Juvenile(4)
「やっぱり子どもだなぁ…私」
「まっすぐ突き進むことが必要なこともあります」
「亜久里ちゃんに指示してほしいな」
「私など」
「頼りにしてる」
ふたりは見つめあい、やがて微笑んで拳を合わせた。
「おいおい、仲間外れかよ」
「僕たちもいるんだよ」
「頼りにしろよな」
「うん」
その上にグレルとエンエンの小さな手が載せられる。デコルも明滅し、フーちゃんの気持ちを伝えてきた。
「それにしても、やはり中に入りたいところですわね」
「うん――亜久里ちゃん!」
キュアエコーは突然、亜久里を抱き寄せた。その小さい体を放り投げるようにして入れ替わると、ロボットが降り下ろした手を両腕で受け止めた。
「!」
手首から激痛が走った。だが、引かない。一度、体を下げると、足のパネでロボットを跳ね上げた。
「プリキュア ハートフル・エコー、コルティーナ!」
両手から広がる光がカーテンのようになり、続々と押し寄せてくるロボットたちを食い止める。
「エコー!」
「逃げて!」
振り向く亜久里。岩の隙間や切れ目をたどって上に登る道が見えた。
「上に逃げるのは得策ではないのですが、止むをえませんわね」
グレルとエンエンをカーディガンのポケットに収めるとそれを上り始める。岩を二つよじ登ると振り向いた。
「エコー、早く!」
「やぁっ!」
光の力ーテンを押しやる。ロボットたちがガラガラと倒れていった。亜久里の後に続く。岩はやがて土の獣道となった。しばらく進むとふたりは止まり、息を整えた。
「追ってこないね」
「あの図体でこの山道は無理でしょう。あるいは、細身のロボットと交代、ということはあるかもしれません」
「そうだね」
油断はできない、と辺りを見回すキュアエコー。
「腕は大丈夫ですか?」
「うん」
キュアエコーは赤く腫れた腕に手を当てた。亜久里に見せないように隠しているようにも見えた。
「…」
「地震?」
思わず体を低くする。長い。
「エコー、あれを!」
亜久里が指さす。木々の間を透かして、カラフルな色が揺れている。左右だけでなく上下にも。それはまるで暴れているようだった。
「ドリーミアが」
「テーマパークが巨大ロボット…!」
高い壁はさらに強固になって隙間を埋め、手と足が生えている。それが踏み出すたびに、足元が揺れた。
「…。
まりちゃん。
みなちゃん、めいちゃん!」
キュアエコーが突然、叫ぶ。
「一緒にいらしたお友達ですか」
「あの中に、みんなが!」
足を進めようとするキュアエコー。まだ揺れる地面がそれを阻んだ。それでも立ち上がり駆け出そうとする。亜久里もバランスを崩しそうになり、ポケットからスマートホンがこぼれた。
「お待ちなさい!」
「だって!」
「落ち着いて。電話番号を覚えていますか」
「電話?」
何を言っているのかわからない。
最終更新:2023年01月22日 21:15