あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「ゼロのしもべ18」で検索した結果
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ゼロのしもべ
...ゼロのしもべ17 ゼロのしもべ18 ゼロのしもべ19 ゼロのしもべ 第2部 動く大陸編 ゼロのしもべ第2部-1 ゼロのしもべ第2部-2 ゼロのしもべ第2部-3 ゼロのしもべ第2部-4 ゼロのしもべ第2部-5 ゼロのしもべ第2部-6 ゼロのしもべ第2部-7 ゼロのしもべ第2部-8 ゼロのしもべ第2部-9 ゼロのしもべ第2部-10 ゼロのしもべ第2部-11 ゼロのしもべ第2部-12 ゼロのしもべ第2部-13 ゼロのしもべ第2部-14 ゼロのしもべ第2部-15 ゼロのしもべ第2部-16 ゼロのしもべ第2部-17 ゼロのしもべ第2部-18 ゼロのしもべ第2部-19 ゼロのしもべ第2部-20 ゼロのしもべ第2部-21 ゼロのしもべ第2部-22 ■第3部 ドミノ作戦編~全てはビッグ・ファイアのために~ ゼロのしもべ第3部-1 ゼ... -
ゼロのしもべ18
前へ / トップへ / 次へ ルイズは泣いていた。 悲しくて泣いていたのではない。悔しくて泣いていた。 フーケを捕まえるときに役に立たず、基地攻撃も破壊の杖に頼ったぐらいである。 メイジだ、貴族だ、主だといいながら、自分は何もしていない。 おまけに使い魔は自分たちを脱出させて残るというのだ。 ここに来たのもわざわざ自分で言い出したことなのに…… すこし時間を遡って、ルイズたちがロプロスの背中に乗ってしばらくたった時点。 ようやく落ち着いたルイズが、まだ顔は青いものの威厳を正してバビル2世を詰問していた。 「で、その、……ビッグ・ファイアは別の世界から来たっていうの?」 その通りだと頷くバビル2世。あの魔法ではない謎の力。そしてビッグ・ファイアの命令で自由自在に動く怪物たち。たしかに 同じ世界の人間だといわれるよりも、別の世界の人間だと... -
ゼロのしもべ1
前へ / トップへ / 次へ 振り返ると野望の塔は地響きを立て、氷山を引き裂きながら極寒の北極海へ沈み行くところであった。 宿命の戦いにとうとう決着がついたのだ。 「建物が沈んでいく。」 断末魔をあげ、消え行く建物を見送る少年。長年にわたり実質一人で行動しているせいか、 最近はついつい独り言を言うようになってしまっているのが悩みだ。 冬の北極にいるにもかかわらず、シャツの上に前を空けた学生服という自然を舐めきった服装。 燃えるような赤い瞳と髪。どう考えても不良である。 海に浮かぶ鉄のなにかに乗っている。何か金属製の巨大な物体が海中にいて、それが背中だけを 海上に晒しているようだ。姿かたちは鉄の巨人の背中といったところか。 「だれも近づく者のない北極の海底で静かに眠ろうというわけか。」 声に感慨と、どことない寂寥を感じる。まるで長年の親友を失... -
ゼロのしもべ19
前へ / トップへ / 次へ(第2部) 深夜、学院長室でオスマンは戻った4人の報告を聞いていた。 曖昧だった状態を無理矢理電気ショックで引き起こしている。よく死なないものだ。 「ふむ……では、ミス・ロングビルが土くれのフーケであり、あくまで単独犯。しかし、協力組織は存在していた、と?」 髭をもしゃもしゃ弄り、報告書に目を通すオールド・オスマン。 「美人だったのでなんの疑いもなく秘書に採用したのだが…惜しいことをした。」 「ちょっとは反省してください。で、いったいどこで採用されたんですか?」 隣に控えたコルベールが尋ねる。目が泣きどおしで真っ赤である。 「町の居酒屋でな、まあ色々と…ごにょごにょ…おっほん。まあ、深い詮索をするのはトリステインの人間としては恥ずべきことじゃ。」 「そういう風に言うと誤魔化しがものすごい高尚なことに感じるから不思議ですね... -
ゼロのしもべ16
前へ / トップへ / 次へ フーケの前に立つバビル2世。 その背後には3つのしもべが控え、辺りを睥睨している。 「なぜお前はぼくの名前を知っていた。どこまで知っているんだ?」 「ど、どこまで……」 訊かれても、ほとんど知りはしない。 ただあの仮面の男に妙な絵と、名前を教えられただけなのだから。 「仮面の男とは誰だ?」 仮面の男といわれても、自分はただアルバイトを頼まれたに過ぎない。詳しいことは何も…。 と、ここまで来てフーケは気づく。自分はこの少年にバビル2世などと一言も言っていないし、今だって何一つしゃべっていないのに、 それに応えるように話しかけてくるではないか。まるで、心でも読んでいるように。 「そうだ、ぼくは心を読むことができる。だから隠してもムダだ。素直にしゃべったほうが身のためだぞ。」 なんということだ。ということはこの少... -
ゼロのしもべ13
前へ / トップへ / 次へ バビルの名を持つものは、異郷の地で故郷へ帰る日を夢見る運命にあるのか。 バビル1世は帰るために塔を作った。 だが塔は事故から消滅し、彼は異郷の土となった。 5000年後、バビル2世も同じく異郷にあった。 すくなくともバビル2世は故郷に帰りうる情報を手に入れた。 虚無の魔法使いと始祖の祈祷書―― 虚無の使い手はすぐ傍にいる。バビル2世の主となったメイジ、『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』である。 だが彼女はまだ未熟なメイジであった。まだ虚無の魔法を使いこなせてなどいなかった。 ゆえに、彼女を育て上げる手段が必要であった。 育て上げる手段、すなわち始祖の祈祷書である。 「始祖の祈祷書なら王室の宝物庫にも一つあったはずよ」 帰路、馬上でそれとなく尋ねると出てきたのは意外すぎる言葉であ... -
