ヴォルケンリッターの主な仕事は、というよりも最優先事項は、はやての生命を護ることである。
 ヴィータが蒐集を行っている間はシグナムなどの他のメンバーがはやてを護り、その逆の場合はヴィータ、という感じになる。
 ヴィータの持つ闇の書から中継されてくる映像を見ていたシグナムは、加勢すべきかどうか悩んでいた。シャマルは既に行ってしまった。リンカーコアを根こそぎ奪うなら話は簡単だが、生命維持ができる程度に残すとなるとヴィータの力量では無理がある。
 ヴィータ、ザフィーラ、シャマルは用事があるということでご飯はシグナムとはやての二人で食べた。
 あの白いバリアジャケットの魔導師と、槍を持った戦士。ザフィーラは距離的にまだ間に合っていないようだが、今シグナムが出れば確実にリンカーコアを奪うことができるだろう。
 それに、そう、あの槍型ストレージデバイスを持った魔導師の方だ。
それなりに腕が立つようだ。シグナムは思った。
 本人は否定しているが、彼女は戦闘狂といっても過言ではない程戦いが好きだ。
 自らの欲望とはやての麻痺を治す為。両方を満たすことが出来るなら、行くべきではないか。シグナムははやてに声をかけるべく腰を上げた。



 ≪Divine Shooter Full Power.≫
 「コントロール―――シュート!」

 八つの桜色の魔法誘導弾がヴィータに肉薄する。
しかしヴィータは、その体を素早くビルの谷間に隠し、誘導出来ないようにする。結果、目標を目視できなくなったなのはは適当な場所に仮想のヴィータを配置、誘導弾を操作する。
爆音。ビルの窓からガラスや外壁が粉々に砕け散る。

 「カートリッジロード!」
 ≪Explosion! Raketenform.≫

 二発のカートリッジの中の魔力が食いつくされ、内部機構が変形、瞬く間にグラーフアイゼンのハンマーヘッドの片方に小角が生え、もう片方にロケットブースターが現れる。点火。ビルの谷間からヴィータは一陣の風となって飛び出した。

 「いくぞ!!」

 右へ左へ、物理学を無視しているような動作で宙にヴィータの小柄な体が舞う。誘導弾では間に合わない。タメのある魔法弾でも間に合わない。
なのはは、とっさにレイジングハートに命ずる。

 「散弾モード!」
 ≪Shot Buster.≫

 直射型のディバインバスターのバリエーションの一つ。近接において、散弾銃が如くばらける弾を発射する砲撃魔法。
 上空にいるなのはに、ヴィータが火炎を吹くグラーフアイゼンを構えつつ肉薄する。
 収束する桜色の魔力素は、レイジングハートの先端部に丸い円球状となる。展開する幾つかの環状魔法陣――ただし、ディバインバスターよりかは小さく、そして早く展開する。

 「ラケーテン、ハンマー!!」
 「ショット……バスター!」

 桜色の幾つもの嵐が轟音と共にヴィータに襲いかかった。
しかし、普段より加速がついていて、しかも力を持った青い粒子を障壁のように纏ったヴィータを止めるには至らない。

 ≪Protection.≫

 術式強制解除。回路変更。オートガード作動。
 ハンマーヘッドがなのはに衝突する直前で障壁が割り込んだ。
しかし、

 「ブチぬけぇぇぇぇ!」
 ≪Jawohl.≫

 火炎が止まらない。
二人の間を隔てる壁から火花が上がる。
 ヴィータの声で幾分力を増したグラーフアイゼンが、数秒拮抗していた障壁を打ち破った。
 なのはのバリアジャケットの上半分が力を相殺すべく強制パージされ、結果的に空中で大勢を大きく崩すこととなった。むしろ、まだ空にいれる方が称賛に値する。

 「地面にキスでもしやがれッ!」

 しかし敵もそう甘くはない。
 火炎の納まったグラーフアイゼンを片手、ヴィータは易々となのはに接近し、むんずと首根っこをつかみ、体の回転を加えて思いっきり地面にブン投げた。

