あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「魔法少女リリカルルイズ25」で検索した結果
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魔法少女リリカルルイズ
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魔法少女リリカルルイズ25
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ ゴーレムの肩に乗るフーケはいつになく高揚していた。 ロングビルと名乗り、秘書を続けて、おまけにオスマンのあの行為に我慢してまで調査を続けた成果がこれから出るのだ。 それに今日はいつになく魔力が充実している。 それは気のせいかもしれないが、心躍らずにはいられない。 ジュエルシードは脈動するように明滅を始める。 明滅とともに魔力が少しずつ湧き出していく。 魔力は宝を願う者のためにゴーレムの中に広がっていく。 それはジュエルシードの力の正しい現れ方でもあった。 巨大なゴーレムの腕が宝物庫の壁にめがけて振り下ろされた。 その壁は強固なはずであった。 建築に使われた材料、技術、そして固定化の魔法。 いずれをとってもこれ以上の物はハルケギニア中を探してもそうはない。 その壁がいともたや... -
魔法少女リリカルルイズ20
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ トリステイン城下町で男は目を冷ました。 男は何故ここで気を失っていたのかを思い出そうとする。 たしか路地裏で衛士どもに追い詰められていたはずだ。 その後、目くらましにするつもりで掴んだ植木鉢から青い光が溢れて……その後はよく覚えていない。 だいたい、ここは路地裏ですらない。地面が剥き出しとなった広場ではないか。 辺りを見回せばこの広場は意図的に作られたものではないことがわかる。 瓦礫の中、この場所だけが不自然に開けているのだ。 城下町にはこんな廃墟のような場所はなかったはず。 男は軽い頭痛に悩まされながらも考え続けるが、路地裏にいた自分が何故こんな所にいるのかどうしても思い出せなかった。 この場所には城下町を破壊する原因となった巨木が生えていたのだが、気を失っていた男はそんなことはもちろん知らない。 「おお、こんな所... -
魔法少女リリカルルイズ26
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 砲撃魔法ディバインバスターはいつまでも撃ち続けられるような魔法ではない。 短距離走にも似て、砲撃時間は長くはない。 その限界時間まで撃ち終えたルイズは、レイジングハートを上に向けて顔をしかめた。 「ルイズ?」 「駄目。届いてない」 暴走したギーシュのゴーレムを撃破したとき、城下町で暴れる木を撃ち抜いたとき、どちらもジュエルシードをつかんだ、という手応えがあった。 だが今は限界まで撃ち続けてもその手応えがない。 魔力がジュエルシードまで届いてないのだ。 「なら、もう一回!」 再び魔力を溜め直せばディバインバスターは撃てる。 ルイズは今度こそと再びレイジングハートを構える。 そのとき、またルイズは閃光を感じた。 ジュエルシードの力が高まっているのだ。 その証拠にむき出しのジュエルシードが輝... -
魔法少女リリカルルイズ03
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 黒い獣が体を起こす。 起こしただけではない。体を膨張させて大きくなり、姿も凶悪に、逆立つ体毛の間からは触手がいくつも生えている。 獣が跳びあがった。 ルイズめがけて落ちてくる。 「きゃっ」 杖を獣に突き出す。 それは反射的な行動であり、何か考えがあったわけではなかった。 「protection.」 杖からの異国の言葉が聞こえた。 喋る杖の先からは光が壁のように広がり、獣を阻む。 雷のような音がルイズの耳を叩いた。 光の壁に抗う獣はもがきながら光の壁に爪を立て、爪を食い込ませていった。 「こ……のぉっ」 ルイズ派杖を振り下ろし、壁にしがみついた獣を振り落とそうとした。 だが振り下ろしきる前に獣は壁を蹴って飛び退き、猫のように回転しながら着地。 間をおかずに正面からルイズに突進してきた。... -
魔法少女リリカルルイズ27
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ ゴーレムの右腕から音を立てて火矢が飛び出す。 ねらいはシルフィード。それに、その背中に乗っているタバサ、キュルケ、ルイズ、ユーノの4人。 「少し右」 きゅい。 シルフィードは体を少し傾けて、火矢がうまく追ってこられるように進路を変えてやった。 「ねえ、タバサ。この方法、やっぱり無理があるわよ」 キュルケは風にばたつく髪を押さえている。 「大丈夫」 「でもね、あの火矢をおびき寄せてゴーレムに当てるなんて無理がありすぎるわ。フレイム・ボールも敵を追いかけるけど、使ったメイジに当てるなんてできないのよ」 「フレイム・ボールとは違う」 タバサは横目で火矢が地面をえぐった後を見る。 「追いかけるという性能では、火矢はフレイム・ボールよりずっと下。だからできる」 「それはよくても……タバサ... -
魔法少女リリカルルイズ28
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 空から落ちる爆音にさらされながらコルベールも会場に残っていた。 アンリエッタ王女から避難命令は出ていたが、そこには彼の目を奪うものがあった。 それは魔法の鎖と盾を操る空から降りてきた少年の左手に光るルーン。 「あれは、確かガンダールヴのルーン?」 少し遠目だが間違いない。 「しかしガンダールヴのルーンを持つのはミス・ヴァリエールの使い魔のはずでは?」 コルベールの思索は息とともに止められた。 「ぐえ」 ヒキガエルのような声を出す。 後ろ襟が誰かに引かれて服が喉に食い込んだ。 「なにやってるんですか。危ないですよ!」 「ちょ、ちょっとまって。ぐぇええ」 どこかの女性がコルベールを引っ張っている。 誰かと思い首を回そうとしたが。 「え?」 髪を捕まれた。 「ま、ま、ま、待ちなさ... -