ゼロのしもべ17
前へ / トップへ / 次へ 17話 トリスタニアの南。 山の中にラ・ロシェールという港町がある。 こういうと奇妙に思うだろうが、これは浮遊大陸アルビオンの周期経路近くにある町ゆえ、そこに行き交う人々が自然と集まりだし、 往復連絡船等が就航し始めたことに由来する。 桟橋には多くの船が係留され、大陸の接近を今かと待ちかねている。 そのラ・ロシェールから北東に70リーグばかり行った土地に、最近奇妙な噂があった。 土地の人間や旅人、商人が神隠しにあうのである。 もともと何もない荒れ地で、一種天然の要害と言ってよい地形だった。 そのため近道をしようとする人間ぐらいしか寄るものは居なかったが、こんな噂が立てばますます人気が失われる。 あるいは眼がうつろな集団がその土地に向かって行ったというけったいな噂もあった。 今では誰もその土地に近づこうとしな... -
ゼロのしもべ12
前へ / トップへ / 次へ 「それで、ぼくたちをつけて何が目的だい?」 思わずたじろぐキュルケとタバサ。 キュルケは曲がりなりにも軍人の家系である。 タバサはすでに実戦の経験が人並み以上にある。 それが思わず後ずさるような迫力があった。 「な、なにって……」 別にやましいことがあるわけでもないのに口ごもるキュルケ。 「ダーリンがヴァリエールなんかと出かけるから、つい後をつけちゃったのよ。やましいことなんてこれっぽっちもないわ。」 ほらこれダーリンのために買ってあげたのよ、と剣を渡してくるキュルケ。残念だがなまくらである。 どうやら金貨500で購入したらしいが、それでもけっこうぼられていたりする。 「なら、ありがたくいただくことにしよう。」 遠慮ぐらいしろ、と言いたくなるぐらいあっさり受け取るバビル2世。すでに買ってあった剣と2本まとめ... -
ゼロのしもべ3
前へ / トップへ / 次へ 「ふむ、珍しいルーンだな。」 差し出した左手を覗き込んで、コルベールという教師が呟く。 珍しいと聞いてさもあらんとその場にいた人間は頷いた。一方はバビル2世であり、仮にも宇宙人の血を引いている以上、 普通のものがでなくても『それほどおかしくはない』と考えた。もう一方はそれ以外の面々であり、『平民の使い魔だしな』 というものであった。もっとも後者は正確には『ルイズが呼び出せたんだしそうだよね』というものがほとんど混じっていた。 「コントラクト・サーヴァントはちゃんとできているし、安心しなさい。おめでとう。」 ありがとうございます、と謝辞を述べるルイズ。 「さて、じゃあみんな教室に戻るぞ」 促すと、コルベールはじめルイズ以外の全員がふわりと宙に浮かぶ。使い魔も例外ではない。 ルイズが飛べないことを口々に囃しながら飛ぶ面々... -
ゼロのしもべ15
前へ / トップへ / 次へ 15話 4人はミス・ロングビルを案内役に早速出発した。 今行けば到着は深夜になるが、この際構っている場合ではない。それに夜ならばフーケ一味も油断しているかもしれない。 うまい具合にルイズたちは黒いマントである。それを頭からかぶっていくことにした。 移動手段は屋根なし馬車である。襲われたとき、すぐに外に飛び出せるほうがいいだろうということで、このような馬車になった。 ミス・ロングビルが御者を買って出、手綱を握っている。 フーケ一味の可能性のあるものを消去して選ばれた5名である。無駄に御者などつける余裕はない。 手綱は交替で握ろう、という話にまとまりかけたが、「場所を知っているのは自分である」というロングビルの申し出により、この様な形となった。 妙にやる気満々。むしろ血相を変えているロングビルであったが、誰もそのことは... -
ゼロのしもべ10
前へ / トップへ / 次へ 午後の授業は無事終わった。 いや、授業とは無事終わるのが普通なんだが、普通のことが起こらないゆえにゼロの名を冠しているのだろう。 なんだか禅問答のようだがとにかく授業は終わり楽しい放課後である。 食事に関してはマルトーが今日のお礼だといって保障をしてくれた。これで食事抜きということはなくなったし、あのスープとパンという 19世紀の囚人のような扱いをされることはなくなった。 ルイズは「うちの使い魔を甘やかさないでください!」と不満そうだったが、マルトーの耳打ちで素直に方針を転換した。 バビル2世は聞いていた。「胸の大きくなる特別料理を毎食サービス」という甘言を。 男なら(不適切なため削除)が大きくなる料理をサービスする、と言われるようなものである。断る人間など居るはずがない! なにしろ(不適切な表現のため削除)は大事な息子... -
ゼロのしもべ第3部-1
ゼロのしもべ 第3部 ドミノ作戦編~全てはビッグ・ファイアのために~ 異世界ハルケギニア 人類は魔法の力によって 栄光ある社会を築いていた。 だがその栄光の陰に 暗躍する1人の男がいた。 かつていくつもの組織を率い、世界を支配せんと目論んだ悪の指導者、ヨミ。 一方、3つのしもべを率いて、その野望に立ち向かいつづけた一人の少年の姿があった。 名をバビル2世。超能力少年、バビル2世。 第3部1話 ガリア王国は、ハルケギニア最大の人口を抱える大国だ。人口およそ1500万人。魔法先進国であるガリアは、メイジ……、 つまりは貴族の数も多い。やはりハルケギニア最大の人口を誇る首都リュティスのメイジの人数は、やはり他の追随を許さない。 リュティスの政治中枢は、街の真ん中流れるシレ川に位置する中州から、川の西岸…町外れ... -
ゼロのしもべ2
