咎の四:響き渡る刻の音!理想郷の終焉!

〜咎人の街中央部「ZENithタワー」〜
この街で最も高くそびえ立つ建造物であるZENithの本拠地。にろくとアルム、そして元の姿に戻ったフォウの三人がタワーの門前まで辿りついた頃、ちょうど昼を知らせる鐘が響いていた。

フォウは大きな怪我はないものの、アルムに支えられて歩くのがやっとといったところだ。体力の低下が激しいのは“あの姿”が原因だろう。

扉の前に立ちインターホンのボタンを押す。ランプが赤く点灯する。
にろく「チーム「P」のにろくだ。北部で発生した暴動あり、咎人2名を連行してきた」
ZENith連絡員「暴動ですか!?応援部隊の派遣は必要でしょうか?」
にろく「暴動は鎮圧済みだ。増援は不要だ」
応の返答の後、ランプが緑に変わり扉が開放された。三人は中へ足を踏み入れた。


〜ZENithタワー15階「中央管制室」〜
エレベーターが開いた先には大きな空間が広がっていた。正面には大きなディスプレイが構えていて、分割された画面には何かしらの情報を示した文字と数字が並んでいる。

ZENithの隊員も多く配置されている。今はその全員の目がにろくたちに注がれていた。正確にはその後ろで縮こまっているアルムとフォウだろう。
にろく「先に報告したとおり暴動は解消した。人的被害もない。暴動発起人は…後ろの彼女だ」
その言い方には棘があるのではないかとアルムとフォウの頬を冷や汗が伝う。
にろく「事情はこれから取り調べる。だが本人に由来しない外的要因があると推察されるため、人道的な取扱を優先している」
アルムとフォウは顔を見合わせる。確かに手錠もなく足枷もなく、彼らの自由は保たれている。てっきり牢獄に閉じ込められるものだと思っていたのだが、そうではなさそうだ。とりあえずは大丈夫ってことかな。

二人が安堵したところで、四人の赤服隊員が駆け寄ってきた。
ポートロ(金髪の男性隊員)「にろく隊長、御帰着お疲れ様であります!」
デヴァイ(波髪の女性隊員)「暴動発生の報を受けた刻にはすでに鎮圧済みともあり、こちらで待機していました。お怪我は、なさそうですね」
後ろの二人も手当は不要かしら、と声かけられてアルムはフォウの様子を伺う。確か銃弾を受けたはずなのだが、その傷跡はない。そもそも体は人間の姿に戻っていて・・・あ、そうだ!
アルム「怪我はないんだけど、体が・・・その、なんていえばいいのかな」
リート(黒髪の女性隊員)「・・・隊長、もしや彼女は“姿が変わっていた“のではないですか?」
にろく「!?そうだ。そうだが、なぜそれをすでに把握している?」

まだ暴動の詳細を報告していないにもかかわらず、だ。ちなみにこの街には自由意志尊重の方針から監視カメラの類は一切設置されていない。
ストラトス(黒髪の男性隊員)「既報の情報があったのです。街の東部でも暴動が起きていたのです」
ポートロ「東部暴動もTEAM Fによりすでに鎮圧済みとのことです!対応者は現在こちらに向かって移動中。なお我々が帰着する以前にことが済んでいたため我々は何もしておりません!」
腹をこづかれる彼のことはひとまず横に置いて、にろくは現状のすり合わせを行うことにした。
にろく「今から俺が対処した件の詳細を述べる。東部事案との類似点があるか確認するんだ」

応の返答があってからにろくはこれまでの出来事を述べ始めた。同時に、秘密裏にポケットに潜ませたアンビエント端末を通話状態にして、ミストラルシティにいるツバメへ状況を伝達する。話をまとめてみると、場所や人数に際はあれど、およそ同じような事案が起きていたことがわかってきた
にろく「なるほど。東部事案も咎人による暴動、さらに容姿の変化が発生するなどの類似点が多いな」
思案して程なく、先ほどの戦闘シーンの詳細な解析結果とツバメの見解がにろくに通知された。・・・そんなことが起こり得るのだろうか。情報が集まるにつれて少しずつ全容判明の気配が近づいてくる。にわかには信じがたいものの、事実がそうだと物語っているのだ。

