10話 星空のミステイク
街灯がぽつぽつ灯る住宅地の道路。
私――君塚沙也は特に宛ても無く歩いていた。
そう、生きて歩いている……本来なら有り得ない事。
だって、確かにあの時――前の殺し合いで自分は死んだ筈なのに。
どういう事? あのまひろとか言う奴は「死者を生き返らせる事が出来る」的な事言っていたけど……。
「生き返れても、また殺し合いやらされてるんじゃあね……」
あの時、前の殺し合いでの自分の最期の瞬間、死にたくない、生きたいと確かに私は願った。
でも、再び命を吹き込まれても、また殺し合いの中じゃ全く有り難味が感じられないよ。
この殺し合い、私はどう動こうかなあ……。
赤ん坊の首を家族が見てる前で吹き飛ばすって言うマジ*チ行為をやってのける辺り、
この殺し合いの運営の連中も、相当頭狂っちゃってるわね。
まあこんな殺し合いを開こうとする人がまともな人なんて事は無いだろうけど。
名簿を見たら、前の殺し合いでも居た人らが何人か居るみたいだけど別に知り合いでも無いしどうでも良い。
前と同じ、私は一人。
せめて少しの間だけでも一緒に居た石川さんでも居ればなぁ。
まあ、愚痴ってても無い物は来ない訳で。
私の支給品は日本刀。
めっちゃ重い。想像していたよりずっと重い。少なくとも漫画とかでよく出てくる美少女剣士みたいな立ち回りは到底無理。
まあああ言うのは鍛錬とかしてるから立ち回れるんだろうけど。
「これからどうしよう……暗いし、どこかに隠れてようかな」
隠れられそうな所を探そう。
知り合いもいないんだから無理に動く必要も無い。
幸いここは住宅地、隠れられそうな場所は幾らでも……ん?
前方に人影を発見。
暗くて分かり難いけどうやら犬科の獣人の男みたい。
年格好は――私と同じ位? じゃあ「少年」って言った方が良いかな。
殺し合いに乗ってるのかどうか分からないしここは面倒だから接触しないでおこ――――
「誰かいるのか?」
気付かれちゃった。しょうがない、下手に逃げて追いかけられるのもアレだし、
腹を決めて対話するかぁ……。
◆◆◆
「テト?」
「え?」
その少女の顔がはっきり視認出来るようになった時思わず俺はそう口に出した。
住宅地で見付けたその猫族の少女は、クラスメイトのテトと容姿が良く似ていたのだ。
「誰かと勘違いしてない? 私は君塚沙也って言う名前なんだけど」
困惑した様子で、その少女は人違いだと抗議する。
確かに、着ている制服はうちの学校の物では無い。
しかし姿だけじゃなくて声も良く似ているが……まあ、本当にテトだとしてもわざわざ、他人の振りをする必要は無いだろうから、
この子はテトでは無いのだろう。
「あ、ああ……すまない。俺のクラスメイトと良く似ていて」
「ふぅん?」
「俺はノーチラスって言う。大丈夫、俺は殺し合いには乗っていない」
「本当? ……私も乗っていないよ」
「そうか、良かった」
「じゃあ、私はこれで……」
「えっ? ちょっと待ってちょっと待って!」
立ち去ろうとする沙也を俺は思わず引き止める。
この殺し合い、女の子一人で歩かせるのは危ない。
出会ってしまった以上、放っておくのは気が引ける。
「何?」
「一人じゃ危ないだろう。お互い殺し合う気は無いのなら一緒に行動しないか?」
「ええ?」
不審な視線を送られる俺。
まあ当然だよな、初めて出会った相手、しかも異性からいきなり「一緒に行こう」何て言われてもこうなるよな。
「そんな事言って私の事襲っちゃおうとか思ってんじゃないの?」
「! そんな事無いって」
口では否定した、けど、正直に言おう。
沙也の身体に興味が全く無いとは言い切れない。
制服の上からでもはっきり分かる豊満な乳房、幼くも可愛らしい顔、身体のラインも恐らく完璧。
男であればどうしても気になってしまう程の美貌だ。
いや、一緒に行こうって言った事自体は何のやましい心も無い純粋な気持ちからだ、それだけははっきりさせておく。
ん、胸の先端に突起が浮かび上がっているような……ノーブラ? なのか?
「あれ、どうしたの? 私の胸見てるけど」
気付かれた。
「い、いや」
「ははあん、私に欲情してるね? そうでしょ?」
「ち、違ッ――――!?」
沙耶がいきなり俺の股間を鷲掴みにする。
その瞬間、身体が硬直し快感にも似た感覚が俺の股間から脳へと突き抜けていった。
一気に脈拍数が上がった。
「硬くなってるけど?」
「……っ……」
小悪魔の如く笑みを浮かべて俺を見詰める沙也。
この子、テトとは外見はほぼ同じだが内面は全く違う。当たり前だけど。
エロい。
かなりエロい。積極的。
「良いよ良いよ~一緒に行こう? でも暗いし色々話もしたいからさ、まずどこかで休まない? ね?」
「……ああ、そうだな……」
完全に沙也に主導権を握られて流されてしまっている俺。
こんな事している場合じゃないって事は理解はしているが、俺の腕を引っ張る沙也の力は思っていたより強くて、
下手に逃げようとすると実力行使されてしまうかもしれず逃亡は諦めた。
俺自身の欲望が段々と高まっていて抑えられないと言うのも有った、が。
以前の殺し合いでウィルの奴に殺されて、かと思ったら生き返って別の殺し合いに参戦させられている。
死んだ筈のラトの姿も見えて、赤ん坊が見せしめで家族の前で殺されて、
そして今やテトそっくりな猫族の子に手を引かれていて――――何と言うか、波乱万丈だなぁ。俺の人生。
◆◆◆
これは思わぬ恵み、私の身体に興味を持ってくれる男が現れたわ。
このノーチラスって言う狼の人、中々良い男だし、さっきズボンの上から股間握ったけど、結構大きい(確信)。
期待出来る、このチャンスを逃す手は無い。
前の殺し合いの時は結局一回も出来なかったからね、今回は誰が何と言おうと本番に持ち込むよ。
ところでノーチラス君が私を勘違いした「テト」ってどんな子なんだろう。
後で聞いてみよう。
【深夜/F-5住宅地】
【君塚沙也@オリキャラ/自由奔放俺オリロワリピーター】
[状態]健康、興奮、ノーチラスの腕を引っ張っている
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、又兵衛の刀@アニメ/クレヨンしんちゃん
[思考・行動]基本:殺し合いはしない。生き残りたい。
1:ノーチラス君と行動。どこかの家にでも連れ込んで……。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
【ノーチラス@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康、少し興奮、君塚沙也に腕を引っ張られている
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:殺し合いはしない。
1:沙也と行動……どうなる? 俺……。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※超能力の制限に関しては今の所不明です。
《支給品紹介》
【又兵衛の刀@アニメ/クレヨンしんちゃん】
「アッパレ! 戦国大合戦」にて戦が迫る春日城から野原一家が避難しようとした際、
井尻又兵衛が野原ひろしに渡した刀。のちにみさえがしんのすけを守る為に使った。
現代に帰還した時も持っていたが銃刀法とか大丈夫なのだろうか?
最終更新:2014年07月28日 21:58