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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「あらあら~、わたしのお願いを断ろうとするなんて、ふふふっ…、ほまれったら、イケナイ子」
 妙に艶っぽい、さあやの猫撫で声。
 にっこりとした表情には、微かにサディスティックな色が覗いている。
「でもね、許してあげないよ? あとで、もっともっと、ほまれがしたくてたまらなくなってから、その場所を眺めてあげるね」
 そして、ほまれの耳のそばに、すぅ…っとくちびるを近づけ、丁寧に区切った言葉で、じっとりと彼女の鼓膜を舐め上げる。
「ふふっ、か・く・ご ――― し・な・さ・い」
「…うぅっ」
 両目を閉じて、小さくうめくほまれ。
 言葉をささやかれただけで、『ゾクゾク…ッッ!!』と痺れるような感覚が全身に走った。
 さあやの繊手が、ほまれの肩に優しく触れて、そのままチカラを加えてくる。
「えっ? あ、ちょっ……」
 それほど強く押されたわけでもないのに、抵抗すら出来ず、ほまれの細い裸身がベッドに押し倒されてしまう。
「あっ、ダメっ、さあや」
「こーら、さあや『先生』でしょ? ふふっ、イケナイ子のほまれには、今から特別な授業をしてあげます」
 白くて綺麗なカラダが、ほまれの上に覆いかぶさるみたいな姿勢を取る。
「えっ、待ってよ、さあや……先生」
 またいだ両脚に下半身を挟まれているせいか、上も左右も塞がれて、逃げ場を封じられたように感じる。ほまれの顔にチラリと覗く、怯えの色。
(ひっ…、嘘っ、さあやが、こんなにグイグイ来る子だったなんて。 ――― あっっ!)
 太ももに挟んだままだった手がそっと掴まれて、引き出される。
 反対側の手も、やんわりと手首を掴まれて ――― 。
 ほまれの顔の位置まで引き上げられた左右の手が、ベッドに押し付けられた。
 逃げ場と同時に、抵抗も封じられてしまった体勢。
 ほまれが真っ赤な顔を逸らしたまま、視線だけでさあやの顔を見上げる。
 ふわっと、いい匂いが振ってくる。
 さあやのロングヘアの匂い。
 この体勢、少し怖いけれど、それ以上に胸がドキドキする。
「……さあや先生」
「うん?」
「イケナイ子の、輝木ほまれに……、いやらしい特別授業をしてくださいっ」
 間近で同級生に顔を見られながら、淫靡なお願いを口にする背徳感。
 死んじゃいそうなほど、恥ずかしい。
(ううぅっ…、どうなっちゃうんだろう、私)

(ああー、もう、ほまれったらぁ……、うふふふふふふっ……)
 全裸の親友を押さえつけているというシチュエーションだけでも、興奮を覚えて仕方ないのに。
 ほまれがクールな顔付きを真っ赤にして、恥じらいながらも、健気におねだりの言葉を……。
 顔がにやついて緩んでしまいそう。
(ああっ、もう、どうしよう、ゾクゾクしてきちゃうっ)

「ほまれ、おとなしくしててね」
 と、甘い声音でささやいてから、彼女の首元に顔をうずめる。
 数瞬後、ほまれが甘い悲鳴を放って、ガクッ・…!と、頭をのけ反らせた。
 ――― さあやのくちびるが、温かなキスの感触を残して、一度喉から離れた。
 でも、すぐに、また……。
「ん…、さあや……せんせ……」
 白い喉を上下に往復しつつ這う、くちびるの軟らかな愛撫。たまに、濡れた舌先で、ちろちろっ…とくすぐってくる。
「ふぁっ…、あっ……あっ…、あっっ…、あっ……」
 途切れ途切れに喘ぐ、ほまれ。
 さあやが、優しく触れさせたくちびるを、喉の上ですべらせてくる。
 いやらしさの中に、愛しさを込めて。
 マッサージをするみたいに、何度も。何度も。
 軽く重ねた裸身の下で、ときおり、ほまれがくすぐったさに上半身を引くつかせるも、その押さえつけられた両手が抵抗の意志を見せることは無い。
「ん…、はぁっ、さあや先生……、カラダ動かさないで……」
「どうしたの、ほまれ?」
「胸の先っぽ、擦れちゃう……」
 それを聞いてクスクスッと笑ったさあやが、わざと裸身をくねらせた。

