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EV165 産業育成 - (2010/09/20 (月) 02:36:03) のソース

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産業育成。
その言葉と出会って、まずになし藩国では「そもウチの国で何やれるのよ」がまず第一であった。
結構裏ではいろんな企画があーでもないこーでもない、と立ち消えていたりする。
ウチの国ならでは、と言ったものは特にはない。(除くぽち関連。そももはやぽちに関するものはになしの民にとって心根の根っこのほうであり、日常の一環のふしがあった)

それが何故、半導体産業になったのか。
きっかけは普段使ってない頭をフル回転させ、連日におよぶ藩国首脳会議困り果てた先の藩王の一言であった。

「・・・・大鉱山からの出土品で、半導体などどうだろうか」
困っていた藩王の視線の先には窓。見える景色はになし藩国はど真ん中、政庁眼下に広がる府利歩智岳(ぷりぽちたけ)。

会議に出ていたものは姫のおみちびきやーと顔を輝かせたという。(伝聞調


しかしそこからトントンとはいかなかった。
になし藩国では半導体産業を興すことになってからこっち、ドタバタが続いていた。
まず、計画がたってからの期間の長さ。
やっと開始するかと思ったらクーリンガン騒動。
ようやく落ち着いた先に今度は宇宙怪獣騒動。
が、めげてはいられないのだった。
たとえ未来に襲撃があろうとも、国民の生活は変わらなく続くし、NWに明日はやってくるのである。
雇用問題や、藩国力の強化、帝国の一端として、少しでも姫に喜んでもらえるかなーなどなど。
われらがぽちさまもまずは生産力を見せましょう、とおっしゃられていた。
ならばやるだけである。
こんどこそは、と藩国首脳部は意気込んでいたのだった。


そも半導体とは、電気を良く通す良導体や電気を通さない絶縁体に対して、それらの中間的な性質を示す物質である。
一般的には電化製品などの重要なパーツ、であろう。
原料として、多くはシリコン(ケイ素)を使用している。

また、ここNWではI=Dにも半導体は使用されている。
繊細なパーツであるが、その消費については新しく生産される機体、たび重なる戦闘、経年劣化、整備毎のメンテナンスなど、各方面に及んでいる。
勿論その国家の物理域にもよるが、そういった意味でも半導体の需要のほうはあった。
日常のためだけではなく、明日のための戦いにまで、と範囲が幅広い用途があるからこそ、やりがいのある事業でもある。

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勿論新規産業は何かと資金がかかるものである。
そこは公共事業の一環ということで、立ち上げにあたっての必要資金、必要資源の援助。
および採算が見込まれるまでの関連事業の税収の減税の形をとることになった。
一時的に藩国財政には負担が来るかもしれないが、将来的には得るものは多いだろう、という判断である。


そも、になし藩国では半導体素子を作っている企業は一個もなかった。
半導体自体はⅠ=Dのために作られていたが、そこまで1から作っていなかった。
になし藩国内には大鉱山があり、豊富な埋蔵資源があった。
もともと自国内には金属精錬のための工場もあったが、産業としてはそこまででもあった。鉱物をインゴットにして大体終了、なのだった。
そこから先は必要なところへ、からの一歩、である。
単純に1次産業だけで終わるより2次産業までいったほうがいいじゃない、という思惑もあるが、
踏み切った理由のひとつとして、技術力の向上の点がある。
これに関しては友邦国である星鋼京の影響が大きい。
Ⅰ=Dの里、というふたつ名をもつかの国よりもたらされた関連技術の恩恵と言えよう。
半導体素子作成まで一貫して自国内で行っていく、というある種大きな一歩だった。




まずその第一歩として始まったのは工場の建設からだった。
新しい敷地は新規産業がになし藩国内資源採掘地、大鉱山と密接な関係にあることから、
藩国北東部のI=D工場および工業地帯に設ける計画になった。

