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発掘兵器(I=D)test - (2008/04/17 (木) 03:18:51) の編集履歴(バックアップ)


アイドレス「発掘兵器(I=D)」(I=D)

(アイドレス「資源採掘地」から派生)

発掘兵器(I=D)

名称:・発掘兵器(I=D)

一般性能要求

発掘兵器は遺跡の中にあった4段変形可能なI=Dで、前ループのものと思われるドラゴン・メイルである。
大きさは20mを越える。
武装はレーザー兵器とビーム兵器、そして実体剣である


評価(前シーズン時)





評価:・体格25.63(評価8)・筋力25.63(評価8)・耐久力17.09(評価7)

外見2.25(評価2)敏捷25.63(評価8)・器用0.67(評価−1)・感覚1.50(評価1)・
知識1.5(評価1)・幸運1.00(評価0)



特殊

ファーブニルはI=Dとして扱う。

この機体は量産できないが1ターンに2匹の割合で増える。

このユニットは宇宙、空中、地上で戦うことが出来る。
ファーブニルの防御判定は×3.38(評価3)される。
ファーブニルは白兵戦、近距離、中距離戦闘行為が出来る。この時、それぞれの攻撃判定は×3.38(評価3)される。
燃料を1万t消費する。
戦闘時に1機につき燃料7万tを使用する。
戦闘時に1機につき資源7万tを使用する。
パイロットの1名の他、コパイロット2名を必要とする。
兵員25人分として数える。
アタックランク18として数える




→次のアイドレス:・発掘兵器からの転用技術(I=D)










発掘兵器ファーヴニル(Fafnir)





発掘兵器 Fafnir設定小説 玲音@になし藩国(2007/2008) 月空@になし藩国(2008)

Fafnirデザインおよびイラスト イタ@になし藩国(2007/2008) イラスト 瑠璃@になし藩国(2008)




発掘兵器ファーブニル 概要






イントロダクション



その「存在」について語るためには、いくらか時を遡ることになる。



 ことはになし藩国に資源採掘場が作られた、ターン5。I=D工場敷地から府利歩智岳(ぷりぽちだけ)

地下へと掘り進められていた穴が、巨大な空間にぶつかるという事態が起きた。。



 そこは明らかに人の手の入った、何かの遺跡であった。
加えて、明らかにこの土地にあってはならない、異質な空間だった。



  聡明なるになし藩王は一計を案じる。

 すぐにこの遺跡の秘匿が行われ、精鋭からなる調査隊の派遣が決定された。



 少なくとも、ここまでは至極まともな話であった。







どーしたものかな、と頭を抱えたのは摂政Arebこと、通称セレナちゃんである。

何しろ得体の知れない遺跡だ。どんな危険があるのかわからない。

いや、もっと直接的な表現をしてしまえば、生きて帰ってこれるかどうかも怪しいところだろう。

というか、藩王から調査隊の編成を任されて以来、誰もが自分から視線を外すのはどういうことか。

悩み抜いた末に、セレナちゃんはこう考えた。

要するに、調査隊などという大それたものを作ろうとするからいかんのである。

これは結局、誰をあの穴にぶち込むかという話ではないのか。

ここから先は早かった。秘密裏に実行された、「死んでも死ななそうなのアンケート」

はさっくりとその犠牲者を決めた。

さらに、「あー、でも護衛はいるよね」
のひと言から行われた騎士全員参加のあみだくじが、これまたさっくりと不運なる一名を選び出した。


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ぐだぐだ抜かすな一発死んでこい
と摂政Arebこと通称セレナちゃんに蹴り落とされた形である。