 第二次性徴によって、大人の女性へと移り変わりつつある少女のカラダ。白磁の胸に、なめらかな曲線を描くふくらみは、女子中学生のほそやかな体形に相応しく、控えめなサイズ。
 そんな可憐なバストを、ぐっ、ぐっ、とほまれの胸に押しつけながら、上半身を左右に揺すっていく。
「それじゃあ、ほまれの敏感な先っぽ、……優しく可愛がってあげるね」
 おっとりとした声音に、ゾクゾクとくる響きを含ませて ――― 。
 さあやが、双乳の柔らかな肉付きで、ほまれの胸のふくらみをなぞり出す。。
 14歳のフィギュアスケーターの乳房は、まだ甘酸っぱさが抜けきらない小ぶりな実り具合だ。
 しかし、健康美あふれるバストの丸みから、瑞々しさがギュッと跳ね返してくるような、弾力ある肉感が伝わってくる。
「ふふっ、ほまれのおっぱい、気持ちいい」
「あっ…ああっ……」
「ほらっ、だめだよ、ほまれも一緒に気持ちよくならないと」
「あっ!」
「ほまれの乳首、んっ…、ぷっくり固くなって……。ふふっ、感じてるの? かわいいっ」
「はあっ、あ…んんっ、ダメっ、そんな風にされたら……あっっ!」
 うっすら色付いた先端に可愛らしく覗く乳突起は、やわらかな肌に擦られるたび、甘い反応に喘ぐ。それがほまれの声と四肢の震えに現れる。
「うっ、ん゛っ、……あっ、ダメっ、先っぽ…、やだっ、変になる……、さあやぁ…」
 ほまれの哀願するような声に、小悪魔になったさあやがカワイイ口調で答える。
「ふふふっ、だーめ。絶対に許してあげないから」
「んっ……! はっ、あぁっ…」
 堪(こら)えようと意識すればするほど、ほまれの感度は上がってしまう。
 さあやもそれを知っているから、ほまれの感じやすい部分を、ゆっくりと時間をかけて嬲る。
 白い上半身をさらにいやらしく揺すって、ほまれの乳房の先っぽに、汗ばんできた肌の感触をたっぷりと擦り付ける。
「まって、さあや……せんせ、あっ、先っぽ……ああっ…」
「待たないよ。……ほらっ、ほらっ、もっとこうしてあげるっ! きもちいいっ? ほまれっ」
「くっ…、ん…んっ……ああっ!」
 きめ細やかで、しっとりとした肌が、ツンと尖った乳首が舐めるように、柔らかな動きでこねてくる。
 ほまれは声を抑えきれない。
「はッ…、はあぁっ! ダメッ…、あっ、さあやっ、はぁッッ……、あっ…あぁっっ!」
 両腕が、びくっ、と震えた。
 抵抗したわけではないのだが、反射的に、その両手首を押さえる薬師寺さあやの手にチカラがこもった。
(ううっ……!)
 無理矢理押さえ付けられたような気分になって、ほまれが心の中でうめく。
 強引にされると、やっぱり少しだけ怖い。 ――― でも、そのせいで、気分が昂ってしまう。
「あっ! さあや、動くのちょっと待って……あっ、やだっ、今は、本当に、擦れたらマズイからっ!」
 同級生の乳房の柔らかさで愛撫される乳首が、痺れるような快感を覚えて、ジンジン疼く。
 ほまれが眉間に悩ましげにシワを寄せて、熱い吐息を洩らした。
「はあああっ……っ、んっ、本当に……ダメ…っ、あっ、待って…」
 ぶるっ……ぶるっ……!
 ほまれの裸体を貫いた淫らな震えは、さあやを一層イジワルな気分にさせた。
「そんなに感じちゃっていいの? ほまれの大切な場所、あとでわたしに見られちゃうのに」
「……っっ!」
 ほまれが表情をこわばらせて、両太ももをギュウッ!ときつく閉じた。
 彼女の心情を見透かしたさあやが、今度はゆったりと上半身を上下に揺すりながら語りかける。
「あれ? ガマンしようとしてるの? ふふふっ、ほまれ偉い偉い。……でも、いつまでガマンが続くかなぁ?」 
 ちゅっ、と音を鳴らして、ほまれの喉にキスをしたさあやが、上半身を起こした。
 そして、ほまれの両手首を押さえつけたまま、カラダを下へとずらす。

