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『人魚の食感』4




「ちょっと待ってね」
 と、ローラがツボの中の粘水をすくって、少量、口に含んだ。
 どうせなら甘いほうがいい。
 ローラ自身も両目を閉じて、顔を近づけていく。距離が縮まるにつれて、胸の鼓動がドキドキと高鳴り、息苦しさが増す。

(お話の中の王子様も、こんな感じだったのかしら?)

 二人の鼻先が、そっとぶつかる。
 ローラが微かに顔の角度を変えて続ける。優しく、可憐な花を摘みにいくみたいに ―― 。
 そして、くちびるが触れ合う。
 温かいとか柔らかいとか、そういうものを感じた気がするが、次の瞬間には全部、甘さに溶けてしまった。
 みのりがローラの白い背中を抱きしめてくる。ちょっとだけ、恋人同士の気分。
 ちゅっ…と濡れたキスの音を鳴らしてから、ローラがゆっくりと口移しで甘い粘水を飲ませる。
 メガネのレンズの下で、みのりが睫毛を震わせて声なく喘いだ。

(これが私のファーストキス……。すごく甘い……)

 口の中に溜まった粘水を、時間をかけて味わう。甘くて美味しい。けど、これが数秒前までローラの口の中に入っていたと思うと、飲み干してしまうのがもったいない。
 くちびるを塞いでくる軟らかさが心地良い。重なっている裸身の、しなやかな重みも。
 ローラのやわらかさに溺れて、時間が経つのも忘れてしまいそう。
 気がつけば、いつのまにか口の中の甘味を嚥下してしまっていた。

 ―― もっと欲しい。

 ローラのカラダが、ピクッ、と小さく跳ねた。
 くちびるを割ろうとする舌先の動き。みのりの舌が、口の中に入ってこようとしている。
 一瞬驚いて身を離しそうになったけれど、すぐにカラダのチカラを抜いて、自ら口を開き、それを受け入れた。

(ローラ……)

 みのりが、ぎゅっと軟らかにくちびるを押し付ける。
 静かに侵入させた舌先を動かして、ローラの口の中をまさぐる。
 歯の硬さ、歯ぐきの感触、
 ―― そして、濡れた舌の柔らかさ。
どれもが甘くて、いつまでも味わっていたい。

 ローラもまた、初めてのキスに酔い始める。
 甘さを求めて、ちろちろ…と舌の上を這うみのりの舌先。……かわいくてたまらない。

(フフッ…、みのりったらイケナイ子。お返しよ)

 粘水と唾液にまみれたくちびるを優しくすぼめ、彼女の舌を吸ってやる。
 重なった肌の下で、みのりの裸身がわななくのを感じた。

「……………………」
「……………………」

 熱く蕩け合うくちびる。
 今度はローラが舌を侵入させた。
 ぴちゃぴちゃ…といやらしい音を跳ねさせつつ、濡れそぼった舌を舐めまわして、そっと絡めあう。ぎこちなくも、みのりを気持ちよくリードするように。
 ……悶える彼女の肢体を、白い裸身で押さえつけながら、軟らかなくちびるをキスでむさぼる。

 ちゅっ…ちゅ……ちゅっ……。

 口を完全に奪われたみのりが、眉間に悩ましくシワを刻み、何度も睫毛を震わせた。
 もっと ―― ローラにいっぱいしてもらいたい。
 きゅううっ、と両太ももが内股気味に強く締まる。

(そっか、これが『性欲』って感覚なんだ。……今、私のカラダ、ローラとのキスで欲情してる)

 かろうじて働く理性の部分で、そう冷静に判断するみのり。
 いつも普通に学校で顔を合わせている仲間と、こうやって全裸で抱き合ってキスまで交わしているという背徳的な興奮。

(ローラもしてくれてるのかな。私とのキスで……欲情……)

 そんな事を思うと、甘く、胸がうずく。
 ……くちびるが離れるのを感じ、みのりがうっすらと両目を開いた。
 この視線にちょっと切なげな色を感じたのか、ローラが安心させるように微笑む。

「だいじょうぶよ。また、すぐにしてあげるから」

 ローラがツボに手を伸ばして、指ですくった粘水をルージュのように自分のくちびるに引く。そして、マットに両ヒジを着き、上体の姿勢を支えなおした。

「みのり、口を開けて舌を出して。……そう、そのままよ」

 恥じらいと共に小さく突き出された舌先を、ローラの舌が、ちろちろっ…小刻みに舐め洗う。そして、チュッと甘い音を立てて、くちびるで吸いつく。
 ―― 同時にローラが、肌がヌメったままの上半身をゆったりとした動きで前後に揺する。
 少女たちの乳房の丸みがにゅるにゅるとすべり、ツンと尖った二人の乳首が、やわらかな肉のマッサージで気持ちよく愛撫される。

