Juvenile(7)
「すごい…」
「さすがですわね」
ふたりに向かってほほ笑むキュアエース。
「あれ…でも」
キュアエコーはゆっくりと立ち上がった。キュアエースも続く。
「いつもと違うような気がする」
「そうですわね」
キュアエースはドレスの裾をもって軽く振ってみた。
真っ赤な髪はいつもの通りだが、スカートがブラウンだった。そして白いドレスの縁取りはクリーム色。
「宝石も違う」
「え?」
キュアエースは水際に駆け寄った。自分の顔を映してみる。
「本当ですわ」
髪飾りの宝石はひし形、胸元の宝石はハートだったが上下が違う。
「あ」
「?」
「グレルとエンエンの模様だ。額の」
「ということは、このブラウンとクリーム色も」
「そうだよ」
「すごいですわ、グレル、エンエン!」
キュアエースはいつもと違う装いになっていることを純粋に喜んでいるようだった。むしろ、グレルとエンエンの方が、何がそんなにうれしいんだ、という顔をしていた。
「では、参りましょうか」
表情を引き締める。巨大ロボットとなったドリーミアはおいしーなタウンに向かっている。止めなければ。
高いジャンプ。キュアエコーからキュアエースへ、キュアエースからキュアエコーヘバトンのように渡された光の力は、そのたびごとに増幅されていたとでもいうのか、キュアエコーに疲労の色はなかったし、キュアエースにもぎこちなさはなかった。
「もうすぐです」
「うん――えっ」
突然、ふたりの目の前からドリーミアが消えた。
「…これは」
「気球も」
海の方に向かっていた気球も姿が見えなくなった。
「みんな」
「エコー、待って」
キュアエースが言い終わらないうちに、キュアエコーの体は何かにぶつかったように弾き飛ばされた。再びキュアエースに抱きかかえられる。
「大丈夫ですか」
「何…今の」
キュアエースは足元の石を投げてみた。それは、何の音もたてず、だがキュアエコーと同じように跳ね返された。
「何か…ありますわね」
ゆっくりと歩いていくふたり。抵抗があった。
何が見えているわけではない。見回しても、さっきと同じ森が続いているだけだ。だが、進もうとすると押し返そうとする力を感じる。
グレルはキュアエースの肩に飛び乗ると剣を抜いた。
「気をつけてくださいね」
「心配すんな」
剣が届くように半歩、前に出るキュアエース。グレルが剣を突き出すと、その先端が消えた。グレルが慌てて剣を引っ込めると、元の長さに戻った。折れたり欠けたりはしていない。
その剣が消えたポイントにそっと手を当ててみる。やはり何かある。ゆっくりと手を伸ばしてみると、キュアエースの手が見えなくなった。同じように慌てて引く。これも何も起こらなかった。
「空間が歪められているとか、そういうことでしょうね」
「異次元、とか?」
「おそらく。
ドリーミアはこの向こうにいるのでしょう」
「気球も一緒に」
うなずくキュアエース。
「行こう」
「お待ちなさい」
最終更新:2023年01月22日 21:18