あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ内検索 / 「鮮血の使い魔‐12」で検索した結果
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鮮血の使い魔
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鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐12
前ページ次ページ鮮血の使い魔 風の国アルビオンにある寂れた教会。 人気は無く、薄暗くて寒い、しかしそこがアンリエッタから知らされた場所。 ルイズ達はこの教会に行くよう指示されていた。 恐らく王党派と連絡を取れる場所なのだろうと推測しながらも、 同行するワルドはいつでも杖を抜けるよう警戒し、 言葉もまた鞄を開けっぱなしにしいつでもチェーンソーを取り出せるようにしている。 そんな三人が部屋の真ん中まで来ると、柱の影から甲冑を着たメイジが現れた。 四方を囲んで四人。全員が杖を三人に向けてくる。 言葉は双眸を細めると、頭の中でメイジ達を皆殺すシミュレートを開始する。 ガンダールヴのパワーとスピードなら、あんな甲冑など問題にならない。 「私はルイズ・フランソワーズ! トリステイン王国、アンリエッタ姫殿下の使者でございます。 ウェールズ皇太子... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐11
前ページ次ページ鮮血の使い魔 アンドバリの指輪を所持する可能性の高いクロムウェルは、西の浮遊大陸アルビオンにいる。 如何にしてそこへ行くか。 異世界であるハルケギニアを一人で旅するほど無謀ではない。 しかし正直に話してルイズが協力してくれるとも思えない。 今度フーケが来た時に協力を強要するか。 だが渡りに船とばかりに、フーケから情報を得た翌日、機が訪れた。 学院を視察しに来たトリステイン王女アンリエッタがその夜、 幼少の頃遊び相手であったルイズの部屋を密かに訪ねてきたのだ。 アンリエッタは唯一信頼できる友人であるルイズに頼み事をする。 アンリエッタは隣国ゲルマニアとトリステインと同盟を結ぶため ゲルマニアの皇帝と婚約をする事になってしまったのだ。 理由は、今アルビオンで反乱を起こしている貴族派が、 王党派を倒しアルビオンの実... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐01
前ページ次ページ鮮血の使い魔 最初に起こったのは、人を馬鹿にした笑い。 続いて起こったのは、アレが何なのかとささやき合う声。 春の使い魔召喚の儀式を監督していたコルベールは、 嗅ぎ慣れたその匂いに気づき恐る恐る呼び出された少女へと近づく。 そしてソレが何であるかを理解するや、すぐさま生徒達に寮へ戻るよう指示した。 けれど。 少女が、目覚めて。 見慣れない服装、トリステインでは珍しい黒髪の美少女。豊満な胸。 その容姿に心惹かれ、あるいは嫉妬した次の瞬間、疑問が湧く。 起き上がって、胸に抱いていたソレがあらわになったから。 彼女を見る角度によっては、ソレの表情を確認する事も、できた。 悲鳴が上がる。 悲鳴の中ルイズは、ソレを抱く少女を召喚したルイズは、呆然としていた。 コ レ は な に ? 理解、できなくて、震えるルイズに気... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐15
前ページ次ページ鮮血の使い魔 武器を失ったガンダールヴなど平民の小娘でしかない。 嗜虐の笑みを浮かべるワルドと、残りひとつとなった遍在。 一方、ウェールズとルイズはまだ杖を持っている。 先に言葉を始末し、遍在と二人がかりでルイズ達を殺すか? 雑魚を適当にあしらい、反撃する能力を持つルイズとウェールズを殺すか? ワルドの選択は、ルイズが決めさせた。 「ワルド!」 チェーンソーを破壊されたため言葉が無力化してしまったと理解しているルイズは、 言葉を守るため、注意を引くべく、ワルドに杖を向け詠唱を始めた。 失敗でも何でもいい、爆発を起こして、起死回生のチャンスを生み出さねば。 そんな動きを見せるルイズを、先に始末しようとワルドは決めた。 「エア・ハンマー!」 空気の塊を叩きつけられ、ルイズは石造りの壁に向かって吹っ飛ばされる。 ... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐13
前ページ次ページ鮮血の使い魔 気分が滅入る。 任務も折り返し地点まで見事に果たしたというのに。 憧れの婚約者から求婚されたというのに。 気分が滅入る。 理由は解っている。 ウェールズに亡命する気は無く、ここで死ぬつもりで、説得しても無理だった。 だからアンリエッタは悲しむだろう。彼の死を聞いて悲しむだろう。 手紙を持ち帰るという任務を果たせても、姫殿下の幸福は果たせない。 なぜ、死ぬと解っていて、逃げようとしないのか。 決まっている、貴族の名誉を守るためだ。 もし自分が同じ状況に立たされたらどうするか? 決まっている、貴族の名誉を守るために戦って死ぬ。 当たり前だと思っていた事を、いざ目の当たりにする事で、ルイズは涙があふれそうになった。 でも、仕方ない、自分には何もできない。 気分が滅入る。 理由が解らない。 「結... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐19
