あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「気さくな王女-20」で検索した結果
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気さくな王女
...気さくな王女-19 気さくな王女-20 気さくな王女-21 気さくな王女-22 気さくな王女-23 気さくな王女-24 気さくな王女-25 気さくな王女-26 とってつけた解説 鬼作 製薬会社の寮管理人となった鬼畜オヤジの活躍を描いたゲーム。 セールスマンとして成長したり、こっそりと盗撮したりしながら多数の女性を不幸にする。 ただし裏シナリオでは目的自体が違うため(基本的に)エロシーンは無い。 伊頭鬼作 主人公。伊頭家鬼畜三兄弟の末弟。鬼畜デレという新ジャンルを生み出した男。 十八歳未満はNG、施しは受けない、等々のルールを守る硬派な鬼畜であり、ただの変質者とは一線を隔す。 基本的には「素直になれない愉快なオヤジ」だが、エロに関しては鬼畜スイッチが入る。 鬼作の自転車 スタッフロールで登場する自転車。鬼作が得意のテクニックを使って窃盗... -
気さくな王女-20
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ まず、軽くノックする。返事が無いことを確認してから強めにノックする。やはり返事はない。 大きさのわりに軽い扉を開ける。口は開かず黙ったままでね。ノブに両手を添えて音がするまでしっかりと閉める。 この部屋は防音が完璧だから開閉をきちんと確認しなければならない。後でうるさく言われたらつまらないでしょう。 わたしに背を向けて座る青髪の中年男性を一人確認。脇にかしずく小姓が二人、控えの騎士……とりあえずそれだけか。 よし、モリエールのババアはいないみたい。あいつがいると話が長くなって嫌なのよ。 部屋の中を流れる川。金色の穂が頭を垂れる農地、築かれつつある砦。金属の光沢が美しい重装歩兵に恐ろしげな亜人の傭兵たち。 十メイル四方はあろうかという箱庭の中で、槍兵や砲兵、フネに竜兵といった駒が所狭しと並んでいる。... -
気さくな王女-2
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ ああ疲れた。本当にあの役立たずどもときたら、監視してなきゃすーぐ怠けるんだから。 結局のところわたしの優しさにつけこんでるんだよ。使われる身で調子こきやがって。 腸詰に泥を入れるなんてガキでもできる仕事でしょうに。それをいちいち手ェ止めて。悪いことでもしてるみたいに震えたり、こっちの顔をうかっがたり。くそ。 悪いことしてるわけないでしょう。わたしが法なんだから、わたしがいいって言えば全部いいの。まったく、怒鳴ったり鞭振るったりする方の身になってほしいわ。 でも疲れた甲斐あって泥入りの腸詰が十ダースは完成した。わたしの指揮能力恐るべしね。戦場にでも出れば大活躍間違い無しだわ。 これに腐りかけの卵を百や二百は投入して人形娘にぶっつけてやる。当然ベソかくでしょうけど手は緩めない。 手加減して投げるような... -
気さくな王女-5
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 作戦は完璧、面白みの無さを感じるくらい完璧よ。 まずは何食わぬ顔でガーゴイルを呼び出す。 侍女達にも手伝わせて泥の詰まった腸詰や腐った卵やその他色々な物を投げつける。結果、人形娘はドロドロに汚れる。 汚い格好で王女の前に出る無礼を咎めて服を脱がす。素晴らしい自作自演。 適当な理由をつけて下着も剥ぎ取る。恥辱に頬を染めるガーゴイルが目に浮かぶよう。 王女の前で素裸でいる無礼を咎めて荒縄で縛る。さらに、縛るだけじゃ甘いから罰を与えると宣言。 ここから鬼畜者の舞台が幕を開ける。泣こうがわめこうがけして手を緩めず、左手のナイフが下の毛を刈り取って、右手の張型が縦横無尽に大活躍する。 観客が召使だけってのはつまらないけど仕方ない。鬼畜はこっそりと影で生きるのが定法だものね。 「ちょっと、ガーゴイルはま... -
気さくな王女-1
気さくな王女 / 次ページ ああ! 腹が立つ! 腹が立つ! 腹が立つ! 死ね! 全員死ね! 心の中で笑ったやつ! わたしを馬鹿にしたやつ! あの場にいた全員! 残らず死ね! えらそうな騎士の尻を蹴飛ばしても収まらない。 壁に必殺パンチ、王冠蹴り上げスツールにエア・ハンマー、花瓶投げつけ文鎮ぶん投げ腹立つ腹立つ。 破壊活動は疲れるだけで一切無為。部屋が荒れて困るのはわたし。かえって苛立ちが募るだけ。死ね。 部屋の隅でおびえてる侍女達だって内心わたしを馬鹿にしてる。そうに決まってる。 わたしが連中の立場なら笑う。まず笑う。生き物を召喚できないメイジがいたら絶対笑う。 そもそもの原因はガーゴイルにある。あの人形娘が風竜なんて召喚したりしなければわたしもその気にならなかった。 人形娘が風竜ならわたしは風韻竜くらい召喚してしかるべきじゃない。 ... -
気さくな王女-4
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 「つまり、イトーという家に、代々伝わっている、鬼畜の道を、見極める本?」 「そうだね」 「何よそれ。結局のところどういう本なのよ?」 「えっとねー……女の人をひどい目にあわせる方法がいろいろ書いてある本、なのかな」 女の人をひどい目にあわせる方法? また随分胡乱な本だ。犯罪の手引書みたいな物か。 「お姉ちゃんには用事の無い本だと思うよ」 そういえば、人形娘も性別的には一応女だったな。体つきはあれだけど。 「だからこれはしまっておくね」 てことは……この本を使えば……。 本をとろうとする幽霊の手を避け、わたしは子供の手では届かない位置に高く掲げた。 「この本、いいじゃない」 「女の子が読んだりする本じゃないってば」 「わたしは王女なの! その辺の下賎な女子供と一緒にするんじゃない!」 「王女さまな... -
