~時は少し遡り
アポロンたちは~
アポロンたちはグリフ大陸を進み、苦も無くその長官室へとたどり着いた。
~EGOグリフ大陸支部・長官室~
長官室へと乗り込むアポロンたち。
マオ「おいでなすったねテロリストたち」
そこへ待ち受けていたマオ。
アポロン「そなたがこの支部の長官か」
キノ「ここは明け渡してもらう!」
ディック「俺たちが相手だ!」
マオ「そう血気盛んになるなよ。私はあんたらと戦う気はない」
アポロン「なんだと?」
マオ「今のEGOも昔と変わらない。私の居場所ではなかった。もうこの件からは手を引かせてもらう。ここはあんたたちの好きにしな」
そういうとマオは部屋を後にしようとする。
アポロン「その職務を放棄するというのか?」
マオ「これはあくまで契約さ。EGOと私たちDハイヴのね。契約はこちらから破棄させてもらうさね」
アポロンたちの横を通り過ぎるマオ。
マオ「あぁそういえば№(ナンバー)26は元気かい?奴によろしく言っておいてくれよ。いずれ機会があればまた会うかもしれんからね」
そういうとマオはいずこかへと消えていった。
アポロン「あっさりといったな」
キノ「でも結果としてグリフ支部は掌握できたんだからよかったよね」
ディック「そうだ!これで俺たちの役目は果たせた!」
アポロン「そうだな。
スライと
トニーにはカリナン公国へ向かうよう連絡しよう」
ビービー!!
突如支部内に響き渡る警報。
アポロン「なんだ?」
キノ「モニターを見て。敷地内に侵入者あり…だそうよ」
ディック「EGOの手か!俺が行く!」
キノ「いや…これは」
モニターに映し出される侵入者の姿。黒いローブに身を包んだ人物がその場にたたずんでいる。
キノ「ローブで正確に表情は見えないけれどどこかで見たような気が…」
ディック「なんだっていいさ!俺に任せてくれ!」
勢いよく部屋を飛び出していくディック。
アポロン「キノ。われらは支部内の調査だ。」
キノ「捕虜がいないかね。わかったわ」
それぞれに行動するアポロンたち。ディックはグリフ支部の入り口広場へ向かうのであった。
~EGOグリフ大陸支部・入口広場~
ディック「EGOめ!ここを取り戻しに来たか!」
黒ずくめの男「貴様がなぜここに…」
黒いローブに身を包んだ男はディックを知っているかのような口調で話す。
黒ずくめの男「ディック・ピッド。ここで会ったのも縁。お前の命、神に捧げよ!」
ディック「えっ?なんだって?」
バッ!
ローブを脱ぎ捨てる男。
ディック「おまえは!バトルグランプリの!」
ニーノロータ「我らが神の礎(いしずえ)と!『グリフの地へ眠る静寂なる世界の守護者。その力をもって世界へ活力を取り戻したまへ!』」 」
ゴゴゴゴ!!
地震のような地鳴りがあたり一帯に起こる。
ディック「なんだ!?」
ニーノロータ「目覚めよ!『カルマート・アニマ』!」
バゴォン!
地面を突き破り、虎の姿をした石像が現れる。
ディック「動物の石像?」
ニーノロータ「守護者カルマート・アニマよ!世界を混沌へ導く者たちへ加味する地縛民の裏切り者を始末せよ!」
アニマ「…」
ググググ!!
体を丸めるようにして力をためるアニマ。
バッ!
地面を強くけり、大地を走るアニマ。
ダッ!ダッ!
アニマが大地を蹴るたび、地面から火花が散る。
ボシュ!
やがて火花は大きな炎となり、アニマを包み込む。
ゴォォ!!
炎に包まれたアニマがディックへと突進してくる。
ディック「受けて立つぜ!果倉部流正拳突き!」
拳を突き出しアニマへと放つディック。
ドゴン!!
ディック「ぶっ!」
アニマにより吹き飛ばされるディック。その体が宙を舞う。
ニーノロータ「そのような攻撃で神の使いである地縛征獣(じばくせいじゅう)の攻撃を受け止めようなど笑止千万!」
ブン!
ニーノロータに向けて剣が飛んでくる。
ニーノロータ「む!ふぅん!」
ビキビキビキ!
