乳癌の早期発見

 この23歳の女の子と出会ったのはパリのユースホステルのロビーで、私はその日に歩き回った疲
れを 取ろうと足ツボを押していたら、前の椅子に座っていた女の子が「それ何をしてるんですか?」と尋ねて 来たので、「私は足ツボ健康法ができるんです。これをやるとその日の疲労物質をその日に体の外に 出してくれて、翌日に疲れが残らないんです」、と説明すると、彼女は「私、それすごく

興味があ るんで すが、私にもやってもらえっませんか?」と言うのです。私は「いいですよ!」と言って彼女の足ツボを 押すことになりました。すると彼女はどこも全く痛がらず、それで「おねえさんの体は健康体そのもの だ、悪いところがほとんどない。普通23の女の子ならだいたい痛がるツボがあるのに、おねえさん は全く痛がらないので、押していてもやりがいがないなあ~!」、と言ってたら、

もう終わりかけの方 に なって、あるツボを軽く押したらおねえさんが「ギャーッ」と大声を出して伸ばしていた右足を引っ込め たんです。私はビックリして「え~っ!ここが痛いの?」と訊くと「メチャクチャいたいです」と言うので、 彼女に訪ねたんです。「おねえさんの父方か母方のおばあちゃん、乳癌じゃなかった?」と。すると 彼女はかなり驚いて「ハイ、母方のおばあちゃんが乳癌でした」、と答えるのです。

また私が「お母さ んは乳癌になっていないでしょ?」と訊くと「ハイ、お母さんはなっていません」と答えるのです。私は 「もしかしたらおねえさんは、おばあさんの乳癌の遺伝を引き継いでいるかもしれないよ!、隔世 遺伝って知ってる?、と尋ねると彼女は知らなかったみたいで、

私が説明したんです。 「おばあさんが遺伝が原因の癌ならその娘の娘、つまり孫の女の子に発病しやすいという癌があるんです。多分あなたはそれかもしれない。なぜならこのツボは普段、痛がるようなツボではないし、あな たの痛がり様は普通ではないから。あなたは今23歳だから、まだ癌は大きくなっていないと思うが、 でももう癌細胞は発生しているかもしれない!」と話し、「日本に帰ったら乳癌検診に

行って精密検査 に行った方がいいよ!」と勧めたのです。彼女はすごく驚いて、かなりショックがあったみたいすが、 今までの説明に納得したみたいで、「日本に帰ったら絶対に行きます」、と答え
ました。 それから約二ヶ月後に彼女から手紙が来て、「パリでお世話になった者です、その節は本当に有難う ございました。日本に帰ってさっそく乳癌検診にいってきました。やはりおにいさんの言った

通り、 癌細胞がありました」と、書いてありました。その頃の私は精神的にも肉体的にもゴタゴタしていて彼女に返事を出さなかったのです。そのうちに彼女からの手紙もどこかへなくしてしまい、

返事を 出し損ねてしまい、それ以来彼女がどうなったのかは知りません。でも私の足ツボで早期発見が できたので、私も少しは人のお役に立てたかな?、と思っています。
最終更新:2011年01月18日 15:32