気さくな王女-21
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 理の通ったわたしの嘆願を聞き入れようとせず、天地がひっくり返ってもシャルロットを解き放つ気がないと放言した。 エルフの毒を使って母親と同じ目に合わせてやることを付け加え、稲妻のごとき高笑いとともにわたしを冷たく突き放した。 神をも恐れぬこの所業、ガリア王は鬼か悪魔か畜生か。わたし達が止めずに誰が止めよう。 ……ということにしておいた。概ね間違ってはいないのでわたしは悪くない。悪いのは父上。 「なんて悪辣な王さまなの! シルフィがお尻を蹴っ飛ばしてやるのね!」 「やめなよシルフィちゃん。王さまをけったりしたらシャルロットちゃんがひどいことされちゃうよ」 「だったらトリステインに行く! 頼りにならない従姉姫なんてぷーだもの!」 「だからトリステインに行けば父上の思う壺なんだよ。同じこと何度も言わせるんじゃ... -
気さくな王女-25
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 幕間 普段の壮麗な輝きは鳴りを潜め、黒を基調とする装飾に縁取られたヴェルサルテイル宮殿の前栽を少女が歩く。 喪服に喪章をつけた人間が行きかう中、一人赤いスカートを翻して歩く様は大いに目を引くが、誰も彼女に気を払わない。 二人の門番が談笑する横を抜け、少女はプチ・トロワの入り口をくぐった。 「随分と客が集まるんだろ? まぁた仕事が増えるよなあ」 「まったくだ。娘一人の葬式にご大層なことでよ」 「結局のところよぉ、俺たちゃ死んだ後でもあの女にこき使われるってこった」 「人騒がせな姫さんもいたもんさ」 主を失ったプチ・トロワの中はしんと静まりかえっていた……ということもなく、召使たちが忙しげに立ち働いていた。 ただ、人数が集まれば、一人二人の不心得者は出てくるもの。上役の目を盗み、控え室でおし... -
気さくな王女-26
前ページ / 気さくな王女 好事魔多しとはよくいったもの。 空に混ざり、光に溶け、心地の良い――おそらくはカレーも置いてある――場所へ行こうとしていたわたしに邪魔が入った。 懐かしくて温かな光の中、忘我の際にまで歩み寄ったところでなにやら声が……。 ぐすっ……。 ぐすっ……ぐすっ……。 ううっ……。 ……子供の泣き声? とても遠くから聞こえているのに、なぜか耳から離れない。 気がつけば、茫漠としていた心と体が明確な形を取り戻していた。ぼんやりとしていられないくらい、この声は気に障る。 ……ぐすっ……。 ぐすっ……。 クソッ。何よこれ。すすり泣き? 幽霊の声じゃないわね。ったく、どこのガキが泣いているんだか。 ぐすっ……ぐすっ……。 ぐすっ……。 ぐじゅっ……。 ちっ……いつまで... -
気さくな王女-24
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ また何か言いたそうな顔をしているけど、とりあえずシャルロットは黙らせた。お次はこいつだ。 「地下水」 「なんです? 俺は素直に癒してもらうべきだと思いますがね。王女様の頑丈ぶりは知っているけど、ちと血が流れすぎてる」 ナイフに表情を期待するわけじゃないけど、冷静に言わないでほしいわね。わたしが不安になったりしたらどうするのよ。 「しつこいね。誰もお前の意見なんざ聞いちゃいないよ……わたしの力を上乗せにすればどの程度のクラスの……魔法が使える?」 「王女さまはドットでしたかね。それじゃせいぜいトライアングルってとこですわ」 「おまけしてスクウェアにならない?」 「無茶言わんでください」 トライアングルか……微妙ね。鬼畜道だけじゃなく、魔法も真面目に勉強しておけばよかった。 ま、いいわ。現実に文句つけたって... -
気さくな王女-7
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 「ごめんなさいお姉ちゃん」 「……」 こいつのいやらしい点はすぐ謝りにこないところだと思う。 三日あけることでわたしの怒りが収束するだけの時間を置き、さらに退屈で死にそうになるところを狙い撃ちにする。 三日間も音沙汰が無かったことで「まさか寝台と一緒に潰してしまったか?」と思わせることも考えのうちだろう。 「ごめんなさい。おねがいだからおしゃべりしようよ。ボクのこと無視しないでよ」 「……ふん」 たしかに退屈。 それに、自転車を素敵な何かに交換してもらわなければいけないことでもあるし。 「ごめんなさいごめんなさい」 「……」 しかーし。だからといって、素直に許すなんてことはあまりにも業腹。平民という生き物は、甘い顔を見せればどこまでもつけ上がる。 「ごめんなさい! ボク、もう二度とブレイなこと... -
気さくな王女-6
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 一人でもがいて一人であえいで勝手に膝をついた。傍から見ている連中は、何をしているのかといぶかしんだことだろう。 くそっくそっくそっ。かかなくてもいい恥をかいた。よりにもよって一番見られたくないやつの前で。 「どういうこと?」 「どういうことって言われても……」 「鬼畜者の相手は十八歳以上限定なんて、一っ言も聞いてないんだけど」 「言ってないもん」 「どうしてさっさと言わなかったの!」 「子供をいじめちゃダメなんて言わなくてもわかることだから」 「ぐっ……」 「それにシャルロットちゃんをいじめようとしてるなんて知らなかったもん」 「ぐぐっ……」 「ねえお姉ちゃん。ボク正座苦手なんだよ。ふつうに座っちゃだめ?」 「ぜぇーったいダメ! お前はそこで反省してなさい!」 自室で反省会、というわけではない。な... -