半導体素子製作のために必要な工程のひとつであるシリコンインゴットの作成事態は
鉱山から出土した鉱物を製錬および精錬する工程のノウハウをそのまま活かせる。
が、事業拡大となると人手も工場も増やさなければならない。
増える人手に対してはベテランの製錬工場職員による監査・教育の手がずんずんはいった。


主として、作成作業はクリーンルームとよばれる、精密機械に対して大敵である埃を除去できる環境下で行われる。
おおざっぱに説明すると部屋の内部の圧・気温・空調をコントロールして埃を取るような仕組みである。
勿論人が管理のために入室する際は、作業用服の着用および、エアシャワーによる埃除去など徹底して行ってからの入室となる。


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一例として、PCパーツにおける作成手順をみてみよう。
ここで作成するのはp型半導体、n型半導体、と呼ばれる種類である。
上記の違いは、まず作成するのに使用する混ぜ合わせた物質の種類が違うこと、そして電子の移動における方向性の違いである。


物事を作るには何事もまずは雛型から。開発計画、というやつである。
ちょっと前までなら開発計画、えー、な世界であったことは想像に難くない。
が、現在のになし藩国においては、そう言ったことも問題なくこなせるようになっていた。


まず、計画に基づいて作りたいICの機能や性能を決め、つぎに、その機能を実現するために、論理回路設計をおこなう。
論理回路設計では、必要な機能をどのような電子回路で実行するかを決定する。
完成した論理回路図に対してシミュレーションを繰り返しおこない、動作を確認し、
動作に問題がなければ、論理回路図をもとにCADを使用して実際の素子と配線のパターンとなるレイアウト設計を行い、マスク用図面を作成していく。
論理回路設計およびレイアウト設計後、IC回路をウェハー上に作り込んで行く。
そのために、ウェハー上に設計図を転写するフォトマスクを準備する。

シリコンインゴットをスライスして、シリコンウェハー、薄い円盤を作り、ウェハー上に酸化膜、フォトレジストを塗布する。
フォトレジストは先ほどのフォトマスクをウェハー上に現像するためのものである。
現像作業の後、エッ チング加工により、酸化膜、金属膜の食刻加工がされる。
一旦残ったフォトレジストは除去されるが、これは一回では終わらない。
酸化膜形成からフォトレジスト除去までのパターン形成手順を何度も繰り返しおこない、ウェハー上に複雑な回路パターンをつくりこんでいくのだ。
一度に細かい作業ってできないものだよね、とか立体物は下から順に、といえばなんとなくわかってもらえるのではなかろうか。
設置のための下図を書き込む作業、という要約でもよい。

実装する際、素子間を電気的に分離するために素子間分離層(フィールド酸化膜)を形成する。
また電子の流れを調整するためのトランジスタを形成する。
トランジスタは名前だけなら知っている人も多いだろう。増幅、またはスイッチ動作をする半導体素子、というものである。
そして配線を設置し絶縁体で覆い、実際に動作するか、検査を経たのちに、これをダイヤモンドカッターで切り分ける。
一つのウェハーからいくつものパーツが出来上がっていく。
そしてパッケージングしようやくその後、これらの部品は必要とされるパソコンやテレビといった様々な電子機器内部に搭載されるのである。



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作成された半導体の利用先について国内使用分はお届けしてきますー、で済むが、注文の大部分は国外分である。
こちらの輸出分につては、やはり貿易大国でもある星鋼京、。
また、産業的に電子大国である越前藩国からのシェアもありがたいことにとてもおおきく、
また、土場藩国のアーケード筐体や重工業への部品産業としても十分な発注はありそうである。
いずれになし藩国印の半導体部品が各国のいろんな製品のパーツとして使用される日もそう遠くはないだろう。


産業として安定したら、将来的にはシリコンゴム・オイル・樹脂類にも事業拡大の予定である。
シリコン関連での利用形態は幅が広く、そちらの分野でも発展が見込める予定であった。
工業化の波は来ているが、それで自国内の他産業、具体的には今まで主産業であった農業を圧迫しすぎてもいけない。
また、工業化による自然への影響も慎重に気を配りつつ、になしの産業育成は今日も続くのであった。