昇を続けるが、いまだに異変に気付いた人間は誰もいない。その様子を天井の照明の影から見ていた宇宙人は、これでこのままハルケギニアから連れ去ってしまえばこっちのものだとほくそ笑んだ。
 だが、宇宙船が高度を上げてワープに入ろうとしたその瞬間だった。順調に飛行を続けていた宇宙船に、突然下方から赤い矢尻状の光弾が襲い掛かったのだ。
『ダージリングアロー!』
 光の矢は円盤をかすめ、その余波で円盤は大きく揺れた。
 もちろん円盤にダメージがあれば、その中に収容されているテントもそのままでは済まなかった。
「うわぁっ! なんだっ!」
 突然の揺れに、サーカスに夢中になっていた彼らは椅子から放り出されて体を痛めてしまった。それと同時に、空中ブランコの途中だったサーカス団員もバランスを崩して放り出され、床にに真っ逆さまになるが、すんでのところで銃士隊員が駆け込んで抱き留めた。
「あ、ありがとうございます」
「い、いえいえ。え、ええと、ところで今度、私と夜明けのコーヒーでも……」
「はい?」
 イケメンだったサーカス団員を思わず逆ナンしている銃士隊員がいるが、それでも危ないところは救われた。
 だが、なんだ今のは? サーカスの趣向ではないし、地震にしては不自然だ。観客席は動揺し、慌てて出てきた団長が、お客様どうか落ち着いてくださいと呼びかけてはいるけれども、一度始まった動揺はすぐには収まらない。
 そのときだった。子供たちをなだめるのに必死なティファニアの脳裏に、怒鳴りつけるような声が響いてきた。
〔気づけティファニア! 今すぐ外を確認しろ!〕
「えっ! この声、ジュリ姉さん?」
 聞こえた声の主に気が付き、ティファニアはとっさに「誰か、外を見てきてください」と叫んだ。その声にはっとして、何人かがサーカステントの出入り口へと走った。
 そして、この事態に驚いているのは人間たちだけではない。作戦成功を確信していた宇宙人も、異変に気がついて外部を確認して驚いた。
「ウルトラマン!? くそっ、どうしてこんなところに!」
 円盤の外、そこには赤い正義の戦士、ウルトラマンジャスティスが駆けつけ、宇宙船の進路を塞ぐように対峙していたのだ。
 円盤はジャスティスの光線を受けてダメージを負い、亜空間ワープができなくなっている。間一髪のところで、ジャスティスのおかげで最悪の事態は免れた。
 しかし、なぜここにジャスティスが駆けつけてくることができたのか? この光景を、あのコウモリ姿の宇宙人が遠くから見ながら笑っていた。
「おやおや、あと一息というところで”偶然”ウルトラマンがやってくるとは不運ですねぇ。では、あなたの実力を拝見させていただきましょうか。この窮地を切り抜けられるなら、本当になんでも持って行っていいですよ。フフフ」
 陰湿な笑い声が流れ、事態は終局から一気に混迷へと崩れ落ちていく。
 ジャスティスは円盤の中にティファニアたちがいることをわかっており、円盤を完全に破壊しないように地上に下ろそうと近づいていく。
 しかし、円盤も無抵抗ではおらず、下部からビームを放って反撃してきた。
「シュワッ!」
 ジャスティスはビームをかわし、円盤の死角に回り込みながら再接近をはかる。もちろん円盤もそうはさせじと旋回して、背後を取り合うドッグファイトの様相を見せてきた。
 一方、内部の人間たちも自分たちの置かれた状況の異常さに気づいてきた。
「なんだこの壁! 外に出られないぞ」
 いつの間にかテントの出入り口の外に金属の壁が現われており、出ることができなくなっていた。
 一転してテントの中はパニックに陥る。人間は閉じ込められるというシチュエーションに本能的に恐怖心を抱きやすく、そうなるともう自分では歯止めが効かなくなってしまうのだ。
 だが、ここには歯止めをかけられるくらいに冷静さを保てる者が複数いた。アンリエッタの「静まりなさい!」に始まり、アニエスやスカロンたちがそれぞれ周りを叱咤したりなだめたりして、パニックは最小限度で収まった。
 けれど、サーカス団の団員たちはいまだ動揺していた。場慣れしていないので仕方がないが、公演の最中に訳が分からないことになり、団長も「い、いったいこれはどういうことなのでしょう」と、うろたえている。そんな団長に、スカロンは肩を握ると安心させるように告げた。
「心配しないで、これはあなたたちのせいじゃないわ。こういう奇妙なことはね、裏でイタズラしてる悪い子たちがいるの。それより、あなたの団員さんたちはみんな大丈夫なの?」
 さすがに馬鹿とはいえ宇宙人を養っているスカロンはどんと落ち着いていた。そして団長もスカロンに諭されて落ち着きを取り戻すと、団員たちの無事を確かめるために全員を呼び出した。
 ところが、点呼をとると一人が足りなかった。
「ケリー? 照明係のケリーはどこだ!」
 団長が叫んで探すが返事はなかった。ほかの者たちも、自分の周りを見渡すがそれらしい人はいない。
 照明係、ということは天井のほうか? 必然的に皆の視線が上を向く、天井辺りは照明が集中しているので下からでは見にくく、様子がよくわからない。だが、目を凝らして天井付近を見渡したとき、アニエスはそこで輝く不気味な目を見つけ、とっさに拳銃を抜いて撃ちかけた。
「何者だ!」
 乾いた銃声がし、皆がアニエスのほうを見た。
 いきなり何を? だが、敵の反応はそれよりもさらに早かった。撃ち出された銃弾が目標に命中するより早く、その相手の姿は瞬時に天井からステージ上へと移っていたのだ。