気さくな王女-8
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 今日という日が良い意味で記念すべき日になることを祈る。 昨日は夜を徹して練習に、途中からは特訓に勤しんだけど、わたしの体力はまだまだ残っている。 前回のように許容範囲を超えることさえなければ、きっと最後までやり通せるはずよ。 頭の中で数十、数百繰り返してきた手順を今一度確認する。練習であれだけ上手くやれたんだから本番で上手くいかないわけがない。わけがないんだったら。 眼鏡の処理、力の加減、体格差の考慮、呼吸法、歩調、よどみの無い動作。絶対にやれる。 自分の青い髪を指で梳く。ガリア王家の貴い血と、鬼畜者が培ってきた技術と精神が融合した今、わたしに不可能は無い。 十八歳未満であっても問題なく追い込んでみせる……ふぅ。ああ、くそ、なんでため息が出るのよ。 空は高く、柔らかな陽が大地を照らす。黄... -
気さくな王女-23
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 「さあどうするの。選択肢は二つしかないからさっさと決めなさい。わたしと友達になるか、ここで人生を終えるか」 「……」 シャルロットの眉間から親指一本分離したくらいの場所に疑問符が浮かび上がった。ように見えたけど気のせいだった。 その不可解な物を見る顔つきを変えることなく自分の額に左手をあて、さらに右手をわたしの額に向かって伸ばし……。 「ちがう! 熱があるわけじゃない!」 小首をかしげてわたしを見ている。意図と主旨をこれっぽっちも理解してはいない。 体が栄養不足なのは知っていたけど、頭まで養分が枯渇していたとはね。噛み砕いて教えてやる必要がある。 「まずね。ここにお前がいるでしょ。それでわたしが」 シャルロットの体が大きく跳ねた。わたしはババアがおもりになってくれたおかげでそれほどでもなかったけどやっぱ... -
気さくな王女-3
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 「わかってくれた? ならこの自転車もらっていくね」 「ちょおっと待てえ!」 さっさと無くなってほしいと思っていたハズレ使い魔だけど、元の持ち主に取り返されるとなれば話は別よ。 「この……ええと……ジテ……ンシャ?」 「自転車?」 「そうそう、その自転車よ。この自転車はね、わたしが召喚したわたしだけの使い魔。もうお前のおじさんとはこれっぽっちも関係ないんだよ」 「ええー!? それはひどいよー、ドロボーと同じじゃない」 泥棒上等。ふん、誰がくれてやるもんか。他人が欲しがるとなればゴミでも惜しくなるのがわたしのサガ。 「お姉ちゃんひどいよ。持って帰らなかったらおじさんに怒られちゃうよー」 「ひどいのはあんたの言葉遣いよ。誰があんたのお姉ちゃんですって? 誰が?」 「お姉ちゃんがダメならなんて呼べばいいのさ?」 ... -
気さくな王女-10
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 路地裏を駆け抜け、急停止をかませて直角に十字路を曲がり、タイヤの焦げる匂いを撒き散らして自転車を走らせた。 ペダルを踏んで踏んで踏んで踏んで踏み抜く寸前、わたしの肺が破裂する直前まで踏み倒した。 後部座席の幽霊にも指示を飛ばして体重移動を繰り返させた。これによって自転車の転倒を防ぎ、狭い道での曲芸的な走行を可能にする。 人はもちろん、狭い路地裏という場所を考えれば、馬よりも速く走ることができたと思う。 わたし達は回りまわって最初の場所、酒場の裏へと戻ってきた。わたしは自転車から降りて息を整えた。 「ねえお姉ちゃん」 「ハァ……ハァ……言うな」 「でもさ、お姉ちゃん」 「ふぅ……ふぅ……言うなって言ってるだろ!」 「あーっはっはっは! 追いかけっこでシルフィに勝とうなんて百年早いのね!」 なんでこい... -
気さくな王女-22
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ アーハンブラ城は砂漠の真っ只中にある軍事拠点であり、人間とエルフとがしのぎを削って奪い合った要所中の要所……だったこともある。 現在ではエルフの侵攻も絶えて久しく、城は規模の小ささから廃城となり、麓のオアシスが宿場街としてにぎわっている。 そんなアーハンブラ城に軍の一部隊が駐屯し始めたのはごく最近、ここ数日間のことらしい。 平民達は軍隊の目的について盛んに噂し、ある者はエルフからの侵攻が再開したと言い、ある者は宝物の発掘説を唱える。 ハッ、そんなわけないじゃない。平民の噂話ってのはいっつもいい加減なことばっかり。 ここに押し込められたミスコール男爵とかいう木っ端貴族は、近しい者にもそうでない者にも愚痴をこぼすことしきりだったとか。 なぜ囚人親子の相手を自分がしなければならないのか、もっと相応しい人... -
気さくな王女-16
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 性格の悪いやつではあったけど。 「王位を脅かす邪魔者同士に戦わせ、お互いが傷ついたところで双方ご退場いただくというわけで」 仕事ぶりからは、最低限の忠誠があるように思えた。 「さすがは本物のイザベラさま、私めごときには思いもつかない残酷で効率的なやり方でございます」 まさかこういう真似してくれるとはね。 「疑うことなく影武者になられたシャルロットさま。警備の薄さを不自然とも思わず忍んでこられた偽王女殿下。お二方とも大変に素直でいらっしゃる」 「ペラペラペラペラと聞いていないことまでよく喋ること」 「全て教えて屈辱を与えてから始末しろ、と仰せつかっております」 完っ全になめられてるわね。 「まるで裏事情まで全部知っているように話すじゃないのさ」 「協力を求められたおりに一部始終を聞かされております。もち... -
