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 呼吸はまだ収まらず、さあやの胸が大きく上下を繰り返す。
 なだらかに可憐な曲線を描く両胸のふくらみ。汗でうっすらと湿った思春期の乳房は、先端を薄桜色に色付かせて、敏感な乳突起をツンとこわばらせている。
 ほまれの手が両胸のふくらみに伸びると、さあやは自然と両目を閉じた。
 肉付きがまだ少ない乳房を、ゆったりと撫でまわしてくる手付き。
 それに続いて、敏感に疼いている突起を、指先が優しくなぞり上げてくる。
「…ぷっ」
 突然、さあやは吹き出してしまった。なんとか堪(こら)えようとするが、自分でもどうにもならなくて、笑いながら裸身をくねらせる。
「さあや?」
「……ごめんなさい、なんだか、ふっ…ふふっ…、く、くすぐったくて……」
 先ほど死ぬほどくすぐられたせいで、今、さあやの全身はくすぐったさに対して、異常に敏感になっていた。
 もう一度、左右の乳房を撫でさすられる。
 決してくすぐったがらせる手付きではなかったのに、それでも笑いがこぼれて、カラダを引くつかせてしまう。
「ふふふっ…、くっ……ふふっ、ごめんなさい、ほまれ」
「そんなにくすぐったい?」
 ほまれの指先が、乳首の感度具合を確かめるように、ツンっ…ツンっ…とつついてきた。
 両目をギュッとつむって顔をしかめたさあやが「ん゛ーっ」とうめいて耐える。
「……フフッ、今日はもうやめとこっか?」
「ううん、続き、ちゃんとしたい」
 さあやは潤んだ瞳を開き、ほまれとまなざしを重ねつつ、太ももをモジモジとこすり合わせた。
 けれど、薄桜色の突起をそっとつままれ、静かにしごき上げられただけでも、なんだかムズムズとこそばゆくて仕方がない。笑うのを抑えられない。
「ふっ…ふっ…、ふふふっ…」
「もおっ! フフッ、さあや、笑いすぎ。ねえ、続けても平気?」
「だ、だいじょうぶ、……これでも一応、ちゃんと気持ちよくなってるから」
「本当?」
「うん、だから続けて……、くくっ…、うぅっ……ふふふっ、駄目っ、あはははっ」
「やっぱり、ほらぁ」
 ほまれが苦笑を乗せた表情で言った。
「そんなに笑いたいんだったら、もういっぺん、お腹くすぐりまわしてあげよっか?」
「嫌っ、お腹だけはもう嫌っ!」
 両腕で抱きしめるみたいに腹部をガードしたさあやが、首を激しく左右に振った。
「ふうん? じゃあ、くすぐりまわされるのは、胸の先っぽがいいんだ?」
 と、いじわるく訊くほまれが、さあやの返事を待たずに、人差し指を両乳房の先端へ。
 カタチの綺麗な爪の先だけが、乳首に優しく宛(あて)がわれる。本当にギリギリ接触しているというレベルの、微妙な距離感。
 その状態で、ほまれの指先が、こちょこちょこちょこちょっ…と、くすぐり開始。
「ひッ! ……ふふっ……あははっ、待って、ほまれ、アハハっ、ちょっと待ってっ」
 硬い爪の先を使って、なめらかな乳頭を、甘やかなチカラ加減でスリスリスリッ…と素早く磨きこすってくるみたいな刺激。敏感な突起をいじめ抜くこそばゆさに、さあやがお腹を両腕で隠したまま笑い悶える。
「やっ、ちょっと、ほまれ……そこっ、アハハっ、駄目だって……アハハハっ」
「こーら、さあや、暴れない」
 汗ばむ上半身を左右に振って、胸先のくすぐり責めから逃れようとする同級生を見おろしつつ、今度は、広げた両手の平を、左右の白い乳房のふくらみの上へ優しく被せる。
 乳房の若々しい弾力感を包む雪肌が、ほまれの手の平にしっとりと吸いつく。
「ちょっとだけ、じっとしてて」
 ピンッとこわばった乳首の感触を、手の平の真ん中に感じながら、くるくる…と小さく円を描くみたいに両手を動かして、その敏感な先端をくすぐったく刺激。