(……あっっ、それ…、ダメッッ!!)
 さあやの動きを感じて、ほまれが眉間のシワを深くした。
 ただ、心の中で悲鳴を上げても、少女のカラダに、抵抗の反応は現れなかった。
 何をされるのか分かっているのに、逃げるつもりになれない。
(どうしよう。このままだと、私、絶対に……ああ……)
 ほまれの裸身が小さく震える。
 絶望にも似た感情に胸を重くふさがれているのに、この状況に甘美な疼きを覚えてしまっていた。
 一方、さあやは、
「どっちからにしよう……」
 と、小ぶりだが、カタチのいい丸みを描くバストを見おろして、迷うみたいに小首を傾げていた。
 乳房の先端 ――― 色付きの浅い乳輪の真ん中に、ぷっくりと尖った乳頭。右も左も、どちらも美味しそう。
 けど、すでに身構えて待っているほまれを、これ以上待たすのも悪いので ――― 。
「……っ!」
 声を殺して、ほまれの背筋が小さく跳ねる。
 右側の乳房の先っぽを「はむ…」とくわえられて、くちびるの柔らかな圧力で吸引される。
 授乳のためではなく、快感を愉しむために。 ――― いやらしいコトをしていると自覚した状態だと、この程度でも、たまらなく感じてしまう。
「さあ…や……」
「んっ…」
 乳房の先をくちびるに含んだまま、さあやがうなずいて、「ちゅっ、ちゅちゅっ…ちゅっ」と小刻みな音を跳ねさせて、ほまれの乳首を吸いしゃぶる。
「あぁっ、これ……さっきより、すごい、あ、んっ、……さあやっ、あっ、……はぁっ」
 ムズムズとくる卑猥な感覚に乳首を責め立てられ、ほまれが裸身を引くつかせて悶える。
 さあやのくちびる ――― つややかな桜唇が、吐息のぬくもりをこぼして、乳房の先を執拗についばんでくる。
 ちゅるっ…と、なめらかな乳頭を吸引したくちびるをすぼめて、「ぢゅぢゅぅッ…」ときつく吸い搾り、引っぱる。
「やっ…、痛……っ、あ゛あっ」
 乳首ごと上に引っぱられる乳房。同級生のくちびるが、ちゅぱっ、と胸先の突起をすべり落とすと、健康的な乳房の丸みがなまめかしく揺れた。そして、すぐにまた吸いついてくる。
「んん゛っっ!」
 ぶるるっっ……!!
 ほまれが上半身を大きく震わせて、たまらず身をくねらせた。『くにゅぅ…』と引っぱり伸ばされた乳首が、さあやのくちびるからすっぽ抜ける。
 ――― しかし、逃げられない。
「あ゛あ゛っ!」
 その乳首をくわえ直したくちびるが、「ちゅちゅっ…ちゅちゅっ…ちゅちゅ…」軟らか吸引を小刻みに繰り返して、ほまれの胸の先っぽの感覚を甘く爛れさせる。
「フフッ、ほまれ、今からは、もっと頑張ってガマンしないと大変だよ。ほーら……」

 ちゅるっ……。
 ちゅっちゅっ……ちゅっ…ぢゅううッ! ちゅっ、ちゅちゅっ……ちゅうっ…ちゅちゅちゅ……。
 ちゅうっ……ちゅっ、ちゅうっ、……ちゅっ、ちゅちゅ……ちゅっ……ぢゅぢゅううッッ!

 優しく…、甘く…、 ――― ときおり不意をついて、母乳を搾りだすようにきつく吸引しながら。

「んはっ……くっ、ダメっ、さあやっ、ちょっと待…、あっ! は…激し……あっ、ああッッ!」
 いつのまにか、目の端からこぼれそうなほど涙をあふれさせていたほまれが、頭を左右に振って喘ぎ狂う。
 もう一方の乳房の先っぽも、同じように嬲り倒される。
「はっ、うぅっ…、はっ、あぁっ、やめて、さあやぁっ、あっ、……あっっ! あっ、あぁっ!」
 フィギュアスケート選手のほっそりと引き締まった裸体が、腹筋をビクビクさせて、喘ぎ声と共にベッドの上で跳ね悶えた。
 交互に吸いしゃぶられる左右の乳首。
 感じまくっている乳突起を、淫らな吸引で容赦なく責め抜かれて、14歳の少女のカラダが被虐的に酔いしれていく。
 もう気が変になりそう。
「はぁっ、はぁっ…、もうダメ……、あっ、やだっ、これ以上されたら……ダメっ、ひっ、死んじゃう」
 唾液まみれにされ、今もなお同級生の口でいじめられている両方の乳首が、おかしくなるぐらいジンジンと敏感に疼いている。

