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家庭の守り人 - (2011/06/26 (日) 23:59:43) の編集履歴(バックアップ)


家庭の守り人

                   

家庭の存在

ほねっこの家庭の特徴として、数世代同居がある。
祖父母が、父母が、子供夫婦が、孫夫婦が同居している家庭も珍しくない。
逆に一人暮らしの世帯が珍しがられるという、他国から見れば驚かれる特徴だ。
だからと言って一人暮らししている世帯が皆無とは言えないが、それはかなり稀だ。

極寒とも呼べるこの国の冬は寒い、雪が多いという言葉では足りない。
身を切るような凍てつく冬の大気と、大人の背を容易く越えるほどの雪が降るこの国の日常に於いて、
一人で生きていくのは並大抵の事ではないからだ。

その寒さに耐えて今日のほねっこがある理由としては、何よりも家族の存在があった。

まだ暖かい昼には雪の中で作業をしたり、学校に通ったり仕事に行ったりしている。
気温がさらに冷える夜には暖炉の前で身を寄せ合い母親が作ったシチューやスープで身体を温める。
昼間の出来事をそれぞれに話しあう。困ったことがあれば相談し、時には祖父母の昔話に耳を傾ける。
時には国内で流行しているTRPGや祖父母世代で流行ったゲームなどが行われる。
隣に寄り添う犬の毛並みを整えたり、その後またもふもふしたりする。
ほねっこの子供たちは、祖父母の話から何が生きていくのに大切で、何がいけないのかを学んでいく。
生きた知識は書物で得る知識よりも心に染み込み、成長するときに大きく役立つ。
逆に老人たちも子供たちと話をすることによって、自分が知らなかった新しい世界を知る。
笑って、泣いて、喧嘩して、また笑って。
毎夜繰り広げられるそれぞれの家庭の日々が、厳しい寒さに耐える為の心の糧となる。
身体だけではなく心の温もりが何よりも人を強くするのだ。


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ほねっこでは成長して家から通うのが困難な場合などの場合のみ職場の独身寮や共同住宅に入ることが多く、
個人で住居を構えるというケースが少ないだけである。
ほねっこ政庁の独身者も、多くは独身寮に入りそこから各部署へ通う場合が多い。
独身寮も単独で生活できるスペースはあるが、大抵夕食後には新たに作られた多目的ルームにいることが多い。
お菓子や軽食を持ち寄ってはお喋りに花を咲かせたりすることが大抵であるが、
時々藩王がサプライズで登場しゲーム大会を開催することもある。
その時は大抵じょり丸様もやってくるので賑やかな場所はますます賑やかになる。

同じ屋根の下で、同じ釜の飯を食べる。
誰かが落ち込んだり目を@@させていれば、誰かが心配して声を掛ける。
誰かが嬉しいことがあれば、その話を聞いて喜ぶことが出来る。
元々赤の他人であった者同士でも、だんだん家族のような存在になってくる。

多目的ルームは男女寮共通なので、そこから出会い結婚に至る男女も珍しくなかった。
(噂では書記長さんの出会いも寮だったという噂もあるが、どこまでが真実かどうかは謎である)
結婚すれば独身寮を出て家を持つか実家に戻る、もしくは家族寮へ入る者が殆どだ。
寮を改修した時に家族寮の需要が多く現在でも戸数は伸びており、今後も増えていくだろう。


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ほねっこの民の家族というのは、血の繋がったものだけを指す訳ではない。
古い昔話の時代より、「吹雪の時、戸を叩く客人は迎えてもてなせ」という慣わしがある。
そんな中をわざわざ訪ねてきた客人を歓迎こそすれ、民を叩き出すということは、死ねというのと同義だ。
他国の民にその話をすると決まって尋ねられることがある。

「その客人がもし強盗だったらどうする?」

そんな質問にほねっこの民はにこりと微笑んでこう返すのだ。

「ほねっこの吹雪って言うのはな。
 体温の全てを、視界の全てを、感覚の全てを失うんじゃないかと思う程だ。
 生と死の最中にあって、招いてくれた家庭に恩義を感じこそすれ強盗を働こうとは思わなくなるのさ」

それが当然とばかりの返事に尋ねたほうが黙ってしまうのがしばしばである。
ほねっこの中のみでの常識に思われがちだが、実際にほねっこの吹雪はそこまで厳しいこともあり冗談とも言い
難いのだ。老人たちによれば、滋賀から大分に国が移った時はもっと酷かったという話もある。

それ故に一夜の宿を求めて戸を叩く旅人には、戸惑うことなく迎え入れ持て成す。
卓を囲んで、旅の話を聞き旅人もまた話を聞く。
その温かなもてなしは寒さに疲れた旅人を癒し明日への活力をまた生み出すという。
一夜の宿に恩義を感じた旅人が再びこの国を訪れた際には、また同じ家を訪れ、家族のようにもてなすようになる。
両親の姿を見た子供が成長してまた同じようにもてなし、何代にもわたって交流を築く場合もある。
普段は小動物とも言われる国民性故に警戒心も強いが、自分達の懐に入った人々に対しては手厚くもてなすのだった。




小動物の大冒険(摂政ユーラの手記より)


後ほねっこ男爵領の国民はよく「小動物」と称される。
よく言えば慎重で堅実。悪く言えばビビりで冒険嫌いである。
その性格は設定国民にも引き継がれており、それゆえほねっこでは、いわゆる爆発は起きていない。

もっともそれは自爆はないというだけで、過去、敵の襲撃による被害は少なくなかった。
それは小動物な国民性ゆえに、強力な兵器や軍隊を進んで持つことがなかったためでもある。
しかし、ほねっこへの攻撃は避けられないという局面にあって、対応は不可欠となる。

そこで、ほねっこは建国以来最大の大冒険に出ることとなる。
それこそが、いまやほねっこを象徴する存在となった「巨大迷宮」である。

当初その計画は冗談のように扱われていた。
なにせ国民を全員、国を丸ごと地下深くに避難させるというのである。
物理的な問題に加え、地下という環境が与える影響、遺跡の存在といった様々な問題もあった。
それでもリスクは覚悟の上と、知恵を絞って対処法を考え、実行に移したのである。

まさに、大冒険だった。

冒険嫌いのほねっこがこんな大冒険に挑んだ理由はなんだったのか。
それは意外にも冒険嫌いの国民性、小動物性ゆえであった。
慎重で堅実、派手な活躍よりも日々の生活を重んじる国民性ゆえに、
攻撃が来るとわかっている状況で国民の生活を守るには、全員で避難するしかないと考えたのである。

そして、この計画は無事に成功を収める。
地下での長期にわたる生活が及ぼす影響は、暖かな家庭の力で抑えられた。
暖かな家庭の存在も、日々の生活を大事にする国民性の賜物であった。

小動物な国民性ゆえに、国ごと地下に避難するという大冒険を選択し、
小動物な国民性ゆえに育まれた暖かな家庭が、その大冒険を成功させたのである。

因果というのは実に不思議なものである。


たしかに小動物な国民はちょっと臆病でぐるぐるしやすい。
けれども、藩王やじょり丸様がいれば大丈夫。
困ったとき、大変なときはみんなで協力し助け合える。
家族や仲間を護るためなら勇敢に戦うことだってできる。
それにみんな犬が大好きだ。


だから、小動物な国民性だって決して悪くない。そう思うのである。


文章:たらすじ・ユーラ イラスト:瑛の南天
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