魔法少女リリカルルイズ01
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 子供が森を走っていた。 男の子だ。 たぶん学院の周りにある森のどこか。 秘薬の授業で行った覚えがある。 走って走って走って走る。 息を切らせた男の子が立ち止まる。 よく見ると腕から血を流している。 怪我をしているようだ。 男の子は周りを見回す。 なにかを探しているのだろうか。 動きが止まる。 なにかを見つけたのだろうか。 男の子は突然赤く丸い宝石を持ち、手を伸ばす。 溢れる光が魔法陣を作りだす。 今度は男の子が見ている方から音がした。 なにかは解らない。 2つの目だけがぎらぎら光る獣のようなもの。 それが男の子に向かい突進してくる。 危ない、と思った。 でも少年は動かない。 かわりに呪文の詠唱を始める。 「たえなる響き 光となれ 許されざる者を 封印の輪に」 獣が男の子に飛びかかる... -
魔法少女リリカルルイズ17
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ トリステインの城下町についたキュルケはタバサをつれて、まず駅に走った。 案の定、タバサの使い魔のシルフィードが見つけていた学院の馬がいた。 城下町に入ってからはシルフィードはルイズ達を見失っている。 壁と人混みに紛れてしまった、とタバサが言っていた。 駅の警備の衛兵に、この馬に乗ってきた学院の生徒はどこに行ったかと聞いてみると、大通りの方に歩いて行ったと答えが返ってきた。 というわけで、今は大通りを歩きながらルイズを探している。 大通りには綺麗な店が多い。 値段は高いが学院の生徒が遊ぶにはちょうどいいところだ。 適当な店に入って値切り交渉を楽しむのもいいが、今日はパス。 お上りさんみたいになるが、あちこちきょろきょろしながらルイズを探していた。 前をあまり見ていなかったので時々人にぶつかりそうになったが、その度にタバ... -
魔法少女リリカルルイズ18
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 瓦礫の中ユーノは空を見上げる。 白い雲がだぶって見えた。 頭を振るとようやく視界が元に戻る。 「ルイズは?」 いた。 蔓がさらに巻き付き、2階建ての建物より高く持ち上げられていた。 (ルイズ、魔法を使って) 念話を使う。 もがくルイズからの応答は少し時間がかかった。 (無理よ。集中できないわ。きゃっ) ルイズが魔法を使うには集中と呪文が必要になる。 まだ即座に使用できるほどの技術を身につけてはいない。 なら…… 「僕が助けないと」 ユーノは再び空へ飛ぶ。 また地面を掘り起こして根が無数に伸びた。 それらは寄り集まり、壁のようになってそびえ、ユーノの行く手を遮った。 「うわあっ」 突如出現した壁にぶつかりそうになったユーノは慌てて止まる。 すると、壁になった木の根は新たに枝分かれを始めた。 枝は鞭と... -
魔法少女リリカルルイズ23
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 次の日の朝、品評会二日前まで話は進む。 その日のロングビルは朝から大忙しであった。 もしかしたら学院の誰よりも忙しかったかもしれない。 明日には王宮からの来賓がある。 そういった、やんごとなきお方を迎えるとなると準備もただごとではない。 晩餐会の手配。宿泊場所の手配。院内の清掃。品評会での貴賓席の準備。 さらには、そういったお方は大勢お付きの者を従えて来る。 そちらの方にも様々なものを用意しておかなければならない。 それらを担当しているのはコルベールではあるが、実際には授業もある彼に代わって学院長秘書のロングビルが細々としたことを行っていた。 今も学院長にいくつかの事項について説明をしているところだ。 学院長は神妙な顔でロングビルの言葉を一言たりとも聞き逃さぬようにしているように見える。 だが... -
魔法少女リリカルルイズ22
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ ドアがかちゃりと鍵が開ける音を立てた。 次にデルフリンガーに何をやらせるか考えていたルイズも、自分のありのままの姿に喜びを見いだしたデルフリンガーも、2人を仲裁しようとしていたユーノも一斉にドアに注目する。 鍵は内側からかけているので、外から開けるにはアンロックを使わなければならない。 そして、そんなことをするのはこの学院ではただ1人しかいない。 3人はお互いにそれぞれの姿を見る。 ルイズはネグリジェ。問題はない。 ユーノはフェレット。問題はない。 デルフリンガーは通常サイズ。問題はない。 互いに確認し合った3人はうなずいて全員問題ないことを伝え合う。 デルフリンガーがどうやってうなずいたかは謎だ。 確認完了と同時に扉が一気に開けられた。 「こんばんわ、ルイズ」 いつものように止める暇もな... -
魔法少女リリカルルイズ21
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 青い三日月と赤い満月が空にかかる夜に、顔をローブで隠した女が魔法学院の塔の屋根に降り立った。 女の名はフーケ。 土くれのフーケ。 今のトリステインでその名を知らぬ者を探す方が難しい名うての盗賊である。 そんな彼女が今狙わんとしているのは魔法学院の宝物庫だ。 その中には様々な、そして高価な宝が眠っているに違いない。「破壊の杖」と呼ばれるものには特に興味がある。 だが、それだけの宝が眠っているだけあって魔法学院の宝物庫は実に厳重だ。 綿密に調べてみたが隙がない。 扉にはロックの魔法。 壁や天井には固定化の魔法。 どちらも何人ものスクウェアのメイジ によって念入りにかけられたものである。 扉の鍵を入手しようとしたこともあった。 だが鍵を持っている学院長のオールドオスマンは普段は飄々としているのに... -