にろく「少し席を外す。ストラトスとリートは連行した咎人二名を尋問。ここ1週間の動向を調査しろ」
二人の応に続いて、金髪の隊員が横腹をさすりながら問いかける。
ポートロ「隊長はどちらへ?」
その問いかけにこたえることはなく、にろくは中央完成室の扉を開く。
にろく「デヴァイ、東部事案に対処したTEAM Fが帰還したら連絡しろ」

彼女の応と同時に扉は閉じ、にろくはその場を後にした。


〜ZENithタワー地下「アノーガーニッシュ・エリア」〜
タワーの地下には、そこはZENith隊員の中でも上等位に相当するものした立ち入ることができない空間がある。
にろくが右腕に付けた腕章をドアに近づけると認証音が無機質に響き、静かに扉が開いた。
彼の他には誰もいない。秘密な話をするにはうってつけだろう。

にろく「はぁ」
長いため息をつく。謎めいた事態が起きたからではない、そういったことにはもう慣れた。

苦手でたまらないのはTEAM Pの隊長であること、だった。初めて部下という存在を持ち、彼らとどのように接していいものか、どうしてもわからないのである。今までにろくは単独行動が多く、それでも近年は仲間との共闘が増えてきたとはいえすぐになれるものではない。そもそも尊敬に値する上司や師匠がいないのも彼の困惑を深めていた。表面上はなんとか取り繕っているつもりではあるのだが・・・
ちなみに、にろくはZENithの副所長に当たる特別刑務官の職も拝命しているが、同じ特別刑務官が他に二人おり、その二人が多分に優秀であるおかげでそちらの心配はしていない。

すると起動しっぱなしのアンビエント端末から声が届く。
ツバメ「そうとう堪えているわね。今からでもZENith入隊を無かったことにしたらどうなの?」
心配そうな声色を聞いたのはいつ以来だろう。少しだけにろくの頬が緩む。
にろく「ここに来た以上は仕方ないことだ。なんとかする」
言葉にしてみても少し心が揺らぐ。エクストラナンバーズが収監されると聞いてなんの迷いもなかったのだが。

ツバメ「もう、損な性格ね。いいこと、部下を持つ上司はね、とにかくチーム全体のことに頭を使うのよ。社員それぞれの力を把握した上で、必要な場所で最大限能力を発揮できるように、上手に塩梅よく・・・」
にろく「あーわかったわかった。その話は今度聞くから大社長さん」

ツバメちゃんは優秀だから、周りの人間も自分と同じように振る舞える前提で物事を進めてしまう癖があって、実際に優秀な社員相手ならいいんだろうが、俺のようにそこそこの人間には過大すぎるアドバイスなんだよな、とまずは言い訳にして、都合の悪い話を後に回すように話を変える。

一度静かに息を吐いてから、ようやく本題だ。
にろく「ところでツバメちゃん、同時多発的に厄介な状況が起きているんだが、外の世界ではどうなんだ?」
ツバメ「類似事案ね。E.G.Oの発表ではゼロよ。SNS上にも気になる情報はないわ。幸いなことに街内だけが発生範囲なのかもしれないわ」
にろく「油断はできない。これから外にも伝播して世界中に広がる可能性はあるからな」
ツバメ「仮に街内の咎人が起因とすれば・・・一応の確認だけど、咎人の能力はバイオチップで統制されているはずだから、個人の能力によるものではないわよね」
にろく「ああ。それにフォウの能力は物質を操る「リモートオン」だ。自分自身の容姿を変えるものじゃぁない」
ツバメ「ならバイオチップの故障もしくは暴走が起きたのかもしれないわね。だけど、BASICーONで付与される三元能程度では、人体変異を発現することは不可能なはずよ」

三元能・・・音と光と香り、これらを再現する能力。人類が獲得した能力でかなり原始的で平易なものである。そもそもBASICーONはプログラム上の制限があり、高度な能力が発現することはない。