前ページ次ページ鮮血の使い魔 時はわずかにさかのぼる。 言葉がルイズと再会し、まばたきの眠りについた間の出来事。 ティファニアは疲れていた。肉体的にも、精神的にも。 昨晩、もう子供達が寝静まって、ティファニアもぐっすり眠っていた時間に、 姉と慕うマチルダが怪我人を連れてやって来た。 ウェールズという男性と、ルイズという女の子。 ルイズは最初、ティファニアを見て怯えたけれど、ウェールズは怖がらなかった。 それが嬉しくて、ティファニアは母から譲り受けた指輪でウェールズを治療した。 傷はふさがったが出血が多く、体力の回復にはまだ時間がかかる。 もう一人のルイズはマチルダに傷の手当てをされると、ウェールズの看護を手伝ってくれた。 マチルダはそんなルイズに鞄を預けると、ティファニアに絶対に鞄に手を出さないよう注意した。 子供達にも手出しさせては... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐17
前ページ次ページ鮮血の使い魔 クロムウェルの天幕を訪れると、見張りの兵士が留守を告げた。 こんな夜遅くにどこに行っているのか? 兵士も行き先を知らないようだった。 不審に思い、彼女はクロムウェルを探して歩き回る。 そして。 「こと……のは……?」 「ええ。奇妙な名前と服装の平民で、ワルド様にお仕えしていらしたとか」 「……その女はどこに?」 「あちらの天幕をご使用していらっしゃいますが」 「そう」 その会話が成されている頃、言葉は? 「こんな時間に、どちらへ?」 巡回中の兵士に捕まっていた。 すぐ後ろ、天幕の出入り口を潜ればクロムウェルの死体がある。 一歩でも踏み入られたら最後、兵士から武器を奪って力ずくで逃亡するしかない。 どう殺すかを考えている言葉に無用心に近づいた兵士は、 衣服の乱れと火照った身体に気づき、天幕の中で何... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐10
前ページ次ページ鮮血の使い魔 フリッグの舞踏会も終わり皆が寝静まった夜分。 押し殺した足音が近づいてくるのに気づいた彼女はまぶたを開けた。 こんな時間、こんな場所に、いったい誰が、何の用なのか。 「こんばんは」 暗闇の中語りかけてくる人影に視線を向け、彼女は息を呑んだ。 予感が無かった訳ではない。 そいつは、自分に用があるような言動を取っていた。 鉄格子の向こうにいるそいつに、彼女は応じる。 「コトノハとかいったっけ。何の用だい?」 「土くれのフーケさん。お願いがあって来ました」 そう言って、言葉は右手に持っている物を見せる。 フーケの杖だ。 「そのお願いとやらを聞けば、杖を返してくれるって訳かい」 「ええ。そうすればここから逃げ出せるでしょう?」 「……誰かに見られてないだろうね」 「大丈夫です。あなたもご存知の通り、この学院の警... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐18
前ページ次ページ鮮血の使い魔 クロムウェルの死体が発見され、ロサイスは蜂の巣を突いたような騒ぎになった。 夜中だからなどと言ってられない、早急に追いかけねばならない。 森の中に入っていく灯りを見つけた小隊は、上に連絡を入れ増援を呼ぶ。 着実に、レコン・キスタの追っ手は言葉に迫っていた。 だがただの兵士など物の数ではない。 追いつかれ囲まれても、アンドバリの指輪で兵の意識を奪い、帰ってもらえば事はすんだ。 そうして言葉がフーケとの約束の場所にたどり着く頃には、 木々の隙間から見える空は白みつつあった。 そろそろ夜が明ける。 待ち合わせ場所は間違っていない、目印として木の幹に小さなサインを彫ってある。 さらにもしここにいられない状況なら石を三つ並べる手筈だが、指輪があればその必要はない。 地面が揺れて木の葉が散った。 その振動に覚えがあった言... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐14
前ページ次ページ鮮血の使い魔 「では式を始める」 教会にて、ウェールズは始祖ブリミル像の前で宣言した。 彼の前に立つワルドはあごを引いて口を真一文字に結ぶ。 その隣でルイズはうつむいていた。 「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。 汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして妻とする事を誓いますか」 「誓います」 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン……」 どこか遠い所で声がしていると、ルイズは思った。 ワルドとの結婚。夢見た光景ではある、しかし、心だけ置いてきぼりされているような気分。 後ろの席に座っている言葉は、どんな表情をしているだろうか。 隣に立つワルドは、どんな表情をしているだろうか。 ワルドは本当に自分を愛しているのだろうか? いや、そうではなく、自分は本当にワ... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐16
前ページ次ページ鮮血の使い魔 夕暮れの森の中、言葉は鞄を差し出した。 「誠君をお願いします」 げんなりした顔でフーケは受け取り、ため息をひとつ。 鞄の中身が何なのか、ロングビルとして魔法学院で働いていた時に聞いている。 オールド・オスマン直々に固定化の魔法をかけた生首。 あのエロ爺、余計な事を。 「これを持ってろってのかい? 正直、御免こうむりたいんだけどねぇ」 「危険ですから、誠君を連れて行く訳にはいきません。 それに……世界を裏切った私に手を差し伸べてくれたあなたなら、 一時的に誠君を保護してもらう程度は信用してもいいです」 「世界を裏切ったぁ? あはは。ご主人様だけじゃなく、世界までかい。 あんたの言う『世界』に、私は含まれていないのかい? ずいぶんと都合のいい『世界』だねぇ」 ――もっとも、心を病んだ人間じゃ正常な思考... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐02
