キノ「はぁぁ!!」
キノは手にした銃でロボットを撃ち抜く。的確に放たれた銃弾はロボットの動力を撃ち抜く。
キノ「きりがない!早く根源を断ち切らないと!」
キノはロボットが暴走する街の中を進んでいく。通りざまにロボットたちの動力を撃ち抜く。次々と動作を停止するロボットたち。
キノ(数が違いすぎる…)
目につくロボットたちはすべて破壊してきている。だが相手は街中のロボットすべて。いくら破壊しても次から次へとわいてくる。
キノが走り抜けると大きな通りにでた。
キノ「んっ?」
ふと通りの真ん中に目をやるとそこには小さな人影が見える。
キノ「子供!?こんなところに!」
街中が暴走するロボットで混乱しているミストラルシティ。そんな街のなかにひとりで子供が取り残されている。キノはその子供のもとに駆け寄る。
キノ「えっ!」
驚くキノ。子供の横には人が倒れていた。その人物は彼女のよく知る人物だったのである。
キノ「ボルク!」
ボルクは気を失っているようだ。その体には多くのダメージが見て取れるが呼吸はしている。
キノ「なにが…」
少年「え~ん!お兄ちゃんが僕を助けようとして…」
泣きわめく少年。
キノ「もう大丈夫だよ。さぁ僕についてきて」
キノは少年に手を差し伸べる。
少年「…ニヤリ!」
少年の口元に笑みがこぼれる。次の瞬間!キノに向かってどこからか銃撃が放たれる。一発ではない。多数の銃弾がキノを襲う。
少年「あっはっはっ!やった!これで二人目だね!」
少年は高らかに笑う。先ほどまでの様子が嘘のようだ。
少年「こんな罠に引っかかるとはね。さーて次はだれを狙おうかな!」
少年がこの場を立ち去ろうしたそのとき!
バキュン!
少年の顔を銃弾がかすめる。
少年「ん?」
少年は後ろを振り向く。そこには…
キノ「危なかった…『オート・プロテクト』がなかったらやられていたよ」
無傷のキノがいた。キノの能力『オート・プロテクト』はあらゆる攻撃を防ぐ。多数の銃弾はその能力により防がれたのであった。
少年「へー。おもしろい能力だね」
キノ「さっきの言葉…2人目っていってたよね。もしかしてボルクは…」
少年「くくく!そうだよ僕がやったのさ!君と同じように僕を助けようとした瞬間にね!」
キノ「そんな姑息な手をつかうなんて…。でもそんなことより…」
目の前の少年をまじまじと見るキノ。
少年「僕みたいな子供が?って顔しているね。遠慮することはないよ。僕は君を殺すつもりでやるからね!」
少年の言葉は嘘ではない。その証拠に彼から凄まじい殺気が放たれている。
キノ「まさか君も…」
少年「察しがいいね。そうさ!僕はオリジネイター、抑制のリミット!このロボットたちを暴走させている張本人さ!」
この少年がオリジネイター?にわかには信じられない。だが…
キノ「この殺気…普通の人間がだせるものじゃあない」
リミット「さーて!いくよ!」
リミットとキノの周りにはいつのまにか無数のロボットたちが押し寄せていた。
キノ「くっ!こいつに気を取られすぎていた!でも!」
キノには『オート・プロテクト』がある。攻撃を防ぎつつ一体ずつ確実に倒していけば問題ない。
リミット「いけ。ロボットたちよ!」
キノに襲い掛かるロボットたち。警備用のロボット、家庭用のロボット、はたまた見たことがないような最新鋭のロボットなど様々なロボットたちがキノに襲い掛かる。
キノ「無駄だ!」
キノの能力によりロボットたちの攻撃は阻まれる…はずだった。
キノ「なに!?」
キノの『オート・プロテクト』を突き抜けて何体かのロボットたちが攻撃を仕掛けてくる。
リミット「ふはは!いけー!」
キノ「くっ!」
とっさに後ろに下がり、間一髪キノはロボットたちの攻撃をかわす。しかしおかしい…。能力は発動していたはずなのに。
キノ「いったい何が…」
リミット「君の能力はなんでも防げるみたいだけど、残念だったね。僕の能力『外制止』(がいせいし)はあらゆる事象に制限を設ける能力。君の能力に制限をつけさせてもらった」
キノ「能力の…制限…」
リミット「そう。君は能力で防げる限界を作られたんだよ。僕の能力によって!」
本来ならあんなロボットの集団なんとでもなるのに。リミットの能力によって不完全な防御能力になってしまったのだ。
キノ「これだけの数を相手に『オート・プロテクト』が使えないなんて!」
多勢に無勢。キノは敗北を覚悟する。
リミット「終わりだよ!」
リミットの号令とともに襲い来るロボットたち。
キノ「くっ…。アポロン…」
目をつぶるキノ。その体をロボットたちの攻撃が貫く…。
キノ「…あれっ?」
痛くない…。ロボットたちの攻撃がこない?なんで?ゆっくりと目を開けるキノ。
???「大丈夫だったか?」
キノの前には1人の男が立っている。その男は手に持つ大剣でロボットたちを次々となぎ倒す。
