ボディランゲージも通用しない

13話 ボディランゲージも通用しない

「う、うあ……ちょっと待って……」

廃墟の軍事施設にて、赤髪の少女、金剛英理奈は、
遭遇した灰色の竜人のような魔獣に突撃銃らしき物を向けられたじろいでいた。

「〈殺し合いに乗っているかどうかの見極めも難しいな……。
迂闊に同行を求めて後で裏切られたりでもしたら全く笑えない〉」
「え……何? 中国語……」

魔獣の口にした言語は英理奈には理解出来無い中国語だった。

「私は殺し合いには乗ってないよ! ああ、どうやったら伝わるだろう……」

中国語など話せる筈も無く、かと言って何とかして殺し合う気は無い事を伝え無い事には、
このまま撃ち殺されてしまう可能性が高い。
必死に思考を巡らせる英理奈だったが、魔獣が意外な行動を取った。

「……済まないネ、お嬢サン」
「!?」
「コッチも命が掛かっテるからネ、警戒シナイ訳には行かなイんだヨ」

片言で訛ってはいるが、日本語で喋り始めた。

「日本語喋れる、の?」
「少シ」
「……私は殺し合う気は無いわ」
「ソウカ、俺もダ」
「そ、そうなの?」
「……俺ハ、呂車。字は子全。呂車でイイ」
「私は、金剛英理奈。高校生だけど、退魔師もやってるわ」
「フゥン……」
「ね、ねえ、呂車さん。殺し合いに乗ってないなら一緒に行かない? 殺し合い潰そうと思ってるのよ」
「どうヤっテ?」
「え、えーと……殺し合いに乗ってない人集めて考えれば……」
「……マアいいさ。日本の諺ダッタか? 『三人寄れば文殊の知恵』トモ言うシな。
良いヨ。一緒ニ行ってヤる」
「ありがとう……」

共に行く事になった二人は互いの支給品を確認し合う。
呂車の支給品は先程、英理奈に突き付けていた突撃銃――56式自動歩槍と予備の弾倉五個。
AK47の中華製コピーである。

「アサルトライフルなんて凄い当たりじゃない」
「ダガ、コイツは正直仕上げが悪イ。ヤスリもまともにかけていなイしマガジンの安定もイマイチダ。
まともに動くかどうカ……」
「そ、そうなの?」
「英理奈の支給品ハ?」
「私のは、これとこれ……」

英理奈が呂車に見せた物は、布切鋏と、小型ガスコンロに使うガスボンベ三本。

「正直、当たりとは言えなイな……」
「まあ……かと言って、呂車さんみたいに突撃銃を渡されても使いこなせるかどうか分からないんだけれど」
「……サテと、これからどうするカだガ……暗くてほとんど何モ見えンし、
少し明るくナるまで待った方がイイと思ウンダが、どうだ?」
「そうね……下手に動くのもあれだし……」

二人は少なくとも懐中電灯を頼らなくても良い程度にまで明るくなるのを待つ事にした。


【深夜/C-7/軍事施設跡三号倉庫】

【金剛英理奈】
[状態]健康
[装備]布切鋏
[持物]基本支給品一式、小型ガスボンベ(3)
[思考]1:殺し合いを潰したい。殺し合いに乗っていない人を捜す。
    2:呂車さんと行動。明るくなるのを待つ。
[備考]※特に無し。

【呂車】
[状態]健康
[装備]56式自動歩槍(20/20)
[持物]基本支給品一式、56式自動歩槍の弾倉(5)
[思考]1:殺し合う気は無い。
    2:英理奈と行動。
[備考]※特に無し。


《参加者紹介》

【名前】呂車(りょ しゃ)
【年齢】不明(20代後半~30代前半?)
【性別】男
【職業】不明
【性格】皮肉屋
【身体的特徴】ガーゴイルの獣人。竜に似た外見で灰色の身体に黒髪。獣足。黒目で赤い瞳
【服装】無し
【趣味】スケッチ
【特技】短時間飛行出来る、格闘術・槍術・ある程度の射撃に通じている、英語と日本語が片言ながら話せる
【経歴】詳細不明
【備考】字は「子全(しぜん)」。呂子全と名乗る事もある。
    中国風国家から日本風国家に観光へやって来ていた時に殺し合いに巻き込まれる。
    見かけに寄らずスケッチなど絵を描くのが好き。
    皮肉を多く言う癖があるが基本的には善人である。
    職業や年齢、経歴など謎の部分も多い。妙に戦闘能力が高い。

【名前】金剛英理奈(こんごう えりな)
【年齢】16歳
【性別】女
【職業】高校生兼退魔師
【性格】元気が良いドジ、少しマゾ
【身体的特徴】赤髪セミロング、巨乳
【服装】黒いレオタードの上に白いスカートと女物の革製胸当て、ブーツ
【趣味】お菓子作り
【特技】霊力を込めた攻撃(悪霊以外には余り効かない)
【経歴】小学生の頃から退魔師をやっている
【備考】日本退魔師協会所属の女子高生退魔師


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最終更新:2013年06月11日 00:45