前ページ次ページ鮮血の使い魔 こんな笑い声、聞いた事がなかった。 「あはははははははは」 単調で、けれど深い闇を内包し、聞くだけで心が蝕まれるような。 ルイズは逃げ出したい衝動に駆られながらも、恐る恐るコルベールへと視線を向ける。 右腕の肘から上を失い、そこから多量の血をこぼしながら、悲鳴ひとつ上げぬコルベール。 そんな彼に、言葉は再び、ノコギリを。 「――駄目ッ」 だからルイズは、咄嗟に言葉とコルベールの間に割り込む。 言葉の黒く黒く深く深く暗く暗く淀んだ淀んだ瞳にルイズが映る唇が弧を描く。 「あなたも、私から誠君を奪おうっていうんですか?」 「ち、違う。そうじゃ、ないの」 「大丈夫ですよ。私は寛容ですから、誠君が他の女の子に目を向けても構いません。 でも、誠君は言ってくれたんです。これからは私だけを見てくれるって。 けれど西園寺さ... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐24
前ページ次ページ鮮血の使い魔 轟音が船体を揺らし、ルイズから上下の感覚を奪った。 一瞬、宙に浮いているかのような錯覚の後、力強く床に叩きつけられる。 「カハッ……!」 痛い、というより苦しかった。 肺の中の空気が全部吐き出され、今にも窒息しそうで、喘ぐのが精いっぱいだった。 視界は真っ暗で、耳の奥で何かが鳴り響いていて他の音が聞こえない。 口の中に血の味が広がり、全身がこわばって動けない。 「――イ――ん、――り!」 どこか、とても遠くから声がする。 肩を誰かがゆすっていた。やめて、痛い、やめて。 「ルイズさん、しっかり! ルイズさん!」 黒の中に、白が現れる。 ああ、黒いのは、髪で、白いのは、顔だ。 「こ、と……は?」 「起きてくださいルイズさん、脱出します」 「あ……あ? だ、しゅつ」 「起きてくだ――きゃっ!?」 再び轟音... -
カラッポの使い魔
「真・女神転生III-NOCTURNE」の主人公、通称 人修羅 エンディング後より召喚 参考リンク:ウィキペディア (Wikipedia) フリー百科事典 真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス の項より :公式HP カラッポの使い魔/カラッポの使い魔‐1 カラッポの使い魔/カラッポの使い魔‐2 -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐09
前ページ次ページ鮮血の使い魔 酷薄な笑みを浮かべる言葉。 腰の後ろには、尖った枝を隠し持っている。 殺傷力は神殺し――チェーンソーより格段に劣るが、 森の中に吹っ飛ばされたコルベールを殺すには絶好の得物だ。 枝で刺し殺せば、コルベールが森に吹っ飛ばされた際、 木々の枝が偶然刺さってしまったが故の事故死を偽装できる。 殺すため、言葉は一歩、コルベールに近寄った。 「待ちなさい」 これから何をされるのか解っているかのような発言に、言葉はわずかに双眸を細め警戒した。 もし目論見が見抜かれているのだとしたら、炎の魔法で返り討ちに遭うかもしれない。 「どこか怪我をしていらっしゃるなら、早く手当てした方がいいですよ」 「まあ、聞きなさい。愚かな罪人なりに、学んだ事もあるのだ」 「罪人?」 「私は人殺しだ。国の命令で、罪も無い村を焼き払った事もある。... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐05
前ページ次ページ鮮血の使い魔 モンモランシーは不機嫌だった。 先日、言葉からギーシュが自分をかばってくれた時、本当に嬉しかった。 でも、その後、言葉に言われた。 「恋人を、誰かに盗られたりしないよう、注意した方がいいですよ」 一年生にケティという可愛らしい女の子がいる。 そして、ギーシュがケティと仲良くしているという噂を、モンモランシーは聞いた。 不安がつのる。 「誠君みたいに、なっちゃいますから」 あれはどういう意味だったのだろう? 「誠君みたいに、なっちゃいますから」 ギーシュが首だけに? 悪い冗談はやめて欲しい。 「誠君みたいに、なっちゃいますから」 だいたい誰がギーシュの首を刎ねるというのか。 「誠君みたいに、なっちゃいますから」 そうする理由が万が一生まれるとしたら、いったい? 「誠君みたいに、なっちゃいますから」 大丈夫... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐06
前ページ次ページ鮮血の使い魔 夢だったらいいな。そう思った。 でも、どこから、どこまで? 魔法を失敗ばかりして『ゼロ』と呼ばれた事が? サモン・サーヴァントで平民を召喚してしまった事が? 言葉と誠に慣れていく自分が? あるいは。 もしくは。 「おはようございます、ルイズさん」 「……おはよー」 ひとつのベッドに言葉と並んで眠っていたルイズは、起床と同時に嘆いた。 嗚呼、夢じゃなかった。 Nice Real. 理由は解らないが昨晩突然言葉がルイズに愛をささやき、ベッドにまで突入してきた。 ヤる気満々の言葉を必死に説得し、貞操を死守したルイズ。 でも流れで同じベッドで眠る事になってしまった。 このままいくと数日後にはヤられかねない、とルイズは頭を抱える。 その日、言葉は誠の入った鞄を一度も開けぬままルイズと朝食に行った。 ... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐03
