平穏レ☆プ! バトロワプレイヤーと化した先輩

1話 平穏レ☆プ! バトロワプレイヤーと化した先輩

野獣先輩(田所浩二)は冷たいアスファルトの上で目が覚める。

「クォクォア……」

立ち上がって周囲を見回す。
自分が今居るのは、街灯がぽつりぽつりと灯る夜の商店街のようだった。

「俺は……どうしたんだっけか。
確か、クラスのみんなで修学旅行に出かけて……」

殺し合いが始まる以前の記憶を辿る野獣。
彼はとてもそうは見えないが中学三年生である。
クラス全員で修学旅行に出掛けたが、途中のバスの中で眠ってしまい、起きた時にはクラス全員が眠っており、
そして直後にガスマスクを被ったバスガイドに鈍器で殴られ、気絶した。

「それで目覚めたらこの殺し合い……どうなってんだよ……これがBR法って奴なのか?」

野獣の住む国には「BR法」なるものが存在していた。
有り体に言えば、中学三年のクラスから抽選で対象クラスを選んで殺し合いをさせると言う物で、
今回のゲームの内容と殆ど一致している。
野獣は自分達がBR法に選ばれたのだと思った。
だが、そこで一つの疑問が生じる。

(でも、クラスの奴らも居たけど、知らない奴らの方が多かった……)

開催式が行われたあのホールには野獣のクラスメイトも数人居たが、
それより見知らぬ人間の方が多かったように思えた。
BR法だとすればクラス単位で行われる筈であるし、何より対象者は中学生の筈なのに、
あの場には明らかに中学生では無い者も居た。
中学生に見えない自分が言える事では無いとも思ったが。

(いや、難しい事は後だ。まず今はどこかに隠れよう)

見晴らしの良い場所で考え事はまずいと判断した野獣は、取り敢えず近くの文具屋の入口に近付く。
驚いた事に施錠はされていなかった。
店の中は薄暗い非常灯が灯っていて辛うじて行動出来るぐらいには明るい。
カウンターの奥に隠れ、野獣は支給品を確認する。

「竹刀か? これ?」

出てきた物は剣道で使われる竹刀だった。

「脅しには使えるか……どうすっかな~これからな~」

これからの事について考える野獣。
首には首輪――下手に外そうとしたり逃げようとしたりすれば、開催式の時の赤ん坊のようになる。
あの時の赤ん坊の家族の悲痛な叫びは今も野獣の耳に残っていた。
ならば殺し合いに乗るか?

「いや、無理だろ……遠野やクラスのみんなを殺すなんて出来ない」

野獣は殺し合いを拒否する。
遠野、MUR、KMR――大切な友人、クラスメイト達を殺してまで生き残ろうとは思えなかった。
まずクラスメイト、そして、この殺し合いに乗っていない参加者を捜そうと野獣は決心する。

ガララ……。

「!」

文具店の入口扉が開く音が聞こえ、野獣は硬直する。
そして店内を照らす懐中電灯の光。
誰かが入ってきたと言う事は良く考えなくても分かる。
一体誰が? 果たして殺し合いに乗っているのかいないのか? 接触を図るべきか?
緊張の中考える野獣。

「おい、誰かいるのか?」

声が聞こえる。若い男の声だ。
野獣は迷ったが。

「カウンターの奥に居る。俺は殺し合いには乗っていない。そっちは?」

接触は不可避だと思い、自分からも声を掛ける事にした。

「そうか、俺もやり合う気はねぇ。出てきてくれねぇか?」
「本当か?」
「本当だ」
「……今から行く」

意を決してカウンターから出ていく野獣。
懐中電灯の光を当てられ眩しそうに顔の前に手をやる。
光に目が慣れてきて、侵入者の顔が分かるようになってきた。
学生服姿の背の高い少年のようだった。

◆◆◆

「俺は田所浩二……名簿には『野獣先輩』で登録されてるけど。
野獣で良いよ。そっちは?」
「太田太郎丸忠信。太田で良い」

どうやら危険な人物では無さそうだと、太田太郎丸忠信は判断し自己紹介する。

「あんたがこの店の中に入っていくのが見えたからよ」
「そ、そうなのか……やっぱり道路の真ん中で考え事してたのはまずかったなぁ。
でも乗っている奴じゃなくて良かったよ」
「ああ……」

どうも、この野獣なる男は警戒心は強い方では無いようだと太田は考える。
ならば好都合だ、とも。
太田は確かに殺し合いには乗っていないが、かと言って殺し合いの打倒を目指す積極的な反主催の立場を取っている訳でも無い。
自分が生き残る事こそ最優先事項。
その為に利用出来る者は利用する。
「前の殺し合い」でもそうやって生きてきた――結局は殺されてしまったが。
死んだ筈の自分が今こうして生きているのは何故かとも思ったが、そんなものはどうでも良いだろう。
重要なのは「再び殺し合いに居る」と言う事で、再び生き残るための行動を取らなければならないと言う事だ。
「乗っていないのなら一緒に行動しないか? 太田」
「ああ、良いぜ」
「良いねぇ~、それじゃ、はい、ヨロシクぅ!」

この野獣先輩――田所浩二ははっきり言って戦力としては期待出来ないが、
いざと言う時には盾には出来るだろう。
太田はそう判断する。


【深夜/D-4商店街西区文具店】
【野獣先輩@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]健康
[装備]竹刀@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:殺し合う気は無い。遠野達や殺し合いに乗っていない参加者を捜す。
        1:太田と行動する。
[備考]※動画本編、バスガイドピンキーに気絶させられた直後からの参戦です。

【太田太郎丸忠信@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:自分が生き残る事を最優先とする。その為には手段は選ばない。
        1:野獣と行動する。いざと言う時は盾に使う。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。



《支給品紹介》
【竹刀@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ】
ひでと虐待おじさんの原作にて、虐待おじさんがひでを叩くのに使っていた竹刀。



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最終更新:2014年07月22日 00:34