 ……そして、敏感に疼いて、たまらなくなっている場所は、胸先だけではなかった。
(あっ、やだっ…、こっちもジンジンして、ダメ…、とにかくガマンしなきゃ……)
 閉じ合わせた太ももを、モジモジと擦り合わせて、なんとか耐えようと頑張る。
 ほまれのカラダに覆いかぶさる姿勢のさあやが、それに気付いて微笑む。
「ふふっ、そうだね。頑張ってガマンしないと、ほまれの大切な所、どんどんヌルヌルになっちゃうもんね」
 クスッ、と笑ったさあやが「それとも……」と言葉を続けた。
「もうガマンしても無駄なぐらい、ヌルヌルになってるのかな?」
「や…だ……、そんな恥ずかしいコト言わないで」
「やめちゃう? ほまれの大好きな特別授業」
「…………」
 込み上げてきた羞恥に喉をふさがれて、ほまれは一瞬、声を無くす。しかし、さあやは容赦せず、圧を含んだ呼びかけで、答える事を強要してきた。
「ほまれ?」
 さあやの視線の先で、ふるふる…と恥辱に震えていたほまれが、観念したみたいに口を開いた。
「続けて、さあや……」
「もおっ! せ・ん・せ・い、でしょ」
「うっ…」
 と、叱られた子供みたいに身をすくめたほまれが言い直す。
「……さあや先生、特別な授業の続きを……お願いします」
「ふふふっ。ハイ、じゃあ、続けます」

 さあやが両手首を掴んでいた手を離し、代わりに、ほまれの左右の手を、愛しさを込めて握りしめてきた。ほまれもまた、さあやの手の平のぬくもりに愛しさを重ねつつ、強く握り返す。
(なんか、こうしてると恋人同士でエッチしてるみたい……)
 ほまれが、ぼんやりとそんな事を思う。
 唾液で濡れた胸先を、熱くキスでねぶりあげる桜唇。再び先っぽをくわえて、今度は舌先を伸ばしてきた。
「あ……っ」
 ちろちろっ…と、じれったくなるような刺激。
 激しく吸いまわされたあとだからか、こういうおとなしい責めだと、チカラを抜いてベッドに身体を預けていられる。
「さあや先生のカラダ、……あったかい」
 重ねられた肌のやわらかさと体温。
 乳首を優しく舐め洗う舌使いがちょっとくすぐったくて、うっとりと両目を閉じつつ身じろぎする。
 悦楽の熱で、ゆっくりとカラダの芯を蕩けさせられていく感じ。
「はあっ…あっ、ふふっ、あっ、くすぐったい、ふふふっ、さあや先生の舐め方、きもちいい…」
 濡れた舌先が、乳輪を、くるり、と円を描くみたいになぞってから、感度の高まった乳首を、尖らせた舌先でクニクニとこねくり回す。
 敏感な乳頭で、さあやの舌使いをたっぷりと味わう。
「……あっ、さあや先生、……きもちいい、あっ、そこ……んっ、それ……好き……」
 もちろん胸の先っぽ以外の場所も、さあやは舐めてくれた。
 小ぶりな乳房の丸みを愛でるみたいに、ちろちろと舌を走らせてくると、ほまれはくすぐったそうな声を洩らして、カラダを小さく左右にくねらせた。
 時々、さあやが前歯の硬い感触を乳首の先に添わせてくる。
 これも好き。噛まれるかも……と思ってヒヤヒヤすると同時に、胸がドキドキと高鳴る。
「さあや先生……」
 恍惚感をにじませた口調で呼びかける。
 さあやが視線を上げるのを待って、彼女の手をキュッと握りしめながら言う。
「私、きっと今、すっごくヌルヌルで……いやらしい状態になってる」
 少女の声に、隠しようもない愛欲の響きがにじんでいた。
 ほまれを熱く昂らせるのは、カラダに覚える快楽よりも、心で感じる気持ちよさのほうだ。
「けど、さあやにだったら見られても平気かな」
「わたしに……だけ?」
「うん」
「他の人には?」
「フフッ…、絶対に嫌」
 ほまれの答えに微笑みを返して、さあやが少女の肌にくちびるを添わせる。
 乳房の丸みを「すー…っ」と愛撫するようにすべらせ、そして、くちびるをジグザグに肌に這わせながら、彼女の腹部まで下りていく。
「んっ…」
 と、小さくうめいて、ほまれが繋がった手にチカラを込めてきた。
 さあやのお腹よりもずっと綺麗に引き締まった腹部に、こそばゆさを感じたのだろう。
(ふふふっ、せっかくだし、ここもイジメちゃお)
 さあやが、握り合っていた両手をそっと引き抜いて……。
 ほまれが警戒する前に……。