「ああ…、ほまれ、駄目……くすぐったいってばぁ……、んっ…、ふふふっ、駄目っ」
「でも、さっきよりもマシでしょ」
「ん…、さっきよりもくすぐったくないけど……ふふっ、んっ、あぁ、お腹苦しいっ……」
 笑い疲れた裸身をヒクヒクさせている彼女の姿に、ほまれは気持ちの昂りを覚えてしまう。
 汗をかいた肌が、やわらかそうで ――― 。
「さあや、これなら手で触るよりも、くすぐったくないと思うから……」
 両胸から手をどけたほまれが、さあやのカラダに覆い被さる身をかがめて、彼女の小ぶりな胸のふくらみへと、くちびるを這わせる。
 思春期の色付きを見せる乳房の先端を ――― くちびるの軟らかさで、はむ。
「んっ、あっ…」
 と、さあやが喘ぎ声を跳ねさせて、くすぐったそうに身じろぎするも、笑うのはこらえる。
 乳房の先を口に含んだまま、ほまれがベッドに着いていた左右のひざを静かにずらし、さあやの裸身に汗ばむカラダを密着させて、ゆっくりと体重を預けてきた。

「おいしい?」
 さあやが、甘い声で尋ねる。
 ほまれの吸い方はどことなく、子供が母親に安らぎを求めるみたいな感じがする。だから、いっぱい吸わせてあげたくなる。
「ほまれに吸われるの、好き」
 ほっそりとした両腕が、ほまれを優しく抱き包む。
 乳房の先っぽを、きつく吸いしゃぶられる。
 可憐な乳首から、出るはずのない母乳をむりやり搾り出そうとするように。
 でも、そんな乱暴な吸いつきにも、さあやのカラダは反応してしまう。
「んっ、そう…、いっぱい吸って……ああっ……」
 ――― ほまれに、もっと求められたい。
 ぞくっ…。
 まだ、あどけなさを匂わす乳房の先に一生懸命吸いついている同級生の姿に、母性的な官能が昂ってくる。愛しさと興奮が入り混じった、熱い気持ち。
「ん゛っ…!」
 感じやすい乳頭を激しく舐め洗う舌使い。 ――― に絡めて、「ちゅっ、ぢゅぢゅっ」といやらしい音を鳴らしての吸引。
「あっ、あっ、そんなにされたら ――― わたしのおっぱい、おかしくなっちゃうよ…」
 背筋をゾゾッ…と這い登ってくる甘美な恍惚感に、さあやがうっとりとした声で喘ぐ。
(ふふっ、わたしを気持ちよくしようと頑張ってくれてるんだね、ほまれ……、かわいいっ)
 さあやの右手が、ほまれの頭を下から上に、そっと撫で上げ、指先ですくった髪の先を口でくわえる。おっぱいにむしゃぶりつくのに夢中で、ほまれは全然気付かない。目を閉じて、口にくわえた髪の先を、シャリシャリと甘く噛む。
(んっ、おいし……)
 ほまれの髪先を優しく咀嚼しながら、彼女の白くなめらかな背中に手の平を滑らせる。
 くすぐったさを覚えたのか、うら若いフィギュアスケーターの背筋が、くっ、と弓反る。それでも、さあやの乳房の先から口を離さない。
 唾液で湿ったほまれの髪先を強く噛んで、右足の親指で、彼女のカタチの良いふくらはぎを上下になぞる。
 ぴくんっ、と脚を震わせたほまれが、お返しに、尖らせた舌先を乳輪に添わせて、れろれろっと左右に素早く舐めこすった。根元から刺激される乳首が、淫らなこそばゆさにゾクゾクと悶える。
「ふふっ、それくすぐったい」
 と、笑うさあやの右足が、つま先で、ほまれの足首をスリスリと撫でる。スポーツで鍛えている者特有の、細く引き締まった足首。さあやが好きな部分。
 スッ、と上へ逃げたほまれの足が、逆につま先で、さあやの足の甲をくすぐろうとしてくる。
「もおっ!」
 さあやの口から、ほまれの髪先が落ちた。
 少しムキになって、彼女の足をつま先でくすぐり返そうとしていたら、抗議が来た。
「こら、さあや、落ち着いておっぱい吸えないでしょ」
「ん…、足のほうは気にしないで吸ってていいよ」