魔法少女リリカルルイズ02
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 空には2つの月と星。 机の上に置いた藁を敷き詰めた箱の中で怪我をしたフェレットが寝ていた。 ルイズは腕を枕に机に突っ伏して、そのフェレットを見ているた。 今日は本当に疲れた。 人間用の回復の秘薬は小動物には強すぎるので薄めないと使えない。 それを何回も何回も傷口に塗り続けている。 それでやっと治ってきた。 「ねえ、元気になってよね」 返事はない。 「早く名前くらいつけさせてよ。私はルイズって言うのよ。ご主人様の名前よ。しっかり覚えなさい」 やっぱり返事はない。 また指先に薬をつけて塗っていく。 「そうよね。まだコントラクト・サーヴァントもしてないんだものね」 だんだんまぶたが重くなる。 「手間の……かかる……使い魔ね……」 疲れ果てたルイズはそのまま夢の世界へ落ちるように旅立った。 ルイズが夢の世... -
魔法少女リリカルルイズ12
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ ゴーレムの打ち下ろす一撃をシールドで受けたユーノは片膝をついた。 その一撃は見た目よりは遙かに強力だ。 魔力のために単に腕を振り下ろしたときよりも何倍も威力を増している。 一方、ユーノの魔力は傷を治すために使っていたので余裕がない。 シールドもいつまでも待たない。 ゴーレムが両腕を組んで振り下ろしてきた。 それも防ぐ。 衝撃が治りきっていない傷に響いた。 今度はゴーレムが腕を横に振る。 建物が巻き込まれて崩れる。 ユーノはその中に、落ちる瓦礫を見上げるシエスタを見た。 シエスタはルイズを追いかけていたが途中で見失ってしまった。 仕方なく探していたらヴェストリの広場まで来てしまった。 大きな音がしたので来たらゴーレムが暴れていた。 ゴーレムが建物を崩壊させシエスタはそれに巻き... -
魔法少女リリカルルイズ09
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 時間はさかのぼり昨夜へ。 学院の片隅では一組の男と女が出会っていた。 「私、スフレを作るのが得意なんですのよ」 魔法の灯りの下で女は男に語りかける。 「それは、是非食べてみたいな」 ギーシュは少し顔を傾ける。 この角度が一番かっこいい。 と、本人は確信している。 「え、本当ですか?」 恋する乙女は幻覚を見る。 ケティにはギーシュの周りに自分たちを祝福する星が見えた。 「もちろんだともケティ。君の瞳にウソはつかないよ」 「ギーシュさまぁ」 「君への思いに裏表など有りはしないよ」 恋する乙女は盲目である。 ケティの目には嘘も裏も見えていない。 だが、盲目故に幸せでもある。 ケティとの楽しい一時を過ごしたギーシュはモンモランシーの部屋への道を歩いていた。 次の楽し... -
魔法少女リリカルルイズ13
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの朝は早い。 というか早くなってしまった。 他の学院生徒や職員より早く起きたルイズはユーノを肩に乗せてバリアジャケットを装着。 フライアーフィンを足下に光らせ、こっそり窓から飛び立つ。 学院周辺に広がる森の開けた場所の上を2、3回周り人がいないことを確認すると着地。 「今日はここで練習するわね」 肩から飛び降りたユーノが答える。 「うん。ちょっと待ってね」 ユーノは自然にできた広場にあるルイズの背よりも大きい岩に走り、拾っていた小石を3つ並べた。 「まずは魔力制御の練習だよ。ここに並べた石を魔法で1つずつ打ち落としていくんだ。たくさん魔力を使わなくてもいいからよく狙って」 「わかったわ」 ルイズはレンジングハートを構えて魔力を集中させる。 杖の先にある赤い球... -
魔法少女リリカルルイズ07
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 食事の間、ルイズは心配になってきた。 ユーノはちゃんと食べているだろうか。 出された物が本当はフェレットに食べられない物じゃないだろうか。 心配になったので確認することにした。 (ユーノ、ユーノ。ご飯、食べてる?) 念話で話しかける。 (あ、ルイズ。うん、食べてるよ。おいしいよ) ほっとする。 (だったら、食べ終わったら教室に来てね) (うん、わかったよ) どうやら心配はなかったようだ。 食事に戻ったルイズは、弟ができたらこんなのかも知れない、そんなことを考えていた。 厨房の片付けをしていたシエスタは小さい何かを叩く音を聞いた。 トントントントン音がする。 耳を澄ませるとやっと音の方向がわかった。 入り口のドアが叩かれている。 だけど少しおかしい。 扉は普通、胸の高さで叩く物だが、この音は膝の高... -
魔法少女リリカルルイズ29
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 始めに見たのは暗闇だった。 ──もう、夜? と思ったが、まぶたを閉じているだけだとすぐに気づいた。 目をつぶったまま寝る前のことを思い出す。 品評会で暴走したジュエルシードの力を受けたゴーレムが出てきて、それからそのゴーレムとキュルケやタバサと協力して闘って、それからスターライトブレイカーを使って…… 「あっ!」 思い出して目を開ける。 自分のベッドの天蓋が、それから窓の外には青い空が見えた。 「ジュエルシード!」 まだ、それが残っていたはず。 スターライトブレイカーでジュエルシードを掴んだところまでは覚えているが、その後どうなったか思い出せない。 ルイズは体を起こそうとした。 でも体が動かない。 ふわふわのベッドに手と足が沈むが、どうしても体が持ち上がらない。 おまけに体のあちこ... -