 「なのは!」

 屋上のコンクリートに墜落したなのはを見たキールは、己が空を飛べないことをこれ程憎く思ったことはない、という顔で叫んだ。
そう、彼はほとんど飛べないのだ。だから、二人が接近戦に入る前に槍を投げることは出来なかった。
 もし、もしも、なのはに当たったら。
 相手の理由は分からないが、きっと良いことにはならない。
非殺傷設定を使っている辺り、ひょっとしたら理性的に話せるのかもしれないが、なにか怪しいことの実験台として使うため、無傷のままに捕まえようとしているのかもしれないではないか。
 人間の体を弄りたいなんて思考の人間は、いないで欲しいが、様々な方面に五万といるのだ。
 もし今ここでなのはが落とされたら、ヴィータと二人で接近戦にもつれ込むのは明白。応援もいつ到着するか分からない。うっかり負けでもしたら、と考えると怖い。
 それに、ずいぶん手慣れた戦い方だ、とキールは考える。
 外見は小学生程度だが、ひょっとするとそういう種族で、戦闘経験豊富な戦士なのかもしれない。経験でいったら自分はまだ浅い。
 しかし、やるしかない。
 キールはコキュートスを握り締めた。
 身体強化開始。魔力調整。神経・筋肉・骨格強化。血流強制増幅。

 「これじゃ終われねー! いくぞオラァ!」

 キールは、地面にひび割れが出来るほどに強く跳躍し、一度空中でミッドチルダ式の魔法陣を展開、それを踏みつけてさらに距離を稼ぐ。
 さらにヴィータが打った鉄球を体を捻ってかわすと、拘束するために鎖を投擲した。

 「同じ手を食らうと思ってんのかよ!」

 しかしヴィータは冷静だった。ただ一度グラーフアイゼンを振るうだけで迎撃する。

 「かかった……!」

 鎖に強烈な冷気が流れ込む。ものの一瞬で鎖は凍結し、同時にグラーフアイゼンに張り付いた。驚愕の表情を浮かべるヴィータ。キールは鎖を「引いた」。
 キールは、コキュートス本体に冷気を収束させる。まるで花弁が開くように、槍の先端が輝く氷で包まれ巨大に成長する。
 二人の距離が空中でほぼゼロになり、

 「凍土に咲く花。」

 とっさに防御体勢をとるヴィータだが、その速度は並ではない。

 「お返しだァァァ!」
 「クソッ!」

 先端の氷の刃がヴィータに叩きつけられ、一撃で砕け散った。
ヴィータは、そのまま放物線を描くように吹き飛ばされ、同時にキールも失速したかのように地へと落ちる。
 相当な高度を落ちたキールは、高めのビルの壁面を掠めるように落下、すぐさま壁面にコキュートスを突き刺して減速、速度が落ちたところで隣のビルに飛び移った。
 呼吸が荒い。何回も大きく息を吸い込んでなんとか整える。

 「結界は――壊れない、か。頑丈にもほどがあんだろ……。」

 今現在のキールの能力では、ヴィータ以外に魔導師を見つけることは出来ない。と、なるとヴィータが結界を張った張本人だという以外に無い。気を失っているらしいなのはを起こし、もう一度攻撃を仕掛ければ倒せるかもしれない。そう思った。
 その時までは。
 なのはが倒れているビルの屋上に飛び移り、声をかけようとした時だ。

 「増援、だと?」

 魔力反応、一。
 キールは慌てたようになのはに駆け寄ると、体を膝に乗せるように起して状態の確認にかかる。
 さほど目立った外傷は見受けられない。バリアジャケットの上半分が無くなっている。パージしたのか、損傷限界値に達して維持が出来なくなったのか。
 レイジングハートにも傷は見受けられない。防御と砲撃に関しては天性の才能とも言うべき力を持っているようだ。