「フフフ……」
「う、宇宙人!?」
 宇宙人の出現で場がざわめき、才人が現れた相手の姿を見てつぶやいた。そいつは非常にスマートな姿をしたヒューマノイド型宇宙人で、黒々とした体に昆虫のような顔を持ち、頭にはオレンジ色の発光体が鈍く光っている。
 しかし、見たことのないタイプの宇宙人だ。才人は地球に現れた宇宙人はほぼ全て記憶しているけれど、こいつはGUYSメモリーディスプレイにも記録のない、自分にとって完全に未知の星人だった。
「お前が、おれたちを閉じ込めた犯人だな!」
「フフ、そのとおり。我々はスラン星人。よく見破ったと褒めてあげましょう。ですが、気づかないほうが幸せでしたものを。楽しい時間を過ごしながら、我々の星に連れ帰って差し上げようと思っていましたのに」
「なにっ! てことは、ここは宇宙船の中だってのか?」
「そのとおり、見たければ見せてさしあげましょうか」
 慇懃無礼な言葉使いで話すスラン星人が手を振ると、床がすっと透けてガラスのようになり、皆の足元にはるかに遠くなったド・オルニエールの風景が見えてきた。
「わわっ! お、落ちちゃう!」
「みんな落ち着け、床が透明になっただけだ! スラン星人とか言ったな。てめえ何が目的だ。おれたちをさらってどうするつもりだ?」
 才人がデルフリンガーを抜いて怒鳴る。それと同時に銃士隊も剣やマスケット銃を抜いてスラン星人を取り囲み、ルイズたちメイジも杖を抜く。
 しかし、スラン星人は追い詰められた様子は微塵も見せず、笑いながら答えた。
「目的ですか? いえいえ、あなたたちには別に何の用もありませんよ。ただ、聞いたものでしてねぇ。あなたたちの中に、すごい力を持った人が隠れてるということを。そして、さらうのでしたら一人のところを狙うよりも、大勢をまとめてさらったほうが成功しやすいと踏んだだけです」
 その言い分に、才人は「こいつらルイズの虚無の力を狙っているのか?」と思った。確かにルイズの虚無の魔法はこれまで怪獣や宇宙人に対して何度も決定的な効果をもたらしてきた。それを狙う星人が現れたとしても不思議はない。
「そうはいくか! お前らの勝手な理由のために連れて行かれてたまるもんかよ」
 才人が、無意識にルイズにも刺さる台詞でたんかを切った。それと同時に、銃士隊やメイジの面々もいっせいに武器を向ける。
 だが、スラン星人はこれだけの人数に囲まれても、やはり追い込まれた様子は微塵も見せずにせせら笑った。
「おやおや勇敢な方々ですねえ。それでは是非ともやってみてくださいませ」
 いやらしいまでの余裕。いや、挑発か? しかし、あくまで帰さないというならこちらも是非はない。アニエスは陣形を整えた部下たちに短く命じた。
「やれ!」
 抜刀した銃士隊員たちがスラン星人に殺到する。この一斉攻撃に隙はなく、誰もがこれでやったと確信した。
 だが、刃が届こうとした、まさにその瞬間だった。スラン星人の姿は掻き消えるようにして消滅してしまったのである。
「消えた?」
 ルイズを守りながらデルフリンガーを構えていた才人が叫んだ。
 どこへ行った? その場にいた全員が気配を探り、辺りを見回す。だが、そんな努力を嘲笑うかのように、スラン星人は才人の真正面に現れたのだ。
「フッフフ」
「うっ、わあぁぁーっ!」
 至近距離への前触れもない出現に、才人は狂ったように叫びながらデルフリンガーを降り下ろした。が、それもスラン星人を捉えることはできず、剣先が床を叩いただけで終わってしまった。
「また消えた!? デルフ、今の幻じゃねえよな?」
「ああ、だが目で追うだけ無駄だぜ相棒。お前たち人間の目じゃ見えなかっただろうが、あの野郎、信じられない速さで移動してやがる」
 すると、その言葉を待っていたかのようにスラン星人の笑い声が響いた。
「フッフッフッ、ご名答。なかなか見る目のいい焼き串君です」
「な、や、や、焼き串だとこの野郎!」
「フフ、せいぜい時速十数キロでしか走れないあなたがたには、私は絶対に……」
 すると、スラン星人は、今度は皆の目の前に次々と出現を繰り返した。
 ギーシュやベアトリスの前に現れて脅かしたと思ったら、杖を振り上げた時にはすでに消えている。アンリエッタの前に現れたときにはアニエスが斬りかかったが剣は空を切り、ミシェルや銃士隊隊員たちの攻撃もかすることもできない。
 何度も空振りを繰り返すばかりで、皆の息だけが上がっていく。スラン星人は再びステージ上に姿を現すと、愉快そうに笑いながら言った。
「私は絶対に、捕まらないのです」
 瞬間移動にも等しいほどの高速移動、これがスラン星人の能力か! 才人は歯噛みした。剣も魔法も当たらなければなんの意味もない。しかも、テントの中に大勢で閉じ込められている状況ではルイズのエクスプロージョンでの広域破壊もできないし、なによりこうも人目があっては才人たちもティファニアも変身ができない。
 スラン星人は、ノロマな人間など何百人いようと問題にはならないというふうに余裕を示し、次いで円盤の進路を邪魔し続けているジャスティスに目をやった。
「さあて、こちらはともかくそちらは問題ですね。人質がいるのでうかつに撃ち落としたりはしないでしょうが、こちらもあまり余計な時間はありません。あなたに恨みはないですが少し手荒にお帰りいただきますよ」
 スラン星人がそう言うと、円盤はゆっくりと降下を始めた。もちろんジャスティスも追って降下していく。