気さくな王女-17
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 残った力の九分九厘を注ぎ込んで脚を動かし、同時に脳も全開で稼動させる。 地下水の隙を突くことはできた。では、この好機をいかにして活かせばいいのか。 地下水の最も恐ろしい点として、持った人間の精神を操るということが真っ先にあげられる。 だけど大概の長所は短所にそのまま直結していて、手から落ちれば支配する力も失われてしまうのが最大の短所といえる。 ストレートに勝ちを目指すなら地下水を叩き落すってことになるんだけど、そこは相手も警戒してるでしょうね。 握力のきかない手では掴み取ることもできないし、じんじんと痛む脚を振るって蹴り落とす自信も無い。 体当たり? 歯で噛み付く? ぶっすりやられたらそれでおしまいじゃないの。 どれもこれも直接的すぎて、鬼畜者としてスマートとはいえないわ。わたしが選択すべき... -
気さくな王女-19
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ わたしの部屋を舞台に開催された「シルフィの無法を糾弾するための審問会」は序盤から紛糾した。 そもそも本人に罪人としての自覚がなく、わたしの命令一つで首をはねられる立場なのに、わめくは暴れるはで手がつけられない。 こちらの主張に一切耳を貸さず、ただ自分の言い分を押し通さんと頑張るのみ。貧民窟の子供だってもう少し協調性あるんじゃない? 当然まともには進行せず、クッションが叩きつけられ、文鎮が床に落ち、声は際限なく高くなり、そんな中でフウリンはチリンチリンとがなりたてていた。 シルフィがわけの分からぬことを並べ立てる。わたしが全て却下する。幽霊が仲介する。 シルフィが叫ぶ。わたしが罵る。幽霊がとりなす。 シルフィが腕を振るう。わたしがタオルを振り回す。幽霊がなだめる。 シルフィが机をぶん投げる。わたしが椅... -
気さくな王女-13
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 一晩をドブ川のほとりで過ごし、宮殿を出てから二日目の朝。 筋肉痛で足が痛むわ、虫に刺されて体中が痒いわで何一ついいことが無い。 そのうえ、幽霊から「シャルロットちゃんに助けてもらえばいいんじゃないかな」と愚かな提案。 あまりにも腹が立ったので幽霊の足を踏みつける。 助けを求めるんじゃなく、利用してやるっていうのなら考えなくもないけどね。 それにしたってシャルロットは嫌だ。あいつじゃなくて、そう、シルフィがいい。 あの馬鹿には散々恩を売っていたんだから、わたしに利用される義務がある。 シルフィを暴れさせ、その隙をついて宮殿内に忍び込もう。スキルニルと相対する状況にさえなれば、ルーンの一語で人形に戻してわたしの勝ち。 そう考え、物陰に移り移り屋敷まで出向いたところ、騎士さまはすでに問題を解決してご出... -
気さくな王女-14
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 首都リュティスから南西に百リーグほど行くと見えてくる小都市、グルノープル。 そんな肥臭い田舎町から少し離れた森の中、水溜り程度の小さな池のはたでわたしは湯船につかっていた。 見上げれば木の葉に隠れた二つの月。月夜の晩は鬼畜者によく似合う。 街道を外れて来たせいか、通常ルートの倍は時間がかかった。 道のりが長くなったというだけでなく、ろくに人の通らない獣道は障害物で溢れている。 自転車が飛び、跳ね、揺れ、ぶつかり、ハンドルをとられかけ、どうにかここまでたどり着いた。 後部座席の幽霊は「お尻がこわれちゃうよー」なんて言ってたけど、ガキの尻なんてものは叩かれるためにあるのよ。 わざわざいらぬ苦労をしてまでグルノープルくんだりまでやってきた理由は一つ。 ここでスキルニルを叩く。 こ... -
気さくな王女-12
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 尻の下の石畳は、わたしの体温を奪うだけで返してはくれない。 汗のにじむ季節とはいえ、ドブ川のほとりはジメジメと冷たく湿っている。真夜中という時間帯も相まって薄ら寒い。 ライトでつけたひ弱な明かりが、反吐臭い風に吹かれて揺らめいている。 魔法というものは使い手の精神に大きく関わってくる。つまり、明かりの揺らめきはわたしの精神状態をあらわしているんだろう。 冷静になろう、落ち着こう、と自分にお話している人間の精神は例外なく乱れていて、今のわたしもそれに当てはまる。 傍らでは自転車によりかかり、幽霊がすやすやと寝ている。その安らかな寝顔は心底忌々しい。 一時間前までは、まさかこんなことになろうと思っていなかった。 忍び足と鋭い勘があれば、宮殿の隙をついてこっそりと帰還を果たすことは容易い。幽霊の手を... -
気さくな王女-15
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 祝い事というものは人の心を浮き立たせ、緩ませる。 こういう時こそ上に立つ人間が引き締めてやらなきゃいけないんだけど、一番えらい爺さんが誰よりもはしゃいでいるものだから始末が悪い。 町をあげての盛大な歓迎で王女一行――ただし偽者――を出迎え、どこもかしこもお祭り騒ぎ、飲めや歌えやでドンチャンやっている。 さすがに屋敷の中にまで飲んでる人間はいなかったけど、油断しているという点では平民どもと何一つ変わらない。 その油断は疲労や多忙から来るものが多いようで、どいつもこいつも景気の悪い顔でせわしなく歩き回っている。 闇から闇、影から影に移動し、幽霊とともに荷馬車の底に張り付いて屋敷内に侵入。自転車は茂みの中に隠しておく。 召使が起居していると思しき部屋の鍵をこじ開け、仕事着を一着拝借。サイズの都合上幽霊は... -