魔法少女リリカルルイズ19
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 空にとどまるユーノの眼の前に、木の枝で編まれた壁はもう無い。 その代わり地面には線を引いたように地面を掘り返した跡があった。 線に沿って倒壊した建物が痛々しくも見える。 「出てこねえな」 「きっと、ハエトリグサと同じだと思う」 ハエトリグサは感覚毛に獲物がさわると二枚の葉が閉じ、獲物を捕らえた後は再び葉を広げて次の獲物を待つ。 木の壁が何に反応しているのかはわからないが、もっと近づかなければ出てこないのだろう。 「迂回するか?」 ユーノは首を横に振る。 壁はかなり大きいし、他に壁があるかもしれない。 隠れた壁の場所はどこかもわからない。 それなら、すでに壁があると解っている場所を突破した方がやりやすい。 ――それに 「ルイズが保たないと思う」 視線の先には全身をくまなく蔓で覆われたルイズがいる。 上を向いて... -
魔法少女リリカルルイズ16
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ トリステイン城下町の細い路地の奥で男は痛む右手を押さえて壁にもたれかかった。 男の生業は間諜である。 トリステイン王家の醜聞に関わる証拠。 その奪取が男の任務だった。 醜聞が広まればトリステインの内情はいくらか不安定になる。 そうなれば男の祖国に有利に働く。 そのために男は城に忍び込んだ。 だが、その後がいけなかった。 桃色がかったブロンドを持つ女に不審をとがめられ、己の正体を暴露されてしまった。 その上、その女の一撃を右腕を受けてしまったのだ。 後は騒ぎを聞きつけた魔法衛士隊に捕まる前に逃げ出し、ここまで逃れてきたわけだ。 だが、それもいつまでもはもたない。 右腕から落ちる血が道しるべとなり、追っ手を導くことになる。 案の定、路地を走る音と声がする。 すぐに目の前に衛士どもが現れ... -
魔法少女リリカルルイズ36
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 窓から顔を半分だけ出したタバサは、階下をぐるり見渡した。 下にはたいまつがいくつか。 特に襲撃者が集まっている様子はない。 よく見ると襲撃者達の装備はまちまちだ。統一性という者に欠けている。 つまり、彼らは傭兵なのだろう。たまに山賊になるかも知れないが。 それのほとんどが正面に集まっているようだ。 「あれやって」 「あれ?」 タバサの最小限の説明がギーシュにはわからない。 わかるのは少し遅れて来たキュルケの方だ。 「あんたのワルキューレよ。人数が減ってるのがわかったら囮にならないでしょう」 「あ、ああ。そう言うことか。まかせたまえ」 ギーシュが杖を振ると、舞い落ちるのは赤い花びら2つ。 床に落ちた2枚は、わずかの間に2体の青銅像になった。 「これで本当にあの二人の代わりになるのかい... -
魔法少女リリカルルイズ06
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 食堂へ続く廊下を歩きながら、ルイズの横でキュルケはまだ笑い続けていた。 大声を上げて笑っているわけではないが、口を押さえても閉じても笑いがこぼれている。 「キュルケ、あなたいいかげんにしなさいよ」 「だって……ルイズ……かわいいって……くぷっ……ダメ、押さえられない」 よほどツボにはまったらしい。 足下ではフレイムが吹き出すキュルケに合わせて炎を吹いている。 「はぁ……」 とりあえず放っておくしかないようだ ルイズの肩に乗っているユーノもため息を吐くような仕草をしている。 廊下を半ばまで歩いたとき、後ろから声をかけられた。 「おはよう。ミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプストー」 「おはようございます。ミスタ・コルベール」 「おは……よ……くぷふふふっ」 またキュルケがこけたらかなわない... -
魔法少女リリカルルイズ05
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ まだ視線だけで部屋を物色するキュルケにルイズはため息をつく。 「で、キュルケ。あなた、人の部屋を探り回しに来たの?」 「そんなわけないじゃない」 キュルケはようやく元の目的を思い出す。 「召喚してすぐ使い魔が怪我してたって聞いて、これでも心配して来てあげたのよ」 言い終わったキュルケは、自分とルイズを交互に見ているフェレットのユーノに視線を合わせた。 「それがあなたの使い魔なわけね」 それに気付いたユーノもキュルケに視線を合わせる。 それは互いに見つめ合うというよりも、キュルケの視線にユーノが怯えて凍り付いているようだった。 「名前はもう付けたの?」 「ユーノ・スクライア」 「ユーノはわかるけど、スクライアってどこから出てきたのよ」 「いーでしょ」 「良いけど……ふーん、ユーノね……」 キュルケはさらにユーノ... -
魔法少女リリカルルイズ11
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 宙を舞う花びらは甲冑を着た女戦士の青銅のゴーレムとなる。 青い石は花びらの変形に巻き込まれ、女戦士の兜の額に配置された。 ギーシュはワルキューレの造形にはちょっと自信を持っていた。 それが今回はひときわうまくいっている。 このワルキューレの戦うところを見れないのは残念だが、モンモランシーの機嫌の方がよほど重大だ。 ギーシュはマントを翻してワルキューレをおいてモンモランシーを追った。 ワルキューレはここからギーシュがいなくなれば少しも立たないうちに動かなくなる。 このくらいならルイズ相手でも冗談ですむ。 2歩も駆け出さないうちに後ろからルイズの声がした。 「待ちなさいギーシュ」 「今度はなにかね?青い石のことならワルキューレと……」 「あなた、こんなの私にけしかける気なの?」 ギーシュは振り... -
