36話 満たされぬ欲求
放送が終わる。
呼ばれた死者は17人。残り人数は33人だと言う。
その33人の生き残りの中には、廃屋群の廃屋の一つにて放送を聞いた蒲生重勝と神楽坂雪子が確かに含まれていた。
「随分死んでるんだな」
「ですねぇ……やる気になっている人がそんなに多いんでしょうか」
「分かんねぇけど……禁止エリア、この近くだな。
ここらは入っていないかもしれないけど、念の為に移動した方が良さそうだな」
放送で指定された六つの禁止エリアの内、D-3エリアには廃屋群が含まれている。
但し、その廃屋群はエリア区分によってD-3東南端、E-3西南端、E-4西北端と言う感じに分断されている。
現在自分達がいる廃屋のある場所がどの部分に含まれているか分からないが、
廃屋群の一部が禁止エリアに指定された以上、廃屋群からは離れた方が得策だろう。
重勝はそう考えた。
「でもどこに行きます?」
「そうだなぁ、うーん……」
地図を広げ考える重勝。
(折角蒲生さんにアタックしようと思ったのに、はぁ、残念)
雪子は心の中で、放送後に重勝に自分を滅茶苦茶にして欲しいと頼もうと計画していた事が、
禁止エリア指定により頓挫した事を嘆いていた。
一刻も早く移動しなければならない状況では流石に自分の欲望を通す事は出来ない。命が掛かっているなら尚更だ。
(いやいや、また別の機会を窺えば良いだけの話よね。諦めたりしないんだから)
欲望を捨てる事こそしなかったが。
「よし、東に行ってみるか。図書館とかある所」
「どうしてそこに決めたんですか?」
「いや、何となく」
「成程」
「よし、行こうか」
重勝と雪子は早速荷物を纏め、放送を聞くのに使った廃屋を後にし、
コンパスを頼りに東方向へ歩き始めた。
【E-4/廃屋群周辺/朝】
【蒲生重勝】
[状態]健康
[装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40)
[持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:雪子ちゃんと行動。東へ向かう。
【神楽坂雪子】
[状態]健康
[装備]グルカナイフ
[持物]基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:蒲生さんと行動。東へ向かう。
2:蒲生さんに滅茶苦茶にして欲しい。
最終更新:2015年03月09日 10:49