前ページ次ページ鮮血の使い魔 とてもチャカす気分にはなれなかった。 『ゼロ』の二つ名の通り、何も召喚できなかったのなら、 思いっきり挑発して、落ち込む暇なんて与えず彼女を怒らせてやろうと思っていた。 もし万が一、偶然にも、あるいは奇跡、天運が味方をして、使い魔を召喚できたら。 その時は「やるじゃない」と言ってやるつもりだった。 言った後で「でも私の使い魔に比べるとねー」とチャカす。うん、いつも通り。 でも、キュルケはそれができなかった。 ルイズが召喚したのは平民の美少女。 それだけなら、まだ、チャカしようはあったけれど。 後から聞いた、あの平民の名前、コトノハ。 彼女があんな物を持っていなければ。 コルベールの腕を切り落とすなんて真似をしなければ。 軍人の家系として、人を殺めるすべも、殺める時の心構えも、学んでいた。 でもそれ... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐20
前ページ次ページ鮮血の使い魔 時は進み、言葉がまばたきの眠りから覚めて、また眠り、また目覚めた時、 日はとうに沈み空は黒く星がまたたき、 ルイズもティファニアもフーケもウェールズも子供達も夕食を終えて、 宵の静かな時間をすごす中、ようやく桂言葉は目覚める。 「おはよう」 隣から。 ぼんやりとしながらも言葉は「おはようございます」と返して、顔を向けた。 ルイズが、鞄を膝に乗せて椅子に座っている。ちょっと怒っているような表情で。 「コトノハ。ご主人様に何か、言う事があるんじゃない?」 「鞄を……誠君を……」 「それ以外に、あるはずでしょ?」 何を言えばいいのか。 しばし目を閉じ、考える。少しずつ頭がはっきりしてきた。 「レコン・キスタはおしまいです。総司令のクロムウェルを殺してきました」 「……そう、それは朗報ね。でも自分に関... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐07
前ページ次ページ鮮血の使い魔 泥まみれになったおかげか、ルイズは泥のように眠った。 夜中に言葉と一緒にお風呂に入って泥を落とし身体を温め、 それから着替えて部屋に戻るとすぐベッドの上に倒れるようにして意識を手放した。 朝になって気がついたら、ちゃんと布団の中に入っていて、 けれど右手だけは布団から出ていて言葉が握っていた。 床に腰を下ろし、ベッドに寄りかかりながら、ルイズの手を。 そして、ベッドの端っこに頭を乗せて穏やかな寝顔を見せている。 続いてルイズは誠を探した。ちゃんと泥の中から掘り返して、言葉に渡したはず。 浴場から帰った時、言葉はちゃんと誠を持っていた。だから部屋の中にあるはず。 言葉の隣に鞄、空いているそこから黒い頭髪が見えた。中にちゃんと居るみたい。 (何でマコトの首があるって解って安心してんのよ、私) ルイズは嬉しそうに己が身... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐08
前ページ次ページ鮮血の使い魔 解除薬を飲んで狂気に戻った言葉は、翌日からさっそく他の生徒に煙たがられた。 でもそんなの関係ないとばかりに言葉は人気の無い場所に行っては誠を取り出す。 そんな日が何日か続いた夜、恒例の夜の散歩に出かける言葉と誠。 「月と星が綺麗ですね。私、誠君に紹介できるよう星座の勉強したんですよ? あれがバイアン座、あれがソレント座、あれがクリシュナ座、あれがイオ座、 あれがカーサ座、あれがアイザック座、あれがカノン座、あれがティティス座。 こっちはラダマンティス座で、あれはミーノス座、あっちはアイアコス座です。 ……誠君はどの星座が好きですか? 私は以前ルイズさんが話してくれたシュラ座です。 何だか……よく……切れそうで……くすくすくすくすくすくすくすくすくす」 首だけの誠は当然無言だが、言葉の感覚ではちゃんと会話が成... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐04
前ページ次ページ鮮血の使い魔 「マコトを捨てて」 「それはもう死んでる」 「埋葬してやった方が彼のためだ」 「正直言って気持ち悪い」 「というか怖い」 などと言えるはずがない。言ったら言葉はノコギリで襲い掛かってきそう。 そうしたら魔法の使えない自分に勝ち目なんて無い。 だからルイズは我慢するしかなかった。 我慢できた理由は、責任。 自分が言葉を召喚してしまったからとか、コルベールの腕切断とか。 そういうものの責任を、使い魔の主として背負っているから、我慢できている。 つまりルイズ以外の人にとっては到底我慢できる問題ではない、という事。 ――ファイヤーボール等で鞄ごと焼却処分すればよくね? ――オールド・オスマンが固定化かけたらしいから無傷じゃね? ――あのジジイ、余計な事しやがって。油かけて燃やせばいけるんじゃ? ――仮に燃や... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐23
前ページ次ページ鮮血の使い魔 マチルダの声がして、ルイズは慌てて手綱を引いて馬を止め、目を凝らし声の主を探す。 宵闇の下、木立や岩など、人が隠れる場所はいくつかあった。 月明かりだけでその姿を探すのは難しい。 表情を硬くしてルイズは呟く。 「マコト、死んだフリしてて」 「……誠君、お願いします」 「解った」 言葉はルイズの言う事を素直に聞き、誠は言葉の言う事を素直に聞く。 まだ話し合わなければならない事が残っているが、ある意味調和は取れている。 「……マチルダ、いるの?」 「……『外』でその名前を使うんじゃないよ、お嬢ちゃん」 声の出所を探す。左前方の、月光をさえぎる木立の中か? (どうしよう……どうすればいいかなんて、解んない) マチルダは命の恩人であり、ウェールズと言葉の恩人でもあり、 ティファニアにとってかけがえのない人物だ。 ... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐21