 そして円盤が地上数十メイルまで降下した時、円盤の中から巨大化したスラン星人が姿を現した。
「ググググググ……」
「シュワッ!」
 互いに土煙をあげて、スラン星人とジャスティスが大地に降り立つ。
 さあ、戦いの時が来た。両者は一気に距離を詰め、ジャスティスのパンチがスラン星人を狙う。
「デヤァッ!」
「グオッ!」
 ジャスティスのパンチをスラン星人は手甲のようになっている腕で受け止めた。そしてそのまま手甲の先についている短剣でジャスティスの首を狙って斬りかかってくる。
「死ねっ」
 だがジャスティスもスラン星人の手甲を腕で受け止め、キックで反撃して押し返す。
 まずは互いに小手調べ。スラン星人は格闘戦でも戦えることを証明してみせ、ジャスティスは油断なく拳を握り締める。
「略奪に拉致、お前の行為は宇宙の正義に反している。すぐにこの星から立ち去るがいい」
「黙れ、我々の邪魔をするものは許さん!」
 スラン星人はジャスティスの警告に聞く耳を持たず、腕から破壊光弾を放って攻撃をかけてきた。紫色の光弾が機関銃のように連発され、ジャスティスの周りで無数の爆発が起こる。
「ヌォッ!」
 ジャスティスは光弾の乱打にさらされ、炎と煙がジャスティスを包み込む。スラン星人はその様子を見て、聞き苦しい声で笑い声をあげた。
 どうやら話してわかる相手ではないようだ。ならば、是非もない。ジャスティスは、慈悲をかける価値のない悪だとスラン星人を認定した。
「セヤァッ!」
 手加減を抜いたジャスティスのパンチが爆炎を破ってスラン星人に直撃する。轟音が鳴り、スラン星人の華奢な体は数十メートルは吹き飛ばされ、悠然とジャスティスは倒れたスラン星人を見下ろした。
「警告は発した。チャンスも与えた。それでもお前がそれを無視するならば、私は宇宙正義の名において、お前を倒す」
 ジャスティスの宣告。そこにはもはや慈悲はなく、宇宙正義の代行者としての冷徹な姿のみがあった。
 倒れたスラン星人はなおも起き上がり、憎悪を込めた眼差しで自分に死刑宣告を下したウルトラマンを睨みつけた。
「俺を倒すだと? 貴様の姿を見ていると、憎き奴を思い出す。倒されるのは貴様のほうだ!」
 スラン星人は怒りのままにジャスティスに猛攻をかける。両腕の短剣を振りかざし、スマートな体をいかしてのジャンプやキックなどの格闘攻撃。それはスラン星人が決して弱い宇宙人ではないことを証明していたが、実戦経験という点ではジャスティスが圧倒的に勝っていた。
「ジュワッ!」
「ぐおあっ!」
 ジャスティスの両鉄拳がスラン星人のボディに食い込む。パワーでは圧倒的にジャスティスに分があり、それだけではなく攻撃をさばくテクニックや、一撃を確実に当てる判断力、それが総合した一撃の重さは比較にもならなかった。
 しかしスラン星人は、まだ負けたと思ってはいなかった。パワーで勝てないからスピードをと、さきほど宇宙船内で見せられたものよりもさらに高速で移動することによって分身を作り出し、ジャスティスの周囲を回転することで分身体でジャスティスを包囲してしまったのだ。
「くく、これを見切れるかな?」
 ジャスティスの360度を完全包囲したスラン星人は、そのまま円の中心のジャスティスに向かって破壊光線を放ってきた。四方八方から放たれる光線は避けきれず、ジャスティスの体が爆発で包まれる。
「ムゥ……」
 一発一発はたいした威力ではない。しかし、回避できないままで食らい続けたら危険だ。
 スラン星人はこのまま一方的に勝負を決めるつもりで、分身による円運動を続けながら光線攻撃を続けている。しかし、スラン星人はジャスティスが冷静に反撃の機会を狙っていることに気づいていなかった。
 光線での集中攻撃でじゅうぶん弱らせたと見たスラン星人は、一気に勝負を決めようとジャスティスの背後から手甲の短剣を振りかざしてジャスティスの首を狙った。しかし、スラン星人が「もらった!」と確信した瞬間、ジャスティスは振り向きざまに強烈なパンチをスラン星人の顔面に叩きつけたのだ。
「ぎゃあぁぁっ! な、なぜ俺の位置が」
 本体にクリーンヒットを受け、スラン星人の分身もすべて消え去る。スラン星人はパンチを食らって歪められてしまった顔をかばいながら、見破られるはずがなかったと困惑するが、ジャスティスは冷たく言い捨てた。
「簡単だ。お前のような輩は必ず後ろから狙おうとする。それならば、仕掛けてくるときの一瞬の気配さえ読めれば迎撃するのはたやすい」
 かつて異形生命体サンドロスと戦ったときにも、奴は闇に紛れて死角からの攻撃をかけてきた。姿をくらますのは一見有効だが、逆に言えば相手は死角から攻撃を仕掛けると宣言しているようなものだ。
 大ダメージを受けたスラン星人はよろよろと立ち上がったものの、もうジャスティスに真っ向勝負をかけられる余裕はないことは明らかだった。
 ジャスティスの圧倒的優勢。その光景に、宇宙船の中からも人間たちが歓声をあげていた。しかし、ジャスティスがスラン星人にとどめを刺そうとしたとき、宇宙船から鋭く静止する声が響いた。
「そこまでです! 抵抗を止めなければ、ここにいる人間たちを順に殺していきますよ!」
 なんと、宇宙船の中でスラン星人が子供たちに短剣を突きかざして脅していたのだ。
 その脅迫にジャスティスの動きが止まる。そして、今まさにとどめを刺されかけていたスラン星人はジャスティスに乱暴に蹴りを食らわせた。
