17話 忠実愚直携帯狼
赤と黒の毛皮の、人狼の青年が遊園地を歩いていた。
狼青年は参加者の証の首輪の他に、両腕に機械的な手甲のようなものを装着し、
両足首に同じく機械的な足輪をはめている。
人狼青年の名前は
高谷泰明。
「……」
彼の足はトイレに向かう。
用が足したい訳では無い、人の気配を感じたのだ。
男子トイレでは無く女子トイレへ。
決してやましい気持ちなど無い。
「えっ……!」
女子トイレの個室から出てきたのは猫獣人の少女。
用を足し個室から出たら、入口付近に人狼が立っていて驚いたのだ。
「……」
泰明は無言でその少女に近付き、頭部を両手で捕まえる。
直後、猫少女の首が180度曲がり鈍い音が響いた。
「おぎゅ」
妙な悲鳴を上げ、猫少女は脱力し崩れ落ちる。
目は虚空を見詰めたままで、鼻と口から血が流れトイレの床に広がる。
泰明は尚も無言で、猫少女の持物を漁る。
自身の支給品はシャボン玉セットと手持ち扇風機だったため、有効な武器が欲しい所だった。
そして見付けたのは、散弾銃、フランキスパス12。
予備の12ゲージ散弾もセットになっている。
これを使われなくて良かったと、泰明は思う。
スパス12を装備し、泰明はトイレを後にした。
「何をしてでも……俺はご主人の所に帰るんだ……」
静かに呟く泰明。
彼は、とある人間女性が持つ携帯電話が擬獣化した存在であった。
赤と黒の毛皮や機械的な手甲や足輪は、彼が元々は携帯電話である事の名残りである。
型落ちして機能も古い自分の事を、「ご主人」と呼ぶ持ち主は大切に扱ってくれている。
そんな持ち主の事を泰明は、愛慕にも似た感情で慕っていた。
だからこそ、絶対に生きて帰ると心に誓っていた。
そのためにこの殺し合いに優勝する、と。
「はあ……ご主人……」
狂気が滲んだ溜息を漏らしつつ、泰明は次の獲物を捜す。
【栗尾閑枝 死亡】
【残り52人】
【黎明/G-7/遊園地】
【高谷泰明】
[状態]健康
[装備]フランキ スパス12(7/7)
[持物]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(14)、シャボン玉セット、手持ち扇風機
[思考]1:優勝を目指す。
[備考]※特に無し。
《参加者紹介》
【名前】高谷泰明(たかたに やすあき)
【年齢】製造されて五年程(精神及び外見年齢20代半ば)
【性別】♂
【職業】携帯電話の擬獣化した存在
【性格】主人に忠実
【身体的特徴】赤と黒の毛皮の人狼
【服装】両腕に機械的な手甲、両足首に機械的な足輪を装着
【趣味】特に無し
【特技】カメラのように目にした映像を記憶する、ボイスレコーダーのように聞いた声を記憶し再生出来る等、
携帯電話としての機能がそのまま能力になっている
【経歴】新品当時から擬獣化出来たようだ
【備考】とある女性の持つ携帯電話が擬獣化した存在。
なぜ擬獣化したのか詳しい経緯は省く。
「高谷」は持ち主の苗字。持ち主の女性を「ご主人」と呼び敬慕している。
その感情は恋愛感情にも似ており、性的な相手をする事もある。
生殖能力は無いが生殖器もあり射精する事も出来る、精液の色や臭い、味は普通のそれとほぼ変わらない。
食事は必要無いが食べる事は出来、排泄もする。
主人至上主義で、主人以外はどうでも良いらしい
【名前】
栗尾閑枝(くりお しずえ)
【年齢】19歳
【性別】女
【職業】大学生
【性格】怖がり、涙脆い
【身体的特徴】茶髪に明るい茶色の毛皮の猫獣人。巨乳
【服装】カジュアルな私服
【趣味】サイクリング、映画鑑賞
【特技】一分で泣ける
【経歴】特筆事項無し
【備考】一応、高原正封や久保遼平らと同じ大学で面識もある
最終更新:2013年10月30日 12:15