前ページ次ページ鮮血の使い魔 ルイズは困っていた。 「皿洗いくらい手伝いな」 とマチルダに言われた。 そんな下々の仕事をと思ったが、自分はこの家に厄介になってる身。 言葉に任せようかとも思った、指輪を取られて不機嫌そうなので頼みにくい。 だから仕方なく皿洗いを始めたのだが……。 「ルイズ、そんなに強くこすっちゃお皿に傷がついちゃうわ」 右隣にティファニアも立っていた。家事は自分の仕事だから一緒にやろうと言ってきた。 それはいい。 「ずいぶんお皿が多いですね。子供達の分……ですか?」 左隣に言葉も立っていた。ルイズがやるなら自分もやりますと言ってきた。 それはいい。 しかし「じゃあ二人に任せていいかしら」と言ったら、 言葉は「ルイズさんがやらないなら私もやりません」と言うし、 そんな風にティファニア一人に皿洗いを押しつけたら悪役に... -
鮮血の使い魔/鮮血の使い魔‐22
前ページ次ページ鮮血の使い魔 沈黙が流れていた。 膝の上で拳を握り、唇は時折何か話そうと開きかけるが、すぐに閉じてしまう。 目線は泳ぎ、すぐ前のベッドに横たわるウェールズの顔をチラチラと見ている。 これではいつまで待っていても進展がないと見たウェールズは、優しい微笑を作る。 「ミス・ヴァリエール。どう話していいか解らないのなら、ありのままを話せばいい。 いざ口に出してみれば、ちぐはぐでも少しずつ話せるものさ」 「殿下……」 しばしルイズは目を伏せると、唇を震わせてから顔を上げる。 「しかし、これは私個人の問題ではないのです。 テファの事で……でも、話していいのか……話すべきなのか……」 「テファの? エルフとの混血である以上に、何か……?」 もしや彼女の父親が何者であるかバレてしまったのかとウェールズは思った。 それなら自分に相談に来... -
鮮血の使い魔‐Another Days
前ページ鮮血の使い魔 【もしもルイズが召喚したのが永遠だったら】 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! 五つの力を司るペンタゴン! 我の運命に従いし"使い魔"を召喚せよ!」 ルイズはサモン・サーヴァントの詠唱を完成させた。 すると、銀の円盤がルイズの前方の空間に現れる。 成功した? ゼロのルイズが使い魔召喚の儀式を? 一瞬、ルイズの胸に喜びが広がったが、すぐ疑問に首をかしげる。 普通召喚のゲートは縦に現れる。使い魔が前に進む事でゲートに入るからだ。 しかしルイズの前にあるゲートは横向きだった。 あの形では、使い魔はゲートから上、あるいは下方向に出てくる。 空を飛ぶ動物や幻獣が、空に向かって上昇中なのか、地面に向けて下降中なのか。 正解は後者だった。 ゲートの下面から、黒い物が現れる。 しかし... -
暗の使い魔‐12
前ページ次ページ暗の使い魔 ルイズ達がフーケを捕まえた晩の翌朝である。学院内はある二つの要因でちょっとした騒ぎになっていた。 まず一つは、シエスタが学院に戻ってきた事である。給仕する平民達は、誰もが彼女の復帰を驚き喜んだ。 中でも最も喜んだのはマルトーである。彼はシエスタから官兵衛の活躍を聞くと、自分の事のように喜んだ、そして。 「カンベエ!カンベエ!お前がシエスタを取り戻してくれたんだって!オマケにどデカイゴーレムをぶっ飛ばしたとか! もう我慢ならねぇ!接吻させろい!」 「接吻は勘弁してくれ!小生にそっちの趣味は無い!」 と、こんな感じである。またもや官兵衛は厨房中の英雄として祭り上げられてしまった。 そして二つ目はルイズ達の活躍である。 昨晩、学院に彼女達が引っ張ってきたのは、なんと土くれのフーケ本人と破壊の杖ではないか。 もう二度と捕まらないか、王宮衛... -
暗の使い魔‐15
前ページ次ページ暗の使い魔 翌朝。朝もやの中、ルイズと官兵衛そしてギーシュは、馬の背に荷物と鞍をくくりつけていた。 その片手間に、これからの旅路について話し合う。 ちなみに官兵衛の乗る馬は、二人の馬に比べて一回りほど大きく立派なものが用意されていた。 官兵衛の引き摺る鉄球は、並みの男では持ち上げる事すら敵わない。 そんな鉄球をくくりつけられた官兵衛が騎乗するとなると、馬も通常のものでは満足に長距離を走る事は出来なかった。 「お願いがあるんだが……」 準備の途中、ギーシュが困ったように二人に言葉を投げかけた。どうした、と官兵衛が振り返る。 「僕の使い魔を連れて行きたいんだ」 「お前さんの使い魔?」 官兵衛が怪訝な顔で答えた。 「連れて行きたいなら行きゃあいい。どこにいるんだ?」 官兵衛があたりを見回す。しかしそれらしい影はどこにも見当たらない。 ギーシュ... -
暗の使い魔‐17
前ページ次ページ暗の使い魔 ギーシュとの決闘を終え朝食を取った後の時間、官兵衛はぶらりと気ままな時を過ごしていた。 練兵場の隅っこに座り込んで、抜き身のデルフと向き合う。 時間は昼ごろになろうか、練兵場には日が差しており、石の地面を熱々に照らしていた。 そんな熱を嫌ってか、官兵衛は日陰を選んで座っている。 日差し自体は嫌いではない、むしろ秀吉に穴倉送りにされてからは望んで止まないものだ。 しかしそれでも、長年洞窟に篭っていた性か、官兵衛は暗がりを好んだのだ。 「ハァ……貴族ってのは面倒極まりないな、デルフ」 「そうだねえ」 乱雑に置かれた樽をどけ、鉄球に座り込みながら官兵衛はぼやいた。デルフが気の無い返事をする。 そんな相槌を気にする訳でもなく、官兵衛は続ける。 「ちょいと誇りが傷つきゃあ、躍起になってそれを取り戻そうとする。決闘だの何だの言ってな。 こ... -
暗の使い魔‐13