「グワァッ!」
「ちっ、よくもやってくれやがったな。この仕返しはたっぷりさせてもらうぜぇ!」
 スラン星人の手甲の剣が抵抗できないジャスティスの体を切り裂いて火花があがる。その様を見て人間たちからは悲鳴が上がり、宇宙船の中のスラン星人は愉快そうに笑った。
「いいですねぇ。やっぱりウルトラマンにはこの手がよく効きますねぇ」
 スラン星人は、宇宙船の外でもう一人のスラン星人がジャスティスを痛めつけている光景を満足げに眺めた。
 そう……最初からスラン星人は二人いたのだった。
 大勢を人質に取られていてはジャスティスも戦えない。歴戦の戦士であるジャスティスは言わなくとも、人間たちからは「卑怯者!」との声が次々にあがるが、スラン星人は意にも介さない。
「んん~、相手の弱点を攻めるのは戦いの基本でしょう? こんなにわかりやすい弱点を持っているのが悪いんですよ」
「この腐れ外道! 許さねえ」
 激高して才人が斬りかかるが、スラン星人はあっさりとかわして、また別の子供の喉笛に短剣を突き付ける。
 ダメだ、スラン星人のあの速さでは子供たち全員を守り切るのは不可能だ。それに子供たちだけでなく、実質テントの中に閉じ込められている自分たち全員が人質ということになる。
「フフフ、大人しくしていなさい。我々は別にあなたたちの命などに興味はないのですからね。フフフ」
 昆虫のような顔を揺らして笑うスラン星人の声が癇に障る。
 だが、剣も魔法も当てられないのでは何の意味もない。才人だけでなく、ルイズも焦り始めていた。なんとか、スラン星人を捉えることができなければ自分たち全員が宇宙の果て送りだ。
 才人はルイズに小声で尋ねた。
「ルイズ、お前の『テレポート』の魔法でなんとかならないのか?」
「真っ先に考えたわよ。けど、テレポートで連れ出せるのは数人が限界なの。この中に人質を残してわたしたちだけ脱出できても何の解決にもならないわ」
「なら、テレポートであいつに近づけねえか? おれが斬りかかるからさ」
「それも考えたわ。でも、あいつはアニエスの剣もかわす相手よ。テレポートで近づけても、振りかぶってそのバカ剣を振り下ろすまでの隙が必ず生まれるわ。それでも確実にあいつを仕留める自信はある?」
 ルイズに言われて、才人はそこまでの自信はないと思わざるを得なかった。さすがルイズ、頭の回転はこんなときでも鈍ってはいない。
 恐らくは銃士隊の皆も、水精霊騎士隊や水妖精騎士団もスラン星人を捉える方法を必死で考えているに違いない。しかし、文字通り目にも止まらぬ速さで自由に動き回る奴をどうやって捕まえればいいというのか?
 最後の手段はここで変身を強行することだが、エースにしてもコスモスにしても、変身した瞬間にスラン星人は別の行動に出るだろう。いくらなんでも危険すぎる。
 だが、そうしているうちにも事態はどんどん悪くなっていった。外にいるほうのスラン星人は嬉々としてジャスティスを痛めつけている。
「おらぁ!」
「ヌワァッ!」
 スラン星人の蹴りが膝をついたジャスティスを吹っ飛ばした。外にいるほうのスラン星人は粗暴な性格で、まるで不良のような乱暴な攻め方を好んでジャスティスを攻め立てている。
 ジャスティスは、その気になればこいつを倒す程度は苦もないのに、無抵抗でそのままやられている。カラータイマーはすでに点滅し、もう長くはないのは明らかだ。
 しかし、宇宙船の中にいるほうのスラン星人は、そんな時間をかけるやり方にまどろっこしさを感じたのか、外のスラン星人を急かした。
「いつまで遊んでいるんです。無駄な時間はないんですよ。さっさとケリをつけてしまいなさい!」
「チッ、わかったよ。動くなよ、今ブッ殺してやるからな」
 外のスラン星人は渋々ながら、短剣を振りかざしてジャスティスに迫った。ジャスティスは無言のままで、しかしなお動かない。
 才人とルイズは、もう考えている時間はないと決意した。イチかバチか、テレポートでの逆転に賭けるしかない。
 正直、勝算はかなり低い。しかし、スラン星人の速度に対抗する手段がない以上は他にない。そう、あの速度に対抗する手がない以上は……。
 だが、まさにその瞬間だった。テレポートを唱えようとしていたルイズの胸がどきりと鳴り、それと同時にアンリエッタの指にはめられていた水のルビーの指輪と、そしてアンリエッタの懐の中にしまわれていた手鏡がそれぞれ共鳴するように光り出したのだ。
「きゃっ! こ、この光は?」
「じ、女王陛下! その鏡は、いったい?」
「崩壊したロマリア法王庁から我が国に寄贈された『始祖の円鏡』です。始祖ゆかりの品ということで、わたくしが使っていたのですが、これはまさか、ルイズ!」
「ええ! その鏡を、わたしに」
 アンリエッタは光り輝く鏡をルイズに向けた。するとそこには、ルーン文字でルイズにははっきりと新しい呪文が記されているのが見えた。
「これなら……サイト!」
「おう、ルイズ!」
 何かの確信を持ったルイズに、才人は迷わず答えた。ルイズは何かの勝機を得たのだ。だったら、おれは四の五の言わずにそれを信じるのみ。
 ルイズは才人の手を取り、呪文を唱え始めた。対して、スラン星人は始祖の円鏡の光に戸惑っているようだったが、自慢の速度でなんにでも対応できるように準備していた。
「なにをする気か知りませんが、あなたたちの力で私を捉えることは絶対にできませんよ!」
「それはどうかしら? あなたはもう、わたしからは逃げられないわ。いくわよ、『加速!』」