気さくな王女-9
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ 日常が変化した。 わたしの有能さを恐れた父の命によって閑職にまわされ、生来持っていた力を発揮する場に恵まれず、不遇をかこち、退屈に殺されそうだった日常が大きく変わった。 鬼畜道とはある意味帝王学に通じている。 ある一事のため、全てを知り、全てを学ぶことが必要とされている。 ただしその「全て」とは、帝王学が指す「全て」と比べてもはるかに広く大きい。 下賎なもの、胡乱なものとして帝王学が切り捨てた全てを拾い上げ、帝王学そのものを包括する美学、哲学として鬼畜道は存在していた。 日々を無為に過ごしてきたわたしにとって、それがどれだけ魅力的に見えたことか。 何よりも上達――こういう言い方でいいのかしら?――の速さが気に入った。学べば学んだだけそれが身につくって、これほど楽しいことだったのね。人形娘の次く... -
気さくな王女-11
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ あれだけ誠心誠意説得してやったのにも関わらず、シルフィの馬鹿は服を着るのが嫌だとごねていた。 ま、そんな頑固者も「シルフィちゃんが服を着ないとシャルロットちゃんが恥ずかしいよ」の一言で折れたわけだけどね。 役立たず役立たずと罵ってきたけど、幽霊もたまには役に立つのね。 どんな愚物も役に立たせてみせるのが王女の王女たる所以ってところかしら。ほほほ。 「お姉ちゃんお姉ちゃん」 「スカートの裾を引っ張るんじゃない! ……なによ?」 「お店のおじさんがこっち見てるけど。気づかれちゃったかな?」 「かもしれないわね」 しょせんは裸をマントでくるんだだけの状態だもの。 ちょっと動くだけで見苦しいものがちらちらと見えるし、動かなくても露出の度が過ぎている。 幽霊とわたしと自転車で挟み込むようにして通りの隅をこ... -
気さくな王女-18
前ページ / 気さくな王女 / 次ページ フウリンとかいうガラスのベルがチリンチリンと小うるさい。 許可なく窓から押し入ってきた涼風が、部屋の中にこもっていた臭気を洗い流す。 幽霊が、町外れから掘り起こしてきた捻り花で鉢植えをこさえている。 わたしは肌着一枚で寝台の上に寝そべっていた。夏ばてとは縁遠く、無尽蔵の体力と精力を誇る鬼畜者とはいえ、長期間にわたる大労働の後では疲れも残る。 ため息が出た。最近本当にろくなことがない。 怨敵スキルニルを打倒し、王女の座を勝ち取ってから一ヶ月。 その間ただ遊びほうけていたなんてことはもちろんなく、本職も裸足で逃げる集中力で新しい杖を作り上げた。 装飾性を極力廃し、それでいながら実用性一辺倒というわけでもない。造りではなく素材と使いやすさに凝っている。 最高級の黒檀を使った王女にしか許されない一... -
お絵描き掲示板/お絵かき掲示板ログ/125
『愛しのシェフィ』支援!『気さくな王女』や『姫と龍』以来の感動作にいつも涙が出そうになりながら読んでいます!特にシェフィ(ハニ)の台詞を福井裕佳梨さんの声(脳内で)で読んでいる程、彼女が好きです!この絵を描いている時も福井裕佳梨さんの「未知なる場所へ」を聞きながら描きました。最期まで応援します!では、 -- : (2008-12-20 18 45 42) 支援絵、ありがとうございました! おかげさまでどうにか完結いたしました。感謝を込めてGJを…… -- シェフィの人 (2008-12-21 14 11 48) 愛しのシェフィーの作者と、この絵の作者に惜しみないGJを -- 773H (2008-12-21 18 00 10) 完結おめでとうございます。原作連載時読んでいて好きな作品だったで、この優しい結末はうれしかったです。 -- 名無しさん (2008-12-22... -
お絵描き掲示板/お絵かき掲示板ログ/161
ハッピーバレンタインデー!!!最近、妙にツボにくるエレノオールと狼のコルベールとウルフウッドが気に入ってます。では、 -- : (2009-02-14 23 47 04) ギュス様がアンディにしか見えねぇw カワイイけど、もうちょとスキマを詰めた方がいいかもだー -- 名無しさん (2009-02-15 00 40 50) キュルケはおかえしに精…じゃない、ホワイトチョコでもかけてもらうつもりですか? -- 名無しさん (2009-02-15 01 30 31) よ -- 名無しさん (2009-02-15 01 31 15) ジョゼフ?と一緒にいるキャラがわからない・・・ -- 名無しさん (2009-02-15 01 52 35) もういいからやめて -- 名無しさん (2009-02-15 01 54 23) なんだこのポップな世界は -- 名無... -
長編(完結)
長編(完結) 長編作品のうち、完結した作品のリストアップです。 ※話数順 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 話数 ゼロの黒魔道士 ファイナルファンタジー9 ビビ 全81+9+9話 ゼロのロリカード HELLSING アーカード(少女形態) 全64話+α ゼロの魔獣 魔獣戦線 天外真理阿 全38話 ゼロのアトリエ ヴィオラートのアトリエ ヴィオラート 全35話 薔薇乙女も使い魔 Rozen Maiden 桜田ジュンと真紅 全31話+α SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger ファイナルファンタジーⅧ スコール・レオンハート 全31話+α ゼロな提督 銀河英雄伝説 ヤン・ウェンリー 全31話 気さくな王女 鬼作 鬼作がパクった自転車+少女 全26話 ゴーストステップ・ゼロ トーキョーN◎VA D ヒュー・スペンサー 全25話 鮮... -
完結作品入場!!!
