未来へのイマジネーション 4 15年後の七夕




「キラやば~☆」

満天の星空を見上げてひかるは声をあげる

「そうですね」

隣にいたまどかも頷き じっと星空を見上げていた

7月7日 七夕の夜 二人は天の川が掛かる夜空を見ていた

「まどかさん 今日はわざわざありがとうございます」

「せっかくのお誘いですから 断る理由はありませんよ」

「今年も 楽しかったです。ひかるのお父さんから興味深い話も聞けましたし」

「私も 楽しかったです」

「いよいよ1週間後ですね」

「うん・・・」

年に一度 ひかるの父親が帰ってくるこの日 バーベキューパーティーをするのが星奈家ではお約束だが ひかるが宇宙飛行士になって 宇宙に飛び立つ日が迫っていた今年は その祝いのパーティーになっていた。

20年前とは違い ゲストはまどかだけだが・・・

みんなの前では笑顔を見せているが 不安を感じている事にまどかは気づいていた 宇宙へ行くなんて大変な事だから無理もない事だが 不安の原因がそれだけではないとまどかは思っていた

「今日はララの誕生日ですよね」

どう声をかけようかまどかが悩んでいると ひかるのほうから話題を振ってきた

「そ、そうですね」

ぎこちなくまどかは答える

「ララも私たちと同じくらいになってるのかな・・・今は何をしてるんだろう?」

「・・・きっと 立派になってますよ」

どう答えていいか分からないので まどかはそう答えるしか出来ない

「初めてララの誕生日を知った時は お父さんのパーティーと一緒に祝うくらいしか出来なくて だから来年は もっとちゃんと祝うんだって思ってたんだ・・・でも」

「ララはサマーンに帰ってしまいました」

「ララもね 私の誕生日をお祝いしたいって 言ってたんだよ」

「その時は きっと思いもしなかったでしょうね お別れする事になるなんて・・・」

話ながら ひかるは泣きそうになっていた

「星を見る度に ララ達の事を考えてしまうんだ・・・」

「ひかる・・・」

ララ達と別れてから ひかるは明るく振る舞っていたけれど 気丈に振る舞っていた事はまどかには分かっていた

「もう一度ララに みんなに会いたい・・・そう思って私はこれまで頑張ってきた」

「そうでしたね」

「でもね 時々不安になるんだ 本当に私なんかに出来るのかな・・・って」

「ひかるにならきっと出来ます」

「まどかさん・・・」

「私は 一番近くでずっと ひかるを見てきました・・・あなたが宇宙飛行士になる為にどれほど頑張ってきたのかを知っているから だからこそ 出来ると私は信じています」

まどかはひかるをまっすぐ見て 震えるひかるの手を握りながら そう答えた

「そうそう♪笑顔だよひかる☆」

「えれなさん!?」

「えれな!?」

今日は来れないはずのえれなが突然現れて ひかるとまどかは驚いていた

「今日は仕事でこられないはずでは?」

「パーティーは無理だけど なんとなくひかるが気になってね ここにいるかなと思って来たんだ・・・」

えれなも まどか同様 ひかるを心配していたのだった

「ここに集まるのはいつ以来かな」

「私たちが中学を卒業して えれなが留学でこの町を飛び立ってからも 時々は集まっていましたけど 大人になってからは忙しくて会う時間が中々ありませんでしたから」

「すごく久しぶりな気がするね」

「昔は ここにロケットがあって ララがいてユニがいて プルンスがAIさんが そしてフワがいたんだよね・・・」

トゥインクルブックだったノートを見ながらひかるが言った

「また みんなで集まれる時がいつかきっと来るよ」

少し寂しそうな顔をするひかるにえれなが微笑みかける

「みてください!!流れ星です!!」

星空に一筋の光りが流れるのを見てまどかが叫んだ

「みんなとまた会えますように・・・」

ひかるは流れ星にそうお願いした



最終更新:2020年04月01日 19:47