悪夢との戦い/cherry




こちらに来てからしばらく悪夢を見ない夜は無かった。

見るのは決まって同じ夢。

そう、トランプ王国が崩壊し、アン王女とはぐれ、住民は全員ジコチュー化、そして私はこうつぶやくのだ。

「守れなかった・・・何も・・・」

そしてそこでダビィに起こされる。

「…こと、真琴。」

「ん、あダビィ……」

「真琴凄い汗ダビィ、またあの夢を見たんダビィ?」

「なんでもないわ。さあ仕事の支度するわよ。」

「あ、真琴」

こうしてダビィに心配かけたのも一度や二度では無かった。

自分の正体をあかし、マナ達を受け入れたことにより悪夢を見る事も少なくなった。

でもある日、私がマナの家に泊まりに行った日、

その日もやはり悪夢を見た、王国が崩壊する悪夢を……

でもいつもと違うのはその悪夢から起こしてくれたのがマナだった事だった。

「ぴー、まこぴー」

「ま、マナ……」

彼女の顔をみて安心したのを今でも覚えている。

「な、何でもないわ、ただ疲れていたから寝つきが悪かっただけよ」

そういって強がる私をマナはそっと抱きしめてくれた。

「マナ?」

「大丈夫だよ、まこぴー。きっとすごく苦しかったんだよね、大切な人や町がいきなり奪われちゃったんだから」

「…………………」

「でも大丈夫。私は何があってもまこぴーのそばからいなくならないよ。まこぴーと一緒にまこぴーが幸せになれるように頑張るよ。」

「マナ…マナーーうわーーーーーーーーーーーーん」

マナのその言葉を聞いていままでたまっていたものが一気にあふれ出した。

「うんうん、今日は気が済むまで泣いていいんだよ」

その晩私はまるで子供のようにマナの胸でん泣きじゃくった。こんなに泣いたのは初めてだった。

それから悪夢はほとんど見なくなった。でもたまに思い出しちゃってマナに泣きつかないも、その…ちょっと甘えちゃったりした事もあったけど、おかがで今ではすっかり悪夢から解放された。そう思っていたのに……

トランプ王国を滅ぼした憎きキングジコチューのむすめ、レジーナがあろう事かまた私たちのまえにあらわれた!

しかも、マナにむかってどの面下げて「ともだちにしてあげる」って…。

当然私はレジーナのことがゆるせない…!
マナも、私のきもちをちゃんとわかってる。
そう信じていたのに……

「いいよ、ともだちになろう!」

マナがそういったのを聞いて私は落胆した。

そんな……どうして……

私はマナがいてくれたから、マナが手を取り、抱きしめてくれたから王国崩壊の苦しみと戦える決心がついた。

なのに、何故……そのマナが私の苦しみと手を取り合っているの……

分からない……どうすればいいのかもう分からないよ……

お願い、誰か助けて……

でも一度は私を助けてくれて、力になっていると言ってくれたマナは今その苦しみの元凶と手を取り合っている。これではもうマナに甘える事が出来ない。

これ以上この光景を見ていたら私の頭はおかしくなってしまいそうだった。

だから拒絶することにした。

私の大好きな親友を……

To be continue into Episode 16
最終更新:2014年01月26日 17:51