前へ / トップへ / 次へ 妙に焦げ臭い。 良く嗅いだことのある匂いだ。爆発が起きた後、あたりにこういう匂いが漂う。 「あんた誰?」 突然現れた少女がそう問う。 薄桃色の光沢のかかったブロンドヘア。一瞬染めたのかと思うが、根元まで色が変わらないところを見ると どうやら自毛らしい。 黒いマント、杖。まるで 「魔法使い…?」 ゆっくりと腕を下ろす。視界に、周辺に立っていた若者たちが入る。ほぼ全員同年齢らしい少年少女は、 どれも皆この少女と同じように一律黒マントと手には杖である。 ただ、目の前の少女は成長が遅れている部類に入るだろう。主に胸の部分が、である。 「メイジよ!」 少女が呟きに反論する。どうもこだわりがあるらしい。 「明治?」 いや、magiだろうか。たしかMagicの元になった単語の。 「なによ、明治って。そんな... -
ゼロのしもべ11
前へ / トップへ / 次へ 「マッハロッドでブロロロロ ブロロロロ ブロロロロ~ ♪ ぶっとばすんだギュン ギュギュン ♪」 「なんだい、その歌は?」 自分の背中にしがみついて歌うルイズに思わず尋ねる。 「ちいねえちゃんが好きな歌なのよ。意味はよくわからないんだけどね。ちいねえちゃんは身体が弱いせいか、この歌の 自由に飛び回ってる感じが好きなんだって。ちいねえちゃんっていうのは私のすぐ上の姉で……」 楽しそうに、懐かしそうにちい姉ちゃんのことを語るルイズ。 よほど仲がよかったのだろう。言葉のリズムに弾みがある。 今日は皆が大好きな虚無の日、虚無の曜日。つまり元の世界で言う日曜日である。 見事な快晴、それでいて心地よい風が吹く思わず踊ってしまいたくなるような日。 バビル2世はルイズを後ろに乗せて、馬を走らせていた。目標は近くの町。 最初... -
ゼロのしもべ第2部-22
前へ / トップへ / 次へ(第3)部 光の球が空を遊弋する艦隊を包んだ。 膨れ上がる光球が空を飲み込み、そして消えた。 光が消えた後に現れたのは、炎上しながら高度を下げていくレキシントンの姿であった。 なにかのジョークのように、空に浮いた小島のような戦艦はがくりと艦首を落とし、地面めがけて墜落していく。 「大変です、ヨミさま!いっさいのエネルギーが消滅しています!」 「風石も消滅!電力系統全てダウン!一切の制御が不能です!」 「メイジたちの魔力もゼロになっています!脱出しようにも、フライもレビテーションも使えません!」 「ドラゴン、サンダーともに墜落していきます!このままでは本艦も!」 呆然と、砂嵐もなく消えうせた画面を見ているヨミ。 勝利を確信し、余裕に満ちた表情でモニターを見ていたヨミの姿はそこにはなかった。 「なんだ、なにが起こった!?」 ... -
ゼロのしもべ第3部-9
9話 翌日。 お日様も充分高くなって後、全員で湖に向かうと水の精霊はすでに準備万端で待ち構えていた。 というか朝からそこにいたりした。吉田照美が裸足で逃げ出すぐらいやる気満々だ。 「遅かったな。単なるものよ。」 遅くねーよ!、と全員が心の中で同時に突っ込む。約束の時間よりもまだ1時間も早いのだ。水の精霊の機嫌を損ねては一大事 なので誰も口に出さないだけである。 「水の精霊よ。もうあなたを襲うものはいなくなったわ。」 「ご苦労。まだなのか、我が愛しい方は?」 襲撃者が二の次になっている水の精霊。自分の身体の一部なのにいいのだろうか? 「慌てるな。」 バビル2世が一歩前に出た。 「もう、来ている。」 その宣告と同時に、巨大な鉄の巨人が姿を現した。体長およそ30メイル。堂々たる体躯の、巨人であった。それが、膝までしかない ... -
ゼロのしもべ6
前へ / トップへ / 次へ 「やや、これはすごい。」 久しぶりに横山作品っぽい台詞を口にして驚くバビル2世。 山野家が2、3軒入りそうな大広間に、同時に3桁単位で席につけそうな大きさのテーブルが3つ並べられている。 すでにテーブルにはローソクに火がつき、花がいけられ、果物の入った籠が置かれている。食事をしている生徒も多い。 それぞれの机に同じ色のマントを身につけた生徒同士、分かれて座っている。どうやらマントの色は学年を意味していて、 学年ごとに座るテーブルが決まっているようであった。 『そういえば、朝やってきた二人もルイズと同じ黒いマントを身につけていたな。』 黒マントの生徒は真ん中のテーブルについているところを見ると、ルイズたちは2学年であるようだ。 食べ終えた生徒の中には仲間で集まって騒いでいるものもいる。朝からテンションが高いのは、呼び出し... -
ゼロのしもべ14
前へ / トップへ / 次へ 14話 トリステイン魔法学院は大混乱に陥っていた。 フーケが巨大化して分裂して完全武装集団になり略奪したというのはまだいいほうで、カクカク移動して至近距離で話しかけてくる 4人組がさいごのかぎというマジックアイテムで開けて無許可で持ち出しただとか、空に浮かぶ雲まで盗むという元公儀お庭番・伝 説の盗賊『雲盗り暫平』が盗んだであるとか、オーバーマン『ジンバ』が盗んだであるとか、噂が噂を呼んでどれが真実であるか全 く判断できぬというありさまであった。 さらにはそこに「幽霊を見た」「大塩平八郎が挙兵して大阪大炎上」「黒船に乗ってペリーが来た」「沈黙のコックが歩いていた」 「白面のものを見た」「身体が溶ける黒豹を見た」「沙耶かわいいよ沙耶」だのいうわけのわからぬ虚言妄言が飛び交い、現場はど んどん収拾がつかなくなっていっていた。 ... -
ゼロのしもべ第2部-1
前へ(第1部) / トップへ / 次へ 「これが調査班が撮影してきたSBC基地のありさまだ。」 モニターには熱でへしゃげた鉄骨、粉々になった岩とコンクリート、瓦礫に埋まった人間の死体が次々と映し出されていく。 「まず修理のしようがないほどの破壊のされかただ。」 会議室にいる男たちは血相を変え、食い入るように画面を見つめている。 その最奥に、悠然と座っている男がいた。 ヨミだ。 「しょくん、みられるとおりだ。わずか一日で、わが組織のほこる対トリステイン王国攻略用基地が完璧に破壊された。」 「ヨミ様、いったいどこの国が攻撃をしたのです?トリステインが我々に気づいたのですか?」 「いや」ヨミが首を振った。 「そうではない。この基地を破壊したのはあのバビル2世だ。」 画面に映し出されたのは、まぎれもないバビル2世だ。 「「「バビル2世!!」」」 ... -