ツバメ「だからさっき伝えたことが一番可能性が高いと思うの」
にろく「それで「人間の怪異化」ってことか」
ツバメ「ええ。元来、怪異は人の恐れが具現化したものよ。自然現象そのものと言ってもいいわ。暗闇を恐れた人は、そこに何かがいると強く思い込む。そうして多くの人の思いが集まりやがて形を成していった」
にろく「カンパニーの行動によって怪異は消失した。だけどそもそもの人の恐れは消えていない」
ツバメ「その恐れがキーなの。ところでにろく、今現在、その恐れはどこに向けられていると思う?」
にろくはハッとした。世界に暗闇があるとすればどこなのか、この現状が物語っている。

にろく「外の世界は平和そのものだ。咎人のいない刑務所すらない街で暮らしているからな」
ツバメ「そうね。私たちは光の中で生きているってこと。だけど心の奥では心配して不安が溜まっていう。だってそこには咎人が大量に集まっているのだから」

もしも脱獄したら、その咎人が怒りに震えて暴動を起こしたら。
咎人の街は現代社会の暗闇となり、全人類の恐れが一気に向けられているのだ。

ツバメ「人間が抱く恐れが、人間に向けられて澱り固まったものたち。彼らのことは妖怪異(ヨウカイイ)と呼称することにしましょう」

まだ怪異の脅威は去っていなかった。人がいる限り、それは続くのではないか。終わらない戦いを予感しながら、その不安を振り払うように、にろくはツバメにもう一つの疑問をぶつけることにした。

にろく「連れてきた咎人のバイオチップの解析を後でやってみるよ。何かわかるかもしれない。それともう一つ、気になることがあって」
ツバメ「何かしら?」
にろく「変身した咎人の他にもう一人、青年がいたんだが。そいつの懲役年数が9999年だったんだ」
ツバメ「超長期咎人ね。統合引延量刑制(※咎人を投獄するにあたり、各国の異なる量刑を全て合算することにした。例えば水を盗んだA国の罪人は、A国では懲役3年だが、水不足のB国では懲役120年に値する。各国間の量刑の整合を取るために、咎人の街における懲役は合算して122年とされる)が採用されたから、凶悪犯罪を重ねていればあり得ない年数ではないと思うけど」
にろく「理屈はそうだが、どうみても極悪人には見えないんだよな」
ツバメ「バイオチップの道徳機能の影響でそう見えているだけじゃないかしら」
にろく「それもそうなんだが。だけど何か違和感があるんだよな」

さらなる疑問もある。フォウからアルムに懲役年数が移動したように見えたこと、それを伝えようとしたちょうどその時ストラトスから一報が入ったので、二人は会話を切り上げることになった。

ひとり中央管制室に戻る通路を歩きながら、にろくは違和感の正体を探ってみた。だがめぼしい答えは見つからなかった。


〜ZENithタワー15階「中央管制室」〜
にろくが中央管制室の扉を開くと、そこには見知らぬ二人の男が立っていた。東部事案に対応したTEAM Fだろうか。

デヴァイ「にろく隊長、こちら東部事案を対応したTEAM Fのオクター任期刑務官補佐と、暴動鎮圧に寄与した学生のイツヤさんです」
にろく「協力ご苦労」
オクター「いえいえ大したことはしていませんよ」

オクターと名乗る彼はにろくの一回り上の年齢だろうか。落ち着いた眼差しは慈愛に満ちているようであり、これまでの人生が満ち満ちていたように感じられる。とはいえ、任期刑務官補佐とは咎人の中から募集された自警団の職であり、咎人であることに違いない。彼もまた何かしらの咎を背負っている。

オクター「大したことをしたのはこちらの彼の方です。」
手向けらた方の彼はまだ若い。にろくと同い年くらいに見える。

にろく「協力感謝する。君は学生か?」
イツヤ「はい。東部にあるハイスクールで数学を学んでいます」
どこかで見たことがあるような・・・そんな顔だったが今は物思いに耽る場合ではない。
にろく「右手を出すんだ」