「いや、気にするって」
「ふふふっ」
「さあやってば、もうっ……フフッ」
 ほまれが乳房から口を離して、こちらを見上げてきた。そして、一緒に笑う。

「ほまれとエッチなことしてると、すっごく楽しい」
「うーん、楽しいだけ?」
 その問いかけには答えず、さあやは両腕を広げて呼びかける。
「ハグして」
 楽しいだけじゃない。
 ほまれの腕が、強く抱きしめてくる。
 汗ばむ肌同士の密着。
 伝わりあう体温。
 好きな人がいるのに ――― あなたが愛しい。
 あなたが気持ちよさそうな声を上げてくれるのが、すごく嬉しい。
 好きな人がいるけれど、今だけは、その気持ちに嘘をつきたい。
「ほまれ、大好き」
 彼女のしなやかな裸身を、自分のカラダに押し付けるように強く抱き返す。
 ほまれもまた、より腕にチカラを込めて抱きしめ返してきた。
「うれしい…」
 静かにつぶやいたほまれが、瞳を閉じて言葉を続ける。
「さあやと初めてした時ね、本当はキスもしたかった。……さあやの大切なファーストキスを奪っちゃうのはダメだからガマンしたけど」
 彼女の白い肩にくちびるを滑らせて、「ちゅっ」と優しい音を鳴らした。
 さあやも、ほまれのなめらかな肩の丸みにくちびるを這わせてきた。
 優しく触れる軟らかな感触。
 ほまれが「ちゅっ」という甘い音を期待していると、硬い歯の痛みがゆっくりと食い込んできた。
 噛まれた痛みで、一瞬、「うっ」と顔をしかめるほまれ。 
「こら、怒るよ?」
 口を離したさあやが、その部分を舌先でなぞってクスクスと笑う。
「……歯形ついちゃった」
「わざとのクセに」
 そう言ってさあやの顔を覗き込むと、聡明で物静かな瞳には、確かに、イタズラを成功させた子供みたいな光が浮かんでいた。ほまれが呆れたように溜め息をつく。
「さあやって私と二人きりだと、変に盛り上がっちゃう時あるよね」
「ほまれは、おとなしくしてる子がいい?」
「さあ」
 と、素っ気なく返したほまれが、さあやの背中に回していた両腕を解いた。
 そして、上半身を軽く起こし、――― 不意に彼女の両肩をガッと強く掴んだ。
 同級生の表情(カオ)に走る、驚きと微かな怯え。
「……別におとなしくなくてもいいけど、イタズラする子にはお仕置きしちゃうかも」
 顔同士の距離を縮めるほまれが、半ば本気で口にする。
「さあやのファーストキス……ここで強引に奪っちゃおうかな」
 さあやの潤んだ瞳が、激しく戸惑い、大きく揺らいだ。
 ほまれが、その瞳をまっすぐに見つめる。さあやは「いい」とも「駄目」とも言わない。
( ――― いいよ、それだったら…)
 ほまれの右手が肩から離れ、二人のカラダの間へと潜り込む。同級生の少女の恥丘を撫でるように這った手の平が、指先を無垢な秘所へと届かせる。

「あっ…」
 さあやが声を震わせた。
 濡れそぼった軟らかな秘貝を「くちゅっ」と割り、その内側の愛蜜にまみれた恥肉を指先でまさぐられる。甘美な快感。さあやの腰がなまめかしく揺すられる。
「さあや、目はつむらないで。……もし、つむったら、キスしちゃうから」
 ほまれが指を動かしつつ、そんな事を言ってきた。
 ヌルヌルの粘膜をいやらしく愛撫する指先の動きに、さあやが悩ましげに表情を歪める。もちろん、ほまれの目を見つめたままで。
「爪、ちゃんと綺麗に手入れしてるから安心して」
 ぬるんだ淫肉をじっとりと舐めるように擦っていた指先が、処女の膣口を『ニュプっ…』と浅く割って割って入ってきた。
「ああ…、ほまれぇ……」
「ほら、私の指が出たり……入ったり、……ん~、もうちょっと早めがいい? それとも、こう?」
「あっ…あ゛あっ……ああ…ああああっ」
 14歳の少女の下半身が、釣り上げられた鮎みたいに、びくっ!びくっ!…と跳ね悶えた。