「……ッッ!」
 と、ほそい裸身を跳ねさせたみのりが、びくっ、と舌を引っ込めた。

「ローラ……だめっ……」

 それを聞いたローラが、たちまち不機嫌な表情になる。

「……はあぁ? ようやく声を上げたと思ったら、第一声がそれなの?
 せっかくグランオーシャンの次期女王がマッサージしてあげてるんだから、感謝の言葉とか感動のセリフとか言いなさいよ」

 重なった二人のカラダの間にローラの左手が滑り込み、みのりの右乳房を、ぬるっ…と撫であげる。
 小ぶりな丸みに沿ってゆっくり動く手は、中指と薬指を微かに開いて、ツンとこわばった乳首をうまく挟み込んでいた。
 みのりのカラダが、びくんっ、と跳ねたあと、ギュッと耐えるみたいに縮こまる。
 ローラが手を動かすたび、指の間に挟まれた乳首が甘ったるく擦られて、そのいやらしくヌルヌルとした刺激で感じさせられてしまう。

「あっ…、いやっ……ローラ……、やっ、ダメッ…」
「そんな声を上げるってコトは、これがいいのね。じゃあ、もっと続けてあげるわ」
「待って…、あっ、やっ……」
「ふふふっ、わたしのマッサージからは逃げられないわよ。
 今度は、おっぱいの先っぽ、もう少し強めに挟んだ状態で手を動かしてあげるわ。
 ……ほらほらっ、どう? こっちのほうが気持ちいいんじゃない?」
「あぁっ……それ、だめ、ローラ、いやっ……手、だめっ……」

 きゅっと咥え込むように挟んでくる指によって、左右から舐め洗われるような愛撫を受ける乳首。まだ未成熟の胸先がゾクゾクと淫らに開花させられてゆく。
 気持ちいいけれど ―― ちょっとこわい。

 ぶるるっ……と、みのりの裸身に震えが走った。
 我慢せずに、正直にローラに告げる。

「……ローラ、本当にだめ……これ以上は…変になっちゃう……」

 みのりの声の調子から、なんとなく彼女の心中を察したローラが、乳房に這わせた左手の動きをとめて訊ねた。

「ねえ、手……繋ぐ?」

 黙ってうなずくみのり。
 みのりが広げた左手に、ローラが右の手のひらを重ねる。どちらからともなく指を絡ませあって、ぎゅっと握り締めあう。

「これなら、こわくないでしょ?」
「…うん、さっきより平気。
 ホントは、まだちょっとこわいけど……ローラと一緒なら、変になっても大丈夫」

 全裸の少女たちが粘水にまみれた肌を擦り合わせ、自然とキスを交わして愉しむ。
 軟らかなくちびるの感触。求愛行為のように交わる二人の舌使い。ローラの左手が優しく乳房を撫で上げ、胸先の突起を指でスリスリとなめらかに愛撫する。
 小さく「ンッ…」と喘いだみのりが、口を離した。

「ローラ、それ……きもちいい……」
「正直な気持ち、言えるようになったわね。じゃあ、ご褒美」

 今はくちびるをそっと重ねるだけで、二人のとっての甘いキスになる。
 むろん、粘水の甘さとは別の意味で。
 ローラが、敏感な乳頭に這わせた指を立てた。綺麗な爪の先を使って、羽毛の軽さでコショコショとこまやかにくすぐる。熱っぽい喘ぎを洩らそうとするみのりの口を強引なキスで塞ぎ、愛しさを込めて吸う。

「ンッ……んんっ…」
 と、息苦しさとくすぐったさに悶えながら、みのりがローラの右手を強く握る。
 ローラからも強く握り返しながら、そっと這わせた爪の先端で、薄桜色の乳輪に沿って軽やかにクルクルと円を描く。ときおり、じらすみたいに止める指使い。快感をもっと欲しがらせるために、あえてイジワルも織り交ぜる。
 がまんできずに、みのりが舌を伸ばして、ローラの舌先をちろちろ舐めてきた。
 おねだりに応えて、爪の先と指の腹を交互に使って、くすぐったく乳首を愛撫。小柄な裸身が可愛らしく悶える。

 チュッ、と音を鳴らしてキスを解いたローラが、さっきから気になっていたことを口にした。



最終更新:2022年06月08日 21:18