【12】

F-1港。

「ウィィィィィィッス! どうもージャムでぇーす! いやぁー何と、私、殺し合いゲームと言うものに、巻き込まれてしまいました!」

「ジャム」と言うHNで全くその才能も無いのにユーチューバーを気取っている小男、浜土竜平は、
今回の殺し合いに巻き込まれても「これで生きて帰れれば大人気だで」としか考えず呑気に支給されたビデオカメラで撮影を行っていた。
今の彼の脳内に有るのは見事に過酷なゲームを生き延びちやほやされる自分の姿のみであろう。

「もし生きて帰れたら、そうやなあ、オフ会……オフ会を開こうかなって。やっぱ……」

都合の良い妄想に基づいたナレーションをしている時、
背後から二人の参加者が近付いている事に彼は気付く。
一人は高校生らしき少年、もう一人は裸族なのか全裸の竜人女性。

「え? あー、ちょ、ちょっと一旦切りまぁす」

折角の撮影なのに邪魔が入ったと不機嫌になった竜平は一度撮影を中断する。そして二人に文句を言おうとした。
だが、その前に少年の拳が竜平の顔面に入り、竜平は吹き飛ばされカメラと目にかけていたオーバーグラスとメガネを地面に落とす。
カメラは破損しグラスとメガネも割れた。
突然の事に全く頭の状況判断が追いつかない竜平に今度は竜人女性が腕を竜平の首に組み付かせた。
首を固められた痛みよりも竜平が気になったのは後頭部のとても柔らかい感触。乳房だ。生の乳房が自分の後頭部に。
ボキッ。
その柔らかさが彼の感じた最後の心地良い感覚であり、竜人女性のその細腕からは想像も付かない怪力によって竜平の頚骨は粉砕され、彼は天へと召した。

「一人目」
「うーんおいしいかなあ」
「食ってみ」
「いただきまーす」

少年、三登丞に促され竜人女性、カウィナは小男の腕の肉を齧る。

「まずい」
「駄目か」

おいしくないようだ。

「こいつが持ってるのはビデオカメラだけか、そいつも壊れちまったし」
「つぎいこうよー」
「ああ」

早々に小男への興味を失った丞とカウィナは歩き去った。
二人は殺し合いに乗っており、かつ協力体制を取っている。その方が効率よくゲームを進められると判断したのだ。
そして最後の二人になれば、二人で殺し合い勝った方が優勝する、そのような契約を結んでいた。


【浜土竜平  死亡】


【明朝/F-1港】
【三登丞】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いに乗る。最後の二人になるまではカウィナと行動。

【カウィナ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いに乗る。最後の二人になるまではミトくんと行動。


《キャラ紹介》
【浜土竜平】
はまづち・りゅうへい
32歳のユーチューバー気取りの無職。チビ、坊主頭、おちょぼ口、そして才能ゼロだが自信家。

【三登丞】
みと・すすむ
感情表現の希薄な高校生。17歳。青みがかった黒髪。邪魔だと思った物は手段を選ばず排除する冷酷な性格。

【カウィナ】
青と白の身体に銀髪の裸族竜人でブーツと腰ベルトのみの格好。巨乳で大人びた外見だが14歳の子供。
精神年齢が幼く残虐、食べる事が大好き。一応冒険者。


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最終更新:2016年09月23日 21:03