 浅めの挿入を繰り返す指が、テンポを変えつつ、まだ無垢な膣に快楽の責めを与える。
 さあやが無意識に太ももを閉じて耐えようとするも、その動きを読んだほまれが、スッとひざを深く割り込ませてきて、やらせない。
(……フフッ、残念でした)
 スポーツ感覚で手首を柔らかく動かしながら、さあやの秘所を快感で酔わせていく。
「さあやのここ、ヌルヌルで滑りやすいから、うっかり奥まで指が入っちゃうかも」
「あっ」
 反射的に、さあやがほまれの右手首を押さえにきた。しかし、その手には全然チカラがこもってない。彼女の知性的に澄んだ瞳は、すっかり快楽に翻弄されっぱなしだった。
 蜜でぬかるんだ指先に、膣襞の収縮が絡みつく。 ――― 濡れた軟肉の締めつけ。
「さあやの内側(ナカ)と私の指が、ほら、いっぱい愛し合ってる。……ほらっ! ほらっ!」
 淫らに出し入れされる指先の感触に、処女の媚肉が、ガマンできないほどの甘美に痺れを訴える。半ば泣き顔で、さあやがたっぷりと嬌声を放った。
「あっ! そこっ、赤ちゃん産むところ……ほまれにいじめられてるっ! ああっっ」
「赤ちゃん産むところ…いじめられるの好き?」
「好きっ! ほまれの指でぐちゃぐちゃにいじめてっ、あっ、ああぁ…、あっ、そこっ、好きっ!」
 女子中学生のカラダが、ビクッ…ビクッッ!と激しくわななく。
 少しでもほまれの指先を膣の奥でくわえ込みたくて、自分からも腰を突き出すように浮かべる。
「ああああ……、いいっ、もっと奥…ああっ、すごいっ、すごいっ、頭が変になっちゃう……」
「ふふふっ、ねえ、さあや、だいじょうぶ? 目、つむりそうになってるよ?」
 ほまれの声に、ハッとしたさあやが大きく両目を開く。
 それを見たほまれが、いじわるく手の動きを止めて、言葉で責め立てる。
「ふうん? 私とキスするの、そんなに嫌なんだ」
「ちが…」
 さあやが言いかけた否定の言葉を遮るように、ほまれが強引にしゃべる。
「ファーストキスは、好きな子のために取っておきたいもんね。 ――― で、キスしたあとは初めてのフリして、その子とエッチな事しちゃうんだ」
 さあやの濡れた瞳に浮かんだ罪悪感を見て、サディスティックな興奮を、ゾクゾクッ、と昂らせた。
「私と何回もしてるのに、女優の演技力で、その子を騙しちゃうんでしょ? ねえ、どうなの? ほら、答えて」
 膣から引き抜かれた指先が、つつぅっ…と濡れそぼった粘膜をなぞり上げていく。
 さあやの腰が、びくっ、と小さく跳ねた所で指を止める。
 指先の感覚に意識を傾けながら、女の子のカラダの中で最も敏感さが集中するクリトリスを、優しく蕩かすように愛撫する。
「……あっ、ああっっ」
 たまらず声を上げるさあや。ほまれの指の動きに合わせて、甘美な微電流が淫核を刺激してくる。
 罪悪感にさいなまれながらも、快感に逆らえず腰をくねらせる少女を、ほまれが意地悪く笑う。
「うん? どうしたの、さあや。フフッ、気持ちよすぎて、言葉しゃべれなくなっちゃった?」
 愛蜜にまみれたクリトリスを、指先で優しくヌルヌルとこねまわす。
「あっ、あ……あっ、ほまれ、指っ……」
「んー、指をどうしてほしいの? さあやの一番感じるところ、もっと速くクリクリしちゃう? ほらっ」
「ひゃっ…やっ! あっ…駄目っ、それ…頭……変にっ、ああっ!」
「あー、さあや、ほらっ、目、閉じかけてるっ! 私とキスするの? したいのっ?」
「うううぅ……ああぁぁっ!」
 くにゅくにゅくにゅくにゅ…と執拗なクリトリスの責めを味わうさあやが、腰をガクガク震わせて淫らな嬌声を放った。
 腰の奥に、軽めの絶頂の波が押し寄せてきたのかもしれない。
 それでも、さあやは目を閉じなかった。
