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Juvenile(10)




 フォローの必要がなくなったわけではない。ふたりは妖精たちとともにプリキュアの元へ走った。だが、ペースが上がらない。
 どちらも歯を食いしばっている。キュアエースはやはり本来とは異なる形で変身していることが大きい。キュアエコーには疲労の色が見える。「ハートフル・エコー」を何度、放ったのだったか。
 だが、あと一息の筈だ。
「エコー、ロボットが」
 グレルが指さす。エンエンがつぶやくように言った。
「消えていく…」
「首尾よくいったようですね」
 地上にいるメンバーが慌てている様子がない。キュアエースはほっと息をついた。
「気球…気球は?!」
 キュアエコーは激しく頭を巡らせた。それはまだ空に浮かんでいた。だが。
「下降していませんか?」
 早い。加速がついているようにも見える。
「まりちゃん! みなちゃん! めいちゃん!」
 キュアエコーの息が荒い。回復していないのは明らかだった。
「ここから」
 キュアエースの手を振り払うように手を伸ばす。
「エコー」
「フーちゃん、お願い」
〈うん〉
 ゆっくりと息を吐くと、キュアエコーは右手を気球に向けた。
「お手伝いいたします」
 その左手を取るキュアエース。だが、この空間に入った時と比べて力が弱いような気がした。
「大丈夫。
 だれも傷つけさせはしません」
 キュアエースが左手を上げた。呼吸を合わせる。
「グレル、エンエン。もう一度、お願いします」
「任せろ!」
「僕たちだってプリキュアだもん」
 ふたりの手のひらに光の珠が生まれた。
「プリキュア ハートフル・ショット・コルティーナ!」
 ふたりの前に広がった光のカーテンは、魔法のカーペットのように飛んでいく。それは次第に速度を増して落下していく気球の下に滑り込んだ。
「間に合った」
「…。
 速度が」
 いくらかゆっくりになった、という程度だった。もう地面が近いのに、スピードは十分に落ちていない。
「もう一度――あ」
 キュアエコーとキュアエースは、もう一度「ショット・コルティーナ」を放とうとそれぞれの手に力を込める。その瞬間、ふたりの周囲で光が飛び散った。
「変身が」
 坂上あゆみと円亜久里の姿に戻ってしまっただけなく、ふたりは砂漠に膝をついてしまっていた。立ち上がろうにも力がはいらない。
「みんなを、助けないと」
「変身…ですわ」
 両手で体を支えて立とうとする。だが、厚い砂はそのわずかな力を吸い込んでしまう。
「早く」
「もう一度」



最終更新:2023年01月22日 21:21