今までの完結作品がどんなのだったか知りたいかーーーーッ 「オーーーーーーーーーーーーーー!!!!」 完成じゃ、完成じゃみんな!! 2008年7月20日現在での、全《あのゼロ完結作品》の使い魔 入場!!! 誠くんは生きている!! 更なる研鑚を積み 人間狂気が甦った!!! 鮮血!! 桂言葉だァ――――!!! 日本ホラー小説大賞はすでに原作が受賞している!! 使い魔を買いに行こう 夜市だァ――――!!! 呼び出ししだい和みまくってやる!! 宇宙家族カールビンソン代表 おとーさんだァッ!!! 水の使い方なら私の泉がものを言う!! 水の使い魔 シタタッチュアー ミズ・シタターレ!!! 真の姉を知らしめたい!! 眼つきの悪い男 オーフェンだァ!!! 和みを全階級制覇する関西圏から三人同時の... -
お絵描き掲示板/お絵かき掲示板ログ/105
なんか色々召喚されたようです。 -- 黒鬼 (2008-11-14 13 55 55) す、すげーー -- 名無しさん (2008-11-14 14 13 15) 終わったwwww何もかもwwwww -- 名無しさん (2008-11-14 14 20 06) なんまいだ~なんまいだ~なんまいだぶつ -- : (2008-11-14 14 34 34) ジャンガがいれば完璧だった・・・ -- 名無しさん (2008-11-14 14 43 15) サイト犬椅子で背後にご立派だと………? ワルドの人生=死亡フラグか -- 負け犬 (2008-11-14 15 54 59) 消された…だと…? -- 名無しさん (2008-11-14 17 03 11) ・・・・・・・・名前くらいは覚えておいてほしいてかセリフなさそうだよ -- 名無しさん (20... -
長編(五十音順)-02
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『全イザベラ様入場』
『全イザベラ様入場』 臨獣拳は生きていた!! 更なる研鑽を積み真のメイジ殺しがハルケギニアに蘇った!! マッシブ肉体派王女!! 凶鳥だァ――――!!! 伊頭家の鬼畜道はすでに私が完成している!! カレー大好き! 気さくな使い魔だァ――――!!! 薬の効果によるデレの破壊力ならNo.1!! グレン様大好き! 煉獄の虚神だァッ!!! しっとりとした雰囲気ならツンが消えたイザベラ様が物を言う!! 八郎とのハートフル昔話! 姫と龍!!! 真の憎悪を知らしめたい!! ガリアの女王 マジシャンザルイズだァ!!! 痛々しくも可愛らしいが完璧ジョゼフに食われているぞ!! 魔法少女イザベラちゃん ゼロの看板に偽り有り!!! カステルモール大好き!! 男前度最高!! ゼロのガンパレードだ!!! シルフィに愛のアイアンクロー!! ... -
長編(話数順)-03
長編(ページ数順15P~) ※総ページ数をカウント(例:第○話が前後編なら2ページ分、外伝や幕間も加算) 長編(話数順01~04P)へ 長編(話数順05~14P)へ 80P~ 60~79P 50~59P 40~49P 35~39P 30~34P 25~29P 20~24P 15~19P 80P~ 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 マジシャン ザ ルイズ Magic the Gathering(マジック・ザ・ギャザリング) ウルザ 2010-11-06 23 52 26 (Sat) ソーサリー・ゼロ ゲームブック「ソーサリー」 主人公「君」 2014-01-14 22 18 54 (Tue) ウルトラ5番目の使い魔 ウルトラマンシリーズ ウルトラマンA 2020-08-13 22 58 15 (Thu) ゼロの黒魔道士 ファイナルファンタジー9 ... -
お絵描き掲示板/お絵かき掲示板ログ/98
これからどうなるか、ドキが胸胸します。応援!! -- へたれ (2008-10-06 22 52 45) 新しい絵がまた登場した。けっこういいです。 -- 名無しさん (2008-10-07 00 06 28) ほう……。これはこれは -- 名無しさん (2008-10-07 00 54 46) またまた一枚追加!?相変わらず綺麗な絵で、しかも内容が俺のお気に入りの三人で嬉しさ大爆発♪にしても…これで何枚目だ?6枚位か?こんなに絵を描いてもらったキャラは他に居るのかな?外道のくせになんて人気者だジャンガ!…まぁ、俺も大好きだからこそ彼を呼んだんだけどな(笑)この絵を励みに更なる精進をします! -- 毒の爪の人 (2008-10-07 01 10 42) 鼻と尻尾がないジョーカーは万能キャラだ。初代リメイクktkr。ジャンガはクロノアでもガディウスと並んで異質なキャラ... -
お絵描き掲示板/お絵かき掲示板ログ/174
一部の完結とイザベラ様 -- 腋毛 (2009-03-11 23 31 30) 沙耶かわいいよ沙耶 -- 名無しさん (2009-03-11 23 55 26) なんでだろう?気さくなイザベラ様と少女のところを見ているとジ~~~ンッとくるのは?腋毛さん、あなた、鬼作の裏ルートが分かっているよ!そして、お見事!!! -- : (2009-03-11 23 59 03) ご立派!な集合絵ですね。 -- 名無しさん (2009-03-12 00 25 05) SUGEEEEEE!! -- 名無しさん (2009-03-12 01 16 15) ……俺は? -- 自転車 (2009-03-12 09 31 39) ↑心の歯車ですよ -- 腋毛 (2009-03-12 09 50 06) どのメンツの中でもマーラ様は存在感あるなぁー -- 名無しさん (... -
ゼロの夢幻竜-22