前ページ次ページ暗の使い魔 夜空に煌々と双月が輝く頃。ルイズは自室のベッドで夢を見ていた。 それは、幼い自分が懐かしきヴァリエールの領地にいる夢。 「ルイズ、ルイズ、どこに行ったの?まだお説教は終わっていませんよ!」 ルイズの母が、そんな事を言いながら彼女を探し回る。姉たちと比べて出来の悪い自分を叱る為だ。 夢の中でルイズは、そんな自分を叱る母から逃げまわっていた。 召使達が、ルイズの事をひそひそと噂しながら通り過ぎる。 「ルイズお嬢様は難儀だねぇ。上のお姉さま方はあんなに魔法がおできになるっていうのに」 庭園の中庭で茂みに隠れながら、ルイズはそんな噂話を悲しい思いで聞いていた。 だれも自分の事を分かってくれない。そう思うと居ても立ってもいられなくなって、ルイズは彼女が『秘密の場所』と呼ぶある場所へと行くのだ。 そこは、ルイズが唯一安心できる場所。人の寄り付... -
暗の使い魔‐10
前ページ次ページ暗の使い魔 ずしりと大地が地震のように揺れる。そこら中に倒れ伏していた衛士達が起き上がり、逃げ惑う。 30メイルはあろうかという圧倒的質量の土塊が、館の入り口にいる官兵衛達の元へ迫ってきた。 「ゴーレム!」 シエスタが怯えた様子で叫んだ。土のメイジの力で作られたその怪物は、平民にとって正に恐怖の象徴。 何人たりとも逆らえない絶対的力の表れであった。そんな物が今自分たちの元へと迫ってくるのだ。 「トライアングルクラスのゴーレム。間違いねぇ」 デルフがボソリと呟く。シエスタは官兵衛の手を握る。 「やっぱり出やがったか!」 官兵衛が静かに舌打ちをする。 「カ、カンベエさん!」 「とりあえず逃げるぞ!」 官兵衛がシエスタの手を引いて駆け出した。 幸いな事に、ゴーレムは館を一直線に目指しており、二人には無関心なようだった。 館の入り口から門まで... -
暗の使い魔‐14
前ページ次ページ暗の使い魔 その日の朝、教室に集まったルイズのクラスメイト達は、目を丸くしてそれを見ていた。 「いでっ!いでででっ!オイ、引き摺るなクソッタレ!オイ!あだあっ!」 床に全身を擦りつけ、段差にゴトゴトとぶつかりながら、黒田官兵衛は目前を歩む主人に抗議の声を上げていた。 官兵衛の手枷に繋がれた鎖を引っつかみ、ツカツカと教室内を突き進むのは、全身から不機嫌のオーラを発する少女ルイズ。 そして犬の散歩よりもむごい体勢で、その後を引き摺られる官兵衛。 みると官兵衛は、髪の毛は焦げてちぢれており、顔や肌は煤で汚れていた。 ルイズは、そんな官兵衛に目もくれず、不機嫌そうにドスンと席についた。 「ちょっ……何やってるのルイズ?」 美しくロールした金髪の少女、香水のモンモランシーがルイズに尋ねた。それにルイズは前を向いたまま答える。 「しつけよ」 「しつけっ... -
暗の使い魔‐16
前ページ次ページ暗の使い魔 「アルビオン行きの船は明後日にならないと出ないらしい」 桟橋に交渉に向かっていたワルドが、戻るなり椅子に腰掛けた一同に向かってそう告げた。 大理石でできたテーブルにぐったり張り付きながら、ギーシュはほっとため息をついている。 キュルケは退屈そうに頬杖をつきながら。タバサはやはり変わらず本を読みながら。 そして官兵衛は、鉄球に腰掛け肩を回しながら、その話に耳を傾けていた。 ワルドの話によれば、明日はスヴェルの月という、二つの月が重なる夜なのだそうだ。 その翌日の朝、アルビオンがここラ・ロシェールにもっとも近くなるらしい。 「急ぎの任務なのに……」 ルイズは不満そうに口を尖らせた。 彼らは今、ここラ・ロシェールで一番上等な宿、『女神の杵』亭に宿泊していた。 宿を選んだのはワルドである。官兵衛は、あまり目立つような場所に寝泊りするのは... -
凄絶な使い魔
戦国無双2猛将伝より、長曾我部元親(クリア後)を召喚 凄絶な使い魔‐01 凄絶な使い魔‐02 凄絶な使い魔‐03 凄絶な使い魔‐04 凄絶な使い魔‐05 凄絶な使い魔‐06 凄絶な使い魔‐07 凄絶な使い魔‐08 凄絶な使い魔‐09 -
暗の使い魔‐18
前ページ次ページ暗の使い魔 狭く長い階段が、延々と上に続く。建物の隙間を縫うように築かれたそれを、複数の足音が駆け上がった。 僅かな月明かりに照らされながら、その六人、官兵衛一行は息を弾ませて、真っ直ぐに桟橋を目指していた。 先頭をワルドが駆ける。後をルイズ、タバサ、キュルケ、ギーシュと続き、最後尾には官兵衛が居た。 官兵衛は鉄球の鈍さもあるが、近接戦闘を得意とするために殿をつとめた。 後方に注意を傾ける官兵衛。風の流れで、周囲の動きを察知するワルドとタバサ。 気の休まらない行軍が続いた。 そして駆けること十数分、遥か上方に階段の切れ目が見えてきた。 もうすぐか、と官兵衛が息を切らして、そのさらに上を見上げた、その時だった。 「なっ!なんだコイツは……!」 彼は息を呑んだ。 そこにあったのは、月明かりに照らされた巨大な影。百メイルをゆうに超え、天まで届かん... -
暗の使い魔‐11
前ページ次ページ暗の使い魔 少々時間は遡り、モット伯邸内の書斎。 官兵衛とルイズ達が、ゴーレム相手に再び挑もうとしていた時。 モット伯は、地下の隠し金庫から音を立てないよう『サイレント』の呪文を唱えながら現れた。 その手には、なにやら妖しげな二種類の木箱を抱えている。 「フゥッ!これだけは渡すものか……!」 余程高価なものなのか、それを大事そうに抱えるモット伯。30サント四方の箱からは、なにやら芳しい香りが漂ってくる。 どうやら中身は香の類の様であった。 しかし、これだけ重厚な隠し金庫に入れている所を見ると、よほど高価な物か、或いは違法なものなのであろう。 黒い高価な布にそれらを包み込むと、モット伯はそれを魔法で浮かして運ぼうとした。その時であった。 「ククク……そこにあったのですね」 部屋の片隅から聞こえる不気味な声に、モット伯はビクリと肩を震わせた。 ... -
カラッポの使い魔/カラッポの使い魔‐1