ゼロのしもべ第2部-21
前へ / トップへ / 次へ 老人が落下していく。 残月と戦っていた中年男が、必死に落下する老人を追う。 信じられぬ高さまで飛び、その身体を受け止めた。 「ぐはぁ!」 受け止めた老人が、口から血を吐く。 「う……効いたわぃ。さすがは、バビル2世……」 「しっかりしろ!傷は浅い!」 草木を撒き散らし、煙を立てて着陸する男。グッとロプロスを見上げる。 「やはりあれはロプロスか!」 「間違いない……。我々の要注意観察対象No.1900701。すなわちバビル2世の忠実なるしもべ…」 地面に降ろされた老人がよろよろと立ち上がる。 「だが、われわれの力ならば、あの攻撃も避けることはできたろう。なのになぜ!?」 まともに食らったのだ、と問いかける男。老人は目を閉じ、顔を伏せた。 「わからぬ。なぜか、身体がまったく動かなかったのだ。そう、この少年を攻撃して... -
ゼロのしもべ5
前へ / トップへ / 次へ まず目を覚ましたのは超人的な体力を持ち、1週間ぐらいなら場合によっては寝る必要のないバビル2世であった。 毛布に包まって床の上で寝たのだが、それでもほぼ体力はフルに回復し、ヨミとの戦いで減ったエネルギーも回復している。 「これはどういうことだろう」 自分の事ながら、訝しく思う。 あれだけの激戦を繰り広げたのである。おまけに数時間しか寝ていない。通常、エネルギーの回復には完全看護のバビルの塔 でさえ、あの消耗度なら1ヶ月はかかっておかしくないのだ。 それが、何事もなかったかのように全快していた。 適当な広場に生えている木を選び、それに念動力をかけてみる。 腕を交差させ、足を組んで中腰に座るポーズを行なうと、全身から光が放たれ、超能力が発現する。 見よ、木は浮かび上がり、捻じれ始めたではないか。 まるで絞った雑巾のよう... -
ゼロのしもべ-元ネタ集
【人名】 バビル2世:バビル2世 山野浩一 5000年前事故で不時着した宇宙人、バビルの子孫であると同時に、同じ遺伝子を持つ。 そのためバビルの塔の支配者としての地位を与えられた。3つのしもべと塔の力でヨミの野望を打ち破った。 学生服を常に着用。性格はまっすぐな好青年だが、悪人には容赦しない。 ヨミ:バビル2世 ヨミ 同じくバビルの子孫であり、非常に似た遺伝子を持つがわずかに異なるため後継者には選ばれなかった。 部下思いで義理堅く、その上超能力を持つという悪のカリスマ。3つのしもべをあやつることもできる。 普段はわしと称するが、窮地に追い詰められるとおれと言い出すくせを持つ。 ビッグ・ファイア:鉄人28号 ビッグ・ファイア博士、ジャイアントロボ ビッグファイア団、OVA版GR ビッグファイア 村雨姓と同じく作品の壁を越えて登場する名... -
ゼロのしもべ9
前へ / トップへ / 次へ アメリカ、国防省ペンタゴン。 その中枢にある情報分析室。 エシュロン、軍事衛星、スパイ活動… あらゆる手段を用いて集められた玉石混合の情報が、優れた科学者とコンピューターにより分析解析される、現代世界最高の 頭脳機関である。 「主任。やはり解析不能です。」 その中枢で諦めにも似た声が起こる。諦めにも似た、ではなく現に諦めかけていた。 「またか。あいかわらず、この地域の分析だけは不可能なままか。」 ホログラフィックで空中に表示された地球儀。その中の解析不能地域を示す光点を憎憎しげに見つめる、主任と呼ばれた男。 「アメリカの誇るあらゆる軍事衛星も、あらゆる工作員も、何一つ情報を持ち帰れない魔のポイントX地点。」 その光点は周辺国の国境が接する地点で輝き、しかも地形の関係からここを避けて軍事行動が不能な砂漠の真ん中にあ... -
ゼロのしもべ8
前へ / トップへ / 次へ ようやく掃除が終わり、2人は食堂へ向かう。 ようやく、と言っても速度的には驚異的に早い。普通なら大の大人が数人で半日はかかるだろう。 罰を言いつけた教師たちも、ころあいを見はかり終わらせるつもりであったため、少し困惑していた。 そんな教師たちの態度に少し気を良くしたらしいルイズは、役立つ使い魔に褒美のつもりで昼食抜きを取り消そうか、 などと考えていた。 が、その考えは徒労に終わることとなる。 なぜならば食堂前まで来たルイズが、 「ビッグ・ファイア。掃除で役立ったから、特別に昼食をとることを許可してあげるわ。」 と振り返って言おうとしたところ、すでにそこには誰もいなかったからである。 しばらくの間固まっていたルイズが、逆に『夕食も抜き!』という決意を固めたことは言うまでもない。 さて、いなくなったバビル2世... -
ゼロのしもべ外伝-1
ガリアの首都リュティスから500リーグほど南東に下った山間に、サビエラという村がある。 人口三百数十人。特産物も名物もなにもない、どこにでもある田舎の寒村である。 この村に吸血鬼騒ぎが起こったのは、3ヶ月ほど前のことである。12歳になる少女が、森の入り口で死体となって発見された。体中 の血が消えうせ、ミイラか干物のようになっていたのだ。 首筋にあった二つの傷痕から吸血鬼の仕業と判断されたこの事件を解決すべく、ガリア政府は北花壇から1人の騎士を呼んだ。 その名は… 森の中、少女が息を切らして村へと続く道を駆けていた。 「はあ、はあ、はあ」と荒い息が、夕暮れの森に響く 少女は後悔していた。戦力を見誤った。己の中の本能を過小評価しすぎた。 『直感を信じて、逃げていればよかったのだ―――。』 だが今更どうにもならない。 野生にお... -
