38話 強制移動です
「えっ、C-3、D-3って……まるっきりこの辺じゃないか!」
放送で指定された禁止エリアに、廃ホテルの一室に隠れていたチーター少年、
篠原昌信は慄いた。自分が隠れている場所が丸ごと禁止エリアに指定されたからである。
ずっと一箇所に留まっていたおかげか、17人死んでいる中で無傷でいられたが、
ここに来て一刻も早く移動する事を余儀無くされた。
「くそっ……折角ここは安全だと思ったのに……移動するしか無い……」
愚痴を言いながらも、昌信は渋々荷物を纏め移動する準備を始める。
ここに留まっていてはいずれ首輪が作動して死んでしまう。
荷物を持って、何時間かぶりに部屋の出入口の扉を開け廊下に出た。
放送前、殺し合いが始まって、と言うよりは昌信がホテルの一室に隠れて少し経った後、
ホテルのどこかから銃声らしきものが聞こえた。
もしかしたらこの廃ホテルのどこかに死体でも転がっているのでは、
もしかしたらこの廃ホテルのどこかに殺し合いに乗っている人物がうろついているのでは、
と思うと、昌信は本当に動くのが嫌になる。
だがぐずぐずしてはいられないのが実情だ。
支給された狩猟用狙撃銃、豊和ゴールデンベアを手に持ち、昌信はホテルの出口を目指した。
【C-3/廃ホテル西部三階廊下/午前】
【篠原昌信】
[状態]健康
[装備]豊和ゴールデンベア(5/5)
[持物]基本支給品一式、7.62mm×63弾(10)
[思考]
基本:死にたくない。
1:C-3、D-3エリアから離れ新しい隠れ場所を探す。
最終更新:2013年03月29日 13:21