前ページ次ページカラッポの使い魔 ・・・・・・人に会いたい 魔で満ちた空間の中で、彼はそうつぶやいた 人修羅と呼ばれ、力による支配を良しとせず、静寂を拒み、孤独を嫌った悪魔は今 彼にとっては全く意味を成さない紅い感情の奔流の中で、孤独と静寂に身を蝕まれていた 絶対の孤独 彼の周りには、誰もいない いつもは聞こえるはずの『声』も聞こえない 彼の周りに居た『はず』の仲魔は何処にも居ない『彼女』が居ない 目覚めたら彼は一人だった 目覚めたら彼はこの場所にいた 神をも倒す力を身につけた人間の少年は、たった一人でここにいた 「人に会いたい。」 何度、つぶやいただろう 何度、『彼女』を探しただろう 何度、出口を探しただろう 会え... -
暗の使い魔‐19
前ページ次ページ暗の使い魔 ラ・ロシェールの町並みが灯りを灯し、人の出入りが静まる夜。 薄暗く狭い空間に、息を潜める気配が二つあった。 その二つの気配は、微動だにせず乱雑に置かれた荷物の物陰に蹲る。 頭上でゴトゴトと、足音が行き来するのが聞こえてきた。 ふと見上げると、そこには木で仕切られた天井がある。足音はその上を移動しているのだ。 しばしの間、呼吸が止まらんばかりに神経を尖らせ、足音の動向を窺う。 すると、やがて遠くへ行ったのか、足音が小さくなって聞こえなくなった。 「いったかい?」 「ああ」 二人の人影が、短く囁きあった。たがいに頷きあうと、二人ははぁ、と小さく息を吐いて喋りだした。 「まったく、こんなコソコソした旅行なんていつ振りかしら?まるで盗賊やり始めた頃みたいだよ」 「んなこと言やあ俺なんて初めてだぜ。こんなコソ泥みてえな真似はよ」 先程... -
瀟洒な使い魔‐10
前ページ次ページ瀟洒な使い魔 さして訓練をしているようにも見えない妙齢の女性が、2メイルを越える巨体の亜人を苦もなくねじ伏せた。 その様子を、タバサと地下水は余すところ無く見ていた。白蓮は、何も難しい事をしたわけではない。 ある程度の護身術を学んでいる程度の、どこか素人臭い動き。だが、その動きが尋常ではなかった。 タバサはいつか白蓮に聞いた事を思い出した。自分は、身体能力を強化する魔法が得意なのだ、と。 ラルカスの斧を軽々と避け、片腕一本でミノタウロスの腕力と張り合い、上回る。 そしてカウンター気味に決めたアッパーカット一撃で筋肉に覆われた巨体を跳ね上げ、宙に浮かせた。 肉体に作用する魔法を得意とする水系統のスクウェアメイジでも、こうはいかないだろう。 まるでどこかの三文小説のような展開だ、とタバサは思った。 だが、それと同時に身震いする自分が居た... -
暗の使い魔‐04
前ページ次ページ暗の使い魔 「みなさん。授業を始めますよ」 教室の扉を開き、中年の女性が姿をあらわす。紫のローブに身を包み、帽子をかぶったふくよかな女性である。 昨晩、官兵衛達の騒ぎを聞きつけて現れた教師だった。 「みなさん、春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、 こうやって春の新学期に様々な使い魔をみるのがとても楽しみなのですよ」 どうやらこの教師が、昨晩気絶していた官兵衛を発見した、ミセス・シュヴルーズらしかった。 シュヴルーズがニコニコしながら教室を見渡す。と、ふいに教室の片隅にて腰掛ける官兵衛と目が合った。 「おや?」 慌ててシュヴルーズから目を逸らす官兵衛。 しばらくこちらを見つめていたシュヴルーズだが、ふとルイズの方を見ると、とぼけた声で言った。 「ミス・ヴァリエールは、随分変わった使い魔を召喚したようですね。」 教室中がど... -
暗の使い魔‐02
前ページ次ページ暗の使い魔 今日この日、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは最も混沌とした時間を過ごしていた。 2年生の使い魔召喚の儀式、それはメイジとしての資質を見る重要な機会。 そして、メイジの生涯のパートナーを呼び出す、神聖なる儀式であった。 彼女のこの儀式に掛ける思いは、半端な物ではなかった。 この機会に誰よりも、賢く、立派な使い魔を召喚し、学園の皆を見返してやるのだ。 そうすればきっと、自分のこれまでの努力は報われる。ルイズはそう信じた。 だがしかし、蓋を開けてみればどうであろう。そこに現れたのは人間の男。 それも、両腕に鉄球をくくりつけた、みすぼらしい囚人のような平民だった。 今日のこの時ほど、彼女が落胆した瞬間はなかったであろう。 オマケにコントラクトサーヴァントでは、自分のファーストキスを不本意な形で奪われる... -
暗の使い魔‐03
前ページ次ページ暗の使い魔 日の光が差し込み、室内を明るく照らした。 澄んだ青空が窓から覗き、小鳥のさえずりが聞こえる。 なんとも爽やかな目覚めである、はずであった。 「なぜじゃああああああああああああっ!!」 「ああもう五月蝿いっ!!」 この喧しい、耳をつんざくほどのわめき声さえなければ。 暗の使い魔 第三話 『トリステイン魔法学院』 「こ、ここはどこじゃ!?」 「私の部屋よ」 眠い目を擦りながら、ルイズは答えた。 「な、なんで小生はここに居るんじゃ!?」 「だれが、あんたをここに運んであげたと思ってるの?」 「なんで小生は簀巻きにされてるんじゃ!」 「あんたが逃げたからでしょ?」 「状況がわからん!」 「あーもー!あとで説明してあげるから待ってなさい!」 ミイラの如く、ぐるぐるに巻かれ、床に転がされたままの官兵衛... -
カラッポの使い魔/カラッポの使い魔‐2
前ページカラッポの使い魔 カラッポの使い魔 第二話 コルベールは目を見開いた 目の前に立っているのはオークの様な亜人では無い 目の前にいるのは自分と変わらない人間 それなのに震えが止まらない 「大丈夫ですか?」 目の前の男が聞いてくる コルベールはそれに答えず、気力を振り絞って杖を構える 「!」 男が半身を後ろに下げ軽く拳を握る、彼独特の戦闘態勢 空気が張りつめる 「最初に聞きます。何で貴方は俺に敵意を向けるんですか?」 彼からしてみれば、使い魔の召喚に応えてこの場に来たに過ぎない だから、この場にいる人間においてもっとも高い可能性を提示する 「それとも、貴方が俺の召喚者ですか?」 「だとしたら・・・・・・どうするのかね?」 コルベールは考える この男が自分... -