前ページ次ページゼロの夢幻竜 魔法学院に続く街道を四頭立ての壮麗な馬車が進む。 金銀白金で作られた美しいレリーフ、そしてあちこちに描かれている一角獣と水晶杖が組み合わさった紋章はその馬車が王家の、それも王女が乗っている馬車である事を示していた。 周囲には男性貴族諸君の憧れでもある王室直属の魔法衛士隊によって厳重な警備がなされており、平民一人、蟻一匹も通さぬ空気を出していた。 引いている馬もただの馬ではなく一角獣である。 純潔の象徴であるそれは王女が乗る馬車を引くのに相応しいものと言えよう。 だが、その馬車に続くもう一台の馬車はそれよりもっと立派だった。 乗っているのは、先王亡き後国の政治を一手に握ってきたマザリーニ枢機卿。 それらがある意味で、この国がどういった仕組みで成り立っているのか顕著に表す物となっていた。 平民達は馬車が自分達の近くを通る度に歓呼の声を... -
一覧テスト02
長編(五十音順:’07/10以降更新) ※召喚される側の原作作品のあいうえお順となっております あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 その他 あ行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 サーヴァント・ARMS ARMS 高槻涼、神宮隼人、巴武士 2010-10-10 12 25 51 (Sun) ゼロのアルケミスト アクエリアン・エイジ クラリス・パラケルスス 2009-10-11 16 26 48 (Sun) 使い魔くん千年王国 悪魔くん 松下一郎 2009-10-11 16 33 42 (Sun) 零の謳姫 アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩 ジャクリ 2009-10-11 17 11 51 (Sun) 夜明けの使い魔 異界戦記カオスフレア 宇宙... -
るいずととら第二章-3
>>back >>next 魔法学院の正門をくぐり王女の一行が現れると、生徒たちはいっせいに杖を掲げた。 学院長のオスマン氏が王女の一行を迎える。 「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおな――り――ッ!」 先に降りた枢機卿に手を取られ、王女が降りてくると、生徒たちから歓声が上がった。王女がにっこりと笑って優雅に手を振る。 「どう? とら、おお王女さま素敵でしょ? ああ、あんなに素敵な王女さまに、しし失礼なんてできないわよね? ね、お願いだから降りて。頭から。降りて。ししし、失礼にあたるから、王女さまに」 ルイズは自分の頭の上に乗るとらに向かって震える声で繰り返す。とらはそんなルイズの切なる願いにも無関心に、アンリエッタ王女を眺めていた。 「くっくっく……どうもいけねぇな……陰の気があるぜ、あの王女とやらよ」 ... -
『使い魔くん千年王国』 第十七章 王女行幸
前のページへ / 一覧へ戻る / 次のページへ マツシタを召喚してから、1ヶ月にもなるだろうか。もう初夏だ。 『土くれのフーケ』を逮捕してから、とりたてて大事件はないのだが…。 国際ニュースでは、アルビオン王国で国王派が貴族派に追い詰められ、王城が陥落寸前だとか。 なんだか時間の流れがすっごく早いような、遅いような感じがする。9割がたこいつのせいよ。 簡単なコモンマジックは使えるし、わけのわからない先住魔法も使える、この変な『使い魔』のせい。 布教活動を自重してからは、なんだか小汚いホウキやガラス壜を弄くっているけど…。 「おお、やっとできた。あとはこれを量産化すればいいな」 「なにそれ? ただのホウキじゃない」 「『魔女のホウキ』だ。これに跨ると平民でも空を飛べる。まだ『飛翔』の使えない御主人様もどうだ? ベラドンナ... -
お絵描き掲示板/お絵かき掲示板ログ/114
ルイズさんの優しさは五臓六腑に染み渡るで。 -- 黒鬼 (2008-11-21 03 32 43) ハゲワロタwww -- 名無しさん (2008-11-21 04 18 16) バージルとダンテは? -- 名無し (2008-11-21 05 24 26) シエスタも極限流だったりするんだろうなぁ -- 名無しさん (2008-11-21 06 48 12) ssの多さに改めてゼロ使への愛の多さを知った -- 名無しさん (2008-11-21 07 25 27) 実力者ばかりだなw。黒鬼様!ありがとうございました!!! -- 名無しさん (2008-11-21 07 31 16) 絵師様ありがとうございますwwwwwwwwwwそしてワルドさようならwwwwwwwww -- 名無しさん (2008-11-21 08 36 28) チーーーーーー... -
虚無と賢女-07
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ ルイズはベッドの上でぱちりと目を覚ました。窓の外には二つの月が光り、室内を煌々と照らしていた。 「……」 ルイズは目を擦りながら上半身を起こすと、ベッドの脇の台に置いてある水差しとコップを手に取って水を一口飲んで喉の渇きを潤し、物憂い気味なため息をついた。 「どうしたね、娘っ子?」 壁際に立てかけられたデルフリンガーが、そんなルイズの様子に気付いて声をかけた。 「五月蝿いわね、ボロ剣。……静かにしてなさいよ」 気だるそうに答えると、エレアノールの方を見て様子を伺う。ベッドに横たわる彼女は穏やかな寝息を立てており、目を覚ます様子はなかった。ルイズはホッと安堵のため息をつく。 「そりゃ、静かにしてろと言うなら静かにしてるけどよ。でもよぉ、寝起き悪い娘っ子がこんな時間にはっ... -
ゼロのアトリエ-20