魔法少女リリカルルイズ24
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 突然の訪問に立ちつくすルイズに、アンリエッタ王女は涙まで浮かべて頬を寄せた。 「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!」 「いけません、姫殿下!」 その声でルイズはようやく我に返り、自分の不敬に気づいた。 「こんな下賎な場所にお一人で」 ルイズはかしこまって膝をつく。 「そんな堅苦しい行儀はやめて、ルイズ・フランソワーズ。私たちはお友達じゃないの」 「もったいないお言葉です。姫様」 アンリエッタ王女は膝をつき、驚くルイズの両手を握った。 「ああ、ずっと会いたかった」 「姫殿下……」 「父上がなくなって以来、ずっと心を開いて話せる相手もいなかったの。それなのに、あなたにまでそんなよそよそしい態度をとられたら、私どうしたらいいか解らなくなってしまうわ」 「姫さま……」 「ほら、幼い頃、中庭... -
魔法少女リリカルルイズ15
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 今日は虚無の曜日。 ルイズは今日という日を待っていた。 どうしてもやりたいことがあるのだ。 朝の魔法の練習はいつもより気合いを入れる。 今日のためにはその方がいいからだ。 それが終わったら学院に戻って朝食を摂る。 少し少なめにしておいた。 特にデザートは絶対に摂らないようにしておく。 食事を終えて外に出たルイズは念話でユーノを呼ぶ。 (ユーノ。今日は出かけるわよ) (え?授業は?) (今日は虚無の曜日。だから授業はおやすみなのよ) (わかったよ。すぐ行く) 念話を切って早足で歩き出す。 部屋に戻って準備をしないといけない。 はやる心は抑えきれず、すたかーんすたかーんとスキップをしていた。 すぐ行く、とは言ったもののユーノが合流したのはルイズが準備をすませて寮から出た後だった。 こう言... -
魔法少女リリカルルイズ10
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ その日の午後の授業は使い魔とのコミュニケーションのために休講となっている。 学園の庭では二年生達は使い魔と思い思いに過ごしている。 その中でギーシュは自分の使い魔のジャイアントモールのヴェルダンデがいかに素晴らしいかをテーブルの向かいに座っているモンモランシーに熱く、そして暑苦しく語っていた。 知的な瞳だとか、官能的なさわり心地といったギーシュにしか解らないようなモグラの魅力を聞かされたモンモランシーはうんざりしていたが、 「君の使い魔もキュートなところが君にそっくりだよ」 などと言われると悪い気は全くしなかった。 「相変わらずお上手ね」 と、全部わかっているように言うのもギーシュの次のお世辞を引き出すためだ。 「僕は君の瞳には嘘はつけないよ」 定番の麗句を聞いたモンモランシーは気になることを思い出す... -
魔法少女リリカルルイズ44
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 大地は足下にあり盤石なもの。 それは浮遊大陸アルビオンにおいても変わらない。 この空に浮かぶ巨大な岩塊がなんの支えも無く浮いているにもかかわらず、それが落ちるなどと考えるものはハルケギニアのどこにもいない。 アルビオンを遠くから見た時には、それは浮いて当然のものとして見えた。 アルビオンを空から見下ろした時には大地に等しく不動のもとして見えた。 その上に立った時には、揺るぎないものとして感じた。 キュルケはそれらを特別意識していたわけではないが、常識、当たり前のものとしていた。 だが今はわずかに疑念を覚えている。 こうしてアルビオンを間近で下から見上げると、盤石さの根拠となる巨大さ、堅牢さが逆にいつ落ちやしないかという不安の根拠となってのしかかってくるようだ。 そのわずかの不安を胸に見上げる岩盤の向こうには、ニューカッ... -
魔法少女リリカルルイズ08
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 自分の部屋である学院長室でオールドオスマンはミスタ・コルベールの書いたルーンのスケッチを見ていた。 両の眉をよせ、髭をしごきながら唸っている。 「うーーーーむ」 大変真剣だ。 さっきまでミス・ロングビルに破廉恥な行いをした報復として激しい折檻を受けていた人物とは思えない。 そのミス・ロングビルは席を外してもらっているのでこの部屋にはいない。 この件は秘書に聞かせるには少し重大だ。 「ふむ、それでミスタ・コルベール。君はこのルーンからミス・ヴァリエールの使い魔を伝説の使い魔・ガンダールヴだというのかね?」 「はい、これに記された物と全く同じルーンです。間違いありません」 「ふーーーむ」 オールドオスマンは再び唸り声を上げる。 伝説の使い魔・ガンダールヴに付いての記述がある書物は極めて少ない。 ... -
魔法少女リリカルルイズ35
