【28】無為はあらゆる不道徳の母
「ねーおかしい絶対おかしい」
リルヴァは少年・貴彦に対しアピールを続けていた。
素っ裸になって尻を突き出しその部分を広げて奥まで見せて尻を振ったりもした。
だが貴彦は鬱陶しげな目を向けるだけであった。
「おかしいって何でそこまで興味がわかないの」
「……」
そろそろ泣きそうになっているリルヴァの問いに答えず貴彦は立ち上がってデイパックを持ち上げる。
「え? どうしたの?」
「どこか建物探してそこに隠れてます」
「あ、じゃあ私も行くからね!」
「ええ……」
「当たり前よ! 虚仮にされたままでいられないもの!」
「……はあ、もう勝手にすれば良いでしょう」
うんざりしている貴彦に張り切るリルヴァ。
貴彦はもういい加減まともに構うのも面倒になったようで勝手に飽きてどこかへ行ってくれる事を願っていたが、
リルヴァは全くその気は無かった。
――――あぁぁぁぁい゛たぁいぃぃぃぃぃぃ!!痛いぃぃぃぃぃ!!痛い痛い痛いぃたっぁあ゛ぁいたぁ゛い!!!!!
「「!」」
突然どこかから響く男の悲鳴。
凄まじい絶叫のようで木霊している。
「あれ、結構近くない? 今の悲鳴」
「みたいですね……もうちょっとここに居ますか、じゃあ」
危険を感じた貴彦はもうしばらく橋台部分に留まる事にした。
「じゃあそのもうちょっとの間私と」
「しません」
「……泣いて良い?」
あまりの塩対応の連続にリルヴァは流石に心が疲れてきているようであった。
【午前/D-3軍前橋北側橋台付近】
【廣崎貴彦】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いをする気は無い。この人(リルヴァ)何よ……。
【リルヴァ】
[状態]健康
[所持品]基本支給品一式、不明支給品
[行動指針]殺し合いはしない。廣崎君の興味を私に向けさせたい! って言うか向いてよぉ……。
最終更新:2016年10月25日 21:13