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ニール

<タイプ> <聖騎士> タイプ パラディン
種族 人獣 ジョブ アタッカー
HP 350 ATK 10
DEF 10 コスト 20
アビリティ
召喚 なし
覚醒 エネオブジェアップW
超覚醒 オブジェアタック


「くっそぉぉ なんでだよっっ!!」

聖騎士は剣を地面に突き刺して叫び、倒れ込みそうになる体をなんとか支える。

「…オレはこんなに強くもかっこよくもなかったぞ。あいつら、贔屓しやがって」

かつて、『教会』の手によって自身も魔の力に染まった過去を持つ聖騎士はぼやいた。
そして、遠くに立ちすくむ黒い影――魔騎士に再度呼びかける。

「オイ! なんとか言えアルフォス!!!」

しかし返事はない。「クソッ!」と聖騎士が一気に体をおこし、剣を構え直して距離を取る。
倒れていた僧兵も立ち上がり、その横に立つ。

一旦戦闘が中断され、静けさを取り戻した廃墟に、雨の音だけが響く。

雨に打たれる魔騎士が手に持つ剣に、ゆらりと紫蒼の焔が揺れる。
それを見た僧兵が目を細め、眉を寄せる。

「ぬふぅ、いけませんな。あれは魔剣です」
「魔剣?」
「えぇ、しかも魔力だけではない…呪詛、闇、それに他の何やら得体の知れぬものが込められている。
あれに斬られれば“魂”を削られますぞ」
「ぁんのやろう… 弟のくせに兄貴よりいいオモチャもらいやがって…
要は、当たらなきゃいいんだろ!」

聖騎士が大盾を構え、もう一度魔騎士に突っ込んでいく。
その体を、僧兵が加護の光で包む――しかし、魔騎士は目を閉じ立ち尽くすのみ。

「余裕だなコラ!!」

聖騎士が上段から剣を振り下ろす――魔騎士が瞬時に魔剣を真一文字に構え受ける――
しかし、魔剣が受けるはずの軌道に聖騎士の剣はなく、空中で捻られた軌道は、そのまま魔剣を避け、
突きに転じて魔騎士のわき腹を貫こうとする――
しかし、魔騎士は僅かに魔剣の柄を上げ、聖騎士の突きを防ぐ――。

足を止めてでの激しい技の応酬――しかし、どちらにも決め手はない。
ついに聖騎士が後ろに跳び退り、ぶはぁあああと止めていた息を吐く。
しかし、魔騎士には一切呼吸の乱れはない。

「……あの野郎、いったいどういう体してやがんだ」

「ニールどの!」
僧兵の叫び声と共に、何かが聖騎士の眼前に迫る。瞬時に大盾に身を隠すと、ガツン!と大盾が揺れる。

魔騎士は先ほどの位置から動いてはいない。しかし、その剣から、紫蒼の焔が立ち昇っている。

「あれを飛ばしたのか… 飛び道具まであんのかよ… きったねぇ騎士だなぁ、おい」

魔騎士の予測を裏切る攻撃に、聖騎士は、僧兵と目配せし、近くの瓦礫の影へと身を隠す。
ゆっくりと二人の隠れる瓦礫へと近づいていく魔騎士。
二人は、それを目で追いながら、作戦を話し合う。

「なんだありゃ? あんなん飛ばせるなんてよ、レネゲイドってあんなだったかよ?」
「さぁ、敵も進化しているのでしょうな」
「カッコよく助けてやるとか言っちまったけどな… やべぇ、全然どうしたらいいかわかんねぇ…」
「とにかく、気絶でもなんでもさせて連れて行くしかないのでは?」
「…おっさん、聖職者とは思えねぇ発想だな」
「ぬふん、私もはぐれ者故――何にせよ、正攻法では無理そうです。
私が聖光であやつの目をくらまします、その隙に――!」
「――頼もしいや!」

ふたりは同時に瓦礫から飛び出す。そして僧兵が戦棍を突き出し、光の加護を呼び出す。

「ホーーーリィィィ ライ―――」

しかし、先ほどまで僧兵の目の前にいたはずの魔騎士がいない。
左右を見るもその姿は無く、しかし、その背後に立つ黒い影――。

逆側から飛び出していた聖騎士は、僧兵の聖光が輝ききることなく消えたのに気づき、
僧兵の方を振り向く――同時に何か大きな塊が吹っ飛んでくる。

「ぅぐあっ!」

塊と共にもんどりうって倒れる聖騎士。見ると、飛んで来たものは僧兵――
その意識はすでに飛び、白目を剥いていた。

「おっさん!! アルフォス…てめぇ…」

聖騎士が、僧兵が飛んで来た先に立つ魔騎士を睨み立ち上がる。
しかし、その視線を受ける魔騎士の目には、何も映ってはいない――
いや、何者をも映すことを、やめてしまったのか――。

