惑星ミラクルで発見




「脱出できる確率は0%です」
 ルールー・アムールが言った。
 ここは星系「ミラクル」。
 星奈ひかるたちが出会ったのは、ピトン。ミラクルライト製造の見習い職人である。
 ここは星系全体がミラクルライトの工場なのだ。
 しかし、事故が起こった。製造中のミラクルライトが黒い光を発するようになってしまったのである。ピトンはその犯人として追われていたが、ひかるたちもその仲間と誤解されてしまった。そして今は、スタートウィンクルプリキュア、HUGっとプリキュア、プリキュアアラモードの全員が檻の中である。
「まぁ、それくらいあれば十分でしょ」
 立神あおいが、琴爪ゆかりを見ながら言った。
「どうして?」
「またまた。ゆかりさんならいつも」
「さっきの大統領の話、聞いてた?」
「?」
「『この宇宙から思いが消える』ってやつ?」
 ゆかりが頷く。
「大変だよ!
 絶対に防がなきゃ!」
 野乃はなが興奮したように言う。
 それはそうなんだけど、とゆかり。
「どうしたんですか?」
 ひかるが話に加わる。
「この状況、ピンチよね」
「はい」
「誰かが助けてくれるといいな、って思わない?」
「思います」
「それにはどうしたらいいかしら」
「うーん。
 携帯は通じませんよね、きっと」
「そうね」
「無線機」
「持ってるの?」
「うーん、のろし」
「持ってるの?」
「伝書鳩」
「持ってるの?」
「テレパシー!
 これも持ってませんけど」
 ひかるが笑うと、宇佐美いちかが自分の手を鳴らした。
「あゆみちゃん。
 キュアエコー!」
「そうか」
 薬師寺さあやが明るい声を上げた。
「キュアエコーは《思いを届けるプリキュア》だから――」
「ちょっと待って」
 輝木ほまれが止める。同時に彼女たちは、ゆかりが心配していることを理解した。
「宇宙から『思い』が消えてしまったら、多分、あゆみはキュアエコーに変身できなくなる。
 というか、キュアエコーが存在する根拠がなくなる、と考えた方がいいのかもしれない」
「そんな…」
 愛崎えみるが唇を震わせた。
「星はどんどん闇に侵食されている。残ったミラクルライトの光も地球には届かないだろうし。『思いの力』も弱まっていると考えないと」
 剣城あきらが言った。
「つまり、キュアエコーが、わたしたちと地球に残っているプリキュアの橋渡しをしてくれることは期待できない、っていうことね」
 キラ星シエルが厳しい顔になったが、逆に有栖川ひまりは気丈に頷いた。
「わたしたちは、独力でこの危機をのりきらなければいけないんですね」
 ひかるたちスタートウィンクルプリキュアは「キュアエコー」というのが何かをまだ知らない。だが、ひまりの言葉の意味だけは理解した。
「できれば、キュアエコーが消えてしまう前にね」
 ゆかりがつぶやいた。



最終更新:2019年08月17日 14:51