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 部屋の灯りは落とされ、泊まる客もすでにベッドの中で静かに寝ている。 そこに人影が一つ静かに、しかし淀みのない足取りで入ってきた。 影はベッドの中をのぞき込み、寝ている客の頬をそっと叩いた。 「ルイズ、ルイズ、起きるんだ」 「あら?」 影は寝ている女から手を引いてしまう。 聞こえた声が予想とは全然違うものだったからだ。 「あら、誰かと思ったらワルド子爵。どうして、こんな時間に?もしかして結婚前に婚約者じゃなくて私と?」 「ば、ば、ば、馬鹿なっ」 寝ていた女、キュルケの艶をたっぷり含んだ声を聞いたワルドはベッドから飛び退く。 キュルケはゆっくり起き上がりながら、杖を一振り。 ランプに火がつき、部屋の中が揺らめく炎に照らされる。 赤い光を受けたキュルケは高く上げてから足を組み、その上に肘をついてあごに手を当て、うるんだ... -
魔法少女リリカルルイズ14
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ ルイズの生活で変わったのは早朝の練習だけではない。 放課後も少し変わってしまった。 今までのように宿題に予習、復習をすませてしまった後はユーノが言うところのミッドチルダ式の魔法を使うために必要な勉強が待っている。 ユーノが先生になっての1対1の授業にルイズは1つの感想を持っていた。 「ユーノを甘く見てたわ」 ユーノは幼い見かけによらず先生としてはかなり厳しいのだ。 別に手をあげたり、怒鳴ったりするわけではないがとにかく手をゆるめない。 しかも 「学院でいつか勉強するんならいいんだけど、そうじゃないみたいだから」 と言って今まで聞いたこともないようなことまで勉強することになっていた。 「ユーノ、ここはこれでいいのね」 今日もユーノが口頭で伝えることを羊皮紙に書いていく。 ユーノが... -
魔法少女リリカルルイズ33
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 出発は次の日の朝早くだった。 朝靄にけぶる校門の前で、ルイズは右手にはめた指輪をじっと見ていた。 「母上にいただいた水のルビーです。今の私にはこれくらいしか報いる物がありません」 と言ってアンリエッタ王女がルイズに渡した物だ。 おそらくはとても大切な物なのだろう。 そこには、ルイズに対する信頼と期待が込められているに違いない。 「よし」 ルイズも決心を新たにする。 この任務を達成するためにはミッドチルダ式の魔法を含めた自分にできるあらゆる方法を使うつもりだ。 「よし……はいいんだけど」 やたら情けないギーシュの声が聞こえる。 これから出発だというのに、もう疲れ果てているあたりかなり情けない。 「なんで僕が君の馬の用意をしたり、荷物を持ったりしなければいけないんだい?」 「当たり前じゃない」 ルイズは腰に手を当... -
魔法少女リリカルルイズ32
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 放課後の図書室の奥まった誰からも見られないような場所で、ルイズはレポート作成に勤しんでいた。 「まったく。ミスタ・ギトー、こんな無茶な量を!」 こんな隅っこにルイズがいる理由はただ一つ。レイジングハートの機能を使っているからだ。他の生徒や先生には見せられない。 空間モニターを起動して、キーボードも展開。 その上で指を踊らせ、手書きでは不可能な速度でレポートを書いていく。 近頃は手元を見なくてもキーボードを的確に打てるようになったルイズであった。 大変便利な代物で手で書くよりもずっと早い。 「これがなかったら絶望的だったわ」 教室で爆発を起こしたルイズは、罰として風の魔法に関するレポートを明日までに提出することになった。 怒りまくるギトーが提示したその量はむちゃくちゃなもので、通常の数倍である。 し... -
魔法少女リリカルルイズ41
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 危険に対する感覚は人間よりも動物のほうがはるかに鋭敏なものを持つ。 それは他の動物よりも強靱な肉体を持つ竜でも例外ではない。むしろより優れているかも知れない。 騎手からの操縦が突如失われた風竜はすぐさまシルフィードの追跡をやめ、この危険を感じる空域から離れるべく進路を変えた。 そんな追跡者の事情など知る由もなかったが、飛び去っていく風竜の姿にキュルケはほっと胸をなで下ろした。 「やったわ!うわくいったわよ」 竜騎士は完全に自分達を見失ない、ふらふらと全く見当外れの方向に飛んでいる。 レコン・キスタに捕らえられる危機からは脱したのだ。 そう考えたキュルケはまだ前を見続けている親友を抱きしめた。 「ねえ、でしょ?タバサ」 こんな事をしても、この青い髪の下の表情を滅多に変えない親友が自分と同じように感情をあらわにするとは思っ... -
魔法少女リリカルルイズ42
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 色とりどりのドレス、煌びやかな飾り付け、かぐわしい香りの花、舌をとろかす料理。 ニューカッスル城のホールにはパーティに必要なものが全て揃っていた。 それなのにルイズはそこに華やかさよりも寂しさを感じていた。 「私と一曲躍っていただけませんか」 壁の花となっていたルイズの前にワルドが跪き、ダンスを求める。 「はい、ワルド様。お受けいたします」 受けはしたものの、それは貴族としての礼儀よりも、ワルドの慕う心よりも、体の芯に寒さを感じるような寂しさを紛らわすためだったかも知れない。 ホールの真ん中に出ると楽団が曲をダンスのためにものに変える。 ルイズはワルドの手を取ると習い覚えたステップを踏んだ。 ──ああ、そうか。 そうやってワルドにリードを任せているとルイズはだんだんと寂しさの理由がわかってきた。 ──寂しい、はずよ... -
魔法少女リリカルルイズ45