 ≪マスターは私が起こします。貴方は新たな反応があった方に迎撃に出てください。時間がたてば維持局第六課および第七課が動くはずです。≫

 レイジングハートが点滅してキールに言う。キールは頷いた。

 「任せた。」

 魔力反応さらに増大。反応数、二。もしヴィータが戦闘に参加できる状態だった場合、実質三対一となる。そうなった場合、キールは手負いのなのはを庇いながら戦うことになる。
 時間稼ぎなんて出来るかどうか分からない。でもやるしかなかった。こんなつまらないことで捕まるなんて、自分の心が許さない。
 踵を返したキールは、一度大きく息を吸い込んだかと思えば、隣、隣のビルへと次々に飛び移っていく。

 「ありゃあ―――犬と、ポニテ女?」

 本人が聞いたらすぐさま殴りかかってきそうな事を呟く。それ以外に表現がない、ということもあるが、特に本人は気にした様子はない。敵に敬意を払うつもりはない。
 跳躍。迎撃開始。

 宙に浮いているシグナムは、レヴァンティンをシュランゲフォルムに移行。刃の蛇をキールに襲わせた。
 しかしキールは神がかり的な速度でコキュートスを動かし、「線」の攻撃を「点」で捌く。この程度で落ちてもらっては困る。シグナムは僅かに口の端を釣り上げた。

 「ザフィーラ。ここは手出し無用。私がヤツと戦う。」
 「心得た。」

 レヴァンティン通常モード移行。とある一軒家に降り立ったシグナムは、屋根を蹴って素早く空間を移動する。
 一回二回、設置されている標識や、ブロック塀の一部が破損、二人の姿が霞むほどの速度で交差し、市街地の三叉路の分岐点でコキュートスとレヴァンティンがぶつかり合った。

 「ハッ!」

 コキュートスが動かされる。刹那、機関銃が如く突きがシグナムに繰り出される。

 「なんの!」

 レヴァンティンがそれを捌く。シグナムは独特の足運びでキールに距離を詰めんとする。
 ある程度の距離によられた槍など、弾薬のない拳銃に等しい。殴るだけになる。

 「がっ……!!」

 しかしそれよりも、先のヴィータとの戦いでキールは魔力と体力を消費してしまっていた。そんな状態で歴戦の騎士シグナムにかなう訳もない。瞬間的に圧倒できても、長期戦となれば、キールには毛ほどの勝機も残されていない。
 シグナムにもらった腹への蹴りの威力に思わずうめき声をあげる。
 たかが蹴りがこの威力だと?
 キールは油断なくデバイスを構える「敵」に攻撃を仕掛けるべくコキュートスを構えなおし、

 「いけっ!」
 「何?」

 ついている鎖を投げつけた。横から薙ぐような軌道をとる鎖は、シグナムが後退することでなんなく回避される。
 しかし素早くそれを手繰り寄せ、投げるように「打ち出した」。
 鎖を操作して波立たせるような攻撃。それをキールは実行した。

 「妙な攻撃だな!」

 鉄の鎖がそれこそ風を切ってシグナムに打撃を与えんと襲いかかる。しかしそれすらシグナムはデバイスでばじき返してみせる。
今だ。
キールは足に力をこめて距離を詰めんとする。
 シグナムの桃色の髪が流れる。激突。火花、そして「氷の欠片」が舞う。

 「何だ、と?」
 「こいつを食らいな。」

 レヴァンティンがコキュートスと「接着」されている。否、凍結している。
 キールは、己が持つ魔力を冷気に変換、瞬間的にコキュートスの温度を急速に低下させ、レヴァンティンを固定したのだ。

 「吹っ、飛べッ!」
 「させるか!」

 シグナムのレヴァンティンが高温を帯び始めたのに気がついたキールは、すぐさまコキュートスを上にあげることによりレヴァンティンを上に跳ね上げ、懐に潜り込んでの一撃を放った。
 シグナムは、そのまま家の石垣に突っ込んだ。

