先輩に相談だ

47話 先輩に相談だ

民家の中で息を潜める、野獣先輩こと田所浩二、KMR、太田太郎丸忠信の三人。
リビングにて、自分の支給品であるリボルバー拳銃を右手に持ちながら、カーテンの隙間から外を監視する太田。
その背中を僅かに疑念の籠った目で見るソファーに座ったKMR。

(ちょっと先輩に相談しようかな……)

KMRはソファーから立ち上がり、二階に行っている野獣の元へ向かう。
太田はちらっとKMRの方に目をやったがそれだけですぐに見張りに戻った。
野獣は民家二階の一室に有る本棚を漁っている最中であった。
そこへKMRがやってくる。

「先輩、ちょっと良いですか」
「お? どうしたKMR」
「太田さんの事なんですが……」
「太田がどうかしたのか?」
「これは、僕の勝手な思い込みかもしれませんが……太田さんはどこか信用し切れません」

自分が心配している事を野獣に打ち明けるKMR。

「……太田さんはどこか、僕達に完全に心を許していないような気がするんです。
いざと言う時は例え僕達を犠牲にしてでも自分の命を守ろうとするような……。
さっきも言ったように、僕がそう思っているだけなので……ただの妄想かもしれませんが……」

全て自分の思い過ごし、恐怖からくる猜疑心や被害妄想なのかもしれない。
仲間として同行してくれている太田に対してとても失礼な事を言っていると自覚こそしてはいたが、
KMRはどうしても相談せずには居られなかった。

「うーん……」

野獣は黙ってKMRの言に耳を傾けていた。
KMRの懸念も分からなくは無い。
よくよく考えてみれば、太田とは数時間前に出会ったばかりであり、彼の人柄についてはまだ完全には把握出来てない。
その真意も分からない部分が多く、あくまで見た目から来る雰囲気だが、善人のような感じはしなかった。
ただ、今現在は太田は自分達の仲間として行動し、何の危害も加えてきてはいない。
自分やKMRの不安も所詮は証拠の無い憶測でしか無い以上、太田をどうこうする事訳にもいかない、野獣はそう考えKMRに返答した。

「確かにな、KMR。お前が心配するのも分かる。
太田は何を考えているのか分からない所も有るから、完全に信用するのは危険かもしれない」
「先輩……」
「でも、今の所、敵意を向けられてる訳でも危害を加えられた訳でも無いしな……。
貴重な仲間である事も事実だし、今は様子を見ようと思うんだけど、お前どう?」
「それは、そうですが……」

難色を示したKMRだったが、結局は先に述べたように太田に対する疑念は現時点では自分の憶測でしか無い事を思い出し、
野獣の意見に同意する形に落ち着いた。

「……分かりました。すみません、こんな事を相談して」
「謝る必要なんかねぇよ。状況が状況だし、心配すんのもま、多少はね?」
「はい……」
「そういや太田は今何してんだ?」
「一階で見張りをしていましたけど……」

……

……

己の支給品である古いリボルバー拳銃・コルト ポリスポジティブ.32コルトニューポリス弾仕様を右手に持ちながら、
太田太郎丸忠信は見張りをしていた。
尤も、同行している野獣とKMRの為と言うより自分の身の安全の為だったのだが。
今の所、外を歩く者の姿は見当たらなかった。

野獣の後輩と言うKMR。
自分を見る目が明らかに不信を湛えており、余り自分とも喋ろうとしない為、自分に対し疑念を抱いているであろうと太田は思っていた。
先程KMRは二階へと上がって行ったが恐らく野獣の元へ向かったのだろう。
自分の事で相談でもしに行ったのだろうか、野獣に妙な事を吹き込まなければ良いがと、太田は懸念した。

自己の生存率を少しでも上げるには、同行者の存在は重要。
的が複数居ればそれだけ攻撃も分散する事になり、いざと言う時は囮にでも盾にでもすれば良い。
それ故に同行者を失う事になるのは彼としても避けたい所である。
一定の信用を得る為に野獣とKMRに疑念を抱かれないよう振舞ってきたつもりだったが、どうもKMRは勘が鋭いらしかった。

あまり疑心を抱かれるようであればその内、野獣とKMRとは別れなければならなくなる可能性も有るだろうと、太田は思案する。

(そういやもうすぐ放送だな)

太田は壁に掛けられた時計に目をやる。
第一回目の定時放送の時刻が迫っているが、果たして何人の犠牲者が出ているのか。
愛餓夫、吉良邑子、壱里塚徳人、貝町ト子、そしてテト、と、関係の深いクラスメイトも居るが、
あくまで自分が生き残る事を優先する太田は特に気にしていない。
他のクラスメイトも然りである。

いや、強いて言うならテトは気になった。心配しているとかそう言う事では無い、薄汚れた欲望の延長線上であったが。

自身が薬漬けにしているト子に協力させ、餓夫らと共にテトを弄び、嬲った。
その時の興奮と快感は今でも太田の脳裏に焼き付いていて離れない。
出来る事なら、もう一度味わいたいとも思っていた。

彼女にした仕打ちが、彼やクラスメイトが経験した「最初の殺し合い」が起きる要因となり、
彼が一度命を落とす遠因となった事など彼は知る由も無い。


【黎明/D-4、E-4境界線付近高田家】
【野獣先輩@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]健康
[装備]竹刀@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]基本:殺し合う気は無い。遠野達や殺し合いに乗っていない参加者を捜す。
        1:太田、KMRと行動する。但し信用し過ぎないようにする。
[備考]※動画本編、バスガイドピンキーに気絶させられた直後からの参戦です。
    ※太田太郎丸忠信から彼のクラスメイトについての情報を大まかに得ています。
    ※KMRの進言を受け、太田を少々警戒するようになりました。

【太田太郎丸忠信@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]健康
[装備]コルト ポリスポジティブ(6/6)@現実
[所持品]基本支給品一式、.32コルトニューポリス弾(12)
[思考・行動]基本:自分が生き残る事を最優先とする。その為には手段は選ばない。
        1:野獣、KMRと行動する。いざと言う時は盾に使う。
        2:テトはもう一度会ったら……。
[備考]※本編死亡後からの参戦です。
    ※野獣先輩から彼のクラスメイトについての情報を大まかに得ています。
    ※KMRが自分に不信感を抱いていると薄々察しています。

【KMR@ニコニコ動画/真夏の夜の淫夢シリーズ/動画「迫真中学校、修学旅行へ行く」】
[状態]健康、太田太郎丸忠信に対するぼんやりとした不信感
[装備]???
[所持品]基本支給品一式、???
[思考・行動]基本:生き残る。殺し合いはしたくない。
        1:野獣先輩、太田さんと行動。でも太田さんはどうも信用出来ない。
        2:クラスメイトを捜したい。
[備考]※動画本編、バスの中で眠らされた直後からの参戦です。
    ※太田太郎丸忠信に対して不信感を抱いてます。


《支給品紹介》
【コルト ポリスポジティブ@現実】
1907年にコルト社が開発した小型ダブルアクションリボルバー拳銃。
法執行機関向けに設計され、1900年初頭に法執行機関市場で大成功を収めた。
本ロワに登場するのは.32コルトニューポリス弾仕様。


前:墓、用意しといたからお前らの為に(優しさ) 目次順 次:聞こえない胸の吐息

前:Everybody plays the game 野獣先輩 次:MY BAD FELLOW
前:Everybody plays the game 太田太郎丸忠信 次:MY BAD FELLOW
前:Everybody plays the game KMR 次:MY BAD FELLOW
最終更新:2014年10月12日 22:26