大人しく差し出した右手に向けて読み取り装置をかざす。これで読み取れるバイオチップに埋め込まれた情報は、個人識別番号、咎の内容、量刑、BASIC-ONの能力詳細、道徳的文書の内容などである。彼のチップを読み取った装置が示す内容は一般的な咎人のそれであった。

にろく「オクター任期刑務官補佐、あなたも念の為確認させてもらう」
任期刑務官補佐の職は咎人の中でも暴動傾向の小さいものしか勤めることができない。具体的には、組み込まれた道徳的文書が「偉人伝記」「平和憲章」「勧善懲悪英雄譚」などの場合だ。最も多くの咎人がたづされる道徳的文書はこれらであり、それゆえに暴動を起こす脳内思考を抑制している。

オクターの結果も白であった。

そして東部事案の話の共有が始まった。場所はハイスクールの校舎内、ちょうど授業の半分ほどが経過した頃に暴動が発生した。ここでは教室内の三人の学生咎人が容姿変化を生じたという。蟻型、蛾型、椿象(カメムシ)型の彼らはすぐに自我をなくし、教室内の他の咎人に襲いかかったのだという。学校の近くを警邏中であったオクターが悲鳴に気付き、校内に着いて目にしたのは血の海だった。多くの学生咎人はすでに絶命していた模様だ。その後、2階に上がると最奥の教室から蟻型に容姿変化した咎人とイツヤがもみくちゃになって転がり出てきたので、オクターがトドメをさして暴動は鎮圧。残り二人の暴動発起人はなんとイツヤがすでに対処済みだったのだという。数は少ないが生存した学生咎人の証言がそれを保証している。

生存権の侵害に際して他者に危害を加えることはこの街でも禁じられてはいない。だが多くの制約をはらむバイオチップを身に宿し、まだ学生の時分であるイツヤが二人の妖怪異を討伐したことを知り、にろくは彼への疑念を増やすことになった。

にろく「ストラトス、リート、先の二人を連れてこい」

続いて彼らのバイオチップの内容を確認することにした。まずはフォウだ。
緊張気味の彼女の右手に表示された数字は「0」、出所時期に到達すればあり得なくはないがチップの故障の可能性もなくはない。だがもしも、にろくの読みが当たっていれば・・・

にろく「チップの故障じゃあないな。装置が読み取った数字0年とのことだ」
フォウ「え?」
一番驚いたのはフォウ自身のようだ。どうやら右手の数字の変化にも気づいてなかったのだろう。132年の懲役が消えている。つまりそれは懲役を真っ当したというか、彼女の咎が消えてなくなったということだ。
フォウ「どうして懲役が短くなったの?いいえもはやなくなってしまったの!?」

取り乱す彼女にまずは落ち着くようにと促して、続ける。読み取り装置が示した情報はそれだけではなかったのだ。
にろく「フォウ、君に付与された BASIC-ONはなんだった?」
フォウ「ライトオンよ。図書館の蔵書にちょど良い明るさになるように灯りを調節することに使っていたわ」
にろく「そうかそうだよな。だが・・・今は違うようだ」

その場の一同が息を呑む。

にろく「フォウ、君の今の能力は、DEAM-ON(ディームオン)というらしい」


〜レムリア大陸E.G.O本部・機密危機管理室〜
4つの机が並べられた部屋に4人の顰めっ面が並んでいた。長官であるカレンは座していない。

机の中央に浮かぶディスプレイには、何かしらの情報を示した文字と数字が並んでいる。加えてどこかの制御室だろうか、十数人の軍服姿と一般人が並ぶ映像が映し出されていた。時折音声も聞こえる。向こう側では焦った様子で言葉が飛び交っているようだ。

画面越しの声「DEAM-ONというらしい」

録音された音声が何度も繰り返し再生されている。この言葉が重要であり、顰めっ面の理由なのだろう。
「魔王の力が黄泉がえった疑う余地もない」「決して外に出してはならない何を優先してもだ」「共存の余地はあるあの時とは違うのだから」「それは理想だ現実を受け止めろ」

結論はただ一つ。このボタンを押すのみ。誰が押すかに意味はない押すしかないのだ。
「これは我々(人類)の選択だ」

そうして今にもボタンが押されることになる。こちら側の世界を守るために。


〜咎人の街・ZENithタワー15階「中央管制室」〜
そこにいる誰もが知らない言葉とい疑問が飛び交っている。それはなんだ?能力の一つなのか? BASIC-ONが付与する三元能のどれか?どれでもないなら何が起きているんだ?