前ページ魔法少女リリカルルイズ ユーノはデルフリンガーを構えたまま、祭壇に向かう。 その目はルイズも見たこともないくらいに感情が濃く滲み出ていた。 その視線を受けてもなお平静を保つワルドもまた、抜いた杖を手に出口に向かう。 「なんで……」 ワルドはユーノとの距離を一歩ずつ詰めていく。 そのたびにルイズもまた、ユーノの側に行こうと後ずさった。 「なんでルイズを裏切ったんですか!ルイズを守るんじゃなかったんですか!」 「そんなことも言ったな。だが、嘘というわけでもない。僕の目的のためにルイズは必要だ。必ず守るよ」 「ルイズがそんなので納得すると思ってるんですか?」 たどり着くと、茶色いマントの小さな背中がルイズをかばった。 それを見たワルドは杖を構え、切っ先をユーノに向ける。 「納得できないかね?それでも私に任せた方がいい。君ではルイズを守ることはできない」... -
魔法少女リリカルルイズ31
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 土くれのフーケにとって、その訪問者は異常だった。 長身の黒マントだから?否、そんな者はどこにでもいる。 白い仮面で顔を隠しているから?否、そんな同業者はいくらでもいる。 夜中の訪問者だから?否、夜は盗賊たるフーケの時間だ。 それは、ここがチェルノボーグの監獄だからだ。 フーケはヴァリエールの屋敷で捕らえられた後、裁判のためにここに移送された。 そして今は裁判を待つ身である。 その間、ひどく退屈で牢番以外の誰かが来ない物かと思っていたが、まさか本当に警戒が極めて厳重なこの場所に非正規の訪問者があるとは思ってもいなかった。 もっともこの訪問者、まともでない上に油断ならない相手であることは間違いない。 ──私を殺しに来た刺客?あるいは…… 身構えるフーケにその訪問者は言った。 ハルケギニアを一つとし聖地を奪還するために我... -
魔法少女リリカルルイズ34
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ ここはラ・ロシェールにある金の酒樽亭。 ガラの悪い傭兵やならず者の集まる居酒屋である。 そこに駆け込んだ男も、この酒場の利用客の例に漏れず一目で堅気ではないとわかる男であった。 その男は酒場の隅で杯を傾けるフードを深くかぶった女の元に足を進める。 女があごをしゃくると、男は女の隣に座り、声を潜めて話を始めた。 「姐さん。奴ら、到着しましたぜ。お高く女神の杵亭に泊まるみたいです」 「へえ。ま、貴族が泊まるのはそこしかないだろうからね」 フードの隙間から見える顔は紛れもなく盗賊、土くれのフーケのものだ。 もっとも、この酒場にそんなことを気にする者はいないのだが。 フーケは白い仮面の男の手引きで脱獄した後、このラ・ロシェールに連れてこられた。 その後、ここで傭兵を集め待機していたのである。 実際この酒場にいるのはフーケが... -
魔法少女リリカルルイズ30
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ ある夜、トリステイン王国とその近郊で4つの事件が起きた。 平民から搾取をするメイジ、あるいはドラゴンなどの幻獣が突如気を失ったという事件である。 だが、この4つの事件を結びつける者は誰もいなかった。 それも当然で4つの事件が起こった場所はあまりにも離れていたし被害者にも共通点がなく、その上誰にも知られることなく終わったものもあったからである。 これは、その4つの事件の中の1つのあらましである。 深夜のヴァリエール公爵の屋敷。 そこに屋敷の庭に作られた花の迷路を駆ける土くれのフーケの姿があった。 なぜ彼女がヴァリエール領にいるか。 それは盗賊としての仕事のためである。 トリステイン魔法学院での盗みに訳もわからぬうちに失敗したフーケは学院に帰るに帰れなくなり、かねてから次の目標と定めていたヴァリエ... -
魔法少女リリカルルイズ04
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 光が顔に当たる感覚でフェレットは目がさめた。 まぶたを開けて首を動かし顔を上に上げると朝日が見えた。 今度は正面を見る。 するとジト目で睨みつけてくる巨大な人間の顔が見えた。 まあ、フェレットに比べればどの人間の顔も巨大なわけであるが。 「わああっ」 驚いて飛び起きるフェレットにルイズはやけに迫力のあるさわやかな挨拶をした。 「おはよう。よく寝てたわね」 フェレットが首をこくこくと何回も振る。 ルイズは動物の表情を見分けることなんでできないし、コントラクト・サーヴァントも使ってないからフェレットの仕草がなにを意味しているかは普通わからない。 でも、このときは何故かそのフェレットが人間であるように首を振る仕草が「はい」を意味しているのだとよくわかった。 「その……ルイズさん。ありがとう」 少し... -
魔法少女リリカルルイズ37
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ フーケは足下をゆっくり見回した。 身長30メイルのゴーレムの肩から見下ろせば、傭兵の動きはまさに手に取るようだ。 今、2つの大きな動きがあった。 1つは5人組。桟橋から離れる方向に傭兵達から逃げている。 もう一つは3人組。こちらは、1人が傭兵達を押しとどめて5人組とは逆に桟橋の方角へ走っている。 「ふぅん……」 ここからでは暗くてよく見えないが、両方とも魔法学院の制服を着た者がいるという。 それなら、どちらかが囮なのだろう。 どちらが囮か考えるまでもない。先に出た5人組の方だ。 「それなら」 フーケはゴーレムの足を3人組に向ける。 その後ろで風が起こった。 マントの裾が揺れ、人の気配を背中に感じる。 「あんたかい」 後ろにいるのは仮面の貴族。 フーケを脱獄させた男だ。 「あちらはいい。私が行こう」 男は... -
魔法少女リリカルルイズ43