キノ「アポロン!」
アポロン「遅くなったな」
リミット「あいつが…」
アポロン「あの少年がオリジネイター…」
キノ「そう。あいつにボルクもやられたんだ」
アポロン「仲間が世話になったみたいだな」
リミット「大丈夫だ。お前も一緒に面倒をみてやるよ!」
アポロンを挑発するリミット。
アポロン「小さな言葉だな。我にはそのような言葉は届かない!」
リミット「そうかい!だったら力でねじ伏せるまでだ!いけ!」
ロボットたちがアポロンに襲い掛かる。
アポロン「はぁぁ!」
手にした大剣でつぎつぎとロボットたちをねじ伏せるアポロン。
キノ「す、すごい」
リミット「なんてやつだ…」
周囲のロボットたちはあっという間に鉄くずと化した。これがアポロンの力なのだ。他者を寄せ付けない圧倒的な力。
アポロン「さぁ、あとはソナタだけだ」
リミット「ちっ!この抑制のリミットをなめるなぁ!」
リミットがアポロンに向かってとびかかる。その手には先ほど破壊されたロボットの剣が握られている。
アポロン「神託のロールを持ってして、我天命を全うす!天地開闢の一幕を紡ぎ出さん!抑制のリミット!」
リミット「くっくっく!」
リミットの動きは止まらない。
アポロン「なに!?」
リミット「お前の能力はリサーチ済みだ!僕たちの名前はあくまで定義的なもの。この名前には意味などない!お前の能力はきかないんだよ!」
アポロン「ならば!」
大剣を構えるアポロン。リミットが間合いに入るタイミングと同時にその大剣を振りおろす。
リミット「くらえ!『外制止』!お前の大剣の威力を制限する!これで!」
アポロンの大剣を手にした剣で受け止めるリミット。
リミット「このままお前の…」
言いかけたリミットはそのまま地面にたたきつけられる。アポロンの大剣に剣ごと押し込まれたのだ。
リミット「な…なんで…」
アポロン「相手の力を制限する能力か。」
アポロンの大剣にたしかに能力をかけたはず…。しかし全く効果がない。
リミット「そん…なはずは…」
事態が呑み込めないリミット。
アポロン「我が感得の大剣エクス=ペリエンスは我とともに成長する剣。時間は常に動くもの…ゆえに成長とはとまることがないものだ」
キノ「つ、つまりリミットの能力で一度剣の力が制限されたけど、即座に制限を超えるスピードで力を取り戻したってこと!…かな」
リミット「成長する…剣だと?そんなの…ありかよ…」
アポロン「ソナタはもう終わりだ。人々を恐怖に陥れた報いその身で受けるがいい!」
リミット「く…そっ!」
大剣を振り下ろすアポロン。
???「そこまでです!」
突如上空から光がアポロン目がけて落ちてくる。即座に避けるアポロン。
キノ「な、なに!?」
光の中から1人の男が現れる。金髪の男だ。それは…
グローリー「私は栄光のグローリー。ここでリミットをやらせるわけにはいきませんね。」
キノ「こいつはたしか…」
ミストラルシティに現れた飛行島。そこに映し出された映像に移っていた人物だ。
アポロン「次はソナタが相手か」
グローリー「本来ならそうしたいところですが…」
にろく「ここだ!」
にろくたちがウイルスの発信源を追って現れた。
ナル「あれ?あれって…」
ディック「アポロン!」
アポロン「ディックたちか…」
スライ「街中のロボットたちがここに集まってきていたぞ!」
トニー「ここに…」
十也「あれは!」
十也とスライ、トニーもこの場所へと到着する。
ディサイブ「ここか」
レオン「あいつは!ニュースの映像でみたことがありますよ!」
ディサイブとレオンもその場に現れる。
結利「お~い!十也!」
十也「!?なんでこんなところに!」
突如現れる結利。
結利「いや~。十也を見かけたんで追いかけて来てみたんだよね」
運命の輪に導かれてか彼らはこの場へと集まったのである。
グローリー「さすがにあなたたち全員を相手にするのでは勝てる自信がありませんからね。ですが…」
パチン!
グローリーが高らかに指を鳴らす。すると雲の上から飛行島が見える高さまで降りてくる。
ディック「ピエタ帝国…」
グローリー「役者はそろいました!試練を乗り越えた者たちよ!我々とあなたがたとのの最終決戦です!」
リミット「まさか…グローリー!」
グローリー「えぇ。彼らをあの飛行島に招待します」
飛行島からミストラスシティをつなぐ橋がかけられる。
グローリー「さぁ!私たちはあの塔であなたたちを待ちましょう!恐れを知らぬ者たちよ!その力を我々に示しなさい!」
グローリーとリミットは光の中に姿を消した。
十也「奴らの本拠地…」
EGO隊員「お-い!みなさーん!」
突然の事態に混乱する一同のもとにEGO隊員が現れる。
EGO隊員「みなさん!ミストラルシティ支部に来てください!ネオ長官がお待ちです!」