ゼロのしもべ第2部-14
前へ / トップへ / 次へ アルビオンの首都、ロンディニウム。 その郊外にロサイムという町がある。王立空軍の工廠として有名な町である。巨大な煙突立ち並ぶ製鉄所、広大な木材置き場、 兵器工廠……ハルケギニア最強を唄われるアルビオン空軍の要である、ということはすなわちアルビオンの生命線であるというこ とでもある。 そこにひときわ目立つ大きな建物がある。空軍の発令所だ。かつて王立空軍の頭脳であったこの建物も、戦争終結によりレコン・ キスタに占有されてしまい、今は三色旗が翻っている。さらにひときわ異彩を放つのが、テントに覆われた巨大戦艦だ。レコン・キスタ は鹵獲した戦艦「レキシントン」を改装中なのである。 現在、ロサイムの町は完全封鎖体制、戒厳令の真っ只中にあった。 通りを歩くのは巡回する警備兵のみである。 その警備兵を見ていると妙なこと... -
ゼロのしもべ7
前へ / トップへ / 次へ 敷地に入るときょろきょろしながら歩くルイズの姿を見つけた。 何故こんなところにいるのだろうかと思い、声をかけると、 「使い魔のくせに主人を置いてどこ言ってたのよ!」 と怒られた。どうもバビル2世を探してここまで来たようだ。 「罰として昼食は抜き!」 と自分の空腹をバビル2世にぶつけるルイズ。もっともバビル2世はあんな朝食を見た後なので、あまり罰には感じなかったのだが。 ルイズに連れられて教室へ向かう。 教室は石造りの、古いイギリスの大学のような階段教室である。石の一つ一つに歴史が刻まれているような風格ある部屋で、 なるほど魔法使いを教育するにふさわしい。 2人が中に入ると教室のあちこちから、 「おい、ゼロのルイズが召喚したのは平民じゃなかったらしいぜ」 「エルフらしいじゃないか」 「エルフっていうと臭作... -
ゼロのしもべ4
前へ / トップへ / 次へ まずいことになろうとしていた。 なろうとしていた、というのはなるのはほぼ確定しているが未だになっていないという意味である。 つまりテレパシーでルイズの思考を読んだところ、とんでもない考えを持っていることがわかったのだ。 『下着を洗わせる』 「待ってくれ」 とバビル2世は思わず声を上げていた。「何を待てばいいのよ!?」と返された。当然だ、ルイズはこの能力を知らないのだ。 仮に知られれば今まで心を読んでいたことを含めとっちめられるだろう。 また、もっと恐ろしいのは知られるということ自体なのだ。 ここに来る間に、メイジにも階級があり、当然ながら上位ほどより強い力を持つということを知ることができた。 ということは、先ほどの空中移動速度や高度も実際はあてにならないことがわかる。 自分には超能力があるとは言え、相手の力量を... -
ゼロのしもべ第3部-2
トリステインの城下町。ブルドンネ街では派手に戦勝記念のパレードが行われていた。 女王戴冠が決定しているアンリエッタの乗る馬車を、狭い街路いっぱいに詰め掛けた観衆が歓声で迎える。いまやアンリエッタは、 強国アルビオンを打ち破った聖女としてあがめられ、人気はとどまるところを知らない。 隣国ゲルマニアの皇帝との婚約も解消された。ゲルマニアでさえその勢いに恐れるアルビオンを打ち破ったトリステインに、意義を 唱えることなどできようはずもなく、婚約なしで対等の同盟締結と相成った。 そんな賑々しい凱旋の一行を、宿の2階から眺める2人の男がいた。 名はない。 誰に問われようとも、今まで「名はない」という一言で済ませてきたこの2人を、いつしか皆「名無し」と呼ぶようになっていた。 「戦勝パレードか。人間というものはなぜ命をいたずらに奪うことを、これほど賞賛するのか。... -
ゼロのしもべ第2部-18
前へ / トップへ / 次へ 18話 ここで幾人かの行動を点景として記していく。 樊瑞と呂尚の永久の別れは突然やってきた。 樊瑞が火傷に効く薬を作るため、薬草を集めていると、山の向こうで轟音が響いた。 すぐさま樹に駆け上り、音のした方向を見る。 「おお!」 目に飛び込んできたのは巨大な戦艦。それが百合の紋章をつけた戦艦に、一斉射撃を行っているところだった。 樊瑞の目の前で、戦艦は爆破炎上をし、艦隊は見る間に散り散りになっていくではないか。 「いかん!お師匠様が!」 樹を駆け下りた樊瑞は、矢のような速度で師匠の眠る山小屋へと向かった。呂尚の身体は癒えきっていない。そのようなところで あのような爆発音を聞けば、ショックでどうなるかわからない。あるいは何事かと思わず外に飛び出してしまうかもしれない。 果たして、駆けつけた樊瑞の目に映ったも... -
ゼロのしもべ第2部-7
前へ / トップへ / 次へ ゼロの策士 「う、動いた…」 「終わりだ…動いた…/」 まるで正反対の反応を見せる1人と一本。1人は歓喜、1本は絶望。 そして名を呼ばれたバビル2世は… 「いったいおまえはだれだ。何者なんだ!?」 むむむと唸っていた。透視しても見えるのは精密な機械類のみで、生物の痕跡すらない。 「おわかりにならずとも、いたしかたありますまい。」 顔を上げ、微笑むコウメイ。 「なにしろ、この姿でお会いするのは今日が初めてなのですから。」 声もはじめて聞く声だ。「旦那様の名前はダーリン」と今にもナレーションしそうな声であった。 初めて、と聞いてバビル2世の機嫌が悪くなる。 「初めてならぼくがわかるわけがないじゃないか。」 バカにしているのかこいつはと憮然とする。だがコウメイなる男は意に介していない様子で、 「い... -
ゼロのしもべ第3部-24