ニーノロータの皮膚が赤く変色していく。全身の筋肉が隆起し、その姿は鬼を連想させる姿となる。
ガキン!
剣を腕で弾き飛ばすニーノロータ。
ニーノロータ(赤鬼人)「なにやつ?」
リョウガ「あそこで吹っ飛ばされている奴の仲間さ!」
吹き飛ばされた剣を手に取り、2本の剣を構えニーノロータへと切りかかるリョウガ。
ガキン!
リョウガの双剣をその両腕で受け止めるニーノロータ。
リョウガ「素手で剣を受け止めやがった!」
ニーノロータ(赤鬼人)「笑止!その程度の力ではわれに薄傷すらつけることはできん!」
ブン!
両腕を振るい双剣を弾くニーノロータ。
リョウガ「ぐっ!おまえアンモライシティのバトルグランプリにいたやつだよな。あの時お前の仲間はディックを狙っていた。お前も地縛民なのか?」
ニーノロータ(赤鬼人)「さよう。われは地縛民ニーノロータ。神の啓示を実行するものなり!」
リョウガ「神の啓示?
シャカイナのことか?」
ニーノロータ(赤鬼人)「否(いな)。古き神はいまだ復活の兆しは見えぬ。それにすがる者たちはまやかしの希望にすがっておるに過ぎない。そのディック・ピッドを中心にな」
リョウガ「だったらおまえのいう神の啓示とはなんだ?」
ニーノロータ(赤鬼人)「我ら地縛民を導く神。数多の生贄を糧にし、我らが未来を示す者。神こそが我ら地縛民を未来へと導くのだ。」
リョウガ「言っていることがわからないぜ。まぁいいさ!お前を倒してゆっくりその意味を聞かせてもらうとする!」
双剣を構えるリョウガ。
ニーノロータ(赤鬼人)「残念だがお前との戯れはもう終わりだ」
ドン!!
何かがリョウガへと衝突する。
リョウガ「ぐっ!」
吹き飛ばされるリョウガ。リョウガに衝突してきたのはアニマだ。
ニーノロータ(赤鬼人)「安息に駆られた地縛民よ。我らによりお前たちの積年の無駄な徒労は終わりを告げる。新たなる地縛民の始まりを見せよう」
シュン!
姿を消すニーノロータ。
リョウガ「くそっ…逃げやがったか。厄介な土産を残してな」
リョウガの前に立ちはだかるアニマ。ディックは地面に打ち付けられしばらくは動けそうもない。
アニマ「…」
リョウガの前に立ちはだかるアニマ。獲物を狙うように鋭い眼光がリョウガへと向けられる。
リョウガ「俺一人でこいつの相手はちと荷が重いかもな…。だがやるしかない!」
双剣を構えるリョウガ。
ダッ!
地面を蹴り上げアニマがリョウガへと飛び掛かる。
ガキン!
双剣でアニマの前足を受け止めるリョウガ。
ググググ!!
リョウガ「ちっ!石像だけあって重い…このままでは…」
ガキン!
リョウガの双剣が弾かれる。
アニマ「…」
アニマはリョウガへとそのまま飛び掛かる。
リョウガ「くっ!」
バン!バン!
アニマ「……」
アニマへと放たれる銃弾が直撃する。ひるんだアニマは態勢を崩す。
キノ「大丈夫ですかリョウガ!」
両手に銃を構えたキノが現れる。
リョウガ「キノ!助かった。恩に着る」
キノ「いえ、それよりもこの石像はいったい…」
アポロン「地縛民の神…その遣(つか)いなのか…」
キノとともに現れたアポロンが訝しげな表情でアニマを見つめる。
リョウガ「神の遣い?アポロン、何か知っているのか?」
アポロン「地縛民の崇める神シャカイナ。その伝承にはシャカイナが世界各地を治めるために各大陸にその神僕(しんぼく)である征獣(せいじゅう)を配置したという。」
リョウガ「石獣…」
アポロン「モゴラ大陸を征する水蛇(すいじゃ)、レムリア大陸を征する風鳥(ふうちょう)、そしてグリフ大陸を征する炎虎(えんこ)。3体の征獣(せいじゅう)はシャカイナとともに世界を制圧した。だが…」
キノ「それを打ち破ったのがアポロンの祖先たちだよね」
アポロン「そうだ。我の祖先であるメサイアたちがシャカイナたちを打ち滅ぼした。だがこの石像は…」
アニマを見つめるアポロン。伝承に現れる炎虎に酷似した姿のカルマート・アニマ。
アポロン「何かを感じる。因縁めいた何かを…」
キノ「ただの伝承を模した石像ってことじゃあないのかもしれない」
リョウガ「シャカイナに関連する何かをこいつは持っているのかもな」
アポロン「その真意を見出すためにもこの石像を打ち倒す!」
ジャキ!