鋼の使い魔
サガフロンティアⅡのギュスターヴ13世 本編 第一部『覚醒篇』 鋼の使い魔-01 鋼の使い魔-02 『ギュスターヴと学院』 鋼の使い魔-03 鋼の使い魔-04 『ギュスターヴの決闘』 鋼の使い魔-05 鋼の使い魔-06 鋼の使い魔-07 『剣と盗賊』 鋼の使い魔-08 鋼の使い魔-09 鋼の使い魔-10 『盗賊捕縛、そして』 鋼の使い魔-11 『教える者、教えられる者』 鋼の使い魔-12 『シエスタは何処へ?』 鋼の使い魔-13 『モット邸潜入』 鋼の使い魔-14 『舞台、その裏は…』 鋼の使い魔-15 『アンリエッタ来訪』 鋼の使い魔-16 『ラ・ロシェールへ向けて…』 鋼の使い魔-17 『秘かな疑惑を胸に』 鋼の使い魔-18 『襲来!土くれのフーケ』 鋼の使い魔-19 『ウェールズ邂逅』 鋼の使い魔-20 『前夜祭は静かに流れ』... -
暗の使い魔‐01
前ページ次ページ暗の使い魔 「あんた、誰?」 暗く閉ざされた意識の中、ふと聞きなれない声が耳に届いた。 「あん?」 唐突に聞こえた問いかけに、間の抜けた声で返しながら、男は目を覚ました。 目蓋に眩しさを感じる、そして微かなそよ風が頬をくすぐる。 その時点で、男は違和感に急激に意識を覚醒させた。 「(外、外か?)」 上体を起こし、目覚めたばかりの為か、ふらつく頭を抑え辺りを見回す。 ここは一体何処であろう。青く澄んだ空から差す日差しが眩しい。 爽やかな、すこし肌寒い空気。そして耳を澄ませば、鳥のさえずりさえ聞こえてくる。 普通なら、ごく有り触れた平和な光景である。しかし彼は困惑していた。 この状況が、彼が目覚める直前にいた場とはあまりにかけ離れていたから。 幸いな事に、先の戦いで負った傷はそれ程深くなく、ほぼ塞がりかけていた。 地面についた手に、... -
侍の使い魔
「銀魂」より坂田銀時 侍の使い魔-1 第一訓 「ツンデレに悪い子はいない」 侍の使い魔-2 第二訓 「クロスオーバー物って大抵がラブコメ」 侍の使い魔-3 第三訓 「巨乳って頭悪いって言うけど漫画はそうでもないね」 侍の使い魔-4 第四訓 「メイドはやっぱしドジっ子」 侍の使い魔-5 第五訓 「ろくな出会い方をしてない人に限って後々仲良くなったりする」 侍の使い魔-6 第六訓 「人を見かけで判断するな中身を見ろ中身を」 侍の使い魔-7 第七訓 「飯作る人間と仲良くしといて損はない」 侍の使い魔-8 第八訓 「添え膳食わぬは男の恥というが食ったら恥どころかではすまない場合が多い」 侍の使い魔-9 第九訓 「高けりゃいいもんじゃないが安くても良い訳じゃないってのは大概買ってから気づく」 侍の使い魔-10第十訓 「嫌だと思ったときはまよわずNOと言え」 侍の使い... -
暗の使い魔‐00
前ページ次ページ暗の使い魔 薄暗い洞窟内を、壁に備え付けられた僅かな松明の明かりが照らしていた。 湿った岩壁からシトシトと、わずかに水が滴り落ちる。 その音を聞くものは、岩の亀裂に潜む蝙蝠のみであろうか、いや。 「見つけたぞ!」 「ぐっ……畜生!」 無数の足音が洞窟内にこだました。 そして同じ数の荒い息遣いとともに、甲冑に身を包んだ大勢の兵が、狭い通路内に押し寄せる。 「逃がすな!追え!」 無数の兵士は、皆一様に長槍を携え、背には赤地に黒色であしらわれた桐花紋の旗印。 今この日本において、最も強大な力を誇る勢力。 豊臣の軍勢である。 時は戦国時代の日本。そしてここは九州・石垣原の洞窟。 その屈強な軍勢に追われるのは一人の男。 薄暗い洞窟の中、その男は迷路のように入り組んだ洞窟内を、己の足で必死に逃げ回っていた。 ズルズルと、重いなにかを... -
瀟洒な使い魔‐11
前ページ瀟洒な使い魔 最近のトリステイン魔法学院の朝は、三日に一度は一つの音が目覚まし時計となる。 どん、とも、どかん、とも、ちゅどん、とも、聞くものによって多様に表現される音が轟くのだ。 つまるところ爆音である。 その日の朝も、魔法学院の眠りを吹き飛ばす爆音が響き、ある部屋の窓枠が吹っ飛んだ。 トリステイン王家の庶子を祖とする公爵家の令嬢、ルイズの部屋だ。 吹き飛ぶ窓枠と窓ガラスに混じり、頭と腰に黒い翼を有した女の亜人が落ちてくる。小悪魔である。 彼女はくるりと空中で一回転すると、そのまま軽く羽ばたいて落下の勢いを殺して着地。 同時に軽く腕を上げると風が巻き起こり、落ちてくるガラス等を受け止め、一箇所にまとめて降ろす。 新体操の演技を終えた時のように小悪魔が余韻に浸っていると、横から声がかけられた。 「小悪魔、今日は何をやらかしたのよ」 ... -
暗の使い魔
戦国BASARAシリーズより黒田官兵衛を召喚 第一章 召喚。不運の軍師、異世界へのいざない 暗の使い魔 プロローグ 暗の使い魔 第一話『異世界』 暗の使い魔 第二話『魔法学院外の決闘』 暗の使い魔 第三話『トリステイン魔法学院』 暗の使い魔 第四話『ゼロのルイズ』 暗の使い魔 第五話『ヴェストリ広場の戦い』 暗の使い魔 第六話『微熱のキュルケ』 暗の使い魔 第七話『魔剣とゴーレム』 暗の使い魔 第八話『ルイズの誇り』 暗の使い魔 第九話『メイド奪還戦』 暗の使い魔 第十話『モット伯邸の戦い』 暗の使い魔 第十一話『盗賊追討戦』 暗の使い魔 第十二話『動き出す物語』 第二章 繚乱!乱世より吹き荒れる風 暗の使い魔 第十三話『異国の男』 暗の使い魔 第十四話『アンリエッタ現る』 暗の使い魔 第十五話『ワルド』 暗の使い魔 第十六話『青銅新鋭戦』... - @wiki全体から「鮮血の使い魔‐12」で調べる