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 朝露に濡れた草の緑は瑞々しく踏むと弾けた水滴がキラリと光った。 キュルケ達が出発を決めたのは、まだ太陽が昇ってからそれほど時間が経っていない、そんな朝だった。 「あの、もう行かれるんですか?」 昨日のうちに仲良くなったのだろうか。 羽を畳んだシルフィードが村の子供達と遊んでいる。 そんな中でシルフィードの背中に乗ろうとしているキュルケをティファニアが不安げに見上げていた。 「ええ、ちょっと急ぎの用事があるのよ」 「でも今は危ないと思うんです」 勝敗は既に決しているとはいえ今のアルビオンは戦争状態にある。 そんな場所を飛ぶのがどんなに危険か。 ティファニアはそう言いたいのだろう。 昨日レコン・キスタの竜騎士に追跡されたキュルケにはそれがよく分かった。 「だけどね、早く助けないといけないのがいるのよ」 「そう……で... -
魔法少女リリカルルイズ40
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 空を飛ぶ竜の背で感じる風は一時も休まることなく頬を叩き髪をなびかせる。 目に入りそうになった髪の一筋をかき上げたキュルケは指の間から見えるひときわ大きな雲の中におぼろげに光る何かを見つけた。 髪に当てた手をそのままに目をこらしていると、それは横に広がる輪郭を雲の中に映していき、なんの支えも無く宙に浮くその姿を見せていく。 「見つけたわ。あれ」 それこそがアルビオン。霧のベールをまとうが故に白の国とも呼ばれる浮遊大陸である。 その大陸にそびえる山に積もった万年雪が日の光を照り返し、まるで自らの内から発していたかのように輝いていたのだ。 キュルケが見たものと同じ光を見たタバサが、自らの使い魔である風竜の耳元で囁くと、それは翼を大きく羽ばたかせ首をアルビオンに向けた。 アルビオンの周りを囲む雲が後ろに流れるたびに、それまで淡い影... -
魔法少女リリカルルイズ38
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ キュルケは手の甲で頬をぬぐい顔を上げる。 その二つ名の微熱よりさらに熱い物を宿らせた目でゴーレムの肩から見下ろすフーケを睨んだ。 「あなた、ただじゃおかないわよ。覚悟しなさい」 「はっ、それはこっちの台詞だよ。すぐに後を追わせてやるさ」 フーケはゴーレムの腕をキュルケの頭上に上げる。 それが振り下ろされればキュルケの体がどうなるか。 「キュルケ!潰されてしまうじゃないか!逃げるんだ!勝てるわけがない!」 いつのまにか岩陰に隠れていたギーシュが叫ぶ。 「そういうわけにはいかないのよ!」 キュルケは呪文と共に杖を振る。 唱えた魔法はフレイム・ボール。 猛るキュルケの心が魔法の力を強めたのか、一度に数個の火球が生まれた。 「行けっ」 全ての火球に殺到されもフーケは動かない。 「馬鹿だね」... -
魔法少女リリカルルイズ39
前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 闇を閃光が切り裂いた。 仮面の男の杖がまさしく閃光のような鋭さでユーノの胸に迫る。 「デル・イル・ソル・ラ……」 ユーノの振り上げるデルフリンガーが仮面の男の杖とぶつかり、小さく火花を上げる。 デルフリンガーの剣先は天を向き、男の剣先も天を向く。 勢いのままにユーノは弾むように後ろに飛び退いた。 軽い男の杖の方が先に攻撃可能となる。ルーンの直感がそう教えてくれたからだ。 そして、その通りに男は風切る音を鳴らす杖を振り下ろした。 「ウィンデ」 それで男が唱えていた呪文が完成する。 杖先に突如現れた空気の固まりが槌となった。エアハンマーの魔法だ。 ユーノはさらにもう一歩飛び下がり、剣から離した左手を広げ前に突き出す。 「シールド!」 エアハンマーがシールドとぶつかる音が夜のラ・ロシェールに響く。 手をたたき合わせ... -
長編(五十音順)-07
ま行 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 真白なる使い魔 舞乙HiME 嵐 マシロ君 2009-10-11 14 03 12 (Sun) ゼロ・HiME 舞 HiME 運命系統樹 修羅 藤乃静留 2009-10-23 23 20 55 (Fri) ゼロの魔王伝 魔王伝 浪蘭幻十 2019-12-10 19 41 54 (Tue) 虚無界行 魔界行 南雲秋人 2010-11-06 23 41 31 (Sat) 超魔王(?)使い魔 魔界戦記ディスガイア ラハール 2007-07-21 17 35 48 (Sat) ゼロディス 魔界戦記ディスガイア エトナ 2008-10-21 13 53 59 (Tue) ゼロと魔王 魔界戦記ディスガイア ラハール(ファミ通文庫基準) 2012-03-21 17 05 30 (Wed) 使い魔はPSI能力者 MOTHER3 リュカ 20... -
ルイズ×なのは(幼)
「魔法少女リリカルなのは」より高町なのは召喚 ルイズ×なのは(幼)-01 -
魔法少女ラジカルイズ
春の使い魔召喚の儀式。メイジであるならば当然のごとく使い魔の召喚に成功する……はずだったのだが、ルイズと呼ばれる少女はそれが出来ないでいた。 ルイズは魔法が使えないと揶揄される。彼女が魔法を唱えれば生じるのは爆発のみ。しかし、ルイズは努力を積み重ねていた。 ただ、いくらその努力を積み重ねていようとも彼女は使い魔を呼び出すことが出来ず、本来ならば彼女はメイジ失格の烙印を押され、退学乃至留年という結果になったであろう。 だが彼女には幸運なことにもう一度チャンスが与えられた。それは教師であるコルベールが他の教師や学院長に嘆願した結果でもあった。 月が頭上に昇った今宵、ルイズは中庭に出ていた。コルベールの温情に答えるべく、魔法の練習をするために……。 繰り返される爆発音、眠りを妨げるこの騒音も、いつもは冷やかす生徒達は今夜だけはと、目を瞑るのであった。 沢山の書物を読んだ... -
三人
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