 「――――っあ゛、はぁ、はぁ、クソ。魔力が枯れちまう。」

 俺を殺す気か、と続ける。
キールの魔力量は決して多くない。だから、砲撃ではなく身体強化や、機動力を重視したのだ。冷気に変換するのは元からの素質故に苦痛ではないが、この戦いで、根源である魔力がそこそこ減少していたのだ。
 コキュートスを杖代わりに体勢を立て直すと、砂埃が舞い散る石垣の奥へと警戒的な視線を向ける。足が疲労を訴えてきている。

 ≪Explosion!≫

 魔力反応、急激に上昇。

 「あんなの反則だろ、チクショウめ。」

 魔力を封じ込めたカートリッジを、必要に応じて装填。人間では無理な出力で魔力をデバイスに流し込むことにより瞬間的な力を得る。もちろん、キールは初めて知った。

 「飛竜―――。」

 キールが動いた。食らうわけにはいかない。砲撃であれば、それが誘導しないのであれば、射線から逃れることができれば、安全なのだし。今食らって戦闘不能は御免だ。

 「一閃!」

 薄紫の暴虐が放たれた。一撃にて石垣を粉砕すれば、キールに魔力の奔流が怒涛の如く流れ込む。

 「っと!」

 しかしキールはすでに射界から逃れていた。しかし、シグナムの飛竜一閃は、「砲撃だけが攻撃ではない」。すなわち、蛇腹状の剣による光線が如き斬撃。それがキールを追尾、直撃、否、飲み込んだ。

 「!」

 衝撃、金属音、爆音。



 『キール! キール?!』
 ≪……マスター。キール様は戦闘不能になった可能性があります。魔力反応接近。最初の赤いドレスのバリアジャケットを着た人物だと思われます。準備を。≫

 レイジングハートの声で意識をやっと覚醒させたなのはは、バリアジャケットを再び魔力で編み上げ、少し離れたところからの激しい音を聞いて悲鳴に近い念話を飛ばしていた。
 もしもキールが戦闘不能になったとすると、三対一ということになる。
 実戦経験がまだまだ薄いなのはが勝利する可能性など、1%にも満たない。

 ≪相手の目的は依然として不明です。維持局の応援はまだ来る気配はありません。ここは逃げの一手に出ることをおすすめします。≫
 「じゃあキールを見捨てるの?」
 ≪違います。マスター、貴女の全力の砲撃にて結界を破壊しましょう。それ以外に我々が無事に脱出出来る可能性はありません。≫
 「うん、分かった。お話を聞かせて欲しかったけど――仕方ないよね。」

 ここで意地を通すほど高町なのはという人間は子供ではなかった。
 無事であること、それが大切なのだ。

 ≪敵、高速で接近。マスター!≫
 「うん。なんとか時間を稼いで結界を壊さないと!」

 なのははレイジングハートを、高速で襲来してくるヴィータに標準する。
 痛い一撃を与えてなんとか時間を作らなくてはお話にならない。
 環状魔法陣が展開し、魔力素が集束、術式に沿って行動を開始する。

 ≪Divine≫
 「お願い!」

 鉄球の誘導弾がヴィータから放たれる。でも、今防御するわけにはいかない。
 だから。

 ≪Buster.≫
 「当たって!」

 なのはの体が、魔法陣によって軽減されているはずの砲撃の余波で揺さぶられる。放たれた桜色の砲撃が、一直線に空を駆けていく。
 先行していた鉄球が弾き飛ばされてあらぬ方向に飛んでいく。
 とっさに回避に入ったヴィータだったが、速度がついていたせいか、体の半分が砲撃に殴られ、落ちた。青い粒子が防御に入ったように見えるが、なのはのディバインバスターはそれを一発で穿った。

