9話 Flower garden of the moonlit night
夜の帳の中でも、一面に咲き誇る花達はその美しさを損なう事は無い。
そして花畑の中を通る道で、茶髪セミロングの少女、柏木寛子は目を覚ます。
「私は死んだ筈なのにどうして……」
寛子は以前にも殺し合いをさせられ、そこで落命した筈だった。
従って今現在自分が生きて立っている事に加え、別の殺し合いに参加させられている事実は、
理解するのには少々時間が必要だった。
「何だかなあ……どうしようかなこれから……」
また殺し合いの中に居ると言う現実にうんざりしつつ、名簿を見ようとデイパックを開ける寛子。
月明かりだけでは明度が足りず、目立つ危険は有ったもののやむを得ず懐中電灯で名簿を照らす。
殆どが知らない名前だったが、数人、以前の殺し合いでも居た名前が有った。
寛子を性奴として飼っている鬼畜人狼、稲葉憲悦の名前も。
「あいつも居るの……」
憲悦と再会したいなどとは、寛子は微塵も思っていない。
以前の殺し合いにて一度だけ再会してもうそれで十分だと思っていた。
肝心の自分の支給品は何なのだろうか、と、寛子は更に奥深くまでデイパックを漁る。
出てきた物は小型のリボルバー。弾は装填されており、予備の弾も有る。
以前の殺し合いでも同じようなリボルバーを支給されたがそれとは異なる物のようだった。
リボルバーにセロテープでおざなりに貼り付けられていた紙を開くとそこには、
「忘れるな、下北沢暴力団員殺害事件」とだけ書かれている。
そんな事件聞いた事無い、と、寛子は首を傾げる。
自分がニュースや新聞をろくに見ていないせいかもしれないが。もしかしたら自分が小さい頃、
生まれてもいない頃の事件なのかもしれない。
しかしそれとこの銃が何の関係が有るのか、この銃がその事件で使われた凶器だとでも?
「まあどうでも良いか」
この銃の由来など今考えなくても良いだろうと、寛子は思考を切り替えた。
リボルバーを右手に装備し、懐中電灯を消す。
光を誰かに見られたかもしれない、早々に移動した方が良いだろう。
そう判断し、足元に気を付けつつ寛子は歩き出した。
【深夜/E-2花畑】
【柏木寛子@オリキャラ/自由奔放俺オリロワリピーター】
[状態]健康
[装備]TNOKの拳銃(6/6)@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ
[所持品]基本支給品一式、.38SP弾(12)
[思考・行動]基本:殺し合いをするつもりは無い。憲悦とは会いたくない。
1:どこかに隠れたい。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
◆◆◆
リカオンの獣人の少年はふらふらと花畑の中を走る道を歩く。
その目は虚ろで生気を殆ど感じない。
身体のあちこちから服を突き破って、紫色の触手のような物が飛び出しうねうねと動いていた。
彼の後方には、一人の老人が倒れていた。
顔面には穴が空き、後頭部までその穴は貫通している。
白目を剥き、苦悶の表情を浮かべその老人は息絶えていた。
下手人は、リカオンの少年――小崎史哉である。
右手の平から伸びる触手が赤く染まっていた。
史哉は何故、老人を殺害したのか。
殺し合いに乗っていたから? 恐怖で錯乱していたから? 老人が襲い掛かってきたから?
否、そのどれでも無い。
そもそも、現在の彼には「自分の意志」と言う物は皆無に等しかった。
小崎史哉は、殺し合いに参加するのは二度目である。
以前の殺し合いの最中、彼は「寄生虫」に身体を乗っ取られた。
その「寄生虫」とは、軍の極秘開発機関によって生み出された、宿主の身体能力を底上げする、しかし、
宿主を完全に取り込んで暴走する危険性を秘めたとんでもない代物であった。
それに寄生された史哉は、程無く寄生虫に身体を支配され、理性を失い、殺戮マシンと化し、
幾人もの参加者を惨殺した末優勝者となった。
だが、怪物に成り果てた上に軍の機密に関わる物を身体に宿した史哉は、外には出せないと判断され、
運営が派遣した戦闘ヘリによりガトリングの掃射を受けて跡形も無く「処分」されてしまった――筈だった。
しかし、小崎史哉は蘇った。
その身体に寄生虫を宿した危険生物の状態で。
今の彼に目的らしい目的は無い。
有るとすれば唯一つ――発見した者は全て、殺し尽くす事、だろう。
「……!」
そして彼は、暗闇の向こうで微かに光が動くのを見付ける。
明らかに人工的な光。例えば――懐中電灯。
「……あそ……こに……居る……」
抑揚の無い、掠れるような声で呟くと、史哉は光の見えた方向へと向かい始めた。
【一般通過爺@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」 死亡】
【残り 48人】
【深夜/E-2花畑】
【小崎史哉@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター】
[状態]健康、身体中から触手が生えている
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:皆……殺し……。
1:光……誰か……居る……。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
※身体を特殊な寄生虫に乗っ取られています。乗っ取られる前の記憶は殆ど有りません。
※本能的にある程度言葉を発しますが意思疎通は不可能に近いです。
※柏木寛子が居る方向へ向かっています。
《支給品紹介》
【TNOKの拳銃@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ】
暴力団員TNOKが所持していた小型のリボルバー拳銃。詳しいモデルは不明。
原作本編においてDBに奪われ一転攻勢された挙句、尻を撃たれTNOKは殺された(これが「下北沢暴力団員殺害事件」)。
本ロワでは.38口径と言う事にしている。
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最終更新:2014年07月22日 23:58