  実に、ターン6の終わり頃のことだった。





発掘兵器との遭遇





『絶対、あれは殺す気だったと思うんですよ。いや、明確な殺意があったかと言われれば微妙ですけど、

まあ死んでもいいかとか思いながら蹴り落とすのって、どっか訴えれば絶対に殺人未遂とかその辺の罪で……」



「……その文句は、生きて地上に戻ったときにするですよ」



 死んでも死ななそうなのアンケートで一位に輝いた玲音と、あみだ運ごときで死地に送られた瑠璃は、
そこで同時にため息をついた。

とりあえず、何かを見つけるまではロープは下ろしてもらえない約束、というか脅迫になっている。



「大体、暗くてよくわからないのです。もっと大きなライトをもって来るべきでした」

 瑠璃が手に持った照明であちこちを照らすが、充満する圧倒的な量の闇を浮き立たせるばかりで何もわからない。
まるで、無限の闇の中に取り残されてしまったような、尋常でない孤立感がある。
地上の光も欠片の役にも立っていない。
 玲音は、唯一存在が実感できる地面を足先でつつきながら、

「空間が広すぎるんですね……。いったい、何のためにこんなものを」

「たぶん、それがわかるまでは帰れないと思います。わたしたち」


 それは言って欲しくなかった、とばかりに玲音は首を振った。瑠璃もため息。
とりあえず壁にぶつかるまでは進もうと、適当に方角を決めて二人は歩き始めた。半ばヤケクソだった。
 どれくらい歩いたのかはわからない。暗闇は距離感どころか、時間の感覚すら麻痺させていく。
ともあれ、二人が「やってられるかバカやろー」
とセレナちゃんとの全面戦争を決意する前にそれを見つけたのは、ひとつの幸運ではあった。


 明かりの先に現れた、壁画の描かれた巨大な壁と、精巧に作られた台座。

 ——つまるところ、明らかな人工物。

 瑠璃は首をかしげた。

「台座だけ、っていうのは妙ですね」

 じっと何かを見ていた玲音が、呟くように、
「……瑠璃さん、ちょっと壁を照らしてもらえます?」

「え? あ、はい。と……あれってドラゴンの絵ですか?」


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いえ、その下です。なんか文字みたいなのが」

 瑠璃は目を凝らす。確かに文字だった。順番に声に出して読んでいく。

「エヌ、アイ、ディー、エイチ、オー」

「ニーズヘグ……」

 玲音がつぶやいた。

「はい?」
「北欧神話のドラゴンです。ニドヘグ、ニーズホッグとも読みます。何でこんなところに,,,,,
いや、ていうかそもそもどうしてアルファベットが」

「あの、玲音さん」

 気付けば、瑠璃は左にライトの光を向けたまま、固まっている。その先に視線を動かして、玲音も固まった。

 明らかに空間としての闇ではない闇色の何かが、鈍い光を照り返していた。


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 先に我に返ったのは玲音だった。走る。ワンテンポ遅れて、慌てて瑠璃も後を追った。

「これは……ドラゴン?」

「I=D、なんでしょうか?」

 先ほどと同じ台座に鎮座していたのは、巨大な黒竜を思わせるひとつの機体だった。全長二十メートルはある。
形容するならば、そう、あまりにも禍々しい。


 玲音は震える声をごまかしもせずに、

「……こいつは……こんなものが見つかってしまっていいのか?」

「玲音さん、玲音さん、やっぱり壁に文字が」

 瑠璃によって照らされたそこには、同様にアルファベットの羅列が存在した。

 玲音はゆっくりと、それを読み上げる。



「Fafnir——ファーヴニル」




3rd form Fafnir





「いやー、というわけでお待たせしました藩王。発掘兵器ファーヴニル。ようやく解析終了し、使用の目処がつきました」



「……本当にお待たせしましただな。あのな。知ってるか? もうターン9だ」


「はっはっは。最終決戦に間に合ってよかったじゃないですか」


 玲音笑う。どうしようもない時にしか笑わないのがこの男であり、それでになしは全てを諦めた。



「では、結果を報告してもらおうか」



「はい。ただいま」

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「えー、まず基本的な性能からご説明します。これが発見された時のファーヴニルの姿。我々は、第三形態と呼んでおります。

