泡沫の夢

2話 泡沫の夢

山岳地帯を懐中電灯を照らしながら歩くのは、
キャバクラで働く狐獣人の女性、宮武麻紀子
赤色の派手な服、ハイヒールは山岳地帯を歩くのには全く不向きであった。

「ああもう、最悪、殺し合いとか何それ……」

殺し合いに対する不満を述べながら歩く麻紀子。
すると前方から懐中電灯の光が。

「誰かいる!?」
「いるよ」

前方からの懐中電灯の主は、猫の女性。
宮武よりも少し若いぐらいの年齢のようだった。

「あたし宮武麻紀子って言うんだけどあんたは?」
「私は上神田ため
「え? 何?」
「かみかんだ ため」
「ぶっ、変な名前w」
「……」

初対面の者に向かって失礼にも程がある物言いだったがそんな事を気にする宮武では無かった。
ためは一瞬だけ口元が引きつったがすぐに元に戻る。

「んで? 上神田さんは何してたのよ?」
「あ、いやあ、適当に歩いていただけで……」
「あたしと同じ? ふーん、全くやんなっちゃうわよねえ殺し合いなんてさ」
「ですねえ……ふぅ、ちょっと喉乾きました」

そう言ってためはデイパックから小さなペットボトルを取り出し蓋を開けた。

「ああ、あたしも水飲も……」

自分も水を飲もうとした宮武の顔に、いきなり水がかけられた。
ためがペットボトルの中の水をいきなり宮武の顔にぶちまけたのである。

「きゃあ!? ちょっと何す、い、痛っ!? あぁああ!?」

目に水が入った途端に、強烈な痛みが宮武の目を襲った。
目を開けていられない程の激痛。
かけられた水が宮武の口に少し入る。その味は塩味が利いていた。

「塩水……!?」
「私の支給品の一つだよ!」

ための声が聞こえた直後、宮武は頭部に衝撃を感じその場に倒れ込んだ。
手足が痺れる程の衝撃、もしかしたら血も出ているかもしれない。
目が開けられず何も見えなかったがためが自分を殺そうとしている事だけ分かった。

「て、てめえええ上神田!! ゆるさねえぞ!! あたしの目をこんな安っぽい塩水なんかで潰しやがってええ!!!」

宮武の怒号が響き渡るがそれも虚しい抵抗だった。

「うるさい! 死ね!!」

ためはもう一つの支給品である木槌を何度も何度も宮武の頭目掛けて振り下ろした。
宮武の黄色い髪と毛皮はやがて朱に染まって行き、宮武もやがて動かなくなった。

「はぁ、はぁ、はぁ……出会っていきなり人の名前馬鹿にしてんじゃねえよ、タコ」

息を切らせながら悪態をつくと、ためは宮武の所持品を漁る。
木槌と塩水より有効な武器が欲しかった。
そして出てきた物は剃刀と自転車のチェーン。

「ろくな物がない……でも一応貰っておこう……」

剃刀と自転車のチェーンを自分のデイパックの中に突っ込み、地面に転がっていた宮武の懐中電灯の明かりを消すと、
ためは足早にその場を立ち去った。


【宮武麻紀子  死亡】
【残り63人】


【深夜/C-3/山道】

【上神田ため】
[状態]興奮状態
[装備]木槌(血塗れ)、懐中電灯
[持物]基本支給品一式、塩水入り500ミリリットルペットボトル(2)、剃刀、自転車のチェーン
[思考]1:優勝を目指す。
    2:強そうな奴とは戦わない。
[備考]※特に無し。



《参加者紹介》

【名前】宮武麻紀子(みやたけ まきこ)
【年齢】26歳
【性別】女
【職業】キャバクラ嬢
【性格】高飛車
【身体的特徴】金髪ロングの狐獣人。グラマー。厚化粧
【服装】キャバクラ嬢が良く着ている赤い派手な服にハイヒール
【趣味】パチンコ
【特技】男を誑かす事
【経歴】高校卒業後からキャバクラで働いている
【備考】男に貢がせ裕福に暮らしている。
    悪知恵が働き、腕っ節も割と強く、力でねじ伏せる事もしばしば。
    同僚や後輩には多少は優しいらしい

【名前】上神田ため(かみかんだ-)
【年齢】23歳
【性別】女
【職業】同人誌作家
【性格】温厚を装っているが短気で喧嘩っ早い
【身体的特徴】サバトラ猫の獣人。灰色縞模様。黒い長髪でスタイルはそこそこ。
【服装】白いパーカーにジーンズ、ズック
【趣味】絵描き、ネットサーフィン、ネタ探し
【特技】締切直前で白紙でも一気に仕上げられる速筆
【経歴】高校の時から同性愛系の同人誌にハマり出しやがて自分で作るようになった
【備考】一定の人気がある同人誌作家。バイトもやっているがどんな物かは不明(怪しいバイトでは無い)。
    沸点が低くすぐ怒り出すため友人は少ない(本人も気にしてはいるが直せない)。
    最近は同性愛の他にもショタ物も書き始めている。ペンネームは「METAKA」


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最終更新:2013年06月18日 21:07