疾走するキョウキ

3話 疾走するキョウキ

「あははは! こいつぁクレイジーだぜ! なあアンタそう思わないか!?」

妙にテンションの高い男が海の見える道路で、もう一人の男に問い掛けていた。
その男は白いスーツに金色に染めた短髪、サングラスと言う派手な格好である。

「ああ、そうだな」

対する男は静かな様子であった。
黒髪の壮年の男でくたびれたスーツを着ており目の前の男とは対照的な格好であった。

「まさか殺し合いなんてなァ。とんでもねぇコトに巻き込まれたもんだぜ!
まあ殺し合いなんざやらねえけどな!」
「それじゃあどうするんだ? 天宮君」
「決まってんだろォ窪川のおっさん! 仲間集めて殺し合いなんて潰しちまうんだよ!
64人もいんだ、三人寄れば文殊の知恵とも言うだろォ? それが64人も集まりゃ、
ああ、死ぬ奴は出てくるだろうから64人全員でとはいかねぇかもだけど。
大勢集まって考えりゃ大抵はどうにかなるってもんだぜ!」
「……確かにな。だが、天宮君」

窪川は懐から何かを取り出す。
それは小型のリボルバー拳銃だった。
そして窪川は躊躇する事無く引き金を引いた。

ドン! ドン! ドン!

三発の銃弾は天宮の胸部と腹部に命中し致命傷を負わせた。

「なっ……お、おっさん……マジかよ……」

血を吐きながら信じられないと言った表情を浮かべる天宮。
直後に彼は崩れ落ち、血溜まりを作って死に絶えた。

「……すまんな天宮君」

死体となった天宮に向け謝罪の言葉を述べる窪川。
その後窪川の持物を調べ、彼が持っていた手榴弾3個とマッチを手に入れる。
立ち上がって天宮の死体に背を向け歩き出す。

窪川尚孝は元々、敏腕の刑事として知られていた。
娘が一人いたが妻は娘が生まれた直後に亡くなっていた。
多忙な日々故に娘に中々構ってやれず孤独にさせてしまった事を悔やみ、
数年前に窪川は事務職に転職した。
ようやく娘と過ごす時間が増やせたと思った矢先にこの殺し合いである。

自分が死んでしまったら娘はどうなる、娘は一人きりだ。
この殺し合いに娘がいない事が唯一の救いか。
窪川は娘の元へ帰るため修羅になる事を選んだ。

「優香、お父さんは絶対に帰るからな……」


【天宮政仁  死亡】
【残り62人】


【深夜/A-6/北部集落北東部砂浜付近】

【窪川尚孝】
[状態]健康
[装備]ニューナンブM60(2/5)
[持物]基本支給品一式、.38スペシャル弾(10)、MkII手榴弾(3)、マッチ
[思考]1:優勝し娘の元へ帰る。
[備考]※特に無し。


《参加者紹介》

【名前】天宮政仁(あまみや まさひと)
【年齢】27歳
【性別】男
【職業】保育園保父
【性格】豪快、テンション常に高し
【身体的特徴】がっしりした大柄、金色に染めた短髪
【服装】白いスーツに紫色のシャツ、派手なネクタイ、サングラス
【趣味】服選び
【特技】日曜大工
【経歴】幼少時に両親が事故死し親戚の家で育つ
【備考】外見からはとてもそう見えないが保育園の保父をやっているれっきとしたカタギの人。
    豪放磊落と言う言葉がしっくりくる性格で子供達からの人気も高い。
    幼少時に両親を失い孤独を味わった反動が性格と派手な外見だと言われている

【名前】窪川尚孝(くぼかわ なおたか)
【年齢】39歳
【性別】男
【職業】事務職
【性格】物腰柔らかで礼儀正しい
【身体的特徴】初老の男性、黒髪
【服装】紺色のスーツ、革靴
【趣味】音楽鑑賞、娘と過ごす事
【特技】刑事時代に培った推理力や洞察力、柔道有段
【経歴】元刑事
【備考】敏腕刑事だったが娘を孤独にさせている事を悔やみ数年前に転職。
    娘の優香は現在8歳で、妻は娘が生まれた直後ぐらいに病死している。
    娘を愛し、娘のためなら自分をいくらでも犠牲にする覚悟でいる



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最終更新:2013年06月30日 11:48