いろいろと解析不能のシステムはありますが、基本的に有人式のI=Dの一種と考えていただいて構いません。

動力源は一種の永久機関で、よくわかりませんがエネルギーが発生してます」



「……それは、大丈夫なのか?」



「非常に安定はしていますね。ええと、一種の世界移動技術を用いて、別世界から熱量を取り出しているのではないかとかなんとか」



「あやふやだな、おい」



「ははははは。その手の話に疎いのは、建国当時からわかっていたことじゃないですか」



「有人式と言っていたが、パイロットはどこにどうやって乗るんだ?」



「はい、ちょうどドラゴンの脊髄にあたる部分がですね、こうぱかっと開きまして、

そこに入って神経接続をする形で——あ、写真をお見せしましょう」



「……なんか逆さまになっとるが、大丈夫なのか?」


「ええ、特に問題はありません」


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「というか、乗っているというよりは、こう……取り込まれているような、そんな雰囲気がひしひしと」



「うん、多分そんな感じなんだと思います」



「いーのかそれは!」



「いいみたいですよ。パーツの一部として大事にされるみたいで、トモエの棺桶に座ってるよりは百倍くらいマシと搭乗者の声も」



「そ、そういうものか?」



「はい。かく言う私も乗ってみましたが、これがもう、なかなかの乗り心地で。

しかもファーヴニル側から自動的に体調チェックがされたりなんかして、至れり尽くせりと言いますか」



「……いや、まあパイロットやってるお前がいいんなら、これ以上は言わないけどな」





「では、順番に各形態の機能説明と参りましょう」


「全部で四つの形態に可変するのだったな」



「はい。まずは先ほどお見せした、ドラゴン型の対地形態。上空をホバリング飛行し、驚異的な火力による高い制圧能力を持ちます」



「ロケットエンジンのようなものが見えないが、どうやって浮くのだ?」



「実際には浮いているわけではないみたいです。ごく短い周期で瞬間転移を繰り返し、一定座標に『存在』しているのだとか。

擬似的に重力を無視している形ですね。推進は圧縮した質量を発生させ、それを開放することによりその反動で加速します。

一種の爆発ですね。後ろにいるとやばいんで注意してください」



「……うん、余が悪かった。そのあたりはもはや何も言うまい」



「主要武装は、口——に見える砲口から放たれるプラズマビームです」



「プラズマビーム?」

「火炎放射器の親玉みたいなものと思ってください。圧縮された超高温のプラズマを放つことで、どんなものでも灼き尽くします」



「いやまたお前、どんなものでもとかあやふやなこと言って……」



「いえ、本当にどんなものでもです。この温度になると、もう燃えるとかそういう次元の話ではなくなってきますので」



「も、もーちょっと安心して聞ける話題はないのか?」



「あ、レーザーがありますよ、レーザー。口内のプラズマビーム砲の周りに全十二門。

可動範囲が広いので、周囲に火線をばら撒くのに使えます。輪のように並んでいるので、リングレーザーと呼んでいます」



「おお、レーザーなら比較的よく見るな、うん。威力はどうなのだ?」



「試しに一発撃ってみたら、並べたダンボール用の装甲十五枚を貫いて、空の彼方へと飛んでいきました。

ああ、レーザーなので目には見えませんでしたが、比喩として」



「……いや、あのな、あんまり威力があってもどうかと思うのだが。というか、それ普通のレーザーなのか?」



「レーザーですよ。ただ出力がバカでかいんで、これまた大抵のものは貫く感じです。いやまあよかったじゃないですか。

マンガにあるような、撃ったら爆発するレーザーとかでなくて。わはは」



「ま、まあそうだな。ただ威力が高いというだけなら、まだ理解が追いつく」



「爆発するレーザーはこの次です」


「あるではないか結局!」



1st form Vizohunir






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「……えー、こちらが空戦形態、通称ヴィゾフニル。高速飛行能力を持ち、空間制圧能力に優れています。