背中に背負った大剣エクス=ペリエンスを構えるアポロン。
アポロン「そなたがシャカイナに通じるのならばその真を見極めさせてもらう!」
アニマ「…」
アニマはその前足を地面へと突き立てる。
ダン!
アニマ「…」
ギュィィン!!
アニマの前足を中心に魔方陣が展開される。
~モゴラ大陸・某所~
カルマート・カラン「…」
カランが地面へとその頭部を向ける。するとそれを中心に展開される魔方陣。
~レムリア大陸・某所~
カルマート・アマービレ「…」
地面へとその頭部を垂れるアマービレ。それに反応するかのように魔方陣が展開される。
~グリフ大陸ノワール地区・シャカイナの塔~
???「地縛征獣よ。数百年の時を経て、世界を守護するその力を解き放て。解放(コルド)!!」
バシュゥゥン!
グリフ大陸、レムリア大陸、モゴラ大陸で発現した魔方陣が地球全てを覆いつくすように展開し合体する。
ニコロ「地縛大神官ニコロ・ヴィートが命ずる!ラルゴ・セイジャー・スピリトーゾ(全力なる世界の掌握)!!」
ギュィィィン!!
地球全体を覆った魔方陣が地面へと吸い込まれるように消えていく。
~グリフ大陸・EGOグリフ大陸支部~
ゴゴゴゴ!!
地震のように揺れる地面。
リョウガ「なんだ!?」
キノ「あれは!」
ボゴ!ボゴ!
アニマの周囲の地面が隆起していく。
ボゴン!
地面から現れる石像たち。人ほどの大きさでその姿は鬼のような姿をしている。
アポロン「石の鬼?」
石鬼(せっき)「…」
石鬼たちはアポロンたちへと襲い掛かる。
アポロン「くっ!地縛民の尖兵か」
アニマ「…」
アニマは背を向け何処かえへと走り去っていく。
キノ「この石鬼たちを倒さないとグリフ支部もやられてしまう!」
リョウガ「だったら倒すだけだ!」
アポロン「リョウガの言うとおりだ。この石鬼たちを倒し、グリフ支部を守り抜く!」
石鬼たちと激しい戦いを繰り広げるアポロンたち。そして…
ディック「…ん?」
目を覚ますディック。
ディック「おわっ!な、なんだ!?」
ディックの目の前には無数の石鬼たちの死骸が横たわっていた。
アポロン「これ以上は出てこないようだな」
キノ「そのようだね」
リョウガ「よう、やっと目覚めたかディック。お前が寝ている間俺たちは大変だったんだぞ。その分これから働いてもらうからな」
ディック「な、なんだか状況は分からないけどすまない!まずは今の状況を説明してくれよ!なにがなんだかわからないぜ!」
アポロン「そうだな。今の状況を理解してもらうのから始めよう。それと地縛民についてもそなたに聞きたいことがある」
ディック「あぁ!何でも聞いてくれ!」
キノ「EGOだけでも大変なのに地縛民が関わってくるなんて…最悪のタイミングだね」
アポロン「泣き言を言っても状況は変わらない。奴らにも対処しつつEGOを止めなければならない…。それが我らの戦いだ」
リョウガ「やるしかないよな…」
アポロン「いまさら引けはしない。世界全てが敵に回ろうとも我らは我らのなすべき道を進むのだ」
キノ「そうだね。それが僕たちのなすべき道…決めたことなのだから」
ディック「あぁ!」
こうしてEGOグリフ大陸支部を掌握したアポロンたち。だが地縛民の介入は彼らの作戦を大きく乱すイレギュラーとなった。突如介入してきた地縛民の目的は…
to be continued
最終更新:2019年09月02日 21:42