(ふーん、結構がんばるなぁ、さあや)
 苦悩の色を浮かべつつも、恥部の快楽に翻弄されて、半分以上蕩けきった表情 ――― そういう顔を見ると、もっと言葉で挑発して愉しみたくなる。
「じゃあ、さあやのファーストキスじゃなくて、さあやの好きな子のファーストキスを、私が奪っちゃおうかなぁ?」
「駄目っ!」
「フフッ、軽い冗談なのに、何? 今の必死な顔」
「…………」
 クリトリスを愛撫する指の動きを止めずに、ほまれが親友の眼を覗きこむ。
「ほらほら、腰ガクガクさせながら強がっても意味無いじゃん? 早く、目、閉じれば?」
「…………」
「なんでそんなに頑張るの、さあや? ……ねえ、そこまで、私とキスするの嫌?」
 ほまれが口調に含んだ棘(とげ)で、さあやの心を刺す。
 見上げてくる瞳に、みるみる溜まっていく涙。
 さあやは、ほまれをキッと睨みつけたあと、泣くのをギリギリこらえた口調で言った。
「嫌なんかじゃない」
 さあやが決意したみたいに強く両目をつむる。
 つややかなくちびるを、緊張で震わせて ――― 。

 ほまれの心臓が跳ねる。
 ――― 『もし、つむったら、キスしちゃうから』
 自分の言葉を反芻して、静かに目を閉じた。
 すぐ目の前には、さあやのくちびる。
(まいったなぁ、私、さあやのコト、本気で好きになっちゃってる)
 心の中で苦笑を洩らし、彼女の頬へ、そっと桜唇を寄せ ――― 。
 触れたかどうかも微妙なくらいの優しさで、そっと一瞬だけのくちづけ。
 ほまれの胸が痛いぐらいに苦しくなった。
 ……頬から離れたくちびるが、愛しさを乗せてつぶやく。
「フレ、フレ、さあや」
 うっすらと双眸を開いた彼女へ、ほまれが微笑みかけた。
「さあやは優しいから、失恋を引きずってる私を見かねて、こうやって慰めてくれてるだけ」
「そんなっ、ちが ――― 」
「ちがわないっ!」
 叱りつけるみたいに言ったあと、ほまれがにっこりと笑った。
「いつも付き合わせちゃってゴメンね。私、さあやの恋、ちゃーんと応援するから」
 ……さあやが何か言葉を返そうとして、声を詰まらせるのが見えた。
 ほまれが肩のチカラを抜いて、小さくうなずいた。
 ハグ。
 さあやの両腕が持ち上がって、ほまれの背中を抱きしめる。
 言葉に出来なかった想いを、そうやって伝える。
 ……伝わってきた想いを受けとめつつ、ほまれが親友の幸せを心から祈った。

 少し落ち着いた頃になって、さあやが抱擁を続けたまま言った。
「ありがとう、ほまれ」
 穏やかな声のトーンを変えることなく、さあやが微かに両目を細め、流れるようにしゃべり出す。
「わたし、ほまれとさんざんしておきながら、好きな子の前では『あなたが初めて』って態度を取る腹黒い女優なのに、応援してくれて本当にうれしい」
「……いや、さっきの言葉は……その、もう忘れてよ」
 バツの悪そうな口調が可笑しくて、さあやが表情に笑みを広げて続ける。
「あっ、そういえば、ほまれ、ヌルヌルになった大切な所、わたしになら見られてもかまわないって言ってたよね」
「フフッ、見たいんだ? いいよ、さあやになら……」
「ついでに写真も撮っていいよね?」
「ダメに決まってんでしょっ!?」
「言う事聞いてくれないと、はな達に全部話す」
 ぷくーっと可愛らしくほっぺたを膨らませたさあやが、そう駄々をこねる。
 ほまれが「う゛っ」と声を洩らして、渋面になった。
「うふふっ、ごめんね。でも、わたしって腹黒い女の子なんでしょ? ……ねっ、ほまれ」
 この上ない綺麗な笑顔を向けられて、ほまれが、びくっ、と怯む。
 ……金輪際、さあやのコトを悪く言うのはやめようと強く思った。



最終更新:2019年04月02日 20:12