 ススッと這った両手の指先が、腹部のなめらかな肌を、こちょこちょこちょこちょっ……とまさぐり始めた。
「ひっっ!?」
 本気で驚いたほまれが、唐突に電気を流されたみたいに『ビクウウッッ!』と、ベッドの上で背中を跳ねさせた。
「きゃっ」
 と、彼女の上に乗っていたさあやが短い悲鳴を上げるも、ほまれの腹部をくすぐりまわす指使いは一瞬も止めない。
 こちょこちょこちょっ……と、せわしなくも軽やかに踊る両手の指が、おへその周りから、左右のわき腹へと流れるように移動。こそばゆくて死にそうになったほまれが、声を引き攣らせて叫ぶ。
「や゛っ、ちょ…アハハっ、待って、あっ、ひっ! ダメって……アハハハっ、ちょっと……こらぁっ!」
 慌ててほまれが親友の両手を押さえるも、くすぐったすぎて、腕にチカラが入らない。
「ちょ、ちょっと…アハハハっ、さあやっ、ストップ! あははっ、ダメッ…、あっ、やめっ…ひぃっ!」
 ほまれの制止する手を無視して、左右の手を別々に動かして、彼女のわき腹をくすぐりまわす。
 フィギュアスケーターの引き締まった腹筋が、やわらかな肌の下で、びくっ…!びくっ…!と激しく痙攣しているのが、さあやにも分かった。
「ああっ、すごいっ! ほまれのお腹がビクビクっ…て、………すごいっ!」
「やだぁっ、こらっ、変な興奮の仕方しないで……アハハハハっ、ダメっ、これっ…、死ぬっ」
 どうせ死ぬなら ――― 。
 チカラが入らなくとも、指を動かすことぐらいは出来る。
 死なばもろとも。
 くすぐりまわされるわき腹はそのままにして、ほまれの両手が、さあやのほっそりした腹部へと伸びた。
「ひあッッ!?」
 さあやの腰が、ビクッ!と一瞬跳ね上がった。
 白くてなめらかな腹部を、こちょこちょっ…と攻められた途端、さあやの優位は消滅。
「ひゃっ、ちょっ…と、ヒィッ! あっ、ほまれ、こらっ、アハハっ、待って……アハハハハっ!」
 お腹をデタラメに這いまわってくる十本の指先がこそばゆすぎて、さあやが上半身を左右にくねらせる。そのせいで、ほまれのわき腹をうまくくすぐれない。
「あっ、チャンス」
「ひっっ、ほまれっ、キャッ、駄目っ!」
 ほまれのわき腹をくすぐるのをやめて防衛に回ろうとしたのが裏目に出た。
 さわさわっ……。
 左わき腹を、触れるか触れないか程度のタッチでなぞり上げてきた指先の動き。
「…………ッッッ!!」
 ――― ゾクゾクゥっっ!
 くすぐったさに貫かれ、さあやが声も出せずに、びくっ!と上半身を『くの字』に折った。