アルビオン侵攻戦争、通称白伐が正式発表されたのはそれから3日後、年末はウィンの月の第一週、マンの曜日のことであった。 文武百官が見守るなか、マザリーニの手により「出師の表」が読み上げられた。事実上の宣戦布告である。 トリステイン・ゲルマニア連合軍6万を乗せ、500隻を超える大艦隊がラ・ロシェールから出航した。 総指揮はマザリーニ卿であるが、本人は後方で輸送任務および糧秣調達を専門に行う。実際にアルビオンで指揮を執るのはシュゥユ・ド・ポワチエ提督である。 美周郎という異名をとる彼は、トリステイン武官の名門の出であり、艦隊戦の名手であった。 このド・ポワチエ提督をはじめ数名の将軍に、アンリエッタはルイズが虚無の使い手であるということを伝えてあった。 さらには孔明がなにやら秘策と授けたらしいのだが、真贋は不明である。というか、作戦が成功したら自分の手柄にしてそうだ。 ... -
ゼロのしもべ第2部-17
前へ / トップへ / 次へ 「話は変わるけど」 とルイズが一向に進まぬ草案作成に見切りをつけ、気分転換にバビル2世に話を振る。 「やっぱり、元の世界に戻りたい?」 唐突だな、おい、と苦笑するバビル2世。 「今は、まだヨミがいるからね。」 帰るわけにはいけない、というバビル2世に、寂寥を感じた。 いずれ自分の目の前にいる使い魔は、自分の前から姿を消すのかもしれないという不安と、あくまで自分の使い魔としてこの世界 にいるのではなくヨミという男と戦うためにこの世界にいるのだといういわば嫉妬から来たものであった。この少年の目に自分ははた して映っているのだろうか。わたしは刺身のつまなのではないか。自分はなぜこの少年を呼び出したのか。 だが、それも無理はない。 よく考えれば自分はゼロの二つ名を持つ、メイジとはいえない人間に過ぎない。この少年は3つのしもべを... -
ゼロのしもべ第2部-5
前へ / トップへ / 次へ 宿に戻り、割り当てられた部屋に着く。 道中から、妙にギーシュが思いつめた顔をしていた。 そんなに貞操の危機がショックだったのだろうか。 「なあ、ビッグ・ファイア……キミはすごいな」 散々迷った挙句、そう切り出した。 「あの魔法衛士隊の隊長と模擬とはいえ引き分けたんだぞ。すごいじゃないか。」 褒めているんだが、微妙に何かを迷っているそぶり。簡単に言うなら、なにかのタイミングを計っているようだ。 あの、えっと、その、と切り出したいが覚悟を決められない様子。 というのも、ギーシュはバビル2世に、 「戦い方を教えてもらいたい」 と言い出そうとしているからだ。 仮にもギーシュは元帥の息子である。その命は国のため、ひいては王女アンリエッタのためにあると言っても過言ではない。 それだけに今回の任務に対する意気込みは相... -
ゼロのしもべ第3部-10
10話 女王アンリエッタが突如王宮から姿を消した。 警護をしていた衛兵を蹴散らし馬で駆け去ったのだ。ただちに王宮内にはかん口令がしかれ、出入りの業者から陳情に来ていた 地方貴族に至るまですべて留め置かれた。進入した形跡が皆無なことから、内部に協力者がいることは確実であったからだ。 結果、高等法院のリッシュモン長官が逮捕された。女王が消えてからわずか5分後の、超スピード逮捕だった。 「なにこれ?待ち構えてたよね?」 女王誘拐の報が入るとほぼ同時に突入してきた憲兵隊に組み伏せられながら、リッシュモンが叫んだ言葉である。実際憲兵隊は ドアの外から窓の外、たんすや机の下、ベッドの脇にまで隠れていた。これは気づかなかったリッシュモンの落ち度であろう。 その後、あっという間に腕を切り落とされたリッシュモンはピーピー泣きながら今回の事件について告白をした。... -
ゼロのしもべ第2部-12
前へ / トップへ / 次へ 目を開いたウェールズの目に飛び込んできたのは、神の奇跡を目の当たりにした僧侶のような顔で驚愕する父ジェームズの姿で あった。目からは涙がこぼれているし、祈るように指まで組んでいる。 なぜ父は泣いているのだろう。なぜ父は祈っているのだろう。 父だけではない。その場にいた人間全てが泣いていた。祈っていた。 そして、口々にある少年の名を叫ぶ 「バンザイ、ビッグ・ファイアバンザイ!」 父が少年に抱きつき、離れて地に伏せ祈りを捧げる。始祖ブリミルへの感謝をこめた祝詞だ。神聖な言葉の羅列による詩だ。 一国の王が使い魔に与える歌ではない。国の祭典や戦争の勝利など、国家的な祝いの場において、唄われる祝詞であった。 「おお……トリステインの若きメイジ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔よ。貴方は一... -
ゼロのしもべ外伝-4
アンリエッタがまだ王女だったころ、ラグドリアン湖の南に「ガイア教」という怪しい宗教が流行っていた。 それを信じないものは恐ろしい祟りに見舞われるという。 その正体は何か? イザベラはガイア教の秘密を探るため、トリステインから秘密のメイジを呼んだ。 その名は……雪風参上! 赤雪のタバサ 第4話 「……ッ!」 横に転がり、巨大ガマガエルののしかかりを避けるタバサ。間一髪、潰されずにすむ。 『思ったより身軽い…』 普通これだけの大きさならばもうちょっとノロマでも仕方がない。身体の大きさに比例して動きが鈍くなるのは当然なのだ。しかし、今のカエルの動きは並みの人間なら潰されていてもおかしくない速度であった。タバサが避けることができたのは、皮肉にもこれまで与えられた過酷な任務をこなすうちに身についた体術のおかげであった。タバサの基本戦術は手数とスピ... -
ゼロのしもべ第2部-3
