なりを潜める欲求

51話 なりを潜める欲求

「ん、あれは……」
「どうしたの蒲生さん? ……あら?」

廃屋群を出て森の中を歩いていた狐青年蒲生重勝と、同行している少女神楽坂雪子は、
自分達と同じように森の中を歩く三人組を発見した。

「どうする? 声を掛けてみる? 殺し合いに乗ってる人があんな大人数で行動してるとは考えにくいけど」
「うーんそうだな……いっちょ声を掛けてみっか」

雪子の言う通り殺し合いをやる気になっているのであれば、
恐らく大抵優勝を目指しているのだろうから複数で行動すると言う事はまず無いだろう。
もしかしたら例外もあるかもしれないがそれの可能性の方が低いと思われる。

勇気を出して二人は三人組と接触を試みた。

「おーい」
「あの……すみません」

しかし声を掛けた瞬間に三人に武器を向けられた。
白虎少年はリボルバー、黒豹少女はバールらしき物、いやに露出が高い格好の銀髪美女は槍らしき物。

「でええ、物騒なもん向けんなよ、俺達は殺し合いには乗ってないよ」
「本当か? ……悪い、警戒してたから」

白虎少年は重勝と雪子に謝ると武器を下ろし他の二人にも下ろすよう促した。

「俺は蒲生重勝、こっちは同行して貰ってる神楽坂雪子ちゃん」
「ど、どうも」
「俺は福井知樹だ、知樹でいいよ」
「あ、知樹の肉便器の村上在羽でーす。在羽でいいよ」
「おい何言ってんだボケ」
「冗談だよ」
「エリノアです」
「なあ、知樹。三人で行動してるって事は殺し合いには乗ってないんだろ?
乗ってるなら複数でいるってのは考えにくいんだが」
「ああ」
「それなら良かった」

重勝ら二人と知樹ら三人は仲間になる事にしたが、流石に全員で一緒に歩くと五人と言う大所帯になり、
その状態で歩くとなるとかなり目立ち、また、一気に殲滅される危険もあるため、
エリアF-3にある図書館で合流しようと言う事になった。

「それじゃ俺らはこっちの方から行くよ」
「ああ、気をつけてな」

知樹達が先に出発した。
次に合流出来る事を、出来た時に誰も欠けて無い事を願って。

「俺らも行くか」
「はい……私達以外にも殺し合い乗ってない人がいて良かったです」
「そうだな」

重勝と雪子もまた出発する。
あえて知樹達とは別の方向から図書館を目指す事にした。

(蒲生さんに滅茶苦茶にされたいのになぁ、人数増えると難易度上がるんだけど……いや、衆人環視の中で……)

そして、ここに来てもまだ雪子は自分の欲望を叶える方法を模索していた。


【E-3/森/昼】
【蒲生重勝】
[状態]健康
[装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40)
[持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:雪子ちゃんと行動。東へ向かう。図書館で知樹達と合流する。

【神楽坂雪子】
[状態]健康、欲求不満
[装備]グルカナイフ
[持物]基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:蒲生さんと行動。東へ向かう。図書館で知樹達と合流する。
2:蒲生さんに滅茶苦茶にして欲しい。


【E-3/森/昼】
【福井知樹】
[状態]健康
[装備]コルト パイソン(6/6)
[持物]基本支給品一式、.357マグナム弾(12)
[思考]
基本:殺し合いから脱出したい。在羽、エリノアと行動。
1:森を抜けて南の市街地へ向かう。図書館で重勝、雪子と合流。

【村上在羽】
[状態]健康
[装備]バール
[持物]基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いはしない。知樹、エリノアさんと行動する。
1:森を抜けて南の市街地へ向かう。図書館で重勝、雪子と合流。

【エリノア】
[状態]健康
[装備]十文字槍
[持物]基本支給品一式
[思考]
基本:殺し合いはしない。在羽さん、知樹さんと行動する。
1:森を抜けて南の市街地へ向かう。図書館で重勝、雪子と合流。


050:薄れる自暴自棄の心 目次順 052:赤い道標に誘われて
036:満たされぬ欲求 蒲生重勝 057:叶えられない欲求
036:満たされぬ欲求 神楽坂雪子 057:叶えられない欲求
043:生死と隣り合わせのスレチガイ 福井知樹 056:血霧の向こう
043:生死と隣り合わせのスレチガイ 村上在羽 056:血霧の向こう
043:生死と隣り合わせのスレチガイ エリノア 056:血霧の向こう
最終更新:2013年04月08日 23:44