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『フレッシュプリキュア!31.5話:せつなとシフォン 大好きな町を守れ!』/一六◆6/pMjwqUTk




<1>
「そっか、わかった!」
ラブが猛然とノートに数字を書き始め、せつなが満足そうに頷く。
日曜日の午後。宿題をするラブの隣で、時々助け舟を出すせつな。指導というほどではなく、知識を解き方に結び付ける手助けをしているだけだ。
「正解よ」
「やったぁ! せつなのお蔭だよ。ありが……うわっ!」
<2>
一枚の紙切れが、ラブの顔にぴたりと貼り付く。
「キュア~!」
悪戯の張本人が、嬉しそうにフワフワと飛んで来た。
「こぉら、シフォン! あ、何か書いてある」
「スイーツ王国の文字ね。『ちょっとキョーダイんとこ行って来るわ。シフォンを頼んます。タルト』ですって」
「せつな、読めるの!?」
<3>
「ラブは続きをやって。私、シフォンと散歩してくる」
外に出た途端、シフォンがせつなの頭の上に乗った。町を見回し、時折嬉しそうな声を上げる。
「シフォンはこの町が大好きなのね」
「キュア~!」
「私もよ」
せつなが微笑んだ、その時。
「あら、東さん」
偶然出会ったのはクラスメイトだった。
<4>
慌ててシフォンを下ろし、腕に抱く。笑顔の級友に何を話せばいいのか分からない。
また学校でね、と去って行く彼女を見送って、せつなは小さく息をつく。
「ねぇ、シフォン。ラブがさっき私のお蔭って言ったでしょ? でもラブはずっと、私をフォローしてくれてる。私の方こそ、毎日がラブのお蔭なの」
<5>
シフォンは再びせつなの頭の上に乗ると、丸っこい手で頭を撫でるような仕草をした。
「せつな。ラブ。いっしょ」
「ええ。ラブが一緒に居てくれるんだもの。私、大好きなこの町で、毎日精一杯頑張るわ」
「キュア~!」
シフォンが嬉しそうな声を上げる。その時、遠くからドーンという破壊音が響いた。
<6>
そこに居たのはウエスターと、頭に巨大なハンドルを付けた、箱形の身体を持つモンスター。すぐ近くにある喫茶店のコーヒーミルが素体らしい。
「ナケワメ~ケ~!」
雄叫びと共に高々と舞い上がり、茶色の礫を雨あられと降らせて商店街の通りを滅茶苦茶にする。
「ラブ! ナケワメーケが現れたわ!」
<7>
通話を切ってリンクルンを構える。赤い光が収まると、桃色の髪をなびかせて立つキュアパッションの姿があった。
「よぉ、イース」
「これ以上、町を傷付けさせない!」
パッションが宙を舞う。だが数多の礫が行く手を阻み本体に近付けない。
次の瞬間、怪物の腕が高速で伸び、パッションを叩き落した。
<8>
倒れ伏したパッションに、礫が散弾のように降り注ぐ。
「きゅあきゅあ、ぷりっぷ~!」
突如、小さな影がパッションの前に現れた。その周りに生まれた光のバリアに触れた途端、礫は光の粒となって消えていく。
「シフォン!」
「キュア~!」
つぶらな瞳に宿る決意。それを見て、パッションが頷いた。
<9>
「わかった。一緒に町を守るわよ、シフォン!」
パッションが再び宙を舞う。全ての礫を怪物めがけて打ち返し、蹴り返す。
シフォンはパッションの頭の上に座り、懸命にバリアを張り続ける。
業を煮やしたナケワメーケが、頭の上のハンドルを回した。途端に膨大な数の礫が二人に襲い掛かる――!
その時。
<10>
ピンク色の光の奔流に包まれて、全ての礫が消失する。
怪物は二つの影に蹴りつけられ、仰向けに倒れた。
「お待たせ!」
パッションは仲間たちに笑顔を向け、シフォンをピーチに預けてパッションハープを構える。
赤いハートと白い羽根が吹き荒れる中、ついにナケワメーケはコーヒーミルの姿に戻った。
<11>
翌日、級友たちがせつなを取り囲んだ。
「東さん、ぬいぐるみを頭に乗せたりするの?」
「意外とお茶目ね」
「可愛いわ」
フォローしかけたラブが、ニコリと笑って口をつぐむ。
せつなの顔が、見る見る真っ赤に染まった。

~終~
最終更新:2020年10月11日 00:16