 その瞬間、才人とルイズは『テレポート』とはまったく違う形でスラン星人の眼前に現れていた。
「なっ!」
 言葉にならない呻きがスラン星人から、そしてそれを見ることのできた者たちの口から洩れた。
 刹那、才人のデルフリンガーがスラン星人を狙うが、スラン星人は寸前でそれをかわしてテントの別の場所に現れた。
「そ、その程度の攻撃な」
「それはどうかしら?」
 再び才人とルイズの姿はスラン星人の前に現れていた。しかも今度はテレポートではあるはずの実体化からのタイムラグもなく、かわそうとするスラン星人のギリギリを刃が通り過ぎていく。
 なんて速さだ。常人以上の動体視力を持つはずの銃士隊員やサーカス団の人たちも捉えられない速さで両者は移動している。いや、互角というよりは……。
「おっ、おのれぇっ!」
 スラン星人は逃げた。しかし、ルイズと才人は確実にスラン星人の後を追ってくる。サーカステントの天井からステージ上、観客席とすさまじい速さで出たり消えたりを繰り返して、もうギーシュやスカロンは目を回しかけている。しかも、次第にスラン星人のほうが余裕がなくなっていくように見えるではないか。
「ば、馬鹿な。私にスピードでついてくるだと!?」
「これが虚無の魔法『加速』よ。言ったでしょ、あなたはもうわたしから逃げられないって!」
「お、おのれ、奇妙な術を使ってくれますねぇ!」
「? ……さあサイト、あの思い上がった虫頭に思い知らせてあげなさい!」
「ああ、食らえぇぇぇーっ!」
 ルイズと同調した才人は、渾身の力でデルフリンガーをスラン星人に叩きつけた。
「ぐわぁぁぁーっ! ば、馬鹿なーっ!」
 スラン星人に、今度こそ会心の一撃がさく裂した。しかし残念ながら致命傷には届かず、倒すにはまだ至っていない。
 細身に見えて、なかなかしぶとい奴だ。『加速』の呪文が切れてステージ上に現れた才人とルイズは舌を巻いた。スラン星人はよろめきながらも、膝をつきはせずにまだ立っている。
 それでも、相当な打撃を与えられたのは確かで、もうさっきまでのような速さで動き回れはしない今がチャンスだと、銃士隊はいっせいに腰に下げているマスケット銃を抜いて構えた。だがスラン星人は自分に向けられた銃口が火を噴く前に、怒りにまかせて光線を乱射してきた。
「たかが人間が、私をなめるなぁーっ!」
 光線の乱射で銃士隊の隊列も吹き飛び、彼女たちの手からマスケット銃が取り落されて辺りに転がった。
 が、その一瞬でメイジたちも我に返って魔法で銃士隊を守ると同時にスラン星人への反撃をおこなおうとする。手傷を負ったスラン星人はこれを避けることはできまいと思われた。だが。
「く! だが外のウルトラマンさえ片付けてしまえば、お前たちにここから逃げる手立てはないのですよ」
 奴はまだ冷静さを失ってはいなかった。スラン星人は高速移動ではなく、テレポートで宇宙船の外まで逃げると、そのまま巨大化してジャスティスに襲い掛かったのだ。
「もらったァ!」
 そのころジャスティスは、宇宙船の中で才人たちが反撃に出たのと同時に戦闘を再開していた。一方的になぶられ続けていたとはいえ、必ずチャンスが来ると信じて待っていたから余力はじゅうぶんに残している。スラン星人を返り討ちにすることなどは造作もなく、猛反撃をかけてスラン星人を追い込んでいた。そのジャスティスの背後から、宇宙船から飛び出してきたもう一人のスラン星人が奇襲をかけたのだ。
 今はジャスティスの背中はガラ空きだ。スラン星人は短剣を降り下ろしながら勝利を確信した。だが、その刹那に輝いた青い閃光がスラン星人を吹き飛ばした。
「コスモース!」
 青い光は実体化し、ウルトラマンコスモスの姿となって吹き飛ばしたスラン星人の前に立ちふさがった。そう、あの瞬間にチャンスを掴んだのは才人たちだけではない。ティファニアもジャスティスを救うために、皆の注意がスラン星人に集中した一瞬にコスモプラックを掲げていたのだ。
「だ、大丈夫ですか?」
「心配はない。それより、お前も戦うつもりなら、こいつらには情けをかける価値はないぞ。その覚悟はあるのか、ティファニア」
「は、はい。わ、わたし……」
 ティファニアに厳しく問いかけるジャスティス。すると、コスモスがなだめるように間に入ってくれた。
「ティファニア、君の心はまだ命を奪う戦いを怖れている。ここは、私が引き受けよう」
「コスモス……ごめんなさい。あなたに力を貸してもらっているのに、わたし」
「謝ることはない。命を奪うことに恐れを持ち続けるのは大切なことだ。君の力を必要とする時は、いずれ必ずやってくることだろう」
 ティファニアはコスモスと一体化している。しかし、戦いを好まないティファニアのために、コスモスは自分が主導権をとって戦うことを決意した。
 コスモスはコロナモードにチェンジし、卑劣なスラン星人たちの前にジャスティスと共に並び立つ。
 対して、スラン星人たちはもう余力がなかった。二体とも重い一撃を受けている上に、ジャスティスもダメージを受けているとはいえコスモスは万全だ。
「おおのれぇーっ!」
 激高して二体のスラン星人は襲い掛かってきた。しかし格闘戦では簡単にコスモスとジャスティスに圧倒され、さらに奥の手の高速分身戦法を二体同時にかけてきたが、高速で輪を描いて包囲してくるスラン星人たちに対してコスモスとジャスティスは、まるでわかっていたかのように同時に一撃を繰り出した。
「シュワッ!」
「デヤァッ!」
 二人のウルトラマンのダブルパンチが分身の幻影を破ってそれぞれ本体に炸裂する。
「バカナァ!」
 たまらず吹き飛ばされるスラン星人たち。彼らは高速宇宙人としての自分たちの能力に自信を持っていたが、あいにくコスモスとジャスティスも高速戦闘は得意中の得意だ。コスモスの戦歴の中でも、目にも止まらない宇宙人との対決はいくつもあり、いまさらスラン星人の技程度で翻弄されたりはしない。
 追い詰められた二人のスラン星人。その様子を、あのコウモリ姿の宇宙人は愉快そうに見つめていた。
「そろそろ危ないですね。そろそろ切り札、使います? 使っちゃいますか?」
 スラン星人には、あらかじめ最悪の事態になったときのための切り札を与えてある。それを使えば、この状況をひっくり返すことも可能だろう。スラン星人がどうなろうと知ったことではないが、事態がさらに混迷化すればしびれを切らして”アイツ”が動き出すかもしれない。
 そして、ついに勝機がなくなったことを認めざるを得なくなったスラン星人は、預かっていた黒い人形を取り出した。
「こ、こうなったら、これを使うしかありませんか」
 まさに、黒幕の思い描いていたシナリオ通りに話は進もうとしていた。
 だが、人形にかけられていた封印を解こうとしたとき、意外にも粗暴なほうのスラン星人がそれを止めてきた。
「待てよ、そいつはアイツを倒すための切り札にしようって決めたじゃねえか。ここでそいつまで失っちまったら、俺たちの本来の目的はどうする?」
「ですが、このままではやられるのを待つだけですよ。アレを手に入れることもできずに引き下がっては、どうやってアイツを倒すというのですか?」
「……俺が囮になる。お前はそいつを持って逃げろ」
「ア、アナタ……」
 粗暴なほうが示した自己犠牲の覚悟に、慇懃無礼な話し方をするほうは思わず言葉を失った。
「俺がいるよりも、そいつをお前が持ってたほうが確実に強え。思えば、欲を出してアレを手に入れようなんてせずに、そいつを持ってとんずらすればよかったんだ。そして……俺が死んでも、仇をとろうなんて思わないでくれよ! じゃあな」
「ま、待ちなさい!」
 止める間もなく、粗暴なほうのスラン星人は雄たけびをあげながらコスモスとジャスティスに突進していった。
「ヘヤッ!?」
「ムウッ!?」
 まさかの特攻に、さしものコスモスとジャスティスもひるんだ。そして、そのわずかな隙に彼は叫んだ。
「行けえ! 行くんだクワ……うぎゃあぁぁっ!」
「ぐ、ぐぐ……あなたのことは忘れません。必ず、手向けに奴の首を約束します。トゥアッ!」
 コスモスはためらったが、ジャスティスのパンチが容赦なく炸裂した。しかし、粗暴なスラン星人が作ったその一瞬のチャンスに、もうひとりのスラン星人は血を吐くような誓いの言葉を残して消えた。
 しまった、逃げられた! 非道な宇宙人ではあったが、仲間意識は強かったようだ。まさか、こんな展開になるとはと、ウルトラマンや人間たちだけではなく、黒幕の宇宙人も悔しがった。なにしろせっかく与えた切り札を持ち逃げされたのである。いい面の皮どころではなかった。
 しかし、仲間を逃がしはしたものの、残ったスラン星人の命運は尽きようとしていた。コスモスは、もう勝ち目がないことを告げて降参するように警告したが、彼はそれを聞き入れなかった。
「降参だぁ? てめえらみてえな赤い奴に頭下げるくらいなら死んだほうがマシなんだよぉ!」
 どういうわけかスラン星人はコロナモードのコスモスとジャスティスに非常な敵愾心を持っていた。話をまるで聞く気はなく、自殺に近い攻め方をしてくるのでコスモスとジャスティスも手を抜くわけにはいかなかった。
 ならば、ルナモードのフルムーンレクトで鎮静させれば……しかし、コスモスがモードチェンジしようとしたときだった。暴れまわり過ぎて、ついに限界に達したスラン星人は、よろよろとよろめくと宇宙船に寄りかかるように腰をついてしまったのだ。
「こ、この大きさを保っているのも限界かよ。だが、せめて」
 すでに彼には宇宙船を叩き壊す力も残っていなかった。しかし、スラン星人は残ったわずかな力で等身大となって宇宙船の中にワープすると、まるでアンデットのような姿で人間たちの前に現れた。
「せめて、ウルトラマンどもと、あのクソったれ野郎に一泡だけでも吹かしてやる!」
 悲鳴をあげる人間たちを前にして、スラン星人は最後の悪あがきを開始した。最後の力で高速移動をおこない、人間たちに次々斬りかかっていく。
「きゃあぁぁーっ!」
「うおぉぉぉ! 死ねっ、みんな死ねぇぇ!」
 スラン星人も死に体とはいえ、その高速移動を人間が見切れないのは変わらない。
 戦えない者たちの前に銃士隊が盾となって防いでいるものの、めちゃくちゃに振り回される短剣で血しぶきが飛び、才人はルイズに叫んだ。
「ルイズ、もう一回『加速』だ!」
「わかってるわよ!」
 ルイズも焦って加速の呪文を唱えた。今、スラン星人を止められるのは自分たちしかいない。今度こそとどめを刺さなければ。
 だが、加速の呪文が完成しようとした、まさにその瞬間だった。スラン星人が銃士隊の決死の肉壁を蹴散らして、ついに無防備な女子供たちの中に飛び込んでしまったのだ。
「出てこぉいバケモノぉ! てめえのせいで俺たちはぁぁーっ!」
 スラン星人の短剣が孤児院の子供たちに振りかぶられる。だめだ、加速を使っても一歩間に合わない!
 才人とルイズは、自分の無力さを悔やんだ。さっさと最初にスラン星人を倒していればこんなことには。
 しかし、誰もがどうすることもできないとあきらめかけた、その時だった。悲鳴と怒号の響く虚空を、短く乾いた音が貫いた。

 パンッ!

 漫画であれば擬音でそう表現されるであろう音。それは一発の銃声……そして、スラン星人の頭部の球体に、小さな穴が開いていた。
「え、あ……ク……クワイ……がふっ」
 最後に、恐らくは仲間の名をつぶやきながらスラン星人は倒れた。その目から光が消え、命の灯が消えたことを銃士隊の隊員が近寄って確認した。
 けれど、周りでは誰も声を発さない。あまりにも唐突であっけない幕切れに、誰も頭が追いついていないのだ。
 才人とルイズも、加速の魔法が不発に終ってあっけにとられている。ギーシュなど、杖を握ったままでぽかんと口を開けたままでおり、ほかの水精霊騎士隊も似たようなものだった。
 いったい誰がスラン星人にとどめを? 正気に戻った者はスラン星人の正面……すなわち弾丸の来た方向に視線を向けた。そこにいたのは……。
「はあ。怖かったですわ」
 ほっとした声とともに、拳銃が床に落ちる音が鳴る。落ちた拳銃は、さきほど銃士隊が使おうとしてばらまかれたマスケット銃の一丁で、まだ銃口から薄く煙を吐いているそれを握っていたのは……ルビアナであった。
「ル、ルビアナ!」
 はっとしたギーシュとモンモランシーが震えているルビアナに駆け寄った。
「だ、大丈夫かい! 銃を撃つなんて、君の細腕でなんて無茶なことをするんだ」
「いえ、わたくしはメイジではありませんので、護身の心得として少しばかり覚えがありましたの。でも、怖かったですわ」
「怪我はない? でも、子供たちを守るためにやったのよね、ほんと見かけによらずに無茶する人ね」
「もうわたくしとティファニアさんはお友達ですから。わたくしより、子供たちに怪我がなくてよかったですわ」
 優しく微笑むルビアナに、子供たちは嬉しそうに懐いていた。それに、ティファニアもコスモスから変身解除して急いで戻ってきた。
「みんな、みんな大丈夫? ルビアナさん、本当に、本当にありがとうございます!」
「礼などいりません。わたくしは、あなたとこの子たちが好きだからやっただけです。それより、怪我をされた方が大勢いますわ。早く手当をしませんと」
 ルビアナが指差すと、何人かの銃士隊員が負傷して呻いていた。すでにアニエスの指示で応急手当てが始まっているものの、暴れ狂うスラン星人を身一つで止めたリスクは大きかったのだ。
 ティファニアははっとすると、わたしも手当てを手伝いますと言って駆け出し、モンモランシーも、自分も治癒の魔法ならできるからと言って続いた。 ギーシュは、水精霊騎士隊の仲間に、治癒の魔法が使える者は手当てを手伝うように指示を出すと、まだ怯えた様子のルビアナの手を握った。
「無茶をする人だ。けど、ぼくは貴女ほど勇敢なレディを知りません。騎士としても、ぼくは貴女を尊敬します。それでも、あまり無理はしないでくださいね」
「ギーシュ様、やはり貴方はとてもお優しい方ですわね。貴方を好きになれたこと、わたくしはとても名誉に思います」
 子供たちに囲まれ、ギーシュの手を握り返すルビアナの表情はどこまでも純粋で温かかった。

 しかし、ハッピーエンドのはずなのに、才人とルイズはスラン星人の死体を見下ろしながら、あることに違和感を拭えずにいた。
「こいつら、本当に虚無の力が目当てだったのかしら……?」
 スラン星人は、この中に特別ななにかを持った誰かがいるから、それを狙っていると言った。それを聞いて、てっきり虚無の力を持つルイズかティファニアを狙っているものだと思った。
 しかし、奴はルイズが虚無の名前を口にした時も、まるでまったく知らなかったかのような反応を返している。この中で、ほかに宇宙人が狙うような特別な人間なんかいないはずなのに。
 死んだスラン星人は何も答えず、才人とルイズはテントの中を見渡した。宇宙人の恐怖から解放されて、安堵した顔ぶれが続いている。宇宙人に狙われるような危険なものが混ざっているなど、とても信じられはしなかった。

 そして、奥歯にものが挟まったような気持ち悪さを感じている者たちがもう一組いる。
 銃士隊の負傷者の救護のほうもアニエスの指揮のもとで山を越えつつあった。しかし、戦死者は出なかったというのにアニエスの表情は明るくなかった。
「ミシェル、負傷者のほうはどうだ?」
「はっ、幸い軽傷ばかりで入院の必要な者はおりません。民間人のほうも、せいぜい転んで擦りむいたくらいです」
「そうか、皆よくやってくれた。女王陛下には特別手当を申請しておこう。だがそれはいいとして……ミシェル」
「はい……」
 アニエスの声が重くなり、ミシェルもわかっているというふうに短く答えた。
 二人の視線の先には才人たち同様に、放置されたままになっているスラン星人の死体がある。一見、なんの変哲もない屍のように見えるが、二人には共通の違和感があった。
「……見事に眉間の中央を撃ち抜いている。これが、護身術のレベルでできることなのか……?」
 銃士隊の使っているマスケット銃の命中精度はお世辞にもいいものではない。一発で相手の急所を撃ち抜いて倒すなどという真似は自分たちでも難しい。
 二人はさりげなくルビアナを見た。すらりとした細腕で、ナイフとフォーク以上に重いものを持ったことがないというふうな華奢な体躯。あれでは銃を撃つことすら難しそうなものだ。
 偶然当たったと言えばそれまでだ。ギーシュなら、ルビアナは天才だからと言って納得してしまいそうなものだが、アニエスとミシェルはどうしても納得することができずにいた。

 一方、不完全燃焼な終わり方に明確な不満を示す者もいた。そう、今回の件の付け火をした、あのコウモリ姿の宇宙人である。
「スラン星人、とんだ食わせ物でしたね。まったく、あれだけはっぱをかけてあげたというのにアレを持ち逃げしてしまうとは……あと少しで、奴を引っ張り出せたかもしれないというのに。どこかの宇宙で会ったら今度はきついお仕置きをしてあげなければいけませんね」
 本当なら、ここでさらに混戦に持ち込んで目的に近づくつもりだったのに、おかげで台無しだと彼は憤っていた。その場合、このド・オルニエール一帯が焦土と化していたであろうが、そんなことは彼には関係ない。
「仕方ありせんね。過ぎたことより先のことを考えましょう。なんとか、最低限の収穫はできました。後は、これをどう利用していくか……」
 彼は気を取り直して次の陰謀を巡らせ始める。その姿はいつの間にかド・オルニエールの空から消えていた。 

 テントの中は少しずつ落ち着きを取り戻してきている。後は外に脱出するだけだが、外でジャスティスが宇宙船の外装を引っぺがしてくれているので間もなく出られることだろう。
 ともかく、大変なハプニングだった。温泉旅行の最後で、まさか宇宙人にさらわれかけるなんて誰も夢にも思わなかった。
 けれど、さすがたくましいハルケギニアの人間たちは、土産話が一個増えた程度にしか思っておらず、ジェシカたちはこれ以上店を開けているとまずいわねと、すでに気にも止めていない。それに、公演を邪魔されて意気消沈しているかに見えたサーカス団の人たちも「我がパペラペッターサーカスはこれくらいじゃへこたれません!」と、団長は張り切って、まだ怯えていた子供たちを動物たちと触れ合わせて遊ばせてくれている。やはり、どん底から這い上がってきた人は強い。
 ステージ上では子供たちが調教師にライオンの背中に乗せてもらったりして喜んでいる。動物たちはみな人懐っこく、子供たちにも今回の件でトラウマが残ったりはしないだろう。
 なにはともあれ、重い怪我人が出なかったのが救いだ。気を張っていた者たちも、子供たちの笑い声を聞いて気を緩めつつある。
 と、そんな中でのことだった。舞台の隅で、サーカスの女性団員がじっとうずくまっているのが見つかった。
「エイリャ、おいエイリャどうしたんだい? 返事をしなさい」
「……」
 仲間のサーカス団員が呼びかけても、その女性団員は惚けたように宙を見つめるばかりで答えない。
 どうしたものかと団員たちが戸惑っていると、そこに急いだ足取りでルビアナがやってきた。
「まあまあ探しましたよ。さあ、こっちにいらっしゃい」
 すると、うずくまっていた女性団員の傍らから、幼体エレキングがぴょこりと飛び出してきてルビアナの胸の中に帰っていったではないか。
「あらあら、本当にわんぱくな子なんだから。よその人に迷惑をかけちゃダメでしょう」
 ルビアナがエレキングの頭を優しくなでると、エレキングは短く鳴き声を発した。
 そうすると、まるでそれが合図だったかのように、惚けていた女性団員がぼんやりと目を覚ました。
「あ、れ……あたし、どうして?」
「大丈夫ですか? ごめんなさい。この子ったら、気に入った相手を見つけると、すぐにじゃれついて行ってしまうの。許してあげてもらえるかしら」
「そう、その動物があたしにじゃれてきて……あれ? それからどうなったのかしら」
「きっと疲れがたまっていらしたのね。ゆっくり休んだら、きっとすぐ元気になりますわ。ふふ」
 夢うつつな様子の女性団員はふらふらと立ち上がると、「働きすぎなのかしら……?」と、つぶやきながらテントの奥へと入っていった。
 ルビアナは「お大事に」と微笑みながら見送り、抱き抱えているエレキングの頭を撫でている。エレキングはその腕の中で丸くなり、まるでぬいぐるみのようにおとなしく抱かれている。
「うふふ、可愛い子……ふふ、ふふふ……」


 続く


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