ずっとずっと……籠城――ひとりきり

14話 ずっとずっと……籠城――ひとりきり

廃墟となったホテルの三階、客室の一室。
チーター獣人の少年、篠原昌信は入口扉に鍵を掛けてベッドの中に潜っていた。
ホテルは廃墟だったが、客室の状態は割と良く、埃と黴の臭いさえ我慢すればある程度は使えそうだった。
勿論電気は使えず水道も使えないが。

「……」

布団の中で、昌信は恐怖に震えていた。
どうして自分が殺し合いなどしなければいけないのか全く分からない。
いきなり連れてきて殺し合いをしろなど、どう考えてもあの吉橋と言う男は正常では無い。

「嫌だ、殺し合いなんてしたくない……」

デイパックの中には、狩猟用のライフルと予備弾が入っていた。
これで人を殺せと言う事なのだろう。
当たり武器の部類に入るが、昌信にはこれで人を撃つ気は全く無かった。

「……じっとしてれば、大丈夫かな」

昌信はこの客室に隠れていれば、少なくとも襲われる事は無いと考える。
入口扉には施錠してあり、この部屋の鍵も室内で発見し机の上に置いてあるから、
廊下からは絶対に入れないし、ベランダも独立し衝立があるので隣の部屋から入る事も出来無い筈。
この客室に閉じこもっていれば安全、の筈だと、昌信は思っていた。

「そうだよ、ここにいれば絶対大丈夫だよ……!」

昌信は選択する、動かない事を。
それが正しいのかどうかはまだ分からない。


【C-3/廃ホテル西部三階309号室/早朝】
【篠原昌信】
[状態]健康
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、豊和ゴールデンベア(5/5)、7.62mm×63弾(10)
[思考]
基本:死にたくない。
1:309号室に出来る限り閉じこもっておく。



《人物紹介》
【篠原昌信】 読み:しのはら・まさのぶ
14歳のチーター獣人少年。中学二年。かなり細身で身体検査の時「痩せすぎ」と言われる程。
気が弱く、いじめと言う程では無いがよくパシリにされたりしている。
小学校の時に軽トラックに撥ねられた事がありそれ依頼軽トラックがトラウマの対象。
ネットサーフィンが趣味で最近はネトゲにはまりつつある様子。



013:DANCING WIZARD 目次順 015:夢半ばにして昇天す
ゲーム開始 篠原昌信 038:強制移動です
最終更新:2013年03月20日 17:13