最も理解から程遠いポートロの思考はパンク寸前だ。
リート「隊長、説明願います」
にろく「いや俺も何がなんだが」
ストラトス「そうではなくて、隊長が秘匿している情報も開示してほしいのです」
にろく「・・・」
デヴァイ「DEAM-ONの名称を知らずとしても、少なくとも何らか関連する事象をご存知かと見受けます」
にろく「それはだな・・・」

口篭ってしまう。外部と情報をやり取りしていることが知られたら大きなリスクだ。うまく誤魔化すには・・・
にろく「無理だな」
ポートロ「無理ってそんな・・・にろく隊長、隠し事は無用です!まずいことは俺たちがなんとかしますから!」
にろく「だめだ」
ポートロ「隊長のわからずや!俺たちは・・・一つのチームなんですよ!」

にろくの頬をポートロの右振りが掠める。当たりはしない。ポートロは勢いそのままに態勢を崩して倒れ、にろくはサッと身をかわし、そしてはっと目を開く。ああそうだ。目的を誤っていた。俺たちは全力でぶつかっていいんだ。そのためなら秘密を開示することも厭わない。都合の悪いこともひっくるめてここにいる全員で、俺たちが生きるためにできることをするんだ!
懐の赤の魔導書が熱くたぎる。

にろく「応!全て共有するその上で対策を講じよう。みんなの力でなんとかしよう!」
一同からも応が響いた。この一体感、なんでもできてしまいそうな雰囲気、やる気に満ちた一同の目は燃えていた。

だが、それも束の間。


室内のすべての灯りが消えて、音が沈み、香りが凍る。曇天が空を覆い暗闇が広がる。気温が瞬く間に下がり壁面には霜が張り付く。呼吸もままならないほどに空気が薄くなる。

この瞬間、街は文字通り氷に包まれたのだ。それはこの大陸のありのままの姿である。

にろく「!?特殊戒厳令を発動しろ・・・」
その声が他の隊員に届くことはなかった。にろくの意識は遠い奥深くに沈んでしまったからだ。

仮に届いたところで変わらなかっただろう。街内のインフラはすべてダウンしておりなんの手立ても講じることはできない状況だったのだ。

そして三十秒もしないうちに中央管制室の中のすべての鼓動が停止した。街内も例外なく、すべての咎人とZENith隊員の脈動は静まり返った。

ただ一人、所長室に籠る彼を除いて。


〜ZENithタワー最上階「所長室」〜
エル・プリメロ「悪手にも程があるぞ」
極寒の極限状態であってもこの老人は二の足を大地に突きつけていた。
それは信念か、あるいは生き様か。
この身一つで貫いてきた心臓は止まることを知らない。

エル・プリメロ「若人よ、まだその時ではない」
強く、強く右拳が机を叩く。その振動は床にいたり、壁を走り、塔を抜けて街内に広がっていった。


〜〜

かくしてこの街は氷に閉ざされ咎人の墓場(FrozenGrave:フローズングレイブ)と成り果てた。

E.G.Oの画策、とは思いたくは何のだが、都合の悪いことは早いうちに一掃することが一番とでもいうのだろうか。

だが命の灯火はそう簡単には消えることはない。継ぐ振動が響き渡り鼓動の音が広がっていく。氷を溶かす熱い吐息が一つ、また一つと増えていく。

咎人の街(UtopiaTown)終幕


だが物語は終わらない。ここからが本当の始まりなのだ。

次回、咎人の街(FrozenGrave)開幕!
TO BE COUTINUDED

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最終更新:2024年11月30日 21:42