武装は艦首リングレーザーおよび、機体上部と下部に二門ずつ形成されるレンズからのレーザー式対空間砲。

それから艦首プラズマビーム砲です。ただし、プラズマビームは射程が短いので、空間戦闘ではあまり有効ではありません。

レーザー兵器が主要武装になると思います。あ、ちなみに最高速度は亜音速です。光の速度とか出ませんので、安心してください」



「待った。お前さらりと流したが……ひとつ聞き慣れない単語があったな?」



「さすが藩王。お目が高い」


「いや、見とらんが。つーかなんだその対空間砲というのは。またなんかあやふやな名前だなー」



「ええ、まあいろいろ考えたのですが、これまでに該当する兵器が無いもので、適当にぼかしてみようかと」



「確信犯か。それで、その兵器が爆発するレーザーとやらなのか?」



「はい」



「どういう仕組みなのだ? ええと……余も詳しいわけではないが、レーザーというものは光だろう? どうして光が爆発する?」


「研究者によると、理力に似たシステムであるとのことです」



「ふむ」



「藩王もご存知と思いますが、理力は『ことわり』を分けることによって、威力のみを抽出し破壊を起こします。

そして『ことわり』を分けるということは、一種の情報です。ヴィゾフニルはその情報を光にして、撃っていると思われます」



「一種の理力兵器か。しかし、搭乗者でなく兵器自体が理力を使うなど聞いたこともない」



「あくまで理力に似ているというだけです。本質的にどういうシステムなのかは、いまだ分かっていません」



「うむ、いい加減その言葉に慣れてきている自分が怖いな」



「性能としては簡単で、レーザーの焦点に爆発を起こします。詳しい理論はまだ調査中ですが、

どうやら圧縮した空間が元に戻る衝撃で破壊的な圧力を発生させているようです。

そのため、大気中、水中、宇宙空間場所を問わず威力を発揮できます。

爆発の範囲は半径100mほどから2kmほどまで威力調節が可能。

ただ、最大威力でもファーヴニルほどの攻撃力はありません」



「なんでも万能とはいかないものだな」



「はい。せいぜい建物が吹っ飛ぶくらいです」

「……いや、念のため言っておくが、その常識のインフレは早めに直しておいた方がいいと思うぞ」




2nd form Gungnir




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「で、こちらが突撃形態グングニール。名前の通り、投げたら戻ってくる槍です」



「ん? 2機あるようだが」



「はい。小さい方がパイロットが搭乗する脊髄部が変化したもの。大きい方が無人機になります」



「ふむ。それで武装は?」



「ありません」



「……すまんが、もう一度いってくれないか?」



「ありません。つーかありません」



「二回も言わんでいい。で、どういうことなのだ、一体」



「どうやら武装が形成されるとそこが脆くなる為だと思われます。まさに全身装甲。

で、そんな無人機部分が敵に突貫し、ぶち貫いた後戻ってきます。以上説明終わり」



「いや、終わるな。なんというか、他に無いのか?」



「そう言われましても……他に使い道が一向に見つからず。
あ、一応突っ込ませた後自爆とかも可能っぽいです。元には戻りませんが」



「やめような、そういう使い方は」



「ははは。まあいいじゃないですか、どうせターン9」



「はてない的終末思想だなあ」



「はい、ノリにノッて参りました。いよいよ最後、クライマックス!」



「いや、別に無理に盛り上げんでいいぞ」



「そうですか。じゃあ普通に」


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「相変わらずの落差だな。お前我を忘れてはしゃぎ回ったこととか無いだろう?」



