思いよ、届け――プリキュア オールスターズ NewStage 2.1――第4話:ともだち
みなが学校の前に集まる。これから後片付けをしなければならない、などと言っていると、草むらから
小さな影が姿を現した。
影水晶は、前に立った者の本心を写し取る。稀に、それが光を伴うこともあるが、多くの場合にそれは醜い闇をなす。それと向き合った時に負けてしまうのか、克服するのか、影水晶はその試練を課すのである。
グレルとエンエンは自分の弱さを認め、それと向き合い、克服していくことを決心した。そうなればもはや、その影は心の闇などではない。
「お前…」
色を薄くしていく中、影はキュアエコーを認めた。
「僕は、お前を知っているような気がする」
「うん…」
キュアエコーの目がうるんだ。
「どうしてだろう」
「ともだちだからだよ」
「ともだち?」
「うん」
「そうか。
僕にはこんなにたくさんともだちがいたんだ」
「そうだよ。
みんな、みんな、ともだちだよ」
影は姿を消した。
「オマエくん!」
代わりに、影水晶がまた生まれた。
後片付けを終えるとパーティが始まる。キュアエコーのことは、キュアメロディがみなに紹介してくれて、妖精たちとプリキュア、垣根のない楽しいパーティだった。
〈あゆみ…〉
ふいに金色の雪が舞った。
「フーちゃん」
〈あゆみ、どうして、ここにいる?〉
「え…?」
みなが空を見上げた。声はそこから聞こえてくる。何が起こっているわからないキュアハートたちにはキュアハッピーが説明していた。
「どうしたの」
〈なんでもない。
悪い奴はいなくなったから〉
「…。
フーちゃん、あの影のこと、知ってたの?」
〈うん。
だから…だから〉
「あ」
やっと、オマエが言っていたことの意味が分かった。
「招待状、フーちゃんが?」
〈うん。
悪い奴があゆみのことを狙ってる。だから、フーちゃん、あゆみをここに来させたくなかった。
だから…だから〉
招待状があゆみのもとに届かなかったのは、フーちゃんが妨害したからだった。手紙の軌跡が途中で消えているのもそのためだった。
〈あゆみ、このパーテイに来たかった?
あゆみ、怒ってる?
フーちゃんが勝手に手紙を捨てたこと、怒ってる?〉
「怒ってないよ」
〈本当か?
あゆみ、本当に怒ってないか?〉
「うん。
フーちゃんは、私のために手紙を捨ててくれたんだもん。
怒るはずないよ」
〈あゆみ…。
あゆみ…!〉
雪が雨になった。妖精たちは大慌てで、テーブルの上の料理にシートをかけた。
「フーちゃん、大丈夫だよ。泣かないで」
〈あゆみ!〉
また後ろでは、先生も慌てていた。影水晶がひとりでに転がったのだ。
「危ない危ない。
また勝手に誰かの影を乗っ取ったりしたら大変だ」
〈それ、悪い奴!〉
フーちゃんが叫んだ。影響を受けたのか一陣の風。妖精たちはシートを飛ばされないようがんばっている。
「もう大丈夫だよ、フーちゃん」
だがフーちゃんは納得していないようだった。まるでフーちゃんが移動したかのように、雨の領域が移動していく。すると影水晶はそれを避けるように転がり始めた。
「?」
「どういうこと?」
「影水晶って、フーちゃんのこと苦手なのかな」
「意外な関係」
「…。
あ」
マンションにオマエが来たとき、ハンガーから落ちた青いジヤケットをかぶった途端、苦しそうに騒いでいた。そう言えばあれは、あゆみがフーちゃんと一緒に過ごした時期に好んで着ていたものだ。
「そうか。そういうことだったんだ」
なんとか逃げようとしている影水晶は先生とタルトが運んで行ってしまった。今度はもっと厳重なカギをかけることになるだろう。
「フーちゃん」
〈?〉
「ありがとう」
〈本当に怒ってないか?〉
「うん。
大好きだよ、フーちゃん」
雨が上がり、雪も消える。代わりに学校の上の木々の葉がきらめいた。照れているのかもしれなった。
「あたらしいともだちを紹介するね」
〈本当か?
みんな、フーちゃんとともだちになってくれるのか?〉
「モチのロン!」
キュアハートが大きな声で言う。よろしくね、という声がいくつも重なった。
「みんな、みんな、ともだちだよ。
ね…」
最終更新:2013年04月24日 23:08