「…優しかったおまえが、こんないたいけなおっさん痛ぶってよぉ、
顔色ひとつ変えねぇとかおかしいだろが!」

大盾を構え、聖騎士がずんずん歩いて魔騎士に近づいていく。

しかし、魔騎士はその言葉に一切反応することなく、顔色一つ変えず魔剣の焔を飛ばす。
しかし、大盾が大きく揺れながらそれを受け流す。

「…おめぇの気持ちはわかるつもりだぜ… オレもそうだった…」

迫る魔焔、それを受け流す盾――。

「けどよ、そんなんじゃ何もできなかった、何も変えられなかった!
変わったのは、お前だけだ…オレがそんなんだったから、お前をそんな風にしちまった……」

次々と迫る魔焔――しかし、聖騎士は歩を緩めない。

「なぁ、戻ろうぜアルフォス… 俺たちをここに運んでくれたのは“マグス先生”なんだってよ…
みんなよ、心配してくれてんだ…」

廃墟に、ただ雨と、魔焔と、それを受ける大盾が削れる音だけが響き続ける。

「アル…!! 何とか言ええええ!!!」

とうとう魔騎士の元までたどり着いた聖騎士の剣が袈裟切りに落ち、
魔騎士はやはりそれをこともなげに――いや、剣戟に重さがない。
見ると聖騎士は剣を手離しており、その見開かれた目は、
魔騎士の何も映さない目に、瞳を割ってでも入りこんで見せるという気迫で満ちていた。

ドウゥッッッッ! 魔騎士が凄まじい衝撃で吹っ飛び、倒れる。
見上げると、拳を握りしめ、鼻息荒く立つ聖騎士――。

「だいじょうぶだ! まだ戻ってこれる、兄ちゃんを信じろ!!」

魔騎士は下を向き、ゆっくりと立ち上がり、そして――口を開いた。

「……ハハ、聖騎士が剣をすてて拳骨とか…本当、すごいよニールは…」
「ハァ… や~っとしゃべりやがったか… アルフォス、意地はんな、帰ってこい」
「…意地? 何を言ってるんだ… あなたの言う通りだよ。
元々はあなたが初めに裏切ったんじゃないか…」
「…それは…」
「でもいいさ…どうせ、こんなことを繰り返しても、何も変わらないんだ」
「…ならよ…!」

聖騎士が手を前に出すが、魔騎士は顔をそむける。

「戻っても、何も変わらないよ。この世界は、そういう風にできてるんだ。
僕は、それを知ってしまったんだよ…」
「けどよ、だからって、俺たちが世界を変えられないからって、
お前が幸せになっちゃだめだってのかよ!」
「――また、そんな勝手なことを…」

魔騎士が、地面におちた魔剣を手にとる。その地に落ちた瞳は何を語っているのか――

「――だから、私は、あなたがいると染まりきれないんだ!!」

下からせり上がる斬撃が騎士の体を削る――ザクリとした感触――魔剣が、騎士の魂を削ったのだ。

「――だから、消えてほしい」

しかし、聖騎士は倒れない。大盾で体を支え、立ち続ける。

「……染まり切ってねぇならよぉ、まだ、見込みはあんだろ…?」
「…ないよ」

もう一閃――しかし、聖騎士は倒れない。

「戻ってこい!」
「うるさい!!」

さらに一閃――聖騎士の鎧の一部がはじけ飛ぶ。

魂が削れ、息荒く、しかし、聖騎士は立ち、魔騎士から目をそらさない。
剣を薙ぎ、目をそむけ、しかし、魔騎士は、破滅へと進むことをやめない。

「やってみろおおおお! オレぁぁ消えねぇぞおおお!!」
「やってやるよ… やってやるさあああ!!」

魔騎士がむき出しにした感情を剣に乗せ、鬼気迫る表情で激しい剣戟を繰りだし、聖騎士の体を刻んでいく。
しかし、聖騎士は一歩も引くことなく、むしろ、魔騎士の方へと歩み寄っていく。

剣戟が聖騎士の鎧を削り、砕き、剥ぎ取っていく――。

バガンッ――!

「グゥッ――!」

とうとうその鎧の全てが砕け落ちる。

「あああああああ!!」

魔騎士が雄叫びを上げ、そのむき出しの体に魔剣を突き入れんがため振りかぶる。
もはや、聖騎士の身を守るものはない――

「双・影・斬!!」

ガキィィィィン――!

金属がぶつかり合う衝撃――魔騎士が弾き飛ばされる。

そして、唖然とした顔で立ちすくむ聖騎士の前に立つ漆黒の殺影――

「おいおい、ここで助っ人登場かよ… てか、随分と懐かしい顔だな、まったく予想外だぜ」
「…久しいな、レネゲイド」
「…あ? そりゃもうやめたんだ」

双月剣を構える殺影、彼女は――

「弟相手に1対3とか、兄ちゃん恥ずかしくってしょうがねんだけどよ、実際強ぇ強ぇ…
とりあえず礼言っとくぜ――アサシン」
「…私も、もうやめた――今はリータだ」

不意の邪魔に、魔騎士が殺影を睨みつけながら立ち上がる。聖騎士も、落ちている剣を取る。

「…んじゃ、リータちゃん、なんでここに?」
「おまえとは契約していないし、まったくのサービス外だが、
“フクロウの女神に頼まれた”――これで十分だろう?」

聖騎士は改めて剣を構え、ニヤリと笑う。

「まじか、あの女神様、今度あったらキスしてやんなきゃな。…で、そんじゃ、何かあるんだろ?」
「ああ…」

殺影は、双月剣が向く先――魔剣を構える魔騎士を見た。

「あいつを――助ける方法を伝えに来た」


 ――continued to “アルファレネゲイド”
身長 1.80[meter]
体重 75[kg]
旧所属 ザフー神聖騎士団「暁の獅子」
旧階級 団長
好きなもの ラムチョップ
苦手なもの ほめ言葉
イラストレーター 加藤 さやか
最終更新:2017年03月28日 22:04