「はい」



「……少しは考えてくれ。悲しくなるから」




4th form Lif




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「ともあれ、これが白兵形態、名はリーヴです」


「なんかここに来て普通っぽい名前だな」



「でもないですよ。北欧神話において、リフトラシールと共にラグナロク後生き残った人間の名前です」



「リフトラシール? どこかで聞いた気が」



「武装は見ての通り、装甲が凝縮、
さらに硬質化した実体剣。それから、指に変化した部分にプラズマビーム砲が形成されますが、}

これは砲というよりは剣のような形で振り回して使用します。通称プラズマソード。

さっきも言いましたが、火炎放射器の親玉みたいなもんですね」



「つまり、実体剣と炎の剣の二刀流か。何ともはてない的でよいではないか」



「はい。質量、熱量と別種の威力を扱うことで、あらゆる防御をぶち破る、最高の白兵能力を有しています。

他の三形態と同じく浮遊も可能。ただ、その形状から大気中での最高速度は限られてきます。

代わりに推進機関が四肢にありますので、アクロバティックな機動が可能です」



「まさに自在に舞う騎士だな。まさに我が国に相応しい」



「おかげで理力使いとパイロットはイマイチ目立ってないんですけどね。わはは」



「うむ。それぞれの形態の役割はよくわかった」



「それはなによりでございます、藩王」



「いや、いきなりそういう態度を取っても遅いからな、お前」



「恐悦至極」



「言葉の意味わかっとらんだろ。ともかく、今度はもうちょっと機構まわりの話を聞きたい。

原理が分からんのは仕方ないが、それでもメカニズムくらいは知っておかないと、どうにも怖くて使えんからな」



「そうおっしゃると思っておりました。詳しい人物をお呼びしております」





 笑い声が聞こえてきたのはその時だった。それも普通の笑い方ではない。なんというか、要するに、




「おーっほっほっほっほっほ」




 という類の、男の声であった。


 になし藩国のI=Dデザイナにして淑女の男。イタである。


 イタ、最高速度に達したところで高く跳んだ。空中三回転半捻り。

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「とあー」


 窓を突き破って部屋に入ってくる。



「うおおお! 大丈夫かイタ。お前もノリノリなのはわかるが、もっとこう、いい加減常識をわきまえんと」



「ご安心を。窓ガラスは昨日の内に特撮用の模造品に取り替えておきました」



「……ああ、そう。いや、お前にはもはや何も言うまい。ターン9だしな」



「そうです藩王。ターン9です」



 玲音笑う。笑いながら藩王に殴られた。そのまま棒のようにぶっ倒れる。



 イタが完全にのびた玲音を見下ろして、続いて藩王を見て、


「珍しいですわね。セレナちゃん、というかうちの摂政ならともかく、藩王が手を上げるなんて」


「いや、セの字のように暴力藩王とかイメージがつくと嫌だったからな。が、もうターン9だ。どうなってもよかろう」



「なるほど、それもそうですわね」


「というわけで、代わりにイタ、お前が説明をしてくれ」


「もちろんでございます。そのためにわたくしは現れたのですから。ほほほほほ」




「……まっとうな人材が欲しい」




 今さらな嘆きだった。



テクニカルデータ


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「まず、動力源から説明いたします。既にご存知と思いますが、この機関は世界移動技術を用いることによって、

擬似的に永久機関のような働きをしておりますの。取り出されたエネルギーはさまざまな形で使用可能。

つまり、レーザーやプラズマビームに用いるような電力としての用途はもちろん、圧縮質量を発生させたり、

転移による擬似重力遮断をしたりといった、謎のエネルギーとしての利用もできるわけですわ」



「謎って……後の二つも電力じゃないのか?」


「それにつきましては、何しろ原理が不明。よって、何で動いているのかも不明というわけですわ。ほほほほほ」


「……お前はごまかしで笑ってることが分かる辺り、まだ可愛げがあるな」



「こほん。次に推進機関。圧縮した質量を開放することで反動を得るわけでございますが……
これも実は謎だらけ。そもそも、なんの質量を発生させているのか、いまいち分かっておりません」