 「レイジングハート!」
 ≪Starlight Breaker.≫

 なのはは、空を貫かんとばかりに真上にレイジングハートを構えた。
 桜色を孕んだ巨大な環状魔法陣が僅かに回転しながら展開される。
 一撃で、一撃で結界を破るには力が必要だ。
 だったら―――――チャージするまで。

 ≪Count nine, eight, seven, six, ≫

 膨大な力が集束していく。星を打ち砕く、未来への閃光は。

 突如飛来した「トラック」に中断させられた。
 否、中断というよりかは途中で集束が停止した。

 「え」
 ≪Protection.≫

 レイジングハート、自動防御魔法発動。
 しかし、そもそも宙に浮くことを想定していないそのトラックは、あまりに重すぎた。なのはの足がコンクリートを砕いて数センチめり込む。
 障壁が悲鳴を上げる。

 「くぅ――あああああ!!」

 トラックの衝撃を横にずらし、障壁が砕け散ると同時に体を横にスライド。なんとか赤い絵の具になることだけは避ける。トラックは、そのまま屋上から落下。地面にぶつかると、爆発・炎上した。
 常人であればどうなっていたか分からないが、なのはの魔力量はそれを受け流す程度はできた。

 「――受け流したか。」
 「しかし騎士がトラックを投げるのはあまりに卑怯ではないのか?」

 魔力量を抑えて接近していたザフィーラとシグナムは、それこそ結界が持たないのではないかという程の砲撃を放とうとしていたなのはを見つけた。距離的に間に合わないと判断したザフィーラは、停車してあったトラックを「投げた」。

 「主の為なら誇りすら捨てられる。」
 「……そうだったな。たとえ主はやてが悲しもうとも、だったな。」

 シグナムは一度目を伏せると、レヴァンティンを構える。

 「ならば、主のためにリンカーコアを頂く。いくぞザフィーラ。」
 「分かっている。」

 手負いの少女、高町なのはに、二人の騎士が攻撃をすべく宙を駆けた。

 「二人――! でも!」
 ≪five, four,≫

 それでもなのはは、撃ちさえすれば勝利だと思った。だからこそ、レイジングハートを再度真上に掲げてスターライトブレイカーの発射体勢をとる。
 そして直ぐに、その行動が間違いだったと知る。

 「撃たせはしない。」

 シグナムだ。
 なのはが砲撃をなるべく早く放つために心を落ち着けた、まさにその時。シグナムは空を飛ぶようなことをせず、ビルなどの障害物を蹴ることで圧倒的な速度で移動、なのはのいる屋上へと飛び移った。

 ≪Protection.≫

 一閃。
 音を超越せんとするかの如くの速度でレヴァンティンが振りぬかれる。
 それよりも数瞬早くレイジングハートの障壁が防御に入る。しかし、それではスターライトブレイカーのチャージが中断したまま。放置していれば、直に魔力が拡散して威力が落ちてしまう。
 まさに引くに引けない状況。

 「ハアアッ!」

 数歩下がったシグナムによる体重を乗せた突き。レヴァンティンの切っ先がなのはを守る障壁に罅を入れる。対するなのははスターライトブレイカーを発射するために、必死に耐える。
 さらに切っ先を抉るように押し込もうとする攻撃に、障壁が悲鳴をあげる。
 そしてザフィーラがとどめとばかりに接近しようとし、

 「撃ち抜け轟雷! サンダー―――スマッシャー!」

 遠距離からの雷の奔流が、二人の騎士のいる空間を薙ぎ払った。
 あわやというところで身をかわした二人は、光線が発射された方向を睨みつける。
 そしてザフィーラは、なのはに威嚇するように両手をすぐに戦闘に移れるように構え、シグナムはレヴァンティンを下段に下ろして闖入者に声をかける。

 「こいつの仲間か?」
 「違う。」

 宙に足を止めているフェイトは、その言葉を否定する。
 そんなんじゃない。だって、仲間よりもずっと、

 「友達だ。」
最終更新:2009年01月26日 16:11