前ページ次ページゼロのアトリエ ラ・ロシェールを挟む峡谷の上。険しい岩山のわずかな平地に人影がある。 フーケが、大の字になって倒れていた。 「あの女どころか…あんなガキどもにまでやられちまったよ!くそっ!」 もはや満身創痍、体中傷だらけではあるが致命傷は一つも食らっていない。 飛ばされている途中に『フライ』をかけて『アイス・ストーム』の向かう方向へ飛んだ。 簡単に言ってしまえば、死んだフリをしてやり過ごしたのだ。 「私にトライアングル二人の足止めさせといて、自分は愛しいルイズ様の騎士役だって?ハッ!」 あの女とガキどもは当然として、あまりに自己中心的な仮面の男に対しても怒りがこみ上げてくる。 仮面の男に限らず、組織そのものがフーケには肌に合わなかった。 フーケは自己の判断で自分の気に入らない貴族を襲ってきたし、それを変えるつもりも無かったの... -
モンハンで書いてみよう 砦蟹編
私ことマザリーニ枢機卿は目の前に降臨するその物体に反応を返すことが出来なかった。 出来る事があるとすれば数日前に自分がした進言を撤回したいと思った事くらいである。 進言の内容は『アンリエッタ王女の使い魔召喚の儀式の実施』。 これは構想中のゲルマニアとの同盟や、アルビオンでの貴族共の反乱を睨んだ示威行動。 ドラゴン等の上級使い魔を殿下が召喚してくれれば、嫁がせる時の価値が少しでも高くつくと思ったからだ。 勘違いしないで貰いたいが、私は常にトリステインの事を考えて行動している。 普通の使い魔でも異国に旅立つ殿下の心の支えになるやも知れないと言う思いもあった。 「使い魔を持つのは子供の頃から憧れだったんですの」 殿下もこの進言に同意して頂き、王宮から程近い広い草原で行事の一つとして行われる運びとなった。 だが余り大きく宣伝してカエルか何かだったら物... -
ゼロの女帝-20
前ページ次ページゼロの女帝 「はい、『第二回ルイズちゃんの使い魔を召喚してみよう大会』ー どんどんぱふぱふー」 「・・・・・・・・一応試みに聞くのですがね、マダム・セト」 思わず頭を抱えるあたしに代わってギーシュが質問してくれる。 「なーに、ギーシュちゃん」 「なぜに突然そのような事をされるのか、宜しければ説明していただけますか?」 「ええ、いいわよ」 と、どこからともなく白い板と妙なペン(らしきもの)を取り出す。 白衣と妙に細くてキツい眼鏡は常識とのことだ。 「まずは現状ね」 きゅっきゅっきゅーとペン(らしきもの)にインクもつけず白い板になにやら書き始めるセト。 「あたしたちは無事アルビオンから帰還。 アルビオンの王党派はロンディニウムを守りきり、結果幾人もの貴族が王党派に帰順」 「恥知らずなことよね」 「そん... -
異世界BASARA-20
前ページ次ページ異世界BASARA 大食い大会は幕を閉じた、結果は…1枚差でタバサの逆転勝ち。 賞金はタバサの元に渡った。 その賞金を持って彼女が向かったのは、街の本屋だった。 「ありがとうございましたー!」 店員の声を背に受けながら、タバサが沢山の本を抱えて出てくる。 店の外ではキュルケと利家が待っていた。 「どう?お目当ては見つかった?」。 キュルケの問いにタバサはコクリと頷く。 「でも、それ持って帰れるの?馬に乗れないんじゃない?」 両手で本を抱えているタバサを見てキュルケは言った。 確かにこのままでは馬に乗る事は出来ないが、タバサは表情1つ変えない。 「大丈夫」 タバサがこう言うのだから心配はないだろう… さて…これからどうしようか…キュルケは考える。 大会は終わったがまだ時間はあるし、何処か店を覗い... -
いらない王女
こんにちは。 今日、お話するお話は「いらない王女」というお話です。 昔、昔、ハルケギニアという魔法の世界にガリアという国がありました。 そのガリアにはいっつも、怒ってばかりの王女様がいました。 王女様の名前はイザベラ。魔法が苦手なのでみんなからバカにされていました。 しかも、従姉妹のシャルロットが魔法が得意だったこともあり、イザベラはますます怒りぽっくなっていったのでした。 そんなある日、暇だったのでイザベラは使い魔を召還することにしました。 使い魔を召還することを「コンラクト・サーヴァント」と言い、それはとても神聖な儀式で一度、コントラクト・サーヴァントを交わしたメイジと使い魔は、死によってしか離れられぬ、と言われている程なのです。 しかし、イザベラが召還したのはなんと仮面を被った道化師だったのです。 これに怒ったイザベラは召還した道化師に... -
いぬかみっな使い魔-20
前ページ次ページいぬかみっな使い魔 いぬかみっな使い魔 第20話(実質19話) 船乗りは上陸が最大の娯楽である。 巨大な戦列艦も、性能を考えた設計をすれば、大砲や砲弾を積むスペースや 舷側の厚い装甲板、竜などの飛行幻獣を搭載するスペースや重量に 大部分を持っていかれてしまうため、戦闘能力に直接かかわらない人間の 搭載スペースがどうしても削られてしまう。いや、削らざるを得ない。 そのため食堂は手狭で風呂も無く、船員の寝室は狭い。いや、狭いとはいえ 寝室をもらえるのであればかなりましなほうだ。下士官の下、士官見習いが 数人押し込まれる狭くてベッドしかないような部屋ですら、かなり上等だ。 水兵ともなれば特定の寝室は存在せず、廊下や倉庫などにハンモックを吊るして そこで寝る事になる。下士官が数時間の間だけ使わないなと判断し... -
虚無の王-29
前ページ次ページ虚無の王 「久しぶりだねえ」 「大丈夫だったかい?」 「一体、何が起きたんだい?」 「心配していたんだよ」 夜の部屋に、気遣いの言葉が転び落ちた。 本心では無かった。 本当に優しい性根による物ならば、言葉の度に、ベッドの上で跳ね上がる柳の腰を、どう説明すればいいだろう。 幼い肢体から、灼けた吐息と蒸気が浮いた。 しなる杖先が、硬さを残した体に不可視の傷を刻んでいた。 神経弾。非殺傷とは言え、慈悲深さとは無縁の水魔法だ。 対象の神経に直接作用、激痛と快楽を交互にねじ込み、その精神を掻き毟る。 蒼いドレスの上で、弧月の歯並びが釣り上がった。 イザベラは自身の創意と嗜虐心から生まれたオリジナルスペルを大層気に入っている。 この小さな魔法は、少ない精神力の損耗で、いつまでもいつまでも相手を嬲... - @wiki全体から「気さくな王女-20」で調べる