「どういうことだ?」



「どうも、実際に物質が現れているわけではない様子。

物理域を騙くらかして、質量があるという現象を発生させているようなのですわ。

なので、元の物理域に従って質量は開放、自然と反動が得られるわけでございます」



「……すまん、言ってることがよくわからんが」



「ご安心くださいませ藩王。わたくし含め、誰一人として本当のことなどわかっておりません。

これら全て、わたくしどもの科学を千歩譲った上の仮説でございます」



「不安が増してきたなー」





「次は、変形機構について、でございます。

これは各パーツの組み換えによるものというよりは、物質自体が変異していると言った方が正しいですわね。

もちろん、いくらでも不定形に姿を変えられるわけではありませんが、

翼が剣になったり、表面にレーザー発射口のレンズを作ったり、といったことは朝飯前のようで」



「強度としてはどうなのだ? 話を聞くとこう、なんかぐにゃぐにゃしてそうなのだが」



「装甲として見れば、一般的なI=Dの硬度をはるかに上回るもののようですわ。

もっとも、トモエリバーと比較することが間違っておりますけども」



「ふむ」



「加えて、自己再生能力を持っておりますので、多少の損壊などものともしません」



「つまり……ほとんど無敵か?」



「いいえ、さすがに中がやられれば再生はききませんし。

例えば、この機体についてるプラズマビームなんか受けたら一撃で落ちますわね。
つまり、そういう次元の兵器ということですわ」



「なるほど」



 になしうなずく。じっと何かを考えるように黙り込み、やがて、


「イタ。優秀なI=Dデザイナとしてのお前に聞く」


「ええ、なんなりと」


「この機体、お前はどう思う? 率直なところを聞かせてくれ」




「……危険ですわ。間違いなく」



封印解除!





「そうか」


「玲音さんもおっしゃってました。これは、この世界にあってはならないものだと」}


「それでも、余はこれの封印を解こうと思う」


「ええ」
「国の者は、帝國の者は、余を愚かと笑うだろうか」


「それはわかりませんわ、藩王。ただ——」


 イタ、笑う。それはいつもの笑いではなく、至極まともな、男らしい顔だった。



「我々は、どのみちはてない。バカの国でございます。最初から最後まで愚かであって、その責任をまっとうするが役割でしょう」


「我々らしく、か」



「その通りでございます、藩王」



「……なんだ玲音。もう復活したのか」



「慣れておりますゆえに」


「ふん、慣れているか。余もはてないの者。いい加減、バカのノリに慣れねばな」


 になし、可愛い顔に似合わぬ獰猛な笑顔を見せる。今ならば、大切なもののために魔王にだってなってみせそうな、その姿。


「発掘兵器ファーヴニル。今この時をもって開封する。よいか、我らは最後までバカを押し通す!」


「御意に」


「よろしくてよ」




 玲音とイタがその場にひざまづき、やはり不敵に笑った。






つづく






発掘兵器ファーヴニルに関する補足事項





 グングニール、ヴィゾフニル、リーヴの名称については、あとから玲音によってつけられたもの。

また、「Fafnir」はいくつかの読み方が存在し、「ファフニール」とも読む。「ファーヴニル」とは玲音の読み方に基づく。



 ファーヴニルが発見された遺跡の正体については、調査は難航中。当初は半分以上が土砂に埋もれているものと思われていたが、

掘り返した先には何も存在していないことが判明した。このことから、発見されたのは全体のごく一部であり、

「元の遺跡」からこの部分だけが藩国の地下に現れたものと思われる。原因は不明。



 ファーヴニル同様に台座が存在した、ニーズヘグについては詳細不明。また、他にもいくつかの台座の一部が発見されており、

他種の兵器、あるいは同種の兵器がまだ世界に存在していると思われる。詳細は不明。



 回収されたオズル、チルなどの敵機と、いくつかの機構が似通っている点について。詳細は今もって不明。現在調査中。







「思った通りに動く!」発掘兵器ファーヴニル、操縦ガイド





 ここからの文章は、発掘兵器ファーブニルが発掘されたとき、藩の騎士でありコパイロットであり


 吏族であり、そして文族(事象を文章で描くことを生業とするものたちである)であった「月空」が 


 書き残した、いわゆる小説である、この時代のニューワールドの人間達は「歴史」「議事禄」などを


 小説や詩編、唄などで残し、子孫に伝えることをしていたようだ。

(上にて描かれた「になし藩王」と「玲音、イタ」とのやりとりも同様である。)







