POWER&GLORY

【7】POWER&GLORY

D-3エリアの川に架かるコンクリート橋「軍前橋(ぐんぜんばし)」。
北側の橋台部分に体育座りをして縮んでいる少年、廣崎貴彦。

「あー、もう俺の人生駄目駄目だあ」

とにかく暗いオーラを放つ彼。
見た目に違わぬ暗い性格で、学校ではろくに友達もおらず悪童からはいじめられていた。

「ここで俺の人生は終焉を迎えるのか……」

ブツブツと泣き言を呟く彼の元に近づく一人の女性。

「ねぇあなた?」
「……?」

その女性は非常に際どい露出の多い格好をした美女であり悪魔のような翼や角も生えていた。

「私と良いコト、しない?」

恐らくその女性にとって最大限の色気をこめたアピールを、貴彦に対し送る。
豊満な胸元を強調し、いやらしく尻を振る。
こうすればきっと目の前の少年は落とせる! と、女性、サキュバスのリルヴァは確信していた。今までもこの手で数多の男を貪ってきたのだから。

「いや、いいっす」
「え?」

だが、貴彦はリルヴァの意の通りにならなかった。

「え? も、もう、ウブねぇ。でも大丈夫よ? 私が手取り足取り」
「いや本当いいっす」
「て、照れなくても」
「いやマジでいいんでほっといてくれませんかね」
「……」

余りの事態に固まって無言となるリルヴァ。
一方の貴彦にとって目の前の良くわからない女性など鬱陶しい存在に過ぎなかった。

「えええ!? ちょっと待って! こんなエッチな格好の女の子が誘ってるのに塩対応なんて有り得なくない!?」
「あーもううっさい……何すかもう、いきなり現れて、ほっといてって言ってるでしょ……一人にして下さい」
「むぎぎぎぎぎ」
「麦?」
「違う!」

自分の美貌を否定されたように感じ悔しがるリルヴァ。
放っておいて去ろうとも思ったが人間の少年に馬鹿にされたまま(貴彦は馬鹿にしているつもりは無いがリルヴァはそう思っていた)なのは、
サキュバスとしてのプライドに関わる。
リルヴァは貴彦の隣に座り込んだ。

「えぇ……何すか」
「怒った。怒ったよ私。絶対貴方を振り向かせてみせるから」
「……はぁ……」
「私リルヴァ。貴方は?」
「……廣崎貴彦」

面倒臭そうに、貴彦はリルヴァに自己紹介を返した。


【明朝/D-3軍前橋北側橋台付近】
【廣崎貴彦】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いをする気は無い。この人(リルヴァ)何よ……。

【リルヴァ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いはしない。廣崎君の興味を私に向けさせたい!


《キャラ紹介》
【廣崎貴彦】
ひろさき・たかひこ
暗いオーラを放つ中学生。15歳。既に自分の人生を悲観している。更に他人との交流が嫌い。友達も数える程しかいない。

【リルヴァ】
紫髪のサキュバス。スタイル抜群で非常に際どい格好。妖艶に振舞うが根は割と普通の性格。


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最終更新:2016年10月25日 21:13