「あれ、どうしたの、さあや先生?」
 喉の奥で、くくくっ…と笑うほまれが、プルプルと微妙に震えている親友のお腹を、つつっ…と、爪の先を優しく添わせて、ひと撫でした。それだけで、さあやが限界を超えそうになる。
「ふっ…ふふっ、待って、ほまれ、駄目」
 さあやが右手の甲を口に当てて、笑いを堪(こら)えながら頭をブンブンと左右に振る。
 左手で押さえているほまれの手が、ススッ…ススッ…と、今にもくすぐり始めそうな気配で、何度もお腹に触れてくる。もう、それだけで何だかくすぐったくて、笑ってしまいそうになる。
 ――― と、さあやがその手の動きに気を取られている隙を突いて、右のわき腹をサーッと絶妙に軽いタッチで滑ってきた指先。
「ひっ…!」
 さあやが、そのこそばゆさに身をすくめるのと同時に、こちょこちょこちょこちょっ…と、くすぐってくる指使いが、右わき腹を上下に素早く往復。
「ふふっ…アハハハっ、駄目っ、アハハッ……アハハハハッ、ちょっと、ほまれっ……、あっっ」
 激しいくすぐったさの不意打ちに、さあやが裸身を揺すって笑い悶える。
 押さえていたはずの手も、いつのまにか、さあやの手から逃げ出して、こちょこちょ…と腹部をくすぐり始めていた。
(やだっ、ちょっと待って……息がっ……)
 こうなるともう、手に負えない。
「アハハハっ、駄目っ、やめっ……やめっ…ヒッ、やっ…、あっ、駄目っ、アハハハハハっ、ひぃっ」
 さあやの両目に涙がにじむ。
 耐えようと思っても、こそばゆさに特に弱い腹部をくすぐりまわされると、そんな気持ち、一瞬で崩れ去ってしまう。
 ほまれのくすぐりを防ごうにも両腕には全然チカラが入らないし、どれだけカラダを揺すって逃れようとしても、ほまれの指先はお腹から離れてくれない。
「アハハハっ、駄目っ、ひぃー…、やだっ、アハハっ、許してっ、あっ、駄目っ、アハハハハッ」
「ふふっ。そっちから仕掛けてきておいて『許して』は無いでしょ? ほらっ、もっと……お仕置きっ」
「嫌っ、やめ…っ、アハハハっ、ひーっ、駄目っ、駄目っ、あああっ、駄目っ、アハハハハハっ」
 こそばゆさに引くつき続ける柔らかな腹部を、こちょこちょっ…こちょこちょこちょっ……と、徹底的にくすぐりまわされて、頭がおかしくなりそうだった。
「アハハッ、駄目っ、待って、息が…あっ、アハハハッ、息が…出来な……っ、アハハハハハっ」
 腹筋が攣(つ)りそうで本当に苦しい。
 涙を流しながら笑い喘いでいたさあや。
 ……気がつけば、ほまれのくすぐりは止まっていて、何故か、自分と彼女の位置が入れ替わっていた。つまり、さあやがベッドに仰向けに倒れていて、そのカラダをまたいで、ほまれが覆いかぶさっているような体勢になっていた。どうしてそうなったのか、笑い狂っていたせいで全く覚えていない。
 はあっ、はあっ、と全力疾走したみたいに息を荒げているさあやを見て、ほまれが口元を右手の甲で隠してクスクスと笑い出した。
 不思議そうに見返すさあやの視線に、ほまれが笑ったまま答えを返した。
「さあや、口……、よだれ」
「えっ?」
 あわてて自分の口元をゴシゴシこすってから、少し恨みがましそうな目を、ほまれに向けた。しかし、ほまれは平然と笑いつつ、そんなさあやの顔を覗きこんでくる。
「へえっ、さあやがそういう顔するのって、めずらしいじゃん。ねえねえっ、もっと見せて」
「見世物じゃありませんっ!」
「あっ、拗ねた」
「拗ねてませんっ!」
 プイッと顔を横に向けて、ほまれに拒絶の意志を示す。 ――― なのに、薄く目を開いて、横目で彼女の顔を見上げてしまう。
 まるで運動後のように、爽やかに顔を上気させた輝木ほまれ。
 彼女の屈託ない瞳で、今の自分の顔を見られていると思うと、すごく恥ずかしくて……、でも同時に胸の奥で、さあやの鼓動が甘く痺れていく。
(好きな人といやらしいコトするのって、こんな感じなのかな……)



最終更新:2019年04月02日 20:10