その日、になし藩国のパイロットであるコーラルは飛行場に居た。


新たな機体…発掘兵器「ファーヴニル」のテストをする為であった。


ファーヴニルを前にしてコーラルは、まず初めになんだこりゃ。と思った。


自分の知るどんな機体とも合致しないフォルム。何で出来てるかわからない装甲。

感覚で操縦するらしい事。しかもレーザーが出たり変形出来たりするらしい。

機体の説明をするイタにコーラルは尋ねた。

「そんなのもI=Dって言うんですか」

「まあ、あくまでも分類上の話になりますわ」

「分類上、ですか」

「ええ。この子について詳しい事は、わたくし達の技術レベルでは殆ど何もわかりませんので」



コーラルは、自分の目の前に「いる」機体を改めてよく見た。

何かを自分に語りかけるような、そんな感覚を抱く。



そこに月空が歩いてくる。

彼とイタは、今日ファーヴニルにコ・パイロットとして搭乗する事になっていた。

「イタさん、コーラルさん、こんにちは」

「ごきげんよう」

「こんにちはー」

「改めて見ても、不思議なものですね。ファーヴニルは。なんか、ファヴさんって呼びたくなります」

「良いと思いますわ。この子はそう言うことがわかりますし」

「では、その様に。ファヴさん、今日はよろしくお願いします」

「…ではお二方、準備はよろしいかしら?」

「いつでも」

「オッケーですよー」







中枢システム、および補助システムのログインを確認。

体調チェック,,,,, 良好。中枢システムに若干の緊張が見られる。



見透かされてる、とコーラルは思った。一つ息を吐く。

大丈夫、やる事はいつもと同じだから。



全システム異常なし。

是より我はそなたの手となり足となる。



そう聞こえた次の瞬間、コーラルはファーヴニルが

まるで自分の体の一部になったかのような感覚を得た。



,,,,,,,じゃあ、飛ぼう。



「コ・パイ両名へ。飛行テスト開始します」

「了解」

「了解ですわ」



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ファーヴニル、飛ぶよ。







コーラルは自分が,,,,ファーヴニルが飛び立つイメージを描く。

そのイメージどおりにファーヴニルは動き、空を駆けた。







月空、イタの両名は外を見た。全体はすりガラスを通して見るような感じなのに、

見たい所はクリアに見える。月空は試しに真下を見た。になし藩国の風景が見える。

「現在プリポチタケ上空を飛行中。城が見えてきました」

「上から見るカルデラ湖もオツな物ですわねえ」

「城からなら、ちよこ様を乗せたまま見た事ありますけど…高度が全然ちがいますね。飛行船に乗ってるみたい」

「私もみたいよ月空さん。見せて」

「ええと、どうやった物だか。イタさーん」

「視覚を渡すような感覚でやれば出来ると思いますわ」

視覚なんて渡した事ないけど…と月空は思ったが、要は見せればいいんだと思いつく。

自分が見た映像を直接誰かに配信するようなイメージを作る。

コーラルは月空が見ている映像と同じ物を見る。

城の見張り塔からこちらに手を振る騎士の姿が見えた。

コーラルはそれに応える様に、機体を一回り旋回させた。







「如何でしたか?乗ってみた感想は」

「不思議な時間でした。自分が空を飛んでたみたいで。色んな事がありすぎて、ちょっと頭が痛いです」

自分の頭を撫でながら、コーラルはイタの質問に答えた。

月空が後ろで、ファヴさんお疲れ様でした。と言っている。

「初めて乗ったにしてはとても上手な操縦だと思いましたわ。感覚で動かすと言う事をよくご存知のようで」

「あははは…感覚で生きてますから」

コーラルは照れたように笑った。

その様子を見ていた月空は、ふと強烈な空腹感に襲われた。

昼食を食べてない事を、思い出した。

「お二方、何か食べに行きませんか?私もう、腹ペコで」

「あ、行く!行きますよー私もお腹空いた」

「わたくしはもう少しこの子の側にいる事にしますわ。ごめんなさいね」

「わかりました。じゃ、行こうか」

「行こう行こう行きましょー」

「行ってらっしゃいませ」



コーラルと月空は飛行場を出ようと歩きだす。

ふと、コーラルは自分を呼び止める声がした気がして、振り返った。

ファーヴニルがテスト前と同じ様に、そこに居た。



また飛ぼうね。ファーヴニル。



心の中で呟いて、コーラルは月空を追って再び歩き出した。







READY END


2008 加筆及び挿絵の追加(v2.0)編集 イタ@になし藩国