前へ / トップへ / 次へ アサー!と谷岡ヤスジみたいに夜が明けた。 というか正確にはまだ明けてはいない。 まだ夜は完全に明けきっておらず、朝もやが立ち込めていた。3人は馬に鞍をつけ、旅の準備をしていた。うち一頭はロデムが変身した 馬である。ロプロスとポセイドンは万一のことを考えすでに出発させている。 ヨミは自分の居場所をフーケの件から突き止めている可能性がある。そのときヨミ自身がくれば、しもべはあやつられ周囲に大惨事を 巻き起こしてしまうだろう。そのためにもいったん移動させておくべきと考えたのだ。 ポセイドンは目的地近くにあるという池に、ロプロスは岩山の陰に隠れているはずだ。 ルイズはいつもの姿に加えて乗馬用のブーツを履いている。ギーシュは履いていない。 と、出発前にギーシュが妙なことを言い出した。 自分の使い魔である巨大モグラを連れて行き... -
ゼロのしもべ外伝-5
アンリエッタがまだ王女だったころ、ラグドリアン湖の南に「ガイア教」という怪しい宗教が流行っていた。 それを信じないものは恐ろしい祟りに見舞われるという。 その正体は何か? イザベラはガイア教の秘密を探るため、トリステインから秘密のメイジを呼んだ。 その名は……雪風参上! 第5話 げあげあ、とカエルがけたたましい声をあげている。 『妙な声を出しているな』 と、闇の中から鬼火のように浮かび上がる男の姿。 目の下に十字傷のある、ネズミのような顔をした男。ギャロップだ。 「様子が変だ。見に行ってみよう。」 サーカスの曲芸士のように、樹上を翔るギャロップ。まるで地上を走っているのと関係ない。 いや、むしろ地上を走っている並の馬など問題とならぬぐらいの速度がある。 樹上を飛び、空中でくるくるっと回転し着地をするギャロップ。その目に飛び... -
ゼロのしもべ第3部-6
扉のきしむ音に、ルイズが夢の世界から引き戻されると、荷物をまとめて出て行こうとするバビル2世と目が合った。 「……なにごと!?」 一瞬で目が冴えて、飛び起きる。 そりゃそうだ。起床したとたんかを出て行こうとする人間と目が合えば、どんな低血圧であろうと覚醒する。帰ってきたら置手紙だけ、 よりもよっぽど心臓に悪い。 「やあ、おはよう。起こしてしまったか。ゴメン、ゴメン。」 爽やかに挨拶をするバビル2世。とてもじゃないが家出をしようとしている人間とは思えないほど明るい。 「やあおはよう。じゃないわよ!なに荷物まとめてるのよ!家出?家出なの!?使い魔のくせに家出?主人を見捨てて出て行こう ってわけ??あったま来たわ!」 ベッドの脇に立てかけてある杖を取り上げて、さっと掲げる。 「逃げるというなら今すぐ消し飛ばしてあげるわ!覚悟しなさい。」 呪... -
ゼロのしもべ外伝-3
アンリエッタがまだ王女だったころ、ラグドリアン湖の南に「ガイア教」という怪しい宗教が流行っていた。 それを信じないものは恐ろしい祟りに見舞われるという。 その正体は何か? イザベラはガイア教の秘密を探るため、トリステインから秘密のメイジを呼んだ。 その名は……雪風参上! 赤雪のタバサ 第3話 「それでお姉さま、今晩はどうするのー?」 「宿に泊まる。」 また野宿をするのだろうか?と思いシルフィードが訊ねたのだが、あっさり宿泊すると宣言されてしまう。 「今のわたしたちは巡礼者。」 タバサとシルフィードは、この村に『ガイア教の神体を拝みに来た巡礼者』として潜入している。おまけに女性二人だ。宿が足の踏み場もないような混雑ぶりならともかく、なんでもないのに野宿などしていれば怪しまれかねない。 「でも、でもなのね。建物の中で不意打ちをかけられた... -
ゼロのしもべ第2部-13
前へ / トップへ / 次へ まだ日の昇らぬうちにアルビオン王党派の諸氏は散って行った。 全員が孔明の指示に従ってのことである。彼らのなすべきことは3つ。 1つ。アルビオンに、情報収集を主目的とした工作機関を作り上げること。 1つ。各国の王族や貴族に支援を働きかけること。 1つ。レコン・キスタの分断工作。 新政権となったレコン・キスタは歴史の例に倣い、粛清により多くの血が流れるだろう、というのが孔明の見方であった。いや、すで に血は流されている可能性がある。その血をより多く流させる必要が、敗者であるアルビオン王家にはあった。 「いくら必要とはいえ、忠臣の血が流れるのを見るのは忍びない。」 と、国王は嘆いたが、ことここに至ってはもはや他に方法もない。 第1のグループはさっそくラ・ロシェールに出発した。目的はすでに述べたようにスパイ... -
ゼロのしもべ外伝-2
アンリエッタがまだ王女だったころ、ラグドリアン湖の南に「ガイア教」という怪しい宗教が流行っていた。 それを信じないものは恐ろしい祟りに見舞われるという。 その正体は何か? イザベラはガイア教の秘密を探るため、トリステインから秘密のメイジを呼んだ。 その名は……雪風参上! 赤雪のタバサ 第2話 ラグドリアン湖。 ガリアとトリステインの国境沿いの内陸部に位置するこの湖は、風光明媚な保養地として知られている。 ハルケギニア随一の名勝だ。広さおよそ600平方キロメイル。 特に、美の代名詞とさえなっている『水の精霊』の住まう場所として知られている。その湖から南に行くと、 そこにズール伯爵の治めるギシンという地方がある。 この町に、最近妙な宗教が流行りつつあった。 巨大な像をご神体とあがめる新興宗教「ガイア教」である。 その像を一言で表せば... -
ゼロのしもべ第2部-11
前へ / トップへ / 次へ 「うわぁー、魚紳さん、なんだべあれは!?」 「三平くん、あれが今日のターゲットの竜だ。」 と、いきなりのインチキ東北弁で申し訳ないが、思わず釣りでキチで三平が出てくるほど、呂尚の釣りっぷりは見事であった。 作画:矢口高雄って感じだった。 虚空に稲妻が走り、裂けた。 引き抜かれた釣竿に従って、空間の裂け目から巨大な竜が現れた。 「なんだ、あのドラゴンは!?」 「見たことがないぞ、あんな竜は!」 幻獣やモンスターに詳しいはずのメイジたちが口々に騒ぎ立てる。当然である。彼らが知るドラゴンはティラノサウルスのような 二足歩行をし、羽の生えた恐竜といったものがほとんどである。中にはサラマンダーのようなタイプもいるが、それでもおおむねの ドラゴンのイメージは前述のようなものであった。 ところが、空に現れた老... -
ゼロのしもべ第2部-4
前へ / トップへ / 次へ その日、バビル2世たちはシエスタの実家に泊まることになった。村でも有数の長老であるショウタロウの一声で、一族郎党が 集結した上、貴族の客をお泊めするというので村長までが挨拶に来る騒ぎになった。 バビルたちはシエスタの家族に紹介された。ショウタロウはビッグ・ファイアなる名前を聞いて怪訝そうな顔をしたが、 「魔法使いのいる世界なので本名は隠してるんです」 と事情を説明し、山野浩一と名乗ると納得してくれた。 ショウタロウは上機嫌そのものであった。なにしろ数十年ぶりにあった同胞―――もはや二度と会うことはないだろうと思っていた 人間がついに目の前に現れたからだ。 戦後の政治から、風俗、外交、軍事と話題は枚挙に暇がなかった。もしバビル2世がバベルの塔でコンピューターに教えを受けて いなければ、半分も答えることはできなかったろう。... -
ゼロのしもべ第3部-4
4話 「ウッ!あいつハマサカ、『幻惑』ノ『セルバンテス』!!?」 ガーゴイルが大きく身体を仰け反らせる。 小型とはいえ、ガーゴイルは普通の人間では出せない力を持つはずだ。それをここまで怯えさせるとは一体何者なのか。 「迎えに来たよ。シャルロット君!!」 雲の上。ガーゴイルに運ばれる馬車を受け止めようとするかのように、男が立ちはだかる。 「ウワアッ!」 馬車を掴んだガーゴイルが、馬車の向きを変えようと慌てて身体を傾ける。 だが間に合わず、まさに衝突するという刹那、セルバンテスの姿が煙のように消えうせる。 「何ッ!?」 外を警戒するガーゴイルが瞬きをせぬうちに、キュルケとガーゴイルの間にバンテスは立っていた。 「シャルロット君……」 ゴーグルを指で持ち上げ、タバサに視線を向けるセルバンテス。頼もしくも力強い笑みがそこにあっ... -
ゼロのしもべ第3部-18
18話 「おう、とうとう完成したのか!」 ドアが開く。 ガラガラと音を立てて、車椅子が運び込まれる。 その上には、山賊のような風体の男が座っている。全身、包帯だらけでまるでミイラだ。 「張飛殿。」 敷島に説明を受けていたジョゼフが、振り返って近づく。手をとって、うんうんと頷き、 「お体のほうはよろしいのですか?」 「はっ。ゲートの固定化に成功したと聞けば、寝ていられん。」 包帯の隙間からわずかに覗く目の周りの青たんがにまっと歪む。どうやら嗤ったようであった。 張飛が、ズタズタの身体で戻ってきたのはまだ1週間ほど前のことである。 ルイズの誘拐を土鬼と名乗る何者かに阻止された、のだという。 その身体を見て一番驚いたのは、ほかでもないジョゼフであった。 なにしろ張飛は九大天王でも1,2を争う猛者なのだ。現にジョゼフは、精... -
ゼロのしもべ第3部-3
「ちょ、ちょっと待て!/なんか話の前後につながりがねーんじゃねーか!?/おもわず感心しそうになったじゃねーか!/オデレータ/」 いつものように無理矢理納得させられそうになっていたデルフが我にかえって叫ぶ。 「それによ/協力しろだなんていうが、オレはおめーに協力する気はいっさいねーぞ!/」 全身をゆすって、なんとか孔明の手から逃げようとするデルフ。肩に柄を当てたら気持ちよさそうだ。 そんな様子を見て孔明がやわらかい笑みを浮かべる。 「いえいえ。おそらく、あなたは協力しますよ。間違いなく。」 そしてデルフにだけ聞こえるような声で、ボソリとあることを呟いた。 途端、デルフの抵抗が嘘のように消える。声を震わせながら、 「……そりゃーよ、本当なのか?/」 孔明が頷く。 「嘘はついておりませぬぞ。この孔明の調査に間違いはありませぬ。」 「オデレー... -
ゼロのしもべ第2部-2
前へ / トップへ / 次へ 午後の授業は全て中止され、歓迎式典の準備に当てられた。 準備が終わると生徒は全員正装し、正門で整列をさせられた。 街道を4頭立ての馬車が粛々と進んでいる。金の冠を御者台横につけ、ところどころに金銀白金でできたレリーフ。 そして、つけられたユニコーンのマークが国際警察機構ユニコーン……じゃなくて王女の馬車であることをしめしていた。 よく見れば馬は紋章と同じ、ユニコーンが勤めている。無垢なる処女しかその背に乗せぬユニコーンは、なるほど王女の馬車に ふさわしい。 その後ろにマザリーニ枢機卿、さらに2台の周りを王室直属の近衛部隊魔法衛士隊が固めている。男の貴族は皆その任に就く ことを望み、女の貴族は皆その妻となることを望むという。トリステインの華やかさの象徴であった。 だが、その華やかさの裏で、馬車の中は苦悩に満ちていた。 ... -
ゼロのしもべ第2部-8
前へ / トップへ / 次へ 「へ、陛下!」 呆けていた側近たちが我にかえり、慌ててジェームズ王に詰め寄った。 「陛下、お立ちください!平民風情になぜそのような態度を!?」 「それに、いかに追い詰められているとはいえ兵権を渡すとはいったいどういうことですか!?」 「陛下!」 ジェームズは侍従を呼び、支えられて立ち上がった。そして周囲の側近たちを見やり 「諸君は知らぬだろうが、このお方は我がアルビオンに大変縁の深いお方なのだ。わしにとっても、ウェールズにとっても、恩人と 言うべきお方。そのお方が此度の窮地を救い、叛徒どもを蹴散らすすべがあるというのだ。ならば迷うことはあるまい。」 そして厳かに締めくくった。 「よいか、これは国王命令じゃ。アルビオン国軍の指揮権は只今を以ってコウメイ様に移動する。諸君はコウメイ様の命令をわしの 命令と思い